彼方楽園のレチタティーヴォ   作:三文小説家

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 前回との温度差で風邪ひきそうですが、リアルスプラ回です。


リアル〇プラトゥーン

「随分と、マーブルな外観に改築した……なあ?」

「何だかアリス症候群を引き起こしそうです……ね?」

「わあ……あ……」

「現実を見てくれ。星彩学園は改築などしていないし、イベントも開いていない」

 

 アヤメ、友里、星香、そして鉄鬼の四人は星彩学園の前で佇んでいた。上記のセリフでなんとなく察しているかもしれないが、校舎がカラフルに、それはもうカラフルに染まっている。青とオレンジという二色だけだが、何度もかけられたのか、混ざりあって新たな色が生まれている部分もあった。

 

「ひどい……一体誰がこんなことを」

「小夜風にアタシらが呼ばれた時点でなんとなく察してるけど、犯人誰だ」

「……あの四人だ」

「何をやっているんですかリンさん……」

 

 鉄鬼曰く、犯人、というか主犯はリン、一滋、白、杏の四人らしい。ただ、クラスの男子ほぼ全員が参加しているため、クラス内の半数が敵とも言える。

 

「……とりあえず、この彩色の中に緋色が加わる事は確定しましたね。アイスピックを取ってきます」

「アイスピックを刺剣(エストック)代わりにするんじゃない」

「では竹刀で」

「……まあいいだろう」

 

 汚れてもいい服で来てくれ、と言われたアヤメ達は安物のジャージ姿であり、非常に動きやすい。四人は据わった眼で鎮圧に向かった。

 

 

 

 

 

 始まりは一滋の一言だった。

 

「リアルで◯プラやったら面白くないか?」

 

 通常ならば、男子高校生の冗談で終わった話である。しかし、その場にお祭り大好き男であるリンがいたとしたら話は別である。そして、これまた運の悪い事にアヤメを筆頭に女性陣はその場にいなかったのだ。

 

 そして、話はとんとん拍子に進み、肯定と中庭でクラスの男子全員でリアルス○ラトゥーンをする事になったのである。準備にはそれなりに時間をかけた。インクを必要量揃えるところから始まり、水鉄砲をインク仕様にカスタマイズする必要もある。更にはインクを詰め込む風船やパラシェルター代わりの改造傘など、用意するものは幾つもある。

 

 なお、最も苦労したのはそれぞれの彼女達やアヤメに知られないようにすることである。

 

「何してるの?」

 

 と、疑いなく純粋に聞いてくる星香を欺くのは一滋の良心が傷んだし(ついでにそれが態度に出たせいで星香から疑われることになるが、リンの介入で事なきを得た)、幼馴染かつ彼女という距離の近い友里から隠すのは腹黒と称される白でも苦労した。

 

 中でもアヤメから計画を隠すのは苦労した。アヤメは体内の音を聞く事によって嘘を見抜くことができる。彼女から質問をされた時点で事実上のゲームオーバーだ。逆にアヤメが決行まで気付かなかったことが不自然に思えるかもしれないが、そこはリンが頑張ったのである。

 

 そして、とある休日に男子生徒達は集まった。

 

「さて諸君、これから思う存分に塗ったり塗られたり、撃ったり撃たれたり、勝ったり負けたりしよう! 始め!」

 

 リンが音頭を取り、リアル○プラが始まる。

 

 通常であれば4対4の戦いとなるところだが、今回は人数が多い。まず始まるのはインク銃の撃ち合い。青とオレンジの射線が入り乱れ、宙にてぶつかり人に当たり、学校に地面に色を付けてゆく。なお、扱っているのは歴戦のスナイパーでもなく、また、那須与一のような弓の名手でもないただの生徒であるから、専ら的となったのは学校や地面であったとか。

 

 透明な窓ガラスにインクが飛び散り、景色が見えなくなっていく。

 

「チクショウ! やられた!」

「傘使え! ここでやられてちゃ楽しめないぞ!」

 

 さて、威嚇込みの射撃もいいところに水風船の投げ合いが始まった。水風船とは名ばかりの、中身はインクの詰まった風船である。爆ぜればその場に色が染まり、さながら晴天の海、もしくは山麓を透かした夕暮れの如き色で覆われてゆく。

 

「隙あり」

 

 リンとスパイはパラシェルターと名付けた改造傘に隠れ闘いをやり過ごす。そして、気配を消して敵の脳筋&腹黒チームの男子達を撃ち抜いていく。二人いない事に気付きそうなものだが、頭に血が上っている男子生徒諸君、まさか隠れてやり過ごす者がいるとは思わず、餌食となっていった。

 

「さーて、参謀とスパイがパラシェルターを使う事なんて想定済みなんだよね」

「ああ、反撃してやろうぜ!」

 

 一方、武勇に優れた脳筋&腹黒チームも負けてはいない。改造傘を盾代わりにしながら戦場を縦横無尽に駆け回る。小癪な戦法を取る相手のチームの首魁を撃ち落とさんとする為に。

 

 原作と違ってインクに潜る事はできないが、滑る事は出来る。腹黒と脳筋はそれによってリン達に奇襲を仕掛けようとした。

 

 しかし、それも妨害者によって終わりを告げる。

 

「さて、煙草一本分と鬼川が向かう時間は待ってやった。非番の鬼川を引っ張り出すのは申し訳ないけれど、青春の代償は支払いなよ? クソガキども?」

 

 八重加が喫煙所で燃え尽きた煙草を持って楽しそうに呟いている事は、リン達は知らない。そう、この日の鉄鬼は休日を謳歌しているはずだった。リンとて、彼の目の前で大騒動を起こすほど馬鹿ではない。しっかりと鉄鬼の居ない日にセッティングしたにも関わらず、八重加に召喚されたのである。

 

 鉄鬼が外でスーパーチャクチしている音を聞いて、八重加は思い出し笑いをする。八重加が現状、すなわちリアルス○ラで青とオレンジに学校が彩色されたということを説明された時の電話口の鉄鬼が聞いた時の反応がおかしくて仕方が無いのである。

 

『おい……お前の頭が常人よりアクロバティックなことは知っているが、休日に吐く嘘にしては突拍子が無さすぎるぞ』

『そのアクロバティックという評価は是非とも、天野率いるバカ四人にしてやってくれ。残念ながら私は目の前で起きている事を、ただ淡々と解説しているだけさ? おかげさまで喫煙所から出られない。なあ、Damsel in distress(囚われの姫君)を助けてくれよ?』

 

 ついでに、連絡先を交換していたアヤメにも伝えた。そして、アヤメから友里に伝わり、友里から星香に伝わったのである。

 

 さて、話をリン視点に戻そう。

 

「この惨状について、敢えては何も問わん。ただ一つ言えることは、覚悟しておけよ、お前ら!!」

 

 鉄鬼はメガホンで警告兼攻撃を行う。大声で相手を攻撃するという単純ながら凶悪な技はさながら《メガホンレーザー(物理)》と言ったところだろうか。因みに、リン達四人は他の男子生徒がやられている時に衝撃波に乗じて逃げた。そして、メガホンレーザーによってアヤメが若干のダメージを喰らっていた。

 

 

キーーーーーーンッ

 

 

「あ“ーーー……耳がいいことを呪う日が来るとは。鬼川先生と戦う事になったら耳栓は必需品ですね。アレだけ派手な攻撃音がするなら耳栓くらい貫通するので問題は有りません。せめて軽減を……て、何を考えているんですか私は。思考が戦闘者になってます。そもそも私と鬼川先生が敵対するという事態は考えたくないですね。主に精神的な意味で」

 

 耳鳴りが収まるまで独り言を呟くアヤメ。標的が来るまでやることが無いというのもあるが。

 

「しかし、私の貴重な聴力を、直るとはいえ損壊するとは……下手したらシャレにならない損害賠償を吹っ掛けられますよ、先生。もう直ったから良いですけど……おっと、咎人たちがやって来たようですね」

 

 アヤメはリン達四人がやってきたのを見て竹刀を構える。

 

「アヤメさん!? 危ないからどいて!」

 

 リンが何やら話しかけてくるが、それに対してアヤメも答える。

 

「聞けませんね。リンさん、あなた、自分が何をやっているのか分かっているのですか? どれだけ迷惑な事をしたのか、認識していますか?」

「お説教なら後で聞くよ! でも今は捕まるわけにはいかないんだ! ここは友達を助けると思って」

「慈悲は義務のように与えられるものではありません、と、以前にも言いましたよね」

 

 リンはアヤメが見逃す気が無い事を悟った。ならば強行突破するのみである。と思った所で、リンの身体がアヤメのもとに放り投げられた。

 

「ごめんね☆参謀! 流石に鉄鬼と小夜風さんを同時に相手するのは無理なんだ。ということで、尊い犠牲となってくれよ」

「おいふざけんなよ腹黒! 空中でどうやって体制整えろって、ひい! アヤメさんが落下地点で待ち構えてる!?」

 

 リンが下を見れば、落下予想地点でアヤメが両手を拡げて待っていた。満面の笑みで。猛烈に嫌な予感がしたリンは咄嗟に身を捻ってアヤメを回避した。火事場の馬鹿力である。

 

「残念。汚れても抱きしめたかったのに。まあ、私は引き続きリンさんを狙うとしますか。他は頼みましたよ。皆さん」

 




 私、寡聞にしてスプラトゥーンというものを知らなかったので、書くにあたって色々動画を漁ったんですが、こんな感じで合ってますかね……圧縮した講談みたいになってしまいましたが、私にはこれが限界です。鎮圧の方が長くなりそうです。
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