合わせ鏡の転生者   作:lily_black

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S.O.N.G.で錬金術師してた世界線の小話
本編とは全く関係ありません。本編と繋がってるのは未来さんだけです

勢いだけで書きました


閑話:S.O.N.G.の錬金術師たち(口は災いの元編)

「だから、エルのやり方じゃ効率が悪いって言ってるでしょ!」

 

「未来さんは性急がすぎるんです!もっと慎重に結果を精査しなければ重大な事故に繋がりかねません!」

 

 S.O.N.G.の本部にある食堂に言い争いながら入ってきたのは錬金術師として技術面で組織を支えている2人、小日向未来とエルフナインである。

 

「あのふたり、また言い争ってるのね」

「そのようだな、見かけるたびに言い合っているがよくも話題が尽きないものだな」

「アハハ……私としてはもうちょっと仲良くして欲しいんだけどなぁ」

「いつものことじゃねぇか、気にするだけ無駄だ」

「そうデスよ、それになんだかんだ言いながらとっても仲良しデス!」

「(コクッ)この前エルフナインちゃんが寝てる未来さんに毛布かけてた」

「ええ!?なにそれ私聞いてない!」

 

 それを先に食事を終えて談笑していた装者の6人が思い思いの反応を示すがふたりの仲を真剣に案じているのは誰もいない。響もあまり言い争いをしないでほしいだけでふたりの仲を心配してるわけではなかった。

 

 それもそのはずで、ふたりの思考やスタンスが悉く合わないせいかことあるごとに口論を繰り広げ、本人たちは苦手な相手を聞かれたら真っ先に互いの名前を出すほどにいがみ合っているが、喧嘩するほどなんとやらとはよく言ったもので。なんだかんだで一緒に仕事をしているしよく行動を共にしている。今も言い争いながらではあるものの一緒に食事を摂りに来ているあたり、本当に嫌いあってるわけではないのを皆理解しているのだ。

 

「なんでそんな無駄なことばっかり!そんなんだからいつまでたっても仕事進まないんだよ!」

 

「無駄なんかじゃありません!それに未来さんだって問題だらけで結局余計な仕事増やして遅くなってるじゃないですか!」

 

 それはそれとして席についても食事には一切手を付けずに口論を続けていて、調理担当の職員が悲しそうに2人を見ている。見かねたマリアが二人のもとへと向かった。

 

「二人とも」

 

「マリアさん!いいところに!マリアさんからももっと慎重に作業を―」

「マリア、このちんちくりんの言うことなんて気にしないで、これは―」

 

「せいッ!」

 

「ひゃう!?」

「いたっ!?」

 

 2人の脳天にマリアのげんこつが炸裂した。喧嘩両成敗、残念でもないし当然である。

 

「あなたたち食事しに来たのでしょう!?いつまでも言い争ってないでさっさと食べる!それにここはあなたたちだけの空間じゃないの、少しは周りのことも考えなさい!」

 

「うぅ、ごめんなさい……」

「マリアママめ……」

 

「何か言ったかしら?未来ちゃん?」

 

「反省してまーす」

 

 マリアに一喝されてさすがに反省したのか大人しく食べ始めるふたり。それで一件落着かと思われたが響が出てきて、せっかく沈静化した火に油を注ぐ余計な言葉を口にする。

 

「そうそう、()()()()()()()()()()()でいつまでもケンカしてないで、ごはんは楽しく美味しく食べなきゃ勿体ないよ!」

 

 その言葉にふたりの手が止まる。

 

「どうでもいい、ですか?」

「どうでもいい、ですって?」

 

「あ、あれ?どうしたのふたりとも……?」

 

 響はふたりの雰囲気がガラリと変わったことに気づき、ただただ困惑して後ずさる。

 

「響、ここ座って」

 

「え、あ、え、み、未来?」

 

 未来の底冷えするような眼差しに睨まれて、ようやく盛大に地雷を踏みぬいてしまったらしいことを理解する。

 

「聞こえなかった?座ってって言ったんだけど?」

 

「は、はい……」

 

 気圧された響はいそいそと指し示された未来の隣の席に座る。助けを求めるように他の装者たちへと視線を送るが、皆さっと目を逸らした。

 

「響~?どこを見ているの?」

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 未来の声に反射的に姿勢を正す響。それを横目に見ていた切歌が不用意に呟く。

 

「まるで夫を尻に敷く鬼嫁デス……」

 

「切歌ちゃん、そこ座って?」

 

「な、なんデスとぉぉぉ!?くっ、なんて地獄耳!地獄の閻魔様もビックリデスよ!こうなったら逃げるが勝ちDeathッ!」

 

 言うが早いか食堂を飛び出そうとする切歌の背中に淡々と声がかけられる。

 

「ちなみに逃げたら被検体がいなくて(許可が出なくて)試せなかった試作品の実験に付き合ってもらうけど」

 

「なーんて、冗談に決まってるじゃないデスかッ!だからどうかウニョウニョ動くよくわからない肉塊だとか、たくさんの目が浮かんでる真っ黒なドロドロした液体だとかの実験台には絶対しないでほしいのDeath!!!」

 

 慌ててエルフナインの隣の席に座る切歌。その顔色は心なしか青くなっている。

 

「そう、残念」

 

 まったく残念じゃなさそうに言い、ご飯を口に運ぶ未来に響が純粋に気になったことを聞いてみる。

 

「ちなみに、あのまま切歌ちゃんが逃げてたら何を試すつもりだったの?」

 

「電子レンジ」

 

 その回答にみんなの頭に「?」がつくが、エルフナインだけは血相を変えて食ってかかる。

 

「正気ですか!?それはあまりに危険すぎるからと構想段階で止められてましたよね!?冗談でもシャレになりませんよ!!!?」

 

「えっと、ごめんなさい、電子レンジの何が危ないのか、よくわからないのだけど」

 

 皆を代表してマリアが聞くと、未来が淡々と、簡潔に説明する。

 

「電子レンジって、マイクロ波を照射することで水分子なんかが振動、回転することで発熱するんだけど、要は人間が入れるくらい大きなレンジを作ってみようって話。人間は大半が水分でできてるから、マイクロ波を照射し続ければ内側から沸騰するはずだから試してみようと思って。まあ作ってみる前に風鳴司令にバレちゃって中止せざるを得なくなったけど」

 

「「「「「……」」」」」

 

「デデデデデデデデスゥ!!!?怖いデスッ!殺されるデスゥッ!!!!!」

 

 皆その発想にドン引きして何も言えない。唯一切歌だけは顔色が真っ青を通り越して蒼白になり、ガクガクと震えている。一歩間違えば自分がその処刑レンジの犠牲者1号になるところだったのだから、無理もない。

 

「……いや、冗談だよ?貴重な装者をそんな危険な実験に使うわけないでしょ?それにやってみたところで実用性なんてほぼないからわざわざやる価値もないわけだし」

 

 空気を察して弁明の言葉を述べる未来だが、普段から割と興味本位で倫理観終わってる実験やら何やらをやらかしているので、このことに関しては誰からも信用されていなかった。

 

「……そんなに疑うなら、みんな今からラボに来なよ。ちょうど徹夜で作った新作が―」

 

「おっと、悪いがあたしはこいつ(調)の宿題手伝う約束してんだ、先輩が約束守らないわけにはいかないよな?というわけであたしらはこれで失礼するぜッ!」

 

 未来の言葉に被せてワザとらしく、一気に捲し立てて席を立つクリス。咄嗟に後輩を庇うあたりできる先輩である。

 

「そういうことです。キリッ」

 

「クリス先輩、調ぇ!?キリッじゃないデス!そんな約束してないデスよねッ!?見捨てないで欲しいデスよッ!このままじゃアタシの命が危険でDangerousなのDeath!!!」

 

「すまん、あたしには無理だ!骨が残ってたら拾っておいてやる!」

「なむ(合掌)」

 

「デェェェェェェェェェェェェスッ!?絶対夢枕に立ってやるデスゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

 哀れにも見捨てられた切歌は机に突っ伏した。

 

「私たちもこれから次のライブの話し合いがあるから行くわね」

 

「む、もうそんな時間か。ではな小日向、エルフナイン。私たちはいけないが、立花と暁は存分にもてなしてやってくれ。それと小日向、あまり問題を起こしてくれるなよ?」

 

「努力はします」

 

 マリアと翼も離脱を図る。しれっと響と切歌を人柱にしようとしているあたり鬼畜である。

 

「翼さん!?今まさに目の前で問題が起きようとしていると思いますけど!?」

 

「何を言っている。後先考えずに発言する立花の自業自得だろう」

 

「ぐはっ!?」

 

言葉の刃に一刀両断されて突っ伏す響を尻目に立ち去るふたり。残ったのは錬金術師(危険)と錬金術師(癒し)、そして哀れな犠牲者2人だけであった。

 

(響さん、こうなったらアタシ達も外せない用があることにして逃げるデス)

 

(でも、バレたらもっとひどい目に合うんじゃ……)

 

(バレなきゃいい話デス、いいから話を合わせてくださいデス)

 

(大丈夫かなぁ……)

 

 それでもなお諦めきれない切歌は響と共謀して脱走を画策する。響は若干、いや大いに不安そうだが。

 

「あーっ!そういえばアタシたちもとっても大事な用があったの忘れてたデスッ!そういうわけで実験には残念ながら付き合えないんDeath!」

 

「そっか……じゃあしょうがないね」

 

「!?そ、そういうわけだからこれで―」

 

「ふたりがそんなに電子レンジでチンされたがってるとは思わなかったよ」

 

「あーっ!そういえばその用はついさっきなくなったって連絡がきてたんでした!うっかりしてたDeath!」

 

「そ、そうだった!なくなったんだったね!忘れてたよ!」

 

「ふふ、ふたりとも忘れんぼさんなんだから」

 

(危なかったデスッ!もう少しで棺桶に頭からダイブするところだったデスよ!)

 

(切歌ちゃん、もう諦めようよ、ヘタなことしたら本当に生きて帰れなくなっちゃうよ……)

 

(何言ってるデスか!何もしなかったらそれこそ死ぬまで実験体にされるデスよ!)

 

(いくら頭のネジが全部外れてる未来でも、さすがにそんなことしないよ!……たぶん)

 

「ふぅ、ごちそうさまでした!」

「ごちそうさまでした」

 

 響と切歌がコソコソと話し合っている間に食べ終わったらしい未来とエルフナインが同時に立ち上がる。

 

 もはや一刻の猶予もない。切歌は灰色の頭脳をフル回転させて打開策を考え、そしてついにある妙案を考えついた。命を拾う最善の一手を打つべく口を開く。

 

「エルフナインは何か試したいのないデスか!?今ならいくらでも協力するデスよッ!」

 

 その妙案とは、先んじてエルフナインに協力を申し出ることで、マッドサイエンティストよろしく発展に犠牲はつきものと公言する未来の、命が軽すぎる実験体になるのを避けることであった。

 

「ふぇ?いいんですか?」

 

「本人が協力したいって言ってるんだから、いいんじゃない?」

 

 エルフナインは確認するようにちらりと未来を見上げる。その視線を受けた未来は、あっけなく許可を出した。

 

 とたんにパァーッ!と明るい表情になったエルフナインは早速頭の中で何をするかの予定を組み立てているようだ。

 

「わ、わたしも、エルフナインちゃんに協力しようかなー、なんて……?」

 

「響さんも手伝ってくれるんですか!?わぁ!どうしましょう、何を試してもらおうかな……!?」

 

「よかったねエル、実験台(モルモット)が手に入って。説教が終わったら()()()()()()()()()()()()けど、そっちに連れていくね」

 

「はい!お願いします!」

 

「へ?」

「え?」

 

「……未来?私たちを実験台にするつもりじゃなかったの?」

 

「え、別に?ちょっとお説教をしようと思っただけだけど」

 

「「……」」

 

 もしかしたら勘違いからとんでもない間違いを犯したのではないかとふたりは思い始めた。

 

(そういえば、私たちで実験するとは一言も言ってない……?)

 

(デ、デス……)

 

 ふたりは顔を見合わせる。思い返してみれば、実験台にするぞと脅しこそされ、実験台にするとは一度も言ってないのだ。つまるところ、説教だけで済んだところを無駄に自らを実験台として差し出してしまったのだ。

 

 命の危機を回避するための妙案は、そもそも命の危機など端からなかったのだから必要なかったのである。

 

(やらかしたデス……今からなかったことには……)

 

(無理だよ、あんなに嬉しそうなエルフナインちゃん見たことないんだよ?切り出したところで罪悪感で断れないよ……)

 

(うぅ、でも、でもッ!)

 

「ふたりとも分かってると思うけど、今さら付き合えないなんて言ってエルを悲しませたら、廃人や死刑囚じゃないとできないことするからね」

 

「なななななななにを言ってるデスッ!!?そそそんなことするわけないDeathッ!ね、響さん!?」

 

「そ、そうだよッ!私たちそんなことしないよっ?!」

 

「そう?もしかして、私の実験から逃げようと変わりにエルの実験に志願したけど、実は私に実験するつもりがなかったからやっぱりやめたいとか考えてるんじゃないかと思ったんだけど、勘違いか」

 

「ひ、酷いデス!もももっとアタシたちのことしし信用してほしいいデスッ!!!?」

 

「ごめん、私が間違ってたよ。じゃあちゃんとエルが心ゆくまで付き合ってあげてね。エルがやることだから命()保証はされてるよ、()()()はね」

 

「何それっ!?命だけはってどういう意味ッ!?」

 

「さあ?それよりもお説教するから、ふたりともはやくきて?」

 

「こんなの、あんまりデスぅ!!!」

 

 

 




切歌ちゃん誕生日おめでとう
でも今回は誕生日関係なく虐めたかっただけなんだ、ごめんね

切歌ちゃんの一番かわいい表情は

  • 笑顔
  • 怒った顔
  • 泣き顔
  • 曇り顔
  • 絶望してる顔
  • メスガキ顔
  • 無表情
  • その他
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