地獄のエリア810(ハチヒトマル)~ 魔法王国の少女と機械帝国の少年兵   作:三流FLASH職人

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※今話は『性的な描写』強めです、ご注意ください。


第27話 いけない拷問タイム

 

 

「……う、うう~ん」

 目が覚める。頬に当たる冷たい石の感触。ここ、は?

 体を起こす。うん、まだステアの男の体ね。まぁ元に戻る理由もないけど。

 

 起き上がって周囲を見回す。一面が石の壁に囲まれた丸い部屋で、出入り口らしきものはどこにもない。ただ、3mくらいの高さの所に出窓が二つ、対角線上に配置されていて、そこから月明かりらしきものが少しだけ漏れている……今は夜、か。

 

 さて、どうしたものか。なんて考えていると、突然キィ、と上から音がする。見上げると出窓が開いていて、そこからホウキに乗った銀髪の魔女が入って来た。

 

「ハァ~イ、お目覚めかしら?」

 あの時の魔女! ナギア皇太子の奥さんで、彼の機体に潜り込んで飛ばしてた、ラドールとかいう女だ。

 

「……なるほど。ここには空を飛ぶ魔女だけが出入りできる、ってワケね」

「ご明察~♪ ここは要塞島の海側の塔の中。この窓以外に出入りする所のない、オイタする人を閉じ込めて、オ・シ・オ・キ、する部屋よぉ」

 

 ぞぞぞぞっ、と身の毛がよだつ思いがする。なるほど、ここはそういう部屋なんだ。

「あなたみたいな魔女が居るから、機械帝国の男の人は魔女を恐れるのよ!」

 ステア君たちから聞いた、帝国で信じられている魔女の恐ろしさ。心臓を引き出して女王様に捧げ、睾丸をむしり取って儀式に使い、その悲鳴すら魔力(ナーナ)に変える。そんな馬鹿馬鹿しいデマも、こんな魔女が居るから信じられてるんじゃないの?

 

「あなたって、時々女みたいな物言いするわねぇ。珍しいわね」

「!?」

 あ、しまった。なんかまた女言葉になっちゃってた……ホントに気を付けないとなぁ。

 

「ま、いいわ。さっさとヤるコトヤっちゃいましょ」

「ふん! どうする気だ?」

 男言葉を意識しながら、格闘の構えを取って魔女を見上げる。うん、810で学んだ帝国兵の格闘術も少しならできる。あの魔女が下りて来たら逆にとっちめてやるわ!

 

「安心して。痛いコトはしないわ。むしろキモチいいわよ~♪」

 ……いちいち寒気がする人だなぁホント。こんなキモチワルイ女に、愛しのステア君の体をどうこうさせるワケにはいかないわ、絶対に!

 

「じゃあ、イクわよ。『快感の渦(エクスタシア)』!」

 ラドールがそう唱えた瞬間、私の足元、というかこの部屋の床全体に大きな魔法陣が光り出した。しまった……この部屋自体が、魔法の触媒(マジックアイテム)になってるの!?

 

 でも……なに、これ? 特に何ともないんだけど。

「これが、何だって言うんだ?」

「ウフフ、もう少ししたらわかるわよぉ。じゃ、少し解説してあげましょうか」

 

 ホウキに乗って浮いたまま、立てた指先をペロッと舐めながらそう発する。あーもうホント気持ち悪い……こんなのが第一皇太子夫人っていうんだから、そりゃ帝国の男の人も魔女を怖がるわよ!

 

「ねぇ、キミは飛翔大会を審査してたけど、もちろん()()()コトはあるでしょ?」

「な、なに言ってん……るんだ貴様っ!」

 いきなりのピンクな物言いにまた女言葉に戻る所だった。『トぶ』と言えばエッチの時に気持ち良くなるアレのことじゃない……まぁ私もステア君も出会うまでは()()()()()()()んだけど……思い出したら悲しくなってきちゃった。

 

「うふふ。知ってる? 男性のトぶのと、女性のトぶのじゃ、そのキモチよさって全然違うってコト」

 え……そう、なの?

 

「女性のトぶ時の快感は、男性の十倍はあるって言われてるの。もし男の人が『女性のトぶ』を味わったらさぁ……キモチ良すぎてショック死しちゃうんだってぇ~」

「な、なんだって!?」

 

 心の中で例によって(えええええ?)と驚く私。だったら、あの月夜の湖で彼と結ばれた時も、彼は私よりずっと、気持ち良くなかったの?

 

「でぇ、この魔法。コレは私の魔力(ナーナ)を受けて、魔法陣にいる男の人にぃ、普段以上のトびを味あわせてあげられる魔法なのよぉ」

 

 ごくり! と唾を飲み込む。そんなうらやましい……もとい、恐ろしい魔法を彼はステアにかけようとしてたの?

 ううん、それだけじゃない。今までもこの女は帝国の危険分子の男性をここに閉じ込めて、そんなコトを……なんてうらやま、いや、けしからん事を!

 

「この魔法を受けたヒトは、みんな私のトリコになるの。あなたもすぐに、この魔法ナシじゃいられないカラダにしてア・ゲ・ル♪」

 

 じょーだんじゃないわっ! 私がやるならともかく、こんな女にステア君の体をいいようにさせてたまるもんですかっ!!

 

「じゃあ、はじめるわよぉ。『快感の渦(エクスタシア)』・二倍、にばぁい」

 

 ヒュン、と体の中を何かが突き抜けた、気がした。同時に私の心が何か燃えるような、欲情がせり上がるような感覚に襲われる……襲われて……?

 

「……それで、これから?」

 

「はへ?」

 私の返しにラドールが間抜けな顔でそう返す。いや、確かに何かちょっとキモチいいけど、実際それだけだし。あとこのステア君の体、というかアソコも割と平常運転なんだけど。

 

「ば、馬鹿なッ! 今のあのフィールドには、通常の男性のトぶ感覚の二倍の快感が襲ってるハズ……今までどんな男も快感の虜にしてきた、私の()()()()が、効かないって言うの??」

 

 あ、そういうコトね。この魔法は体じゃなくて心の方に作用する魔法なんだ。

 

 魔法王国の上位の魔女に、そう言う技を使える人がいたはず。私は使えないけど、死にゆく人の苦しみを和らげる魔法とか、錯乱した人を落ち着かせる魔法とかは確かにあった。

 

 だから『心は女性(カリナ)』な私には効かないのね。え、ちょ、ちょっと待って?

「って、ええええええええっ!? ステ……男の人って、こんな程度でメロメロに?」

 信じられない。こんなちっちゃい快感で男の人ってトべるのぉ? はっきり言って生殺し以下じゃないこんなの。

 

「な、なんですって!? アナタ一体普段はどんなやり方でトんでるのよぉ!?」

 頭を抱えたラドールが、きっ! と私を睨み下ろして、意を決した顔で宣言する。

 

「し、仕方ないわね。じゃあ三倍の快感までレベル上げするわよ! 普通の男の人じゃ廃人になるレベルなんだから……知らないわよ」

 そう言って両手を合わせ、少し開いて魔力をスパークさせると、そのまま両手を天にかざして、下に打ち下ろした。

 

「三倍の『快感の渦(エクスタシア)』よ!」

 

 魔法陣の輝きが増し、心を突き抜ける感覚が一段階上がる。あー、これ相当に魔法力を消費する魔法みたい。でも、ねぇ。

 

「だーかーらー、これがどうかした?」

 うん。生殺し以前が生殺し状態になった程度ね。というかホントに男の人って、こんなくらいで、廃人? そんなに乱れちゃうの?

 

「う、うそでしょ!? この不感性! イ〇〇! 不能男ッ!!」

「あー、王族さんが下品な言葉つかってるー。いーけないんだーいっけないんだー」

「子供みたいに歌うなあぁぁぁぁっ!」

 

 私のちょっとした挑発に、ぜーはーぜーはー言いながら鬼の眼光を返すラドール。今までそうやって男を陥落させてきたのかもしれないけど、今の私は体は男、心は乙女(大嘘)だからねー。

 

「ぐっ、ぐぎぎぎぎ……」

 歯噛みしながら、再び魔力をその手のひらに集める彼女。しっかし凄い顔ねぇ、魔力を振り絞り過ぎてシワだらけになってるし……あれじゃ100年の恋も冷めるわ。

 

「四倍だぁーーーーーっ!!!!」

 手を振り下ろし、さらなる魔法の強化を図る彼女。うん、私の心に刺さる快感もちょっとは増えたかな……トぶには全然足りないけど。

 

 

「ねー、もう終わり?」

 返答は無かった。精も根も尽き果てたといった顔で、辛うじて浮いているラドールは、信じられないものを見る目で私を見下ろして、一言、こう発した。

 

「お……覚えて、らっしゃい」

 捨て台詞だけはいて、そのままよろよろと窓から出て行く彼女。そういえば飛翔大会でもずっと飛んでて、魔力を相当消費してるハズだ。それであんな無茶やったら……

 

「あ……高度下がってる。おーい、がんばれー」

 窓によじ登って彼女の行く末を見届ける。案の定、魔力が枯渇してるせいでホウキに乗っても上手く飛べずに、そのままへろへろと水面に近づいている。着水寸前に必死の形相(だと思う)で少し持ち直しては、またへろへろと水面に近づいていく。

 

 結局、要塞島の本城付近で海に落っこちて、衛兵たちにボートで助けられたみたいね。魔力(ナーナ)の使い過ぎには注意しましょう、ってね。

 

 

(……それにしても)

 あの満月の夜。私と一つになった時も、ステア君って実はぜーんぜん感じてなかったのかなぁ。

 なんか私だけ乱れちゃったみたいで、なんか悔しいなぁ。

 

「よし! この魔法を私も覚えて、ステア君にも、もっともっとキモチよくなってもらおう! うん、それがいい!!」

 

 囚われの身である事も今は忘れて、私はそんな決意を固めるのであった。

 

     ◇           ◇           ◇    

 

 同時刻、魔法王国某所にて。

 

 ――ぞわわわわっ!!――

「どーしたのー、ステアのおにーちゃん」

「あ、いや、なんでもないよ。なんかちょっと……悪寒が走っただけ」

 

 僕、ステア・リード(体はカリナ)が少女ナーナにそう説明すると、彼女は僕の目をじっと見て、ちょっと深刻そうに、一言つぶやいた。

 

「おにーちゃん、それ、たぶんあってる。しんじゃわないようにねー」

「……へ?」

 

 

 




※男女の快感(オーガニズム)の差は本作の勝手な設定ですので、誤解なきようにお願いします。

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