麗しの世捨てロリババア生活を邪魔する奴は全員殺す(涙目) 作:がぱおら
私とロッカちゃんが冒険者ギルドに入ると、いくつかの視線が向けられた。
私はロッカちゃんの背中に隠れた。
「……な、なんで隠れるんですか?」
「もうやだぁ……私を認識しないでぇ……」
帰りたい。
それなりに人が多い。
ロリ冒険者パーティのひとつもあればまだ呼吸が出来たのに、見える範囲にいない。
薬草計量してもらってるショタはいるのに。畜生。
というわけで、冒険者ギルドである。
張り紙があって、受付があって、テンプレートから外れたものは一切無い。
私がやりたいのは五千兆Sランク無双ではなく摩訶不思議農法独居なので、二度と冒険者ギルドには来ないとここに誓わせてもらおう。どこに何があるかなんて絶対覚えてやるもんか。
「ロッカちゃん、受付よろしく」
「わかりました、わかりましたから。服の裾つままないでください。そんなに怖いなら、手を繋ぐくらいしますよ」
「手汗で溶けるから無理……」
「ナメクジみたいな事言ってる……」
これもう依頼出すのが実質冒険みたいなもんだよね。
あー、ひそひそされてる……指さされてる……私のメンタルヒットポイントがゴリゴリ削れてる。
「気にし過ぎですって。向こうのテーブルで話されてるのは多分、武器の新調計画ですよ。斧とか杖とかって単語が聞こえます」
「盗み聞きしたって因縁つけられたくないからやめてほしい」
「……はい、それはすいませんでした。いやでも本当に神経質過ぎますよ、記憶喪失さん」
そんなこんなで、受付にようやく辿り着いた。
「あの、すみません」
「はい、どういったご用件でしょうか……あら、可愛いおちびちゃん達ね」
ロッカちゃんが受付嬢に話しかけた時、私のパーソナルスペースセンサーが、私達に接近する気配を感知した。背筋に怖気が走るのでよくわかる。
ロッカちゃんと受付嬢は気づいていないので、私が振り返って確認した。
ハゲで傷跡だらけでクソデカ図体のおっさんが、近寄って来ている……!!
なんなんだ、私を見てニヤニヤしてる!
背中に背負った剣は邪剣ではないみたいだけど、コイツもロリコンか!?
気色悪い! 私を見てニヤニヤしていいのは私と幼女だけだぞ!!
私はロッカちゃんの前に隠れた。
「わっ、な、なんですかいきなり?」
「あらあら、お連れさんどうしたの? 寂しくなって抱き着いちゃぅた? うふふ」
ロッカちゃんと受付嬢は事態の深刻さに気づいてない。
ロッカちゃんの背後、つまり私の目の前に立った傷ハゲが、ついに口を開いた。
「おいおいお嬢ちゃんら、冒険者ごっこなら他所でやりな。どこからそんな大層な武器を持ってきたかは知らないが、お嬢ちゃん達の年齢で冒険者は無理だぜ」
「……は?」
「え?」
「んん? ……冒険者登録に来たんだろ?」
「い、いえ、依頼をしにきただけです。何故アタシ達が冒険者志望だと思ったんですか?」
あ、気づいちゃったぞ。
まさかこの傷ハゲ……冒険者ギルドの備品たる「新人イビリ冒険者」なのか!?
嘲笑いに来たんだな!?
そっちがその気でも私は反撃しないぞ!
こういう人相手にやり過ぎな攻撃して! ギルドや偉い人から警戒されたり! 冒険者から恐怖されたり!
そういう展開の為に生きてきた、悲しいおっさんなんだな!
私は屈しないぞ!!
「だってよ、デカイ斧とデカイ杖持ってるじゃねぇか。片方はいかにも古臭い魔法使いって感じのローブ姿だし」
「あっ」
ロッカちゃんは、私があげた凄い斧を背負いっぱなしだったことに、今気づいたらしい。
アメコミ映画のムニョムニョ再現できないかな〜っていろいろ頑張った結果できた、懇親の一品だ。持ち主登録すれば、一切重さを感じられなくなる。
ハンマーのほうじゃないのは、もともとロッカちゃんの希望が「奴隷を繋いでる鎖の破壊」だったからね。切断のほうがはやいかなって。
結果、イビリハゲに絡まれてしまった。なんてこった。
あと私の杖も対象に取られてた。
「なんだ、俺の勘違いか。悪かったな、子供が無茶するのは見てられなくてよ」
「そ、そうなんですね、アタシ達も紛らわしくてごめんなさい」
「それで、依頼ってのはどういうんだ?」
「えっと、受付嬢さん、話しても大丈夫ですか?」
「ええ、どうぞ。ちゃんとギルド側で処理するから」
「ありがとうございます。それで、えぇっと……」
ロッカちゃんが私に視線を送ってきた。
私は可愛らしく小首を傾げてみた。どうだ、プリティだろう。
ロッカちゃんはため息をついて視線を逸らした。
「……あの、私の友人にカイツって男の子がいて、だいぶ前に心臓に────」
ロッカちゃんの口頭説明と、受付嬢の書き取り音。
ロッカちゃんは、奴隷として捕まった辺りは省いていた。偉そうなロリコン豚野郎が死んでるからね、警戒してて偉いね。
にしてもカイツ少年、金しか見てなかったみたいで、詳しく聞いてみると、手術した奴の性別すら曖昧だったんだよなぁ。
おかげで本当の本当に手がかりというか、とっかかりゼロ。ナッシング。
邪剣で遊んでる奴なんて絶対ロクでもないから、さっさと見つけて始末しなくっちゃならんと言うのに。
まあ、敵の存在を知れただけでもヨシとしてもいいか。
「顔も名前もわからねぇ奴を探せ、だって? 怪しい手術が出来るって情報だけで?」
「はい、難しいことは承知してます。なので……、ほら、記憶喪失さん……!」
ロッカちゃんがいきなり私の耳元で囁いてきた。
「え、え、何?」
「報酬……!!」
「??? ……、……あっ、報酬。あー、今出していいの?」
「アタシが一生懸命説明してたのに、話の流れ聞いてなかったんですか!?」
「ごめん、ごめんて。えーっと、ほい」
私は色とりどりの宝石達を、受付テーブルにゴロゴロ転がした。
今回はなんかの副産物とか余り物じゃあないぞ。"宝石化"で調達した、その辺の石ころだ。
便利でえっちな"石化"の上位版だし、多分いい値段がつく、ハズ。
「なにっ」
「これは……!!」
「えええっ!?」
三者三様、私のキラキラジュエリーに驚いているのは共通。
ギルドがざわざわとしはじめた。
私を見るな、減るぞ。
「こ、こんな大量の宝石をどこに持ち歩いて……、じゃない! ええっと、ご覧の通り報酬はたくさんありますので、腕利きの方に……」
「違う違う。たくさんあるから、たくさんの人に受けて欲しい、ね」
「そ、そういうことです!! ……そういうことなんですか!?」
私はポイポイと懐の宝石を、受付テーブルに放り投げていく。
「しっ、少々お待ちを! こちらの宝石をひとつ、"鑑定"させていただいても……」
「あ、鑑定受け付けは別か。運ぶよ」
うっかりしてた。
私は"浮遊"で宝石の山を丸ごと浮かせた。
「まとめて"鑑定"しちゃってよ。どこに持ってく?」
「……あ、あちら、です……」
私はロッカちゃんに振り返った。
「じゃ、行こうか」
「……アタシ、は……待ってます。記憶喪失さんなら多分、ふっかけられても問題ないでしょうし……」
「大丈夫? 頭が痛いの?」
「おかげさまで」
今後の展開の参考にしたいので、今後の奴隷少女の行動を決めるアンケートです。上ほどメインキャラ化。方向性固まり次第〆
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ロリババアに着いていく
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王子様に保護される
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スラムに帰って出番終了