織斑 一真の苦悩   作:nasigorenn

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今回は被害しか出ません。
バカップルを刺激したらどうなるか……ですね。


第75話 織斑 一真は実家に帰る その8

 母さんが放った爆弾が見事に炸裂し、どういう訳か葵さん、アリシアさん、灯姉さん、颯姉が家に泊まることになってしまった。

まったく、何てことをしてくれたんだと思う。

灯姉さんや颯姉は家に泊まったことがないわけではないが、それもあくまで幼少の話。ここ最近家に泊まるようなことは無かった。

既に学校で女子と同室なんだから何を今更、などと他の人が知ったならそう言うかも知れないが、そんなことは断じてない。

あれだって俺の精神をガリガリと削るのに充分なのだから。特に葵さんは大和撫子なだけに、所作の一つ一つが丁寧でありながらどこか艶を感じさせる。

だから見ているだけでドキドキしてしまうことが多い。

いくら実家で両親が居るとは言え、それでも一人でコレなのに三人も追加となると………どうなるんだろうか? 心労が溜まりそうな気がしてならない。

だが、我が家の上下関係に於いて、母さんに逆らえる者などいないのだから、母さんの命令は絶対。断ることは不可能だろう。

父さんは母さんにダダ甘だし、基本夏耶も素直に言うことは聞く。

逆らおうものなら泣かれ、そして父さんに怒られるのは目に見えている。故にどうすることもできない。

そんな訳で泊まることになった四人は、実に嬉しそうに笑いながら母さん達と話し合っていた。

 

 

 

 話も決まり皆で楽しく夕飯を食べ終えた後、俺は先に風呂に入って少し涼んでいた。

風呂上がりに夜風に吹かれるというのは少し身体に悪いことではあるのだが、やはり気持ちは良くなるもの。その心地良い涼に精神を安らげていると、風呂場から声や水音が聞こえてきた。

家の風呂は結構大きく、少し詰めれば五人くらいなら入れる。だからなのか、葵さん達と夏耶は一緒に入っているようだ。何で狭いのに無理して入ろうとするのか分からないが……。

 

『お、夏耶! 前よりもかなり胸大っきくなってるじゃねぇか! ほれほれ』

『あっ、やめ……んぁっ、颯お姉ちゃん、そんなに強く揉まないで~』

『まぁ、葵さんったらお肌が真っ白でスベスベしてて、羨ましいですわ~。頬ずりしたいくらいですわ』

『あんっ………あ、アリシアさん、、あまり触らないで下さい、そこ、弱くて……ひゃん……』

『う~ん、私はどちらを弄ろうかしら………よし、決めた。両方にしましょう』

『って灯お姉ちゃんも触らないで~……んひゃぁっ! もう、やったな~! えぇい』

『あぁんっ! もう、夏耶ちゃんたら~。それに私にやるより、目の前にもっとやりがいのある大きなのがあるじゃない。ねぇ、颯』

『ちょ、まっ……やんっ!?』

『伊達先輩、凄い艶っぽい声です……』

『って、お前~……やったなぁ~! それにアリシア、お前も喰らえ~!』

『キャーーーーーーーー!』

『あらあら、それにしても……葵さんって細身のわりに胸があるわよね~。ほら、石けんが挟めちゃう』

『やぁんっ!? 何するんですか、真田先輩!』

 

……………………うん、もう耳を閉じよう。

一体何をやっているんだ、あの五人は。

風呂はもう少し落ち着いてゆっくりと入るものだろうに……。

でも、楽しそうだなぁ………はっ!?

決して、彼女達の戯れや水音を聞いて入っている所を妄想しているわけではないぞ!

そう考えると妄想が止まらなくなりそうになるので、火照り始めた身体を諫めるためにも精神を集中する。

今日の父さんとの鍛錬を思い出し、改善点を見つける。

思い出せば出す程に出て来る。あの時、後半歩踏み込めていればとか、あそこの防御は真正面から受け止めるのではなく、受け流せれば此方の負担も大きくなくて済んだなど。

それらを考えて無駄にピンクな思考を追いだし集中すること約30分。

リビングに風呂上がりの皆が入って来た。

 

「お兄ちゃん、お風呂出たよ~!」

「お風呂をいただかせていただきありがとうございました」

「良いお湯だったわ。久々にみんなでお風呂に入れて楽しかったしね」

「庶民のお風呂というのも、コレはコレで楽しいですわね」

「いやぁ~、やっぱ美人と一緒に風呂ってのは良いもんだなぁ。お前も入りたかったろ、一真!」

 

「っ!?!?」

 

俺は皆の姿を見た瞬間、息を飲み込んだ。

何せ、今まで見たこともない姿だったから。

火照り艶やかに朱くなった肌、身に纏うのは真っ白なワイシャツ一枚で裾の端から除く真っ白な足が眩しい。

開いた胸元から除く胸の谷間に目が吸い込まれかけるなど、青少年には実に刺激が強すぎる光景であった。

俺は自分の顔が熱くなっていくのを感じ、目が離せなくなっていることを自覚する。

だが、それでもいつまでも見ている訳にはいかないと、無理矢理視線を引きはがした。

 

「ってちょっと待って! なんで皆ワイシャツなんだ! 普通来客用の寝間着とかジャージとかじゃないのか!」

 

そう、普通なら客人にこんなものを渡したりしない。それは実に失礼だ。

俺は声を荒立てながらそう突っ込むと、夏耶が笑顔で俺に近づいてきた。その際に見えた胸の谷間にドキドキしてしまう。

 

「えっとね、お母さんが持ってきてくれたんだ。これ、しかサイズが合いそうなのがないからって」

 

それを聞いて内心、絶対に嘘だと思った。

どう考えたって他にもあるだろうに。

勿論母さんが犯人なのなら、抗議しなくては……そう思うが、それは父さんの妙に良い笑顔によって止められた。どうやら父さんも共犯らしい。最近両親が何を考えているのかわからなくなってくる。

しかも………。

 

「これが一真様のワイシャツ………一真様の香り……」

「かずくんも大きくなったわねぇ」

「お兄様のワイシャツ、やっぱりサイズが大きいですわ。でも、その分、やっぱり男の方って感じがして………」

「でもやっぱり窮屈だぜ。特に胸元がさ」

 

彼女達が来ているのは俺のワイシャツらしい。

何でそんなものを持ってきて彼女達に着せるかなぁ。

突っ込みたいところだが、それは父さんの笑みによって封殺される。

こうなっては仕方ない。如何に自分が家族内で地位が低いのか良く分かる。

 俺はドキドキしながらもそう思い込み、少し話した後に自室へ戻って床に就いた。

だが、隣の賑やかさとさっき見たあの光景が脳裏に焼き付いてしまい、中々眠りに着くことが出来ない。

皆風呂上がりの姿は艶っぽかったなぁ。それにあんなに胸元も開いて………。

いかん! ムラムラし始めてる! 

俺はそれを自覚すると共に自己嫌悪し、再び今日の鍛錬を思い出しつつ軽い筋トレを開始する。

その間も隣……夏耶の部屋は賑やかだったが、途中から静かになったので寝付いたのだろう。俺はそのまま疲れで眠気が来るまでずっと筋トレを続け、そして眠りについた。

 

 

 

 女子は三人集まれば姦しいと言う。

勿論、それ以上集まってもそれは一緒であり、夏耶の部屋に布団を引いて泊まり込む四人も例外では無い。

皆とても楽しそうにハシャぎ、大いに盛り上がっていた。

特に葵やアリシアのような『お嬢様』はこういった友達と集まってのお泊まりなど初めての体験だったため、尚楽しんでいた。

皆飲み物を片手に色々な話をしていく。パジャマパーティーと呼ばれる物だが、皆が同じ白いワイシャツ姿だとそれらしく感じない。

話す内容は学校で会ったことや、気になっていた疑問など様々。

だが、敢えて一番多い話題を上げるとするなら、それは確実に五人の見知っている人物の話だろう。

それは彼女達が皆好きだと慕っている人物………この家の長男である織斑 一真の話。

彼女達は一真の話を共に話し合い、まるで情報を交換し合うかのように語って行く。普通、恋敵になる相手に塩を送るような真似など一切しないものだが、彼女達はそれでも友人として、親しい者達として、より一真の魅力を伝えるかのようにお互いに話し合うのだ。

夏耶や灯、颯の小さい頃から見知っている組は過去の話を。

葵のような同じ高校の同室の間からは、学校内での生活についての話を。

IS学園に来てから知り合ったアリシアからは、IS学園で一真と一緒にやった思い出を語っていく。

そしてその時のことを思い出しては顔を赤く染めてキャー、と騒ぐのであった。

そのままさらに盛り上がり、何故一真を好きになったのかをお互いに語り始めるといった、明らかに意味の無い恋バナに花を咲かせる。

その際に、夏耶は実の妹なんだから色々と不味くないか、という話題も上がりはしたのだが………。

 

「確かに結婚は出来ないけど、それでも家族だから一番近くに入れるし」

 

と夏耶はいじらしくそう答えた。

その返答を聞いて少しばかり悲しみを感じる四人。いくら想おうと、妹が結ばれることは無いと分かっているから。

だが、それは次に夏耶の口元がニヤリとつり上がったことで消し飛ばされた。

 

「別に……エッチなことは妹でも出来るし、IS学園は治外法権だから……えへへへへへ。それに表立って言えないだけで、裏ならいくらでも………妹で奥さん……いい……」

 

明らかに邪念丸出しのその呟きにそれまで悲しみを抱いていた四人は夏耶を別の意味で見直した。

 

((((この子は絶対に強敵になるっ!!!!))))

 

そして四人とも目の前の暴走娘に負けまいと誓う。

 そのように盛り上がっていた所で、葵があることに気付いた。

それは隣から聞こえてくる声。

その声が気になり、夏耶に聞いてみることにした。

 

「あの……夏耶さん。お隣から何か声が聞こえているようなのですが……」

「え、隣? それってどっちから?」

「多分こっちかと」

 

葵が自身なさげに指した壁の方を見て、夏耶はその隣が誰の部屋かを皆に言う。

 

「そっちはお父さん達の部屋だよ」

 

それを聞いて四人は反応する。

彼女達にとって、言わば未来の両親になるかもしれない相手。織斑 一夏と言えば一流の武者として名が通っている超有名人。その私生活というのは、実に興味をそそらせる。更にこの家に来てあのドが着くくらいの甘甘なイチャつきを見せた二人なのだ。気にならない方が可笑しい。

そして夏耶は面白そうだと思ったのか、一夏達の部屋の壁に聞き耳を立て始めた。

それに連なり、灯と颯も一緒に壁にへばり付く。

 

「あ、あの……こういうのはいけないと思うのですが………」

「そうですわ。盗み聞きなど、淑女がして良い事では……」

 

その様子に葵とアリシアから止めにかかる声がかけられるが、それを三人は愉快そうな笑みで説得する。

 

「『今後』の勉強のために必要になるかもしれないよ」

「そうね。私達の目標のような人だから」

「あの二人ほどイチャついてる奴をあたいは知らねぇ」

 

そう聞いて、葵とアリシアも軍門に降ってしまう。

言っていることはもっともであり、『今後』必要かも知れないから少しでも情報を集めようと。

そして五人で壁に向かってコップやら何やらを着けながら隣の話を聞くのに集中した。

 

『今日は色々楽しかったですね』

『そうですね』

 

それは普通の話にしか聞こえない。だが、壁の向こうでは普通では無い状態になっていたことを、夏耶達は聞いて理解させられた。

 

『じゃ~ん、見て下さい!』

『お、これはIS学園の制服じゃないですか。久しぶりに見ましたね』

『はい! 久々にあの子達を見て懐かしく思いまして。どうですか? 今でも似合ってます?』

『ええ、とっても。今も昔も変わらずに真耶さんは可愛らしいですね』

『そうですか? えへへへへへ』

 

どうやら真耶がどこからか引っ張り出してきたIS学園の制服を着て一夏に見せているようだ。元々童顔で若々しいだけに、あまり今でも違和感がないらしい。

 

『えへへへ、だんなさまぁ~』

『おっと……真耶さんは甘えん坊ですね。まぁ、その方が俺も嬉しいけど』

『私はもっとだんなさまに甘えたいんです。あ、せっかくだから少し呼び方を変えてみましょうか。えっと、どうですか、先生』

 

そこから始まる先生と生徒の振り。

二人は抱きしめあったまま、イチャついているらしい。

 

『先生、私、どうですか』

『どうと言われても困りますね。でも………』

『?』

『さっきから此方のコレを優しく擦っている手はいただけませんね』

『きゃっ、バレちゃいました。でも、そう言う先生だって、ノリ気じゃないですか』

 

その声に含まれている艶を感じ取ってか、五人は生唾を飲み込んだ。

 

『まぁ、こんな魅力的な真耶さんを見せられたらやる気だって漲ってしまいます。それにしても、どうして急に?』

『だって……』

『だって?』

『あの子達を見ていたら、何だか昔を思い出しまして。私ももっと負けないくらい先生にアタックをかけようかなって。それでこうしているんです。若さっていいなぁって思ったら、身体が熱くなってしまって……後は……わかりますよね?』

『そうですか。まったく……とても可愛くて悪い人です。話している間にもチャックを下ろしているところが尚更。そんな悪い生徒には先生がお仕置きしちゃいます』

『きゃっ! そんな、あん……んあぁっ!』

 

突然上がった高い声に向こうからは分からないとは言え、身体をビクっと震わせてしまう五人。、あぁ、誰だって盗み聞きしていて急に声が上がれば驚くものだが。

 

『まったく……学生にしては有り得ない程に大きくけしからん胸ですね。これで一体何人の男を誘惑したんですか』

『そ、そんな……んひゃぁ……誘惑なんてしてません! 私は先生だけを……あぁ……』

『それにこの下着は何ですか。真っ白い制服なのに、黒のセクシーランジェリーとは。学校にこんな下着を着けていいと思っているのですか』

『そんな……んあぁ、そんな強く、やんっ! わ、私は先生に見て貰いたくて……』

『俺にですか? 教師に色目を使おうとしたのですか? まったく……なんて悪い生徒ですか! もう許しません! もっときついお仕置きをしますよ!』

『やぁん……先生の……あつぅい………火傷しちゃいそうです……』

『まったく、罰だと言っているのになんて顔をしているんですか。悦んでいるなんて……イヤらしい子ですね。もっと罰してあげます』

『はぁい♡』

 

全くもってノリノリな茶番劇。

だが、この後はとても激しいことになり、それを聞いていた五人の顔はトマト以上に真っ赤になっていた。

もじもじと身体を揺する五人。その身体は妙な熱に取り憑かれ、そわそわと落ち着きを無くす。

そして五人は、そんな状態になってさえも壁に貼り着き……。

 

翌日の太陽が昇るまでその行為の声と音を聞いた。

 尚、それまでの間、一真は疲れもあってぐっすり眠っており、両親が何をしていたのかまったく気付かなかった。

 

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