「どうしてなの……?未来……」
二課の仮設本部の司令室で、私はスクリーンに映し出される戦場の様子をただ見ていることしかできなかった。
未来が知らないシンフォギアを纏って戦場に出てきて、未来を止めるために戦ったクリスちゃんは結局なにもさせて貰えないままギアを解除された。そしたらその直後にたくさんのノイズが出てきて、未来は、それを殲滅するために絶唱を……ッ!
それでノイズは殲滅できたけれど、絶唱は装者の命を奪うこともある危険な手段。死ななくても相応のバックファイアを受けることになる。それこそ適合者の翼さんやクリスちゃんでも倒れてしまうほどのダメージを受けてしまうのに……。
『ゴフッ』
未来が大量の血を吐き出す様が映し出される。やっぱり、絶唱の負荷が大きかったんだ……。早く処置しないと未来が……ッ!
「なっ!?」
もう戦えないと思ってた未来が切歌ちゃんを攻撃しだした。不意打ちぎみに攻撃を受けた切歌ちゃんはギアの出力が下がったのか戦いづらそうにしているけれど、そんなことよりボロボロになっても戦い続ける未来だ。なんでそんなになっても戦うのかのか全然分からなかった。
「お願い未来……もうやめて……!やめてよぉっ……!それ以上は、ほんとに死んじゃ……ぁ……」
気づいてしまった。あれは私だ、死ぬかもしれないとわかっていてそれでも大切なものを、未来を守るためにみんなの静止を振り切って戦い続けた私。未来がどんな思いでいたかなんて考えもせずに……ッ!
「ごめん……ごめんね未来っ……ほんとうにごめんっ……私、未来のこと何も考えてなかった……!」
だけど、だったらなおさら未来をこれ以上戦わせるわけにはいかない。このまま戦い続ければ待っているのは確実な破滅、それは私が一番よくわかってる。
司令室を飛び出して上甲板に向かう。端末から師匠の静止の声が聞こえるけど無視した。その結果ガングニールに喰い殺されるとしても、そこに未来がいてくれないと死んだのと同じなんだ!
「
ガングニールの浸食が再開する。すぐに身体中がぐつぐつと煮え立つように燃え上がって、結果がどうあれこれが最後だってことはなんとなく理解できた。だとしても、未来がいなくなるくらいなら、燃え尽きて灰と朽ちてしまったほうがマシだ!
甲板から跳びあがる。まっすぐに、一直線に未来のもとへ!
「Deaaaaaaaaaaaaaath!!!」
切歌ちゃんったらほんとに浅はかだなぁ。被弾を無視して突っこんだところで引き撃ちされてしびれを切らしただけの、何のひねりもないただの突撃なんて脅威になりはしないのに。逃げ回ってたほうがまだ勝機があったよ?まあ誘導するまでもなく勝手にキルゾーンに入ってきてくれて助かるけれど。
「デェェェェェェェェスッ!!!?」
横に振られた大鎌の間合いの、そのさらに内側に入って腕を取り足を払う。それだけで切歌ちゃんは自分の勢いに転ばされる。あとは無防備な胸元のギアに触れるだけでおしまい。
はいこれで2人目。蹴飛ばしてうつ伏せになるように転がして踏みつける。意味なんてないけど切歌ちゃんには苦しんでもらわないと。
「ぐぇっ」
さて、これで今出てきてる装者は翼さんだけ。そして翼さんの相手は影縫いにさえ気を付けていればあとはどうにでもなる。ちょうどよく
「……小日向!何故このようなことをする!?いったい何が目的なのだ!」
私としては無視してもいいんだけれど
「なぜ、ですか。うーん、死ぬまでの暇つぶしですかね?ただ無為に生きて死ぬよりかは建設的かと。あとはまあ、単純に愉しいからです」
「愉しい!?愉しいだと!?ギアを纏っていない者にまでその力を向けることが、そうやってもはや戦えぬ者を足蹴にすることが愉しいというのか!?小日向!!!」
「?、愉しいですよ?というか、私にはもうこれしかないんです。永すぎる時の中で生きる意味も、希望も無くなっちゃいましたから。切歌ちゃんに関してはまあ、
「貴様はいったい何の話をして……」
「私の、小日向未来という哀れな女の話ですよ。私にとって命なんてものは何の価値もないんです、自分のも他人のも……っと、おしゃべりはここまでみたいですね」
私と翼さんの間に響が割り込んでくる。すごい熱気、動ける時間はそう長くはなさそうだね。
「翼さん、未来のことは私に任せてください」
「しかし立花、その身体ではッ!」
「お願いします」
「……承知した。ただし危険だと判断したら即座に止めるからな!」
「……ありがとうございます」
響と向き合う。ああ、いいねその表情。苦悩と覚悟が伝わってくるよ。
「ねえ未来、ごめん、ごめんね。私、未来のこと全然考えてなかった。自分のやりたいことを優先して、忠告を無視して死に急いで、いつも隣にいてくれる未来がどんな気持ちになるのかなんて少し考えたらわかるのに……!」
「それが響のやりたいことだったんでしょう?だったらそれでいいじゃない。私もやりたいようにやらせてもらうだけだから」
「全然よくない!さっき未来が絶唱したときすごく怖かった!心配した!このまま未来が消えて居なくなってしまうんじゃないかって不安だった!苦しかったのっ!だからもう絶対にあんな思いはしたくないしさせたくない!だからッ、もう帰ろう未来……?私も、もうシンフォギアは使わないから……だから、お願い……みく、もう戦わないで……帰ろうよ……」
「響の気持ちは嬉しいよ、だけどごめんね響、それは無理なの」
「ッ!どうして!?」
「もうすぐ死ぬからだよ。自分の身体だからね、もう限界なのわかるんだ」
「そんな……そんなのって……」
ショックを受けた響がへたり込んで俯いてしまう。もう、俯いたら響の顔が見えないじゃない。
響に近づいて優しく抱きしめてあげる。過剰なエネルギーが凶払いを突き抜けて襲ってくるけどまあ大丈夫だろう。
「うぅ……みく……。どうせ、しぬならっ……ふたりいっしょに……!」
「響と心中もいいけれど、私は響には生きていてほしいな。響は何度だって世界を救えるすごい子なの。私にはできなかった、何度繰り返しても、何度やり直しても。だから、神獣鏡の輝きで響を蝕む呪いを祓ってあげる。ああ、翼さんは離れたほうがいいですよ。ハバキリまで祓われたくはないでしょう?」
「……ぃゃ」
「うん?なに?」
「ぃゃ、いや、そんなのいや、いやだ、いやだ!いやだ!やだやだやだやだ!そんなの認めないッ!未来がもう死んじゃうなら、未来がもう隣にいてくれないのなら、
「……響、私はどうやっても死ぬ、だけど響はまだ助かるんだよ。だから私の分まで生きてほしいの」
「いやだッ!未来がいない世界なんて、そんなのないのと同じなんだよっ?!未来がいないと意味ないのッ!」
「だったら……。だったら、押し通してみなよ、そのわがままをッ!私に最期まで絶唱させなければいい、簡単でしょ?だけど私も本気なの。絶対に祓ってみせるからッ!」
即座に距離を離そうとするけど簡単に組み付かれてしまった。抱きしめたのはやりすぎだったか。クリスのときみたいなギアの強制解除はガングニールの出力が強すぎるせいで望めない。
「ガハッ」
「みくッ!?」
組み付かれて内臓が圧迫されたせいか血を吐いたけれど、そのおかげで響が反射的に拘束を緩めてくれた。するりと抜け出して対峙する。
あとは距離を取れればどちらが先に限界を迎えるかの勝負になる。そのことは響も理解してるのか一向に距離を離させてくれない。
この勝負の厄介なところはこっちはまともに攻撃できないところだ。攻撃に含まれる凶祓いの効果が響の限界を先延ばしにして勝機が遠くなる。そのせいで牽制が意味をなさずにまっすぐに突っ込まれてしまう。
このままじゃ私が不利なまま、だから隙を見て空に上がり戦場を変える。空中戦ならイオノクラフト機能のあるこっちのほうが有利だ。
響もパワージャッキとバーニアを使って上がってきた。エネルギーが有り余ってるせいかイオノクラフトと渡り合えてるのが恐ろしいところだ。そうじゃなかったら空中に上がった時点で私の勝ちなのに。
だけれどそんなことを続けていれば浸食は飛躍的に加速する。すでに胸を中心に身体のあちこちから石が出てきていて限界は近いだろう。
だけど、私も血を失いすぎた。意識はすでに朦朧としてもう数分も持ちそうにない。
そして、決着はあっけなく訪れた。
「ぐ、ああああああああああああああああああああッ!!!」
響の胸から一際大きな石が生えて墜ちていく。
「わ、たし……の……はっ……勝ちだ…………ね、はぁ……」
「ぅぅ……みくっ……やだ、やだぁ……」
「Gatra、ndis babe……l zi、ggura……t edenal」
「ゃだ!やめて……!うたわないで……!」
「Emustoっ……lronzen fine el…… bara、l zizzl」
「いや!やだよぉ……!ひとりにしないでっ……!」
「Gat、randis babel ziggu……rat ede……nal」
「おいてかないで……みくがいないとダメなのに……!」
「Emu、stolron……zen、 fine…… el zizzl」
「うああああああああぁぁぁぁぁぁぁ……みくっ……みくぅ……」
残響
「ねぇ……ひび、き……さぃごの……ぉねが、い……き、いて……くれる……?」
「ひっ、ひぐっ……な、なに?みく……」
「わらって……?」
「ッ!」
瞼に力が入らない。ゆっくりと閉じて、漆黒に。
意識もやがて、漆黒に呑まれていく。
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響はうまく笑えたかな?
私はひびみくが大好きです。
なのでイチャイチャしてもらいました。
未来→響は言わずもがな、響→未来も普通に重いの尊いですね。
追記:ラストを加筆修正しました。
救いは
-
いる
-
いらない
-
どっちでもいい
-
閲覧用