麗しの世捨てロリババア生活を邪魔する奴は全員殺す(涙目) 作:がぱおら
「賢者様、この状況は一体……?」
制服美少女が質問してきた。
とりま"鑑定"……フォウエンちゃん、という名前らしい。
確か、森で会った時、"転移"を見た途端目の色を変えたハーレム一号だったかな。どうやら生徒会長のようだ。
マジで? この異世界、学園あるんだ。
王子様は普通に冒険してるのに。ジャンル迷子じゃない?
「ロリが困ってたから、悪漢を成敗した」
とにかく、嘘をつく必要性が感じられなかったので、正直に話した。
ロッカちゃんよ、そろそろ立ちなさい。走って逃げるから。
「ろ、り……? 先ほどの爆発音はもしや」
「文句はコイツに言え、邪剣なんか持ってたし敵だろ」
「なっ、邪剣を!?」
「……賢者様、邪剣と戦ってくださるんですか」
王子様は期待のこもった目を向けて来るが、なんの期待だ。
「戦う? 馬鹿言わないで。一方的に滅ぼすんだ」
私はバトル漫画の住人じゃない。血沸き肉踊る闘争なんざ願い下げだね。
「ほ、滅ぼ、す……ですか……。では、アレストレウシス帝を殺したのは何故……いや、それ以前に、貴女がやったのですか?」
「え、知り合い? 世間は狭いね」
なんかそんな感じの名前のおっさんを殺した記憶はある。
邪剣とのファーストコンタクトだったから、特に事情とか気にせずミンチにしたんだけど……なんかマズかった?
「……っ! や、やはり貴女が……何故ですか!? アレストレウシス帝は、俺達とともに邪剣の国々に立ち向かう仲間だった! 何故彼が死ななければならなかったのか……!」
「えっ、あっ、あー……」
……これは、トチったかもしれん。
あのおっさん、敵の能力持ったまま味方になる枠のおっさんだったの!?
なんでそんな重大ポジションなのに一言も言ってくれなかったんだ!?
これじゃ私が空気読めないぽっと出の敵キャラみたいじゃん!
「ちきしょー……腹立ってきた。なんで私が怒られないといけないんだ、悪いのは邪剣だろ邪剣」
「意味がわからない! 邪剣が原因だとして、それがアレストレウシス帝の殺害には繋がらない! 賢者様、貴女はいったい何を考えているんだ!!」
王子様ガチギレですやん。
誤チェストは謝るけど、せめて場所考えてくださいよ。
今いる場所ね、冒険者ギルドなの。
そんな場所で、バチクソ目立ってる私にね、帝国の偉い人殺したって大声で言われるとね。
指名手配されるじゃん。
ふざっけんなよ。
「ディッツ! 冷静になって!」
フォウエンが王子様を引き止めるが、王子様は今にも聖剣を抜きかねない雰囲気だ。
「大商人ベルコットも、貴女がやったのか!?」
「いよいよ黙ってくれないか!?」
もうやだ!!
私は他人任せで邪剣埋め込む闇医者探させて楽したいだけなのに!!
公の場所で詰問するんじゃあない!!
今だけ、今だけでいいから! 抜き身の正義感はちょっとだけしまってて!!
「納得できないんだ! 俺は貴女を理解したくて……」
「"窒息"!!!!」
「がっ……!?」
私は反射的に王子様の呼吸を止めた。
何勝手に私のことを、事情があって敵対してるヒロイン枠に収めようとしてやがる!
貴様との対話なぞ不要!
私知らない! お家帰る!!!
「ディッツ!? 賢者様、今ディッツに何を……」
「うるさい生徒会長!! 王子様治療してろ!!」
「は、はい!? 何故私の役職を」
「王子様が酸欠で死ぬぞ!!」
「っ! も、もうわけわかんない……!」
私はロッカちゃんを"浮遊"させた。
「わっ、わわっ!?」
「この街最後の邪剣壊して森に帰る! 二度と顔見せるなバーカ!!」
泣きながら、私はロッカちゃんごと"転移"した。
転移先は、最後の邪剣の反応があった建物の上空。
「う、浮いて、えっ景色が、あの、記憶喪失さん!?」
「こいつを空から落として全部おしまい!!」
「お、お、落とす!? 何をですか!? あの、一旦深呼吸しましょう!! カッとなった時は、数字を十数えたら冷静になれるってゾンが言ってました!!」
「ロリがそこまで言うなら……」
わたわた慌てるロッカちゃんが可愛かったので冷静になった。
私は深呼吸し、数字を十数え、自分に"鎮静"をかけた。
「……よぉし、平常心。さあ、この建物を破壊しよう」
「ストップ! 記憶喪失さん、アタシ聞きたいことが三個くらいあるんですけど!! 記憶喪失さんは教えてくれますか!?」
「おお、好奇心旺盛だねぇ。いいよいいよー、なんでも聞いちゃって」
「あ、ありがとうございます!!」
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かくして、ロッカはリカラ商公城を襲いかけた落下攻撃を、既のところで防ぐことに成功した。
わりと危機一髪だったし、英雄視されてもおかしくない所業だったが、残念ながらそれを知る者は誰一人いない。
さて、記憶喪失さん改め賢者様?の意識を逸らすことは出来たが、ロッカもノープランである。
「……えっと、あの、先ほどの方々は、記憶喪失さんを賢者様って……」
「それは私もよくわかんない。不思議だね」
「……これからは、アタシも賢者様ってお呼びしたほうがよろしいでしょうか」
「好きにしていいよ」
「あ、ありがとうございます……」
「さっきの人達、国の偉い人だからね。どっかの国の王子様と、その妾のひとりね」
「め、妾ですか……」
「だから、なんか嫌なことされたら私に言いなね」
ロッカは、どう答えても不敬になりそうで、なんとも答えられなかったので、次の質問に移った。
「あの、王子様の知り合いを殺した、みたいなんですよね?」
「そうっぽいね……くそぅ、なんで運命力は私を表舞台に上げようとしてくるんだ」
「な、何かを双方勘違いしてる気がしたんですけど……」
「ふーん? 第三者かつロリの洞察は大事だぞ。よし、考察してみよう」
「ありがとうございます。それで、何故王子様の知り合いを殺したのですか?」
「邪剣持ってたから」
「……またジャケンですか……」
ロッカの人生は、邪剣と関わって以来滅茶苦茶である。
奴隷にされたり、幼馴染が死にかけたり、賢者に連れ回されたり。
良い感情等毛程も無い。
「……王子様は、ジャケンとはどういった関係なんですか?」
「詳しくは聞いてないけど、邪剣は敵なんじゃない? なんか世界を救う使命的な話っぽいし」
「でも、お知り合いの方はジャケンを持ってたんですよね」
「良い邪剣所持者もいるってパターンなんでしょ。敵との友情は鉄板だし」
「はぁ、鉄板ですか。よくわかりませんけど……でも王子様、お知り合いさんがジャケン持ってたって知らなかったっぽくないですか?」
「え、そんなことあるわけ……あっ、あー、わかったわかっちゃった」
賢者は何かを察したようだ。つっかえが取れたような表情で、ポンと手を打った。古風な仕草だな、とロッカは思った。
「えっと、アタシに説明をお願いします」
「うーんとね、王子様の知り合いの持ってた邪剣ね、コミュ力使った裏切り特化っぽかったのね。なんだっけ……そうだ、"裏切りと笑顔"だ」
「そんな変な能力のジャケンもあるんですね」
「まだ私が知ってる邪剣って4本くらいしかないから、これが変かどうかは、なんとも言い難いけど……。でもつまり、私は裏切りイベント潰しちゃったことになるんだなぁ……成長フラグだったらどうしよ。私は代わりの成長イベントなんて用意してやらんぞ……」
頭を抱える賢者。
ともかく、何故王子が劇的にキレたのか、理由はなんとなくわかった。
「……王子様に説明するの、難しそうですね」
「そうなんだよねー、本人死んでるし、ネクロマンスするのは面倒くさいからやりたくないし……」
「そもそも王子様、なんでリカラに来たんでしょうか? 賢者様とはばったり出会したみたいでしたけど……」
「それもわからん。なんできゃーっ!?」
その時突然、地上から何かが飛んできた。
賢者はロッカに抱き着いて、慌てて避けた。
「うひゃあっ!?」
「あっぶなぁ!? 何!? 何飛んできたの今!?」
賢者とロッカが地上を見下ろすと、そこには。
何故か土下座しているテルナ(王子様の幼馴染)と。
その姿を困惑しながら見ているシャリアドネ(女騎士)。
更にもうひとり、やはり困惑している見知らぬ女性がいた。
今後の展開の参考にしたいので、今後の奴隷少女の行動を決めるアンケートです。上ほどメインキャラ化。方向性固まり次第〆
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ロリババアに着いていく
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王子様に保護される
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スラムに帰って出番終了