貴方が拾いたいのは最強ですか、親友ですか?   作:かりん2022

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はい、私が救いたいのは最強です。

悟が死んだ後、ポケットに入っていたチケットを使い、私と悟はフライトした。

その後の事は覚えていない。

 

気がつけば、私は転生していた。

 

同じ夏油傑という名前で、同じ顔で、魔法使いの世界で、呪霊のない世界に。

そうして、私はピンクのローブを着て不満顔でウミツバメに乗っていた。

 

そして、魔法トコロで出会ったのは明らかに虐待と大きな怪我を負った、親友の名と顔を持つものだった。先生が保健室に連れていくのを追いかける。

治療をされる悟に、何もできない子供みたいにただまとわりついた。

 

「悟!!」

「誰、お前」

 

 警戒心たっぷりに問われ、私は動揺した。

 そうして、声を絞る。

 

「私は、夏油傑。夏油傑だよ」

「夏油……傑?」

「傑って呼んで。その傷、どうしたの? 誰がやった?」

「五条悟の関係者かって知らない大人に」

「待って、もしかしてマグルの世界ってそうなの? 悟いるわけ? 今何年?」

「2007年」

「うわあ……私が離反する年じゃんか。これ、干渉していいのかな」

「離反?」

「なんでもないよ。君と同じ名前で、凄い有名人がいるんだよ。強くてあちこちに狙われてる人。日本にいるのは危険かもしれないね」

「どうしろってんだよ」

「私と一緒に、イギリスに留学しようよ」

「は?」

 

 悟の手を握り、私は訴えた。

 

「君と一緒にイギリスに行きたい。僕、両親を説得するよ」

「そんなお金」

「私のお給料前借りしてでもどうにかするよ」

「傑、俺のこと好きなの」

 

 私は、きょとんとして笑った。

 

「当たり前じゃないか」

 

 君と私は、親友なんだから。

 悟は顔を赤らめる。

 

「そーかよ。じゃあ将来結婚してやんよ」

「悟、男同士は結婚できないんだよ」

「はぁ!? お前、男!? ピンクのワンピースなのに!?」

「私より可愛い顔で背が低くて同じピンクのローブ姿の君に言われたくないなぁ」

「うっ お、お前も可愛い顔してるくせに!」

「それはありがとう? でも悟、私の顔は格好いいっていうんだよ」

「俺もだし!」

「そうだね」

 

 その後、授業が終わると、私は悟と一緒に家に帰り、一生のお願いをしたのだが、しばらく預かるまでが精一杯だった。

 幸い、悟を持て余して虐待までしていた家は悟をあっさりと手放した。だが当然親権はあちらのものだ。油断はできない。

 

 私は、かつて悟がそうしてくれたように、魔法界の常識を教えていった。

 

 どうしよう、子供の頃の悟が可愛くて仕方ない。

 ……過去を変えて仕舞えば、私達も消えてしまうのだろうか。

 ……今更だな。

 

 だって、私は悟の死を許容できない。きっと介入してしまう。

 正直、私の記憶なんて、死んだあとは悟に起きろって言われた時、クリスマスイブに空港で悟に会ったときと宿儺に悟が殺された事しか覚えてないのだけれど……。体が盗まれてしまった事はわかる。

 

 であれば、私の時にも介入していいはずだ。

 それに、うまくいけば悟も救える。

 

 私は、その運命の日。

 一人、仮病で学校を休んで村に行った。

 

「君はついてくるなって言ったろ」

「やだ」

「君がいると目立つんだよ」

「ちゃんと帽子してるし! サングラスもしてるし! だって、傑、死ぬつもりだろ」

「! そんな事はないよ。できるだけ死なないように頑張るつもり」

 

 説得に失敗したら死んじゃうかもしれないけどね。

 

「悟。今から会いにいくのは、過去の私なんだ」

「過去のお前?」

 

 バスに揺られながら、私はバスで話す。

 

「そう。闇の魔法使いになる直前の私。私はね。理子ちゃんって子を目の前で死なせてしまって。灰原って子を守れなくて、精神面でボロボロになってしまってね。この先の村で虐待されてる魔法使いの子供を見て、全ての非魔法使いが憎くなってしまうんだ。今日はターニングポイントなんだよ」

「傑の友達、死んじゃったの?」

「そう」

「じゃあ、傑を助けに行くの?」

「ううん。君を、五条悟を助けに行くんだよ」

 

 そう話していると、私達の上に影が差した。私が上から覗き込んでいた。

 昔の私、大きいな。こわっ

 

「詳しい話を聞きたい」

「……傑のお父さん?」

 

 悟が首を傾げる。

 

「違うよ。前世の私。初めまして。これ以上聞きたければ、縛りを結んで欲しいな」

「初めまして、来世の私。とりあえず、言ってご覧」

「悟のお父さんになってよ。あとイギリスまでの旅費と学費ちょうだい 」

「おと……」

「悟の今世でのお父さん、惚れ薬使うクズでさあ。悟のお母さんに惚れ薬使って無理やり子供作ったの。お母さんは非魔法使いだし。魔法使いにも秘密規定があるけど、家族なら問題ないでしょ? 悟のお母さんナンパして結婚するか、攫うかしてよ。でないと悟が寮に入る11歳までに殺されちゃう」

「はぁ、君らが魔法使いだっていう証拠は?」

「僕らは呪霊が見えないんだよね。家族になった後なら魔法を見せてあげるよ」

「はああ。わかったよ。縛る。悟と同じ顔の子を放って置けない」

 

 その後、美々子と菜々子を保護し、夏油は悟のお母さんを真摯に説得した。

 さすが私。悟に弟ができる日は近いと思ったけど、子供達の親権を取得次第別れるらしい。もちろん、援助の約束はするそうだ。

 

 ささっと婚姻手続きと養子縁組手続きをこなし、それが終わったら離婚して揃ってイギリスへと移動した。

 学校? 自主退学です。

 

 後、魔法界だと呪霊がすごく出しにくいらしい。

 呪霊のいない楽園て割と近くにあったんだね。

 

 子供達を守るため、呪霊や闘いから離れて、過去の私の精神状態は落ち着いた。

 一人だけ楽をしている罪悪感はあるけれど……。負担で言えば、離反された時よりはるかにマシだろう。美々子、菜々子、利久さえ保護して仕舞えば、憂いもなかった。

 

 私は、悟と思う存分青春を楽しんだ。心の底から、笑えたんだ。

 たまに、灰原や理子ちゃんを思って沈む日もあったけど、そんな時は悟が一緒にいてくれた。

 

 そして、過去の私は悟が11歳になり次第、夏休み以外は呪専で働くようになった。

 

 悟の命日の2年前、美々子と菜々子と利久は呪専に通う事になった。

 呪術師としてやっていけるか、すごく不安だ。

 灰原の死がフラッシュバックする。

 

 呪霊の護衛は欠かさずつけることとしよう。

 

 それと、私が死んだらすぐに私にわかるように細工をしておいた。

 死体の悪用はさせない。

 

 念の為、悟も含めた子供達にはそういう術師もいる事を知らせておく。

 

 

 

 

 

 私が死んだので、姿現しで私の所へ向かった。

 この時の為に、悟に手紙は用意してある。

 悟は頑張ったからね。悟には幸せになる権利がある。

 私は……過去の罪の精算に行くよ。きっと、私だけが記憶を持って転生したのは、その為だから。

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