なにもかも思い通りにならないチェンソーマン   作:ドルデダバ

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プロローグ

 

「えーっと…誰もいない…?」

 

 ある日、俺の家に一通の手紙が届いた。

 

「もしもーし、だれかいますかぁ?」

 

 3流民間デビルハンター俺に、なんと公安対魔特異科のお偉いさんから声がかかったのである。

 こりゃあめでたい、早速親に報告…したかったが手紙には『この手紙に記載されている内容はどの例外もなく口外禁止』と記載されており、きちんと書かれていたとおり届いた手紙をその場で焼き払い、誰にもこのことを伝えることなく約束の日時に約束の場所へと向かった。

 

「…どういうこっちゃ」

 

 しかしいざそこへ到着すれば、そこは無機質なコンテナ置き場であった。

 不思議なことに異常なほどの清潔感を持つそこは常にアルコール消毒液の匂いに包まれており、長くいれば此方まで気分が悪くなりそうだ。

 更にはもう既に約束の時間だというのに、どれだけ周りを見渡しても人っ子一人いない。もしかして悪戯だったのか…?そんな風に思っていると、俺の足元に小さな手紙が落ちていることに気付いた。

 

「…」

 

 拾い上げ中を確認すると数枚の手紙が同封されていた。

 一枚目には『君にはその命を懸け成し遂げてほしい任務がある。報酬は君の望むものを望むだけ用意しよう。』と書かれていた。

 実に魅力的な話である。

 

 二枚目には『支配の悪魔の動きを妨害してほしい。そのためにまずは()()()()()と契約しろ、この世界で自由の悪魔と契約できるのは君しかいない』と書かれていた。

 支配の悪魔か、随分と強そうな悪魔だな。俺だけが何故その自由の悪魔とやらと契約できるのかも、まるで見当がつかない。

 

 そして三枚目には『君に拒否権はない』とだけ書かれてあった。

 最後だけ物騒なもんだ。…ん、いや待てよ、紙の端っこにまだ小さな文字が書いてある。

 

 

『後ろを向け』

 

 

 すごく嫌な予感がしたが、まあなんとなく想像はついていた。

 俺は口をぴったりと閉じたままその場で後ろを振り返った。そこにはふわふわの毛で全身を覆った、真っ白な人型の悪魔が仁王立ちし、こっちを大きな二つの目でぎょろり、と見つめていた。

 

「何故、俺がお前を選んだか…教えてやーろうか?」

「確かに非常に謎だけど、別に態々聞くほどでもない、さっさと仕事を始めようぜ」

「ふーむふむ、悪くない答えだ、実に自由だ、とーっても自由だ、」

 

 身長は大体2,3mはあるだろうか。

 俺は過去にイカの悪魔や骨の悪魔と契約したことはあったが、今まで遭遇したどの悪魔ともちがう、異質な雰囲気を漂わせている。 

 

「…えっと、それでお前はなにができるんだ?」

「人は自由を恐れてない、だからオーレは弱い、精々ちょっとお前の身体を強くさせたりテンションをあげたりできる、くーらい」

 

 へらへらと目で笑いながら話す悪魔。

 ここまでちゃんとコミュニケーションをとれる悪魔というのも珍しいな。なにより悪魔特有の人間に対する敵対心をまるで感じられない。

 

「でも支配の悪魔に対しては絶大な力を持ーつ」

「おお」

「アーイツの考えてることは大体わかるし、アーイツのしたいことは大抵わかる、アーイツの能力からお前を守ることもできる」

 

 やるじゃん、要は支配の悪魔特攻って奴か。

 

「それで代償は?」

「毎朝世界の自由のためーに祈りを捧げろ」

「まいったな、俺朝弱いタイプなんだよね」

 

 俺は貰った手紙をライターで燃やしつつ今後のことについて考えた。

 おそらく命がけの任務になるだろう、というか手紙に釣られてホイホイここまでやってきたわけだが、相手が本当に公安の人間なのかさえ確証がない。もしかしたら俺は誰かに騙されているだけなのかもしれない。仮にこの手紙が本物だったとしても、かなり高い確率で俺は死ぬことになるだろう。

 まあ最初っからしみったれた人生だったんだ、面白いことの一つでもしてから死ぬことにしようじゃないか。

 

「…俺はシラタミだ、よろしくな、悪魔」

「おーう、短い関係にならないことをいのるぜ」

 

 俺は自由の悪魔の前に手を差し出す。

 悪魔が俺の手を取ると、奴の力の一部が俺の体に滑り込んでくるのが分かった。

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