貴方が拾いたいのは最強ですか、親友ですか?   作:かりん2022

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選ばれなかった悟

パパは悪者で。

ママは、俺のことが嫌いなんだって。

それでも、ママは俺が隅っこにいる事を許してくれた。

あの梟が来るまでは。

パパと同じ魔法使いの俺は嫌いだって。

入学の日、ずっと早い時間に外に出されて、途方に暮れて歩いていたら、怖い人に襲われた。

五条悟。俺の名前を憎々しくいう。俺は何もしてないのに。

ウミツバメが来てくれて、俺は魔法使いに保護された。

 

保健室って場所に行く時、声をかけられた。

 

「悟!」

 

それは俺の運命だった。夏油傑。

ピンクのローブを着た、可愛い女の子だった。本当は男だったんだけど。

それからは、大冒険だった。

傑のパパとママは俺がいることを許してくれた。

傑は俺を望んでくれた。

傑と2人でマホウトコロのあちこちを歩き回った。

遠い村に子供だけで行って、傑が傑になる前の傑を助けに行った。

その人は僕のパパになった。

その人も、俺がいることを望んでくれた。

家族ができた。美々子と菜々子。利久。可愛い妹達と弟。

 

傑は呪術師って言って、マグルの世界にいる見えないお化けを操る人らしい。

お化けは俺と未来の傑のことが大嫌い。

魔法使いの気配を嫌うらしい。

妹と弟の術式も、俺達には効きずらい。

 

傑パパと傑は、俺に幸せを望んでいる。

いい成績を取ると、さすがだね、当然だねってニコニコする。

悪戯をすると、さすがだね、当然だねってニコニコする。

人助けをすると、それはもう喜んで、誇らしそうにしてくれる。

でも。

 

呪霊に対しての対処法は叩き込むくせに、呪術について関わろうとしたり、俺の過去について聞くと悲しそうな顔をする。

不安を感じなかったわけじゃない。

不安を感じないはずがない。

体を乗っ取る術師がいるから、自分の偽物には気をつけてなんて言われてさ。

 

でも、俺は嫌われたくなかった。嫌われるのが本当に怖かった。

だから、傑2人の目の前では、魔法使いの俺で居続けて、触れなかった。

同じ世界で生きる妹達と弟には、傑のことをいっぱい頼んだ。

任せてって言ってくれた。

それで、不安に蓋をした。大丈夫だって誤魔化した。

 

馬鹿だった。

 

魔法の安否時計が、家族達の死を教えてくれた。

ある日突然消えた傑の安否時計の針もまた、就寝中を指して動かなくなった。

術師の家族は殺されて、傑はきっと捕まってる。

俺は最後まで嫌われずに済んだ。

そうして、全てを失った。

もう、嫌われる心配はないから。

俺は、呪術の学校を目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が少し歳を取ったらこうなるんだろうな、というような顔立ちの男が、ため息をついた。

 

「夏油 悟、ねぇ。まじで僕の若い頃にそっくりじゃん。で、呪力は欠片もなし! あいつ、本当に意味わかんねーな。一言くらい言っとけよ」

「家族が皆、死んじゃって。体を乗っ取るタイプの術師と敵対してるとしか聞いてなくて。お願いします。父と敵対してたって術師の事を教えてください!」

「は? 初耳だけど? そもそも傑は任務中で、死んだとは聞いてないし」

「残念ですけど、死んだら呪具が壊れてわかるようにしてくれてて……一緒に行方不明になった友達だけでも助けたいんです」

「……その友達って?」

「父と同姓同名で、夏油傑って言います。自分達の若い頃を思い出すからって、小さい頃から助けてくれて、俺を引き取ってくれたりもして」

「はああああ!? 意味わかんないんだけど!?」

 

 俺は、写真を出す。菜々子が撮ってくれた、マグル式の写真だ。

 家族揃っての写真。美々子と菜々子と利久、傑パパと俺と傑。

 

「何これ。はあ? はぁー!? こんな面白いこと話しとけよ、傑ぅ!!」

 

 ひとしきり傑パパに文句を言った後に、五条悟は俺を見据えた。

 

「で、見えんの?」

「見えませんが、呪具の眼鏡はあります。父から攻撃系の呪具も預かってます」

「天与呪縛でもない。呪力での強化も出来ない。鍛え方も全然足りない。このままだと、無駄死にだけど? 傑はさ、そういうの望んでないと思うよ」

 

 俺は拳を握りしめた。

 

「呪術に触れようとすると、傑も傑パパも怒るんです」

「じゃあ」

「でも、もうどれだけ無茶しても、怒られないから」

「……僕に調査をお願いするって手もあるんだけど?」

「何かせずにはいられないんです。お願いします!」

「はぁ。じゃあ、一つ約束して」

「約束、ですか?」

「君の友達の方の傑くんが保護できたら、呪術界から足を洗うこと」

「はい!!!」

 

 そうして、俺は呪術師になった。 

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