無駄に長引きすぎて疲れました。正直、バカップルが暴れていた以外に記憶に内ですけど。
四人が泊まった翌日。
俺は精神的に疲労を残しつつ起き上がると、朝のトレーニングをすべく着替え始める。いくら昨日が色々とあったとは言え、日課を欠かすこと事など出来ない。
俺は外に出ると、夏の早朝なだけにさっぱりとした涼しさを感じた。
そして庭に目を向けると、既に先客がいたらしい。
「ふっ……くっ……はっ……」
父さんが既に鍛錬していたらしい。
滝のように汗を流しながら木刀の素振りを行っていく。
薄いTシャツ越しに見える隆起した筋肉から、それがどれだけの威力を持っているのかが窺える。
流石としか言い様が無い見事な剣筋だ。まったくぶれていない。
そして父さんは素振りを終えると、俺に向かって爽やかな笑顔を向けてきた。
「やぁ、一真。朝の鍛錬かい?」
「うん。一日でも欠かすと後が大変だからね」
そう答えながら準備運動を始めることにする。
それにしても、こうして見ると本当に父さんって若々しいなぁ……寧ろ若すぎる。
マドカ叔母さんの方が今じゃ年上に見える。もし知らなかったらあっちが姉で通りそうなくらいだ。
そう思っていると、父さんが少しばかり気まずい顔をして苦笑を浮かべる。
何かあったんだろうか?
「あ、そうそう。悪いんだけどこの後一緒に朝ご飯を作るの手伝ってくれないかな?」
「それは別にいいけど……何かあったの? いつもなら母さんと一緒にやってるのに?」
いつもなら母さんと一緒に料理を作る父さんだが、何故今日に限って俺なのだろうか?
それにいつもならそろそろ母さんが父さんに差し入れを入れに来るはずなんだけど………喧嘩でもしたのかな? いや、この夫婦に限ってそれはないか。
すると父さんは何かを悟ったかのような、そんな顔を俺にした。
「えっとね……どうも昨日頑張り過ぎちゃって、母さんはまだ眠ってるんだ。とても疲れているようだから、もう少し寝かせて起きたくてね」
「急な来客で張り切りすぎたってこと?」
「う、うん、まぁそういうことかな。とても張り切っていて……可愛すぎて我慢が出来なくてね………」
後半が聞こえなかったから分からないが、やはりいつもより張り切っていたから疲れたんだろう。
そう思えば寧ろ手伝わなければ駄目だろう。
「わかったよ。それじゃ直ぐ鍛錬を終わらせるから待っていてね」
「あぁ、ありがとう。(言えないなぁ………張り切りすぎて意識が飛んでもさらにヤっちゃって無理矢理覚醒させては更にヤってた所為で疲れ切ってるなんて……)」
俺は父さんの求めに応じるべく、気合いを入れて素振りへと取りかかっていくのであった。
鍛錬を終えて汗を流すと、台所にいる父さんと一緒に朝ご飯の支度に取りかかる。
「一真、悪いけど鯵の焼き具合を見ててくれないかな。俺は味噌汁を仕上げてくるから」
「わかった。そっちの煮物は仕上がっているから」
「ありがとう」
お互いに話し合いながら仕上げていき、あっという間にテーブルの上には純和風の朝食が並んでいく。
俺は料理が出来ないんじゃないかって?
これでも一応は父さんの息子だからな。普通に一通りはこなせるよ。武帝高に行ってからは葵さんの美味しい料理をいただいてばかりだから忘れがちだけど。
すると香りに釣られてなのか、ゾロゾロと夏耶達が二階から降りてきた。
「みんな、おはよ………どうしたんだ、その顔は?」
皆眠そうなのは分かるが、顔色が可笑しかった。
夜更かしをしたのは明白な顔だが、この部屋に入った途端に真っ赤になり、もじもじし始めたのだ。
何かあったのだろうか?
それを代表するように、夏耶が真っ赤な顔のまま俺に答えた。
「ううん、何でも無いの、何でも! ただ夜更かししちゃっただけで……」
「そ、そうか……」
やけに強く言う夏耶とうんうんと素早く首を縦に振る四人の押され、俺は取りあえず頷くことにする。
そしてそのまま席に着く五人だが、父さんの姿を見た途端に更に顔を真っ赤にして気まずそうに顔を逸らした。
(まさかあんなに凄いなんて思わなかったよ~! お父さんもお母さんも張り切りすぎ!)
(男女の秘め事があそこまで荒々しいなんて……お母様もあんな声を上げられて……もしかしたら将来一真様もあのようにわたくしをイジメになられるのでしょうか………いや、せっかく収まってきたのに、また熱く火照ってしまいます……)
(実際にこうして知っている人のやっている所を聞くと、ここまで気まずいのね……でも、かずくんも将来、おじ様みたいになるってことを考えると……私、壊されるかもしれないわ。それぐらい激しかったし……)
(あんなに激しいなんて……お母様もまるで獣のように淫らに乱れていましたし、20回以上も気をやって………お兄様もあんなふうにわたくしを……キャーーーーー!)
(お、親父達も大概だと思ったけど、それ以上じゃねぇのか、これ。容赦無くヤりまくる一夏さんも一夏さんだけど、真耶さんも真耶さんだぜ。普通の人間だったら間違いなくどちらかが腹上死 してんじゃねぇのか。しかもどれだけやってんだよ。体力は底なしってか? 駄目だ、思い出しただけで濡れそうになってる)
五人が気まずそうにしているが、父さんは変わらずに笑顔で話しかける。
「みんな大丈夫かい? 何だか眠れなかったようだけど?」
「「「「「いえ、何でもないです(貴方たちの所為です!)」」」」」
全員が一斉にそう答えると、父さんはそうかと俺と同じように対応した。
自業自得で心配させるのはいけないと思ったのかも知れない。
そして最後に母さんが珍しく遅れて来た。
どうやらシャワーを浴びていたらしく髪が湿っており、何故かブラウス一枚のみに下着という恰好だった。
親だと分かっていても心臓に悪い。特に凄く盛り上がり深い谷間を見せる胸元や、下着が見えそうになっている足の根元などが。
「ちょっと母さん、何て恰好をしてるんだよ」
「え、あ、ごめんなさい。さっきまでシャワーを浴びてたから……」
お客様が居る前ではしたない恰好をしないでと注意するが、母さんは心ここにあらずだ。まるで夢をまだ見ているように。
少しふらついた足取りで父さんの所まで行くと、そのまま母さんは謝り始めた。
「ごめんなさい、旦那様……わたしが朝ご飯を作らないといけないのに……」
「いいんですよ。寧ろ俺の方こそすみません。昨日は無茶させてしまって」
母さんの謝罪に父さんも謝るけど、何かあったのか?
すると父さんは母さんの身体を優しく抱きしめつつ、耳元で何かを囁いた。
「でも、真耶さんも悪いんですよ。あんなに可愛い姿であんなに淫らになって、此方を刺激するような鳴き声を上げて。すごくエッチでたまりませんでしたよ……御蔭でまったく落ち着かなかったし収まらなかった」
「だ、だって………旦那様が凄く喜んでくれるし、それにあんなに激しくされたら誰だってあんな風になっちゃいますよ。旦那様ったら、私がもうダメって言っても容赦無く突くし、それで過呼吸気味になって苦しいのにキスで口を塞ぐし……トロトロになってるのにさらにふやけさせてくるし……」
少しイジワルそうに笑う父さんに母さんは恥ずかしさで顔を真っ赤にしていた。
一体何を言ったのやら。
そのまま恥じらう母さんも席に着いて朝食を食べるが、何やら雰囲気が凄く気まずい朝食となった。昨日の夕食とは偉い違いだ。
主に気まずそうにしているのは夏耶達であり、父さんと母さんはいたって普通だというのに。
「はい、真耶さん。あ~~ん」
「あ~~~~ん♡ んふふ、旦那様のお料理、美味しいです!」
ちなみに俺が一番気まずく感じているのは目の前に座る両親だろう。
何故か今日は父さんの膝の上に母さんが座り、父さんが母さんに食べさせていた。
普段でもそうそうないくっつきっぷりに身内としては恥ずかしこの上ない。
そんなものを目の前で見せつけられたのだから、夏耶達もきっと気まずくて仕方ないだろう。
現に顔を更にトマトのように真っ赤にして目を逸らしているし。
「あ、旦那様……昨日あんなにしたのに、もうこんなに……硬くて熱い……」
「……すみません。どうも、真耶さんが可愛くて。それに下着だけのお尻にそこを当てられたら、我慢なんて出来るわけないじゃないですか」
「いや、擦らないで……」
「そう言いながらもこっちは寧ろ喜んでいるみたいですよ。昨日あんなに可愛がったのに、もう欲しそうによだれを垂らして……」
「言わないで下さい、恥ずかしぃ…………」
何やら父さん達も顔を赤くして話し始めているみたいだけど、どうせまたイチャついているだけなんだろうと判断し考えるのを止めた。
そして気まずい朝食も終わり、俺は皆を見送るために外に出る。
皆やっと気持ちが落ち着いたのか、顔が晴れ晴れとしていた。やはり急に人の家に泊まるのは気疲れがあったのだろう。
「みんな、それじゃあ元気で。IS学園には一週間後に戻ると思うから」
「みんな風邪とか引かないように気を付けてね」
俺と夏耶がそう皆に言うと、皆嬉しそうに微笑んだ。
そして父さんから気兼ねなく遊びに来て欲しいと声をかけられた。
「これからも気楽に遊びに来てくれると嬉しいよ。若い子との会話は刺激的で良いからね」
それを聞いて何故か苦笑いする四人と夏耶。
そして母さんは俺と父さんに聞こえない様に五人を集めて小さく何か皆に言っていた。
「昨日はみんなして聞いてたんでしょう? もう、悪い子ですね~。でも、年頃だし仕方ないと思いますから。別に怒ってるんじゃないですよ。寧ろもっと興奮しちゃって盛り上がったからお礼が言いたいくらいで。じゃなくて……多分将来かずくんも旦那様みたいになると思うの。だから今のウチに覚悟して置いた方がいいからね。でないと………本当に『壊されちゃう』から」
話し終えた母さんは父さんの腕に抱きつき幸せそうに微笑む。
話された五人は病気かと疑うくらいに真っ赤になっていた。
そして四人は真っ赤な顔のまま父さん達にお礼を言い、そして駅に向かって歩いて行った。
楽しんでくれたならいいが、何か失礼があったんじゃないかって思って仕方ない。
取りあえず俺は再び鍛錬すべく、庭へと歩き出した。
皆に今度会う時はもっと強くなった姿で会うために。
尚、この後父さん達と夏耶は室内に入り、各自の部屋へと移動したようだ。
そこで何やら家の中が騒がしかったようだけど、何かしていたのだろうか?
洗濯機に汗を吸ったシャツを入れようと向かったところ、凄く顔を真っ赤にした夏耶が先に洗濯機を回していたけど、何故か俺に熱い視線を向けてきた。
一体なんなんやら。
尚、この日に駅へと向かった四人は同じ事を考えていた。
((((出来ればしばらく行きたくない! でも、とても勉強になりました))))
それがどういう意味なのかは、本人達にしか分からない。
次回は色気ゼロの修行回。
ついに『センセー』の登場です。