織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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今回はそのままご褒美回。
ここ最近、甘さが足りない! と思いましたので。
微糖ですが、ヨロシクお願いします。


第74話 織斑 一真は実家に帰る その7

 父さんに剣を見て貰えたことは嬉しいのだが、それにかこつけてイチャつくのはどうかと思う。

だが、確かにあんな力を発揮するのは父さんの言う通り『愛の力』という奴なんだろうか?

だとすれば、俺も誰か一番に愛する人が出来ればあんな力が手に入るのだろうか?

いや、それは少し違うな。

力が欲しいから愛する人を作るんじゃない。きっと愛する人のために頑張れるからこそ、結果として力がつくのだろう。父さんはその境地に至っているからこそ、あんなに力があるのかも知れない。

あの時の『雪崩』……生身であそこまでの破壊力を出すとは思わなかった。

多少崩してはいるが、同じ技である俺の『双崩』ではどうあってもあのような威力は出ない。

その実力差に唖然とするほか無い。

俺が知る限り、生身であんな威力を発揮するのは『センセー』しかいない。

だが、センセーのあの力は父さんとはまったく質が違う。正直鍛錬だけで手に入るかどうか良く分からない力だ。

二人の師の教えを受けて、俺はこの先どう成長していくのだろう?

阿修羅の如き鍛錬の末にセンセーのようになるのだろうか。もしくは、父さんのように誰か愛する人と共に強くなっていくんだろうか。

そう考えた途端、脳裏に過ぎったのは俺を好きだと言ってくれる五人の女性と何故か夏耶。

皆美人で綺麗で可愛らしい、文句の着けようが無い女性達。

普通に考えれば、この中から一人を決めなくてはいけない。

だというのに、俺は未だに決められないでいる。

それどころか、今のこの状態が一番心地良く感じてしまっている始末だ。

男として最低だと思う。

でも、それでも………俺は皆と一緒にいたいのだろうなぁ………。

 

 

 

 父さんに剣の稽古を見て貰った後、少し休むと共に一緒に鍛錬を行うことに。

自己鍛錬を今まで積んできたわけだが、やはり自己だと気付き辛い部分も多く、そこを指摘され治していく。

その様子に武者である葵さんも一緒に木刀を握って参加してくれた。

同じ刀を使う者として、父さんの師事を受けたかったようだ。その際、特に灯姉さんは残念そうにしていたが。

一応刀を振れるとは言え、灯姉さんは槍がメインだから参加出来ないらしい。

夏耶やアリシアさん、颯姉は悔しそうな顔をしていた。

ただ一人、葵さんだけは俺を見つめながら妙に嬉しそうだったのが印象的だった。

 鍛錬を終えた後、部屋に戻った所で何故か皆でパーティーゲームをすることに。

某日本国が誇るゲームケーカーが出した賞品であり、実際に身体を動かして他のメンバーと競い合う得点性が高いゲームである。

それにより競い合う夏耶達と何故か母さん。

 

「まだまだ若い人には負けませんよ~」

 

甘い声で両手を胸の前に持って行き、軽く頑張りますと意気込む母さん。

何故かその時父さんからキュンっとした音が聞こえたような気がする。顔は見ていないし、音源になりそうな物などないのに。

ちなみに俺は参加していない。

何故なら、こういうゲームが苦手だから。父さんは母さんと一緒に偶にやるらしいが、それでも基本は苦手らしい。きっとコレは父さんの遺伝だと思う。

そして始まったパーティーゲームだが、ある意味これが碌でもない引き金になった。

最初のゲームに勝ったのは母さん。

勝ったことにはしゃぐ母さんは、その喜びも顕わに父さんの胸に飛び込むと、猫のように甘え始めた。

 

「勝ちましたよ、旦那様!」

「ええ、凄いですよ、真耶さん」

 

勝った母さんを褒める父さん。

そこまではまぁ、いつもの感じなのだが、この後が問題だった。

 

「せっかくですから……ご褒美、欲しいです」

「ご褒美ですか? ふふふ、いいですよ」

 

父さんの胸の中にすっぽりと収まっている母さんは、恥じらいつつもどこか蠱惑的な笑みを父さんに向ける。

その笑みを向けられた父さんは分かっているのか、少し嬉しそうにしつつ、母さんの頬を優しく撫でた。

母さんは父さんに頬を撫でられ、気持ちよさそうにうっとりとしながらそのご褒美を父さんだけ聞こえるように囁く。

一体何を言っているのやら。

皆興味津々なのか、父さん達に食い入るように見つめ固唾を飲み込んでいる。

その所為か俺の方にもその緊張が伝わり、少し静まりかえったために母さんが父さんにお願いしていることが少しだけ聞こえてしまった。

 

「………勝ったらもっと……一杯キス………して下さい………それに………今日の夜……」

 

正直聞かなかったことにしたい。

詳しくまでは聞こえなかったが、絶対に碌な事ではなさそうだ。

甘える様に抱きつき、キス出来るほどに近き距離で囁く母さんを見て、五人も変な闘志を燃やし始めた。

そのまま熱の籠もった熱い眼差しを俺に向ける五人に、俺は冷や汗を掻いて仕方ない。一体これから何が始まるのだろうかと。

そして予感は的中する。

次のゲームで勝ったのは葵さん。

すると葵さんはそっと俺に近づき、真っ赤に染まり恥じらいながら上目使いで俺を見つめてきた。

 

「あ、あの、一真様………わ、わたくしも、その……ご褒美が欲しくて……」

「え、いや、何を……」

 

突然のおねだりに動揺する俺。

やはりこんなことになったか………。

当然そんな

ことに応じるわけには……と思ったが、父さんの方に顔を向けたら、やけに綺麗

な笑顔を向けられた。これは無言の重圧。

 

やってあげなさい

 

その威圧感が言っていた。

退路が断たれたことで、俺は大人しくそのお願いを聞くことにした。

 

「その……一体何を……」

「は、はい……そ、その、一真様のお母様のように、わたくしも一真様の胸の中に………」

 

そう良いながらもゆっくりと近づき、俺の懐にすっぽりと入り、葵さんの顔がトマトのように真っ赤になった。

 

「あ、あぅ……今、一真様に包まれて………ふぁ……まるで夢のようです……」

 

恍惚とした表情を浮かべる葵さん。

その艶やかな唇が目に入り、葵さんから香った華のような香りと共にドキドキと胸が高鳴ってしまう。

夏耶達がその光景を羨望の眼差しで見つめ、そして三分程した後に再びゲーム再開となった。

未だ夢心地の葵さんはそのままゲームをプレイし、次には負けた。

次に勝ったのはアリシアさん。

もう逃げ場もないのだから、大人しく従うのみ。

父さんと母さんは恋愛賛成なことから寧ろもっと大胆に行けと言わんばかりに見守るばかり。

もうどんとこいといった諦めの境地である。

するとアリシアさんは、顔を赤く染めながら俺にお願いをしてきた。

 

「わたくしもご褒美が欲しいです。なのでお兄様……お兄様の膝をお借りしたいのですけれど」

 

そのお願いの元、どういう訳かアリシアさんは俺の膝……というか、足の付け根辺りに腰掛けていた。

 

「お兄様、出来れば頭も撫でて下さいますか? お願いします……」

 

更に上目使いで綺麗な金髪が鼻をくすぐる位の距離で見つめられ頼まれた。

それに従い頭を軽く、夏耶にするように優しく撫でてあげる。綺麗な金髪のきめ細やかな感触が気持ち良い。

するとアリシアさんは目を細めて気持ちよさそうに顔を崩す。何だか可愛らしくてほのぼのしそうだ。

 

「ふぁ………お兄様の手……気持ちいいですわぁ……」

 

気持ち良いのは結構だが、頼むからそれであまり身じろぎしないで貰いたい。

股間近くをアリシアさんのお尻が動くものだから、その柔らかな感触が響いて仕方ない。

一応言っておくが、俺だって性欲のある男だ。

正直かなりしんどい。

しかもアリシアさんの今の服装は真っ白なワンピース。

薄手なだけに、その感触はかなり生々しい。

早く終わってくれることを祈りたい。

その後もゲームは白熱していき、夏耶が勝ったら俺の頭を抱きしめてきた。

それ自体は昔からあったが、最近成長の著しいだけに胸に顔が埋まり、その柔らかさにドキドキするなと言う方が無理だ。例え妹だとしても。

その上、俺にだけ聞こえるように耳元で、

 

「どう、お兄ちゃん。今、下着外したんだよ……」

 

と言ってくる始末。

その所為で意識が胸にいってしまい、想像を掻き立てられそうになってしまった。

まったく、兄をからかうなと言いたいのだが、最後辺りに感じた少し堅い何かが何であったのか………いや、やめよう。考えたら色々と終わりそうだ。

次の勝者、灯姉さんは今までのとは逆に、俺の頭を自分の膝の上に置いた。所謂膝枕を俺がされることに。

 

「最近はしてあげられなかったから。いいこいいこ~」

 

そのまま優しい笑みを浮かべられ、ゆっくりと頭を撫でられる。

皆の前もあって気恥ずかしい。すると灯姉さんは顔を近づけて、俺のおでこにキスをした。

 

「これぐらいいいかなぁ~て思って」

 

おでこに当たった柔らかい感触に心臓の鼓動が加速したのは言うまでも無い。

そして最後に勝ったのは、颯姉。

颯姉は俺に命令するかのようにお願いしてきた。

 

「一真、あたいをお姫様だっこしな!」

 

その命を受け、俺は颯姉を抱き上げた。

この五人の中では一番大きいのに、予想以上の軽さと持ち上げた際に手に感じた柔らかさが如何に女の子なのかを感じさせ、俺は些細な事なのにドギマギしてしまう。

颯姉はどこか夢を見ていたような少女のような、普段からは少し考えられない可愛らしい笑顔をして喜び、そして何を思ったのか、俺を見て恰好良くこう言った。

 

「勝利した女神からのおくりもんだ」

 

そして俺の頬にちゅっと何か柔らかな感触が当たった。

何をされたのか? いくら鈍い俺でもこれは分かる。

頬にキスされた。

その途端、俺も颯姉も同時に赤面する。

特に颯姉はこういうキザなことには慣れていないので、さらに恥ずかしいようだ。

 と、こんな感じでゲームは進み、あっという間に時間も過ぎてそろそろ六時に。

流石にこれ以上はよろしくないと思い皆を送ろうと考えて居たのだがそれをぶち壊すかのように母さんが爆弾を落としてきた。

 

「あ、そうだ! みんな、今日はウチに泊まっていきませんか?」

 

いきなりそんな事を言い出した。

父さんは歓迎だと笑顔で頷く。

それに対し、夏耶を除く四人は………

 

「「「「え、良いんですか! では、喜んで!!」」」」

 

快く受け入れ、携帯で実家の方に連絡を入れ始めた。

 

 

 

 一体この後どうなるのか………俺はじ不安で仕方ない。

 

 

 

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