The villain just spreads malice.
So, what about the guinea pig?
時は遡り、ワープゲート発生後、すぐのこと───。
「みんなは無事か!?確認できるか!?」
「散り散りになってはいるが全員ドームの中にいる。…二人、近くにいるな」
「近く!?」
「私たちのことかな、タコくん!」
「みんな!」
障子目蔵がクラスメートの無事を確認したと同時に、その二人は姿を現した。
折本かおりと戸塚彩加である。
黒霧が二人をワープゲートで覆おうとする直前に、既に二人は抜け出していたのだ。
「折本君の個性は…そうか、瞬間移動か!」
『折本かおり!個性、“瞬間移動”!彼女はその名の通り、彼女自身を瞬間移動させることができる!また、彼女の半径2m以内にある彼女と物理的に繋がっている物・人ならば共に瞬間移動ができる!その数に制約はない!ただし、1日に自分の身体以外の質量を瞬間移動させるには限度がある!また、一度に瞬間移動できる最大距離も決まっている!』
「ありがとう折本さん、助かったよ」
「ううん、OK!でも、沙希ちゃんにまで手が届かなくて…!タコくん、みんな無事なんだよね!?」
「それぞれの災害ゾーンに飛ばされたようだ。すぐにやられたわけでもない」
「なら、まだ何とかなってるね…」
歯噛みしながらも、敵である黒霧を睨みつける折本。
彼女の個性ならすぐ隣にいた川崎沙希も助けられた筈なのだ。
既に比企谷八幡の件で募っている黒霧への憎しみが、更に増していく。
「なるほど、瞬間移動ですか。しかもゲートを潜る等ではなく、瞬時に発動するタイプ。ご同類とは珍しい」
「あんたと一緒にしないでくんない?ムカつくから。素直に」
「ふふ…流石雄英、特別な個性が集まっていますね…」
「無視すんな会話しろこのハゲ!」
「ハゲかどうかはわからないでしょう?この頭」
「ウザっ!……比企谷は、どこ?」
比企谷。
その単語を出すと、生徒たちは目を見開き、黒霧の笑いが止まった。
まさかここで先ほどバスの中で聞いた名前が出るとは思わなかったのだ。
また、黒霧は黒霧で実際、比企谷八幡の居場所を知っている。
何せ今、共に雄英に侵入して来ている。思うところはあるだろう。
それでも、黒霧は比企谷──コネクタのことを言うつもりは一切なかった。
“先生”の言いつけでもあったし、個性の有用性のこともある。だが、何より黒霧はコネクタという人物像が好きだった。
かつてヒーローを目指し、最後には実際に成ってみせた。
そんな人物が
恐怖に押しつぶされそうになっても、様々な脅迫を受けても、忍耐と交渉、何よりその理性を持って、最後の一線を譲らず、崩れない。
何と強い人間であろうか。
もしそんな人物が先生への忠誠を以て味方になってくれればこれ以上に心強い者はいないだろう。
…現実、それほどまでに強い人物だからこそ、心の底から黒霧たちの所業に手を貸すなんてことをしないのであるが。
「先ほどの黒髪の少女もそうでしたが、比企谷、ですか…。そんなに大事ですか?2年も前にいなくなった人物のことが」
「当たり前でしょ!ふざけてんのあんた!!人一人私たちから拐っておいて、大事かって!?大事だから、今あんたにこうして問い詰めてんでしょ!!」
がしがしと、頭を掻く折本。その様子からは、憎しみのみならず苛立ちが見えた。
どうやら彼女と黒霧は相性が本当に悪いらしい。
だが、怒れる者…天使がもう一人。
「折本さん、下がって」
「戸塚くん?!」
「折本さんは戦い向きの個性じゃないよ、早く」
「ちょ、もしかしてガチギレ…?」
「折本さんと一緒でね…」
「二人とも、あかんて!」
「そうです、麗日さんの言う通りです!折本さんは委員長と一緒に学校へ向かってください!助けを呼びにいくんです!」
「あー無理無理。メガネくんは納得するかもしれないけど、私は無理。メガネくんがここから逃げられるようサポートはするけど、私がここから離れるなんてマジでウケない」
「な…!」
教師であり、プロヒーローでもある自分の言葉に逆らうとは思っていなかったのか、愕然とする13号。
他の生徒たちも同様だった。
特に、麗日お茶子と飯田天哉が驚きを隠せなかった。
雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣、折本かおりの3人から話を聞いてはいたものの、ここまで根深いものだったなんて。
事情を少し知っていたからこそ、その重みを受け損ねていた。
13号は内心、溜め息をつく。仕方がない。
世間は知らないが、プロヒーローたちは誰もが知っている。
2年前、国立雄英付属である総武中学から、一人の少年が連れ去られてしまったのを。
そして、その少年を絶対に助けるのだと、朝早くから夜遅くまで、ヒーローへの道を走り続けていた少年少女たちを…!
「…わかりました。委員長!」
「はい!」
だが、助けを呼びに行かないという選択肢はない。
「君に託します。学校まで駆けて、この事を伝えてください」
「!」
「警報は鳴らず、そして電話も圏外になっていました。警報器は赤外線式…。先輩…イレイザーヘッドが下で『個性』を消し回っているにも拘らず無作動なのは…恐らく、それらを妨害可能な
「な…!しかし、クラスを置いておくなど委員長の風上にも…!」
「いいから行けって非常口!」
13号の言葉に、憤慨する飯田。
本人とてわかってはいる。
外部と連絡が取れない今、こんな所でグズグズしていては事態がどんどん悪化することくらいは。
イレイザーヘッドは一人で数十人の
まだ何も起きてないものの、そのうちほぼ確実に重傷者、場合によっては死者が出る。
それでも、だからこそ、砂藤力道は声をかける。
行けと。
見捨てるんじゃない、助けるんだと───。
「外に出れば警報がある!だからコイツらこん中だけで事を起こしてるんだろ!?」
「外に出られりゃ追っちゃこれねえよ!お前の足でモヤを振り切れ!」
「食堂の時みたく、サポートなら私超できるから!するから!!」
「お願いね、委員長!」
「折本、飯田を頼む」
「オッケー」
折本かおりも、飯田の横で構える。
戸塚彩加は13号の隣に立った。
これは総武組に限られたことではあるが、戦闘訓練は既に中学の頃から始まっている。
中学生ゆえにそこまで過激なものではなかったが、彼、戸塚彩加は全てを見て来た。
親友のヒーローへの姿勢と、その立ち向かっていた壁を。
「こんなの、屁でもないよ!」
「メガネくん、私に掴まって!3秒で抜けるよ!」
「手段がないとはいえ、敵前で策を語る阿呆がいますか!」
「バレても問題ないから語ったんでしょうが!」
今の世の常の構図が、その場に完成していた。
そこに不純物が混ざるまで、あと少し───。
────────────
【山岳ゾーン】
「動くなよ、二人とも。コイツの命が惜しかったらな」
「うぇい…」
「上鳴さん!」
「クソ、完全に油断した!一度全滅してからの奇襲も予想できないなんて…!」
13号vs黒霧が始まり、緑谷たち三人、爆豪らや雪ノ下ら、轟が敵を倒し終わり、中央広場に向かおうとしていた頃、八百万、耳郎、上鳴の三人は窮地に陥っていた。
三人で山岳ゾーンに飛ばされ、八百万の機転と上鳴の大放電で敵を全滅させたものの、上鳴は個性によるキャパオーバーで思考回路がショート。一時的にアホになってしまう。
仕方なく八百万と耳郎で現状確認をし、行こうと上鳴に声をかけるために振り向くと、既に上鳴は捕まっていたのだ。
捕まえたのはドクロの仮面を被った
ジャックと呼ばれた男だ。
地中でコネクタとともに潜み、地上の様子を窺い、チャンスを待っていたのだ。
「電気系の個性…!貴方が電波障害を起こしていた
「なんだ、そこまでわかってたのか。いや、当然だよな。流石はヒーローの卵」
「上鳴…!自力じゃあ逃げられないか!」
耳郎は、頭脳を回転させる。
今自分は八百万とともに両手を上げさせられ、手を使って何かすることはできない。
八百万の個性は創造。
物を生み出すことはできるものの、使えなければ意味がない。
なら、自分がどうにかするしかないじゃないか。
「電気系の個性って、良いよね」
「耳郎さん?」
「上鳴もそうだけどさ、電気系の個性なんて生まれた瞬間から勝ち組じゃん?いや、純粋な疑問ね?なんで
耳たぶのイヤホンジャックを自らの足へと伸ばす。
コスチュームの指向性の補助により、足の脛部分には音響増幅装置がついている。
自分の心音を個性により多大に増幅し、更にコスチュームにより音波に向きを持たせて、尚且つ増幅させて敵にぶつけることができるのだ。
更に、手や足を動かさずイヤホンジャックの部分だけを動かして発動することができる。
この状況では一番の手段であると言えるだろう。
ただ───。
「気づかないとでも思ってるのか!?」
「くっ!」
電気が発生した指を、上鳴へと近づける
ただ、甘かった。
先ほどの戦闘の一部始終をジャックは見ていたのだ。
当然、耳郎響香が耳たぶのイヤホンジャックを攻撃方法に用いていたのも見られていた。
「ヒーローが他人の命を軽んじるなよ。自分の命か他人の命か…さあ選べ!」
殊更警戒心が強く、用意周到な彼に人質を取られては、既に三人に勝ち目はなかった。
この状況をどうにかできるのは、彼の範囲外の要因。
第三者の介入だ。
──────────
13号と黒霧の攻防は続いていた。
黒霧が靄を飛ばしてそれを13号がブラックホールで吸う。
生徒達も13号に加勢したかったが、中々それが出来ないでいた。
まず13号より前へ出ることが出来ない。13号の前へ出たら13号はブラックホールを止めるしかなくなる。
そうすれば途端に辺りは黒い靄で一面覆われるだろう。
そうなったら助けを呼びに行くなんて到底できなくなる。
では、遠距離は?
「くらえ!」
瀬呂範太がテープを射出する。
だが、それは13号から逸れた横からである。
ブラックホールの前へ出れば塵と化してしまうのはテープも変わりないのだ。
だが、黒霧は腕を燻らせるだけでそれを躱す。
所詮生徒。殺すような攻撃はできないし、前へ出てこないような放出系個性など怖くもない。
「くそっ!マジで物理無効なのか!?」
「おい瀬呂!あんまり離れすぎんな!」
このままでは埒があかない!
13号は意を決して前へ出る。
ブラックホールも距離で吸引力が変わる。
より近い方が相手を吸い込める。
殺すわけではないが、相手を寄せ続けてその間に委員長にこの場を抜けてもらうしかない!
「13号…。やはり災害救助専門のヒーロー。他のヒーローと比べ、戦闘では半歩劣る」
「何を言って…!?」
「13号先生、ダメ!個性を止めて…!」
折本の制止も一歩、いや一瞬遅かった。
先程まで吸い込めていた黒い靄がワープゲートを成し、ブラックホールの吸引力がどこかへワープさせられていることに気づいたことと、自分の背中のスペーススーツと皮膚が剥ぎ取られているような感覚がしたのは同時だった。
やられた…!
13号が、倒れる。
「13号先生!!」
「行けって飯田ぁ!!」
目を背けながら、走り出す飯田。
彼は50メートルを3秒で走る。
三速だけではなく、四速やそれ以上にギアが入ればもっと速くなれるのだ。
だが、相手は速さとは悪い意味で無縁の敵である。
「行かせませんよ!」
辺り一面に黒い靄が広がり、飯田の行く手を阻む。
急ブレーキをかけ、止まりかけてしまう飯田。
託されたんだ!
僕が、俺が…!
瞬間、13号の介抱の為に残った芦戸と砂藤を残して飯田と黒霧に向かって走る生徒たち。
「今ここで!!個性を使えなくて何がヒーローだ!!」
普段は物静かな戸塚が、叫ぶ。
その声に呼応するかのように飯田の横に瞬間移動してくる折本。
「行くよメガネくん!」
「お、おお!?」
瞬きの間に、黒霧の裏に移動する二人。
目の前で二人を止めようとしていた黒霧は仰天する。
「バカな!速過ぎる!!」
そういう個性だからね!
内心、黒霧を嘲笑いながら飯田の背中を押す折本。
「行って!」
「助かった!」
「おのれ!」
折本と飯田に同時に向かう黒い靄。
ついでに飯田の方は進行方向に靄を発生させる。
その時、黒霧たちに追いついていたのは二人。
空を飛べる二人だった。
「させない!!」
まずは戸塚がその背に白い羽の翼を広げながら黒霧に降りかかる。
そのまま翼を黒霧の本体へと叩きつけた。
「ぐっ!」
「効いた!?」
物理無効だと思っていた生徒たちに衝撃が走る。
それを見ながら、もう一人の飛行能力を持つ生徒、障子目蔵は飯田の前を立ち塞がった靄へと覆いかぶさる。
「行け」
「!!」
「早く」
障子の複製腕が飯田を促す。
アイコンタクトで頷きを返しながら、飯田はドリフトで迂回しながらゲートへと走る。
「生意気だぞ、メガネ…!そしてお前もだ!!」
目の前の戸塚をそのまま靄で覆い尽くしてしまおうとする黒霧。
咄嗟に戸塚は翼を振りかざし、黒霧へと投げつけた。
予想以上に大きな…具体的にはワープゲートよりも大きな翼は、黒霧をさらに怯ませる。
「今だ!」
「普通に触れる部分があるなら!」
麗日が両手を伸ばして黒霧のベルトと身体に個性を発動させる。
ゼロ・グラビティの影響で浮いていく黒霧の身体を、更に瀬呂がテープで繫ぎ止める。
「いっけぇ、飯田くん!!」
「行けぇ!!」
咄嗟にテープを弾き、飯田へと飛びだそうとするも、目の前を今度は鉄剣の翼を生やした戸塚に阻まれる黒霧。
センサーが動かない扉を、力ずくで開けてドームから走り出していく飯田を見て、黒霧は脱力する。
ゲームオーバーだ───。
──────────
【山岳ゾーン】
「トドメを刺してやる。今そっちに行くから、動くなよ…」
初めに気づいたのは八百万百だった。
どうやら、何かを拾っているらしい。
青みがかった黒髪のポニーテールの…少女、だろうか。その少女が、面をあげて身体を起こした。
瞬間、気づく八百万。
隣の耳郎も気づいたようだ。
だが、気づいた素振りを見せてはいけない。
目の前の
今、彼が挟み撃ちにあいかけているという状況に、気づかせるわけにはいかない。
少女は、振りかぶる。振りかぶって、拾ったもの──拳大の石を、なんとそのまま投げた。
しかし石は、鋭く水平に近い放物線を描き、
石は、100メートルの距離を瞬く間に飛び、そのままジャックの左肩へとぶつかり、なんと上鳴ごと左腕を弾き飛ばす。
「がっ…!!?」
「うえ…!」
「耳郎さん!」
「わかってる!!」
飛ばされた上鳴はそのまま耳郎の斜め右前方へとスライディングさせられていく。
上鳴を拾いにいく耳郎と、瞬時に剣を創造してフォローにいく八百万。
また、ジャックは自分が後ろから敵襲にあったことを把握していた。
目の前の三人は恐らく放っておいていい。
個性を発動しながら牽制しておけば近づきはしない。
問題は、後ろ…!
傷ついた左腕を三人へ電気をまとって向けながら、即座に後方へ振り向いたジャックの目に入ったのは、こちらへと疾走する少女だった。
その距離、なんと30メートル。
(疾い!/速い!)
ジャックと、ジャックの方を確認していた八百万の感想である。
ジャックは単純にそのスピードに、八百万は、少女が石を投げ終わった瞬間に走り始め、今に至る速度に驚いていた。
「クソがぁ!!」
牽制なんてしている場合じゃない!
両手を前へと向け、少女に電撃を放つ。
電波を飛ばすだけならいくらでも飛ばせたが、高電圧の電撃は別だ。
空気中の導電性なんてたかが知れている。
だが、十数メートルは当てる自信があった。
しかし少女──川崎沙希は、その反射神経と、並ならぬ脚力で即座に飛びのく。
慣性の法則で持っていかれそうになる上半身を確かな膂力で保ちながら、
「避けただと!?」
「甘いね」
後ろに飛び退いた川崎は、更に反復して前へ出る。
右腕を引き、左腕を前へ出し、二歩でジャックの懐へ入り、一歩で踏み込む。
咄嗟にガードされたジャックの両腕を右の拳で殴り飛ばし、そのままの勢いで斜め回転を行い、後ろ回し蹴りを叩き込む。
「この、調子に…!」
「あんたは強いね。ちょっとくらいなら個性使っても良さそうだ」
「は!?」
目を閉じ、息を静かに、吐く───。
いわゆる空手の息吹である。
開かれた両眼に、ジャックは久しく忘れていた危機感を覚えた。
コイツはヤバい!
コネクタと協力しなければ!
いや、そもそも逃げなければ…!
様々な勝ち残る術を考えるが、遅かった。
川崎が、左脚を前へと出し、個性を使いながら地面を踏み抜く。
「震脚」
途端、揺れる大地。
山岳ゾーン全体を揺らすその一踏みで、川崎沙希以外の四人は足元がぐらつき、膝をつく。
ジャックが手を地面につき、まずいと思った時には、二人の戦いに決着がつこうとしていた。
「悪いけど、
ジャックの頭に川崎の踵が沈む。
ゴッという鈍い音とともに、ジャックの意識は闇へと落ちた。
「川崎さん!」
「あんたたちは…ごめん、名前まだわかんない」
「八百万百ですわ。助かりましたわ、川崎さん」
「耳郎響香。こっちのアホ顔晒してんのは上鳴」
「うぇーい」
「バカ?いや、アホか」
「個性の副作用でこうなってんだよ。ちょっとどころかかなりツボ」
ふーん。
興味のなさそうな声で終わる川崎。
周囲を見渡し、他に敵がいないことを確認する。
「後のやつらは倒したんだ。やるじゃん、あんたたち」
「それを言うなら川崎さんですわ。川崎さんの個性は確か…」
「それよりも、とりあえずこいつをふん縛って…!?」
「サキちゃん、危ない!」
川崎が下を向くと、ジャックの周りに黒い靄が渦巻いて、そのままジャックを飲み込んでいくところだった。
咄嗟に跳び、八百万の横へ着地する。その姿勢はまた戦闘状態へと移行していた。
「これはさっきの…!回収する気かい?」
「ダメですわ川崎さん!もう、遅いですわ…」
「ああ、流石に飛び込んだりはしないよ。ただ、厄介なやつを逃しちまったみたいだね」
「また似たようことされる時アイツはヤバい…よね?」
耳郎の不安そうな声に、若干の苛立ちが見え隠れしながら頷く川崎。
せっかくの大捕物を逃してしまった。
しかも、恐らく今回の敵側の主犯格だろう。
「とりあえず、ほかの連中を回収する気は無いみたいだね」
「これから…どうしようか?」
「電波障害を引き起こしていた奴は消えた。恐らく決着がそろそろつくはず…。…いや、既についたか」
「え!?」
中央広場へ見やると、時折粉塵や爆発が起きるのが見えた。
噴水がやっと見えるくらいなのに対して、あれほどまでに大きい。
あれだけの規模の爆発を起こせるのは一人しかいない。
「オールマイトが来てる」
「ほ、本当だ!誰か助けに呼んだのかな!?」
「
「オールマイト以外にも何人かいるけど遠くて見えないね。そのアホを連れて、行くよ。加勢できるかはわからないけど、とりあえず皆と合流した方が良い」
「うん、サキちゃん」
「ほら、上鳴さん立って!」
「うぇ〜い」
いざ行こうと二人が川崎の顔を見やると、なぜか顔を赤くしている。
クエスチョンマークが二人の頭に浮かび、顔を見合わせる。
「ど、どうしたの?」
「いや、その…」
「ど、どこか具合でも悪いんですの?」
「別に、そういうわけじゃ…。そ、そのさ…」
ゴクリと、二人は息を飲む。
「あの…“サキちゃん”っていうのは…ちょっと…」
………。
三人の間を沈黙が支配する。
「かわいい」
「かわいいですわ」
「グッ!?」
女子二人がかわいいと連呼し、残る女子一人が赤面してうずくまる横で、上鳴電気はアホ面が治らず、うぇい?と声を挙げていた。
[newpage]
山岳ゾーンでの決着がつく数分前。
緑谷出久は、峰田実、蛙吹梅雨とともに
そこで目にしたのは、現実。
プロであるはずのイレイザーヘッドが、黒い皮膚で覆われた不気味な男に捕まっている。
しかも、一方的にだ。
イレイザーヘッドが個性を発動させているにも関わらず、その大男は気にした様子もない。
改人脳無。
死柄木弔が蛙吹梅雨を崩そうとし、イレイザーヘッドがそれを阻止。
イレイザーヘッドは脳無に気絶させられる。
ここまでが緑谷出久の状況分析だった。
やばいやばいやばいやばい!!
蛙吹さんが殺されちゃう!!
相手の個性は分からないけど相澤先生はもう止めてくれない!!
離れろ!!
このとき、蛙吹梅雨を助けなければという思いと、殴る相手は人間であるという考えが、自然とワン・フォー・オールを抑制していた。
殺させないし殺さない。
そして、こちらも壊れる訳にはいかない。
人を救うべきヒーローとしての一撃を、緑谷は繰り出すことに成功していた。
…ただし、それが相手に通用するかはまた別の話である。
「え…」
自身がワン・フォー・オールの制御に成功したことに気づいたと同時に、目の前に居るのが手だらけの男ではなく、黒い皮膚の大男であることに気づいた緑谷。
(当たった…よな!?オールマイトの個性だぞ!?それよりもいつの間に)
ていうか、まずい…!
大男の手が自分の方へと伸びる。
蛙吹も舌を伸ばして緑谷を救わんとする。
死柄木は目の前の二人を崩そうと両手を伸ばし、峰田は泣きながらそれに対抗しようと頭へ手をやる。
もう、ダメだ。
絶体絶命のその時に、彼は来た。
扉など邪魔だと言わんばかりに殴り飛ばし、そのまま突入する。
またもう一人、一瞬遅れて飛び出す。彼らは、こう言う。
「もう大丈夫!何故って!?」
「どこのどいつだ…」
二人は確かな怒りを以て、叫んだ。
「私が来た!!!」
平和の象徴、No.1プロヒーロー、オールマイト。
「私の教え子に手を出さんとするバカ者は!!!」
そして、白衣をその身にまとい、くわえ煙草をしながら腕をまくった女教師。
平塚静である。
「オールマイトォォォォォ!!!!」
生徒たちの声がこだまする中、二人は素早く状況確認を終える。
ゲート近くに倒れ伏す13号と、その周囲で安堵した表情でこちらを見る生徒たち。
中央広場ではイレイザーヘッドが倒れ、見知らぬ男二人が緑谷たち三人に迫っていた。
また、中央広場に残る
また、別のところに威圧感のある黒い霧に覆われた男が待機している。
二人は目を合わせ、お互いの行動を確認する。
まずは、生徒とイレイザーの確保。およびザコの掃討だ。
刹那、二人の姿が消える。
オールマイトは緑谷三人を回収、ついでに手癖の悪そうな手だらけ男に一撃入れる。
また、平塚は広場に着地するとともにそのまま踏み砕く。川崎沙希の技と同じ技である。
「お…!」
「相澤!しっかりするんだ!!」
呼びかけても反応がないイレイザーヘッドの状態を確認した平塚は、顔をしかめながらオールマイトの元へひとっ飛びで戻る。イレイザーヘッドの状況がすこぶる悪い。
せめてこの場から離さなければ。
ここは間もなく、壮絶な戦場になるだろうから。
一方、黒霧はとても厄介な事態になったと舌打ちする。
生徒を一人逃してしまった。しかも、足が速そうな個性だ。たしかに他の生徒たちよりは早く教師陣の元へいけるかもしれないが、それでも早すぎる。
それも、標的のオールマイトだけではなく、もう一人連れて来てしまっている。しかも恐らく身体強化型の個性だ。明らかに常人のスピード、パワーを超えている。
一歩でゲートから広場へと跳び、着地で地面を大きく砕いて揺らし、更には超スピードで三十人近い
黒霧に彼女の正体は予想がつかなかったが、その危険性は認識できていた。
彼女は下手すれば、オールマイトクラスであると…!
「平塚先生!相澤くんは…!」
「命に別状はなさそうですが、外傷が酷い!生徒たちに託してここから離れさせましょう!」
「あ、あれ!?はえぇ!」
「お、オールマイト!と、だれ??ですか?」
「相澤先生、ひどい怪我を…!」
「そこの三人!相澤を頼む!ゲートの方に生徒が固まっている、そっちへ行け!」
「わかりました」
「なんだこの綺麗なお姉様!!あーでもどっちかっつうとおばさ」
「ふざけてる場合か?」
「すんません!」
額に浮かんだ青筋を見てすぐに訂正する峰田。
平塚は嘆息しながら目線を緑谷へとやった。
オールマイトが贔屓する生徒だと彼女は知っている。
不謹慎だが、このような状況に陥ったとき、緑谷がどう行動するかを見たかったのだ。
「オールマイト、あの黒い皮膚の
なるほど、そう動くのか。
満足そうに頷く平塚静。
彼女は、緑谷の優先順位を知った。安堵よりも、戦略。そして、憧れのオールマイトへの心配。
「良いヒーローになれるかもな…」
「え?」
横でボソリとした呟きを聞いた蛙吹は、平塚の方を見る。なんでもないと、平塚は蛙吹と峰田を急がせた。
──────────
「どう見る?黒霧」
「あの女教師ですね?」
オールマイトと脳無の戦いが始まり、いつもの癖で脳無の解説を済ませた死柄木は、黒霧へと尋ねた。
「当たり前だろ、アレが今一番の不安要素だ」
「本格的な前衛ですね、プロヒーローなのでしょうが…コスチュームではないからちょっとわからないですね」
「あーもう面倒臭いな…脳無!!」
脳無を急かす死柄木。
見れば、オールマイトが脳無にバックドロップを決めるところだった。
オールマイトのバックドロップ爆発で轟音が鳴り響く中、黒霧は個性を発動させる。
まずは脳無を通過させ、上半身のみを地面からオールマイトの背後に出現させる。
そして、援軍要請。
今回、予定よりも多くの兵隊が集まっていた。元々の三倍以上がいたのだ。
その理由はただ一つ。
その為の戦闘訓練と称し、どのような個性の使い方をするかを観察していたのである。
その相手が闇の住人たちだった。
そして時々確認の為かついてきていたリーダー、死柄木弔。
ここ二年で
そして、今回USJに来た
「申し訳ありませんが、貴方達にも出て来てもらいます」
黒霧が一際大きなワープゲートを発生させる。
一対一の戦いには手を出すまいと静観していた平塚は、警戒の目を向けた。
「ここが雄英かぁ!!」
「ギャハハハ、ぶち壊してやるぜェ!!」
「ここに来て…敵追加かよ!」
「見て、オールマイトが!」
「!!!」
緑谷出久はそれどころではなかった。
たしかに百人の
オールマイトが、ワープゲートと脳無のせいで動けなくなっていた。
「させん!!」
平塚は駆け出す。
その前を瞬時に埋めてくる死柄木弔。
「ここからは通行止めだ」
「ふざけるな!!」
右拳をグワリと振りかぶり、そのままぶつけようとする平塚。
対し死柄木は、掌を平塚に向けただけ。
何の真似だ?
訝しんだ平塚は、その違和感とともに拳を止める。
まさか止められるとは思っていなかったのか、死柄木は目を見開く。
「ふん!!」
では攻撃は終わりかと言われたらそうではない。
そのまま死柄木の胴体に向けてヤクザキックの要領で蹴り上げる平塚。
追撃をかけようとする平塚に、
舌打ちしながらも構える平塚。
こんな雑魚に、構って要るわけには…!
「オールマイトぉぉぉ!!」
緑谷の声にハッとし、目を向ける。
緑谷出久は走り出していた。一年前のあの日、爆豪を助けんと飛び出してしまったあの時のように。
今度は、憧れの人を助ける為に。
また、平塚は仰天していた。
まさか、君はそこで走り出せるのか。そんなの、本当にアイツみたいじゃないか───。
かつての教え子を思い出し、だからこそ彼の危うさに気づく平塚。
「よせ!!緑谷!!」
緑谷、平塚の前にそれぞれ
また、オールマイトは徐々にワープゲートに引き摺り込まれていた。このままだと、まずい───。
だが、市井はよく噂する。
ヒーローとは、遅れてやってくるからヒーローなのだと。
「どけぇデク!!!」
爆破とともに、緑谷の周囲の
「かっちゃん!?」
緑谷の目の前に降り立った爆豪は、歓喜していた。こんなにも、まだぶちのめせる敵がいると。
「緑谷!!」
「切島くん!」
また、爆豪たちと途中で合流した轟焦凍は、オールマイトの救援に走る。地面を伝って脳無の身体のみを凍らせ、オールマイトに離れさせた。
「平和の象徴は、お前らごときにはやらせねえよ」
「轟少年か!!」
そして、もう二人。
「がぁぁぁぁぁぁ!!」
氷の虎。まさしく、そう、文字通り氷の虎だった。
体長5メートルはあろうか、その氷の虎はどこからか疾走し、
「な、なにこれぇ!?」
「由比ヶ浜!!」
「え、この虎?由比ヶ浜さんなの!?」
「バァカデク上見ろクソデク!!」
爆豪の声に氷の虎の首後ろに注目する。
すると、確かに少女がいた。
「えっと、緑谷?くん!大丈夫!?」
「だだだ、大丈夫!ていうか、何の個性だこれ!?」
「グルル」
「こわっ!!」
「なんだよアレ…!あんなのありかくそっ、ゲホッ」
「死柄木、大丈夫ですか」
「終わりね」
死柄木と黒霧、二人の後ろから声はかかって来た。
即座に後ろを向き警戒する二人に、氷の精のような少女…雪ノ下雪乃は終わりだと告げた。
「まだ、終わってない…!こっちにはまだ脳無がいるんだ!」
「あの大男かしら?オールマイトに勝てるとは思わないけど、あの状態から」
「ならその目で見るんだな!」
言われた通りに見てみると、身体が半分崩れた脳無が、その身体を再生させていた。
「超速再生だ!さらにショック吸収の個性を持つ!また、オールマイト並みのパワーとスピードを持った最高傑作の脳無に、オールマイトが勝てるはずも無い!」
「傑作?…なるほど。けれど、わかってないわね」
「ヒーローとは、正義の心を持って
確信を以って告げる雪ノ下を睨みつける死柄木たちをよそに、オールマイトは自らの役割を思い出していた。
自分は何だ。
相手は強大だ。そんなことはいつでもそうだ。
自分の後ろにはいつでも市民がいる。それも常だ。
今はそれが可愛い生徒であり、特に目を掛けている後継者なだけだ。
では、自分は何だ?
それもいつも通りだ。
平和の象徴。
それは、文字通りのもの。
退かず、倒れず、笑っている。
次の光が、世を満たすまで…!
「私は平和の象徴なのだから!!!」
その覇気に、その場にいた全員が威圧される。
生徒たちは平和の象徴の本気を感じ、平塚は沈黙して感動した。
咄嗟に脳無を手助けしようとした死柄木は跳び退き、黒霧はやはり危機感を覚えていた。
誰も近づけない中、オールマイトと脳無の壮絶なラッシュの撃ち合いが始まる。
「ショック吸収だって…自分で言ったじゃないか」
死柄木の言葉に少しの希望を持って嵐のような拳戟を見ていた黒霧だったが、すぐに無理だと判断する。
このままだと脳無は負ける。
すぐに手を打たねば。
…ヒーローは遅れてやってくるからヒーローである。
それは間違いではない。だが、悪には悪の手段があった。それは、ヒーローなどという華やかな名前はなかった。
だが、子供たちが熱狂して見るアニメには、悪役はいる。正義の味方がヒーローを呼ぶ中、悪役は彼らのヒーローのようなものをこう呼ぶ。
切り札、と。
──────────
ラッシュの最中、オールマイトはすぐに気がついた。
自分と相手の皮膚の大男、脳無との間の地面。とても狭い空間だったが、確かにそこに黒い靄が瞬く間に出来たのを。
そして、そこから飛び出す人の右腕。
地面を叩こうとする右腕に、オールマイトは得体の知れない感覚を覚えた。
いかん!!
より強めた一撃を脳無の顔面に与え、それを最後に離脱したオールマイトは、脳無の範囲外に着地する。
「お、オールマイト!?」
「何だ、何が起きたんだ!?」
「黙ってろクソ髪」
「はぁ!?」
その腕に気がついたのは、五人。
爆豪と轟は、粉塵が舞う中、オールマイトがそれに怯んで引いたのだと気づく。
雪ノ下もそうだった。一旦仕切り直しだと由比ヶ浜と氷の虎の側へ戻る。
また、平塚はオールマイトが退いたということに危機を覚える。
まさか、それほどの奴が来たのか?
そして、死柄木は黒霧を睨みつけた。
勿論、乱入者が誰だか、そしてその乱入者を呼んだのも誰だかわかっているのだ。
「呼ぶのが早すぎるだろ…」
「いえ、呼んで正解でしたでしょう?…あれを」
黒霧が脳無と乱入者を指差す。
死柄木がその方を見やると、その目を見開く。
ぐらりとその巨体を揺らして、脳無が倒れたところだったのだ。
「おいおいおい…何やられてんだ脳無!ショック吸収の個性だろ…!?」
「
ちらりと、乱入者が此方を見やる。
乱入者は息をついた。どうやら、
「黒霧…」
くぐもった声が発せられる。
どうやらマスクをしているようだ。
初対面の雄英側にも乱入者の姿が見えてきた。
灰色のフード付きコートで覆われたその身体。
身長は約170cm。
背が少し曲がった男のようなので、もう少し背は高いかもしれない。
コートは顔や彼の膝まで覆い、腕すらも手首まで隠れ、その手しか見えない。
ズボンも下地が真っ黒なだけだ。
みすぼらしいホームレスにしか見えない。
「脳無、気絶してるぞ」
「やはり、無理でしたか…」
「オールマイト…弱ってたんじゃないのか!?アイツ、俺に嘘ついたのか…!?」
オールマイトはその会話だけで気づいた。
彼らは一枚岩じゃない。
少なくとも、目の前の三人は。
ほかの兵隊たち百名余りも健在だったが、そちらには気に留めるような敵はいない。
問題は、今しがた来た乱入者である。
「予備の兵隊も全員使ったのか?めちゃくちゃな数だな」
「オールマイト、プロヒーローと思われる女教師一人、生徒六人です。オールマイトは消耗してると思われます」
「過剰戦力過ぎるだろ…」
いや、オールマイトがいるとそうは言えないか?
チラリとオールマイトを見ると、その横にいる人物たちに固まる、乱入者。
それは、かつての仲間たちだったから。
雪ノ下雪乃。
由比ヶ浜結衣。
平塚静。
それと同時に、やっぱりいたかと思う。
先の山岳ゾーンでは川崎沙希が近づいていた。
そのことを個性で感じ取っていた彼は、もしかしたら他にもと思っていたのだ。
まさか、彼の周辺人物がストライクにいるとは思わなかったが。
「オールマイトに…スクリームフィストか。めちゃくちゃ武闘派だな」
「スクリームフィスト!?」
「アイツが…あのスクリームフィストか!?」
乱入者の言葉に、
それは、
「え!!?スクリームフィスト!?あの血狂ヒーローの!?ほ、本物ですか!?」
「あ? あぁ。コスチュームじゃないからわからなかったか?」
オタク魂が発揮しそうな緑谷と平塚のやりとりを傍目に、黒霧は指示を出す。
「役目は分かっていますね?生徒に一人逃げられてしまいました。すぐにプロヒーローの応援が来ます。手を貸してください。プロヒーローたちが来る前にオールマイトを仕留めます。
「要するに丸投げだろそれ…」
準備を始めた
オールマイトは身体の力みに更に気を張った。
恐らくもう五分ももたないだろうが、それでも胸を張って前へ出る。
まだ、敵はいるのだから。
平塚はオールマイトの惨状ともいえる状況を確認し、構えた。
恐らくまだ戦う気だろうが、ほぼ限界に近い事は目に見えた。
自分が戦わなければ。
雪ノ下も同様である。
生徒である故にオールマイトの個性のことは知らなかったが、それでも彼女はプロヒーローだ。
ほかの生徒とは一線を画す存在だと自覚しているから、戦うのだ。
また、ほかの生徒四人もプロではないが心持ちは同様だ。
特に、緑谷出久はオールマイトが心配でしょうがない。
頑張らないとと、気を引き締める。
しかし、残った由比ヶ浜結衣は違和感を覚えていた。
コネクタと呼ばれた
どうにもわからない。やる気はあるように見える
。だが、他人の感情を読み取ることに長けていた彼女は、ほかの
それが殺意と呼ばれるものだとわかるには、彼女は世界を知らなさすぎたのだ。
コネクタは、頭を抱えたかった。なんで俺ここにいんの?そう言いたい。
本来なら、オールマイトや雪ノ下の横に立たなければならないのだ。
だが、それでもやらなければならない。なんとか穏便に事を済まさなければ。
だが、その戦いの中心になりそうな少年は、どちらでもなかった。
名もない介入者…否、戦いに放り出された
戦いが、始まる。
ここにはいない、監視カメラと集音マイクを通して様子を見ている悪の王は、密かに笑った。
さあ、君の真価を見せておくれ。
君ならば、平和の象徴など簡単に殺せる事を。
苦悶し、激昂し、此方側へ溺れるがいい。
比企谷、八幡!
USJ編大詰めです。