麗しの世捨てロリババア生活を邪魔する奴は全員殺す(涙目) 作:がぱおら
「あっちょっと待ってね」
マキルダを狙う追手達の中に、邪剣所持者がいた。
だいたい成金チャラ男って感じの姿の男だった。
私にはわかるぞ、コイツは催眠アプリとか使ってくるタイプの卑劣なイケメンだ。目が覚める前に殺す。
列からすうっと抜き取り、デカイ杖を振りかぶる。
「えっ、あっ、お、お待ちください賢者様!」
シャリアドネが何やら必死で止めてきたので、杖を降ろす。
「ん、何用」
「その方はリカラの現公です。何をされるおつもりで……?」
「んんん? 偉い人? でも邪剣所持者だし……」
「あーなるほどなるほど!! 賢者様は邪剣所持者は全て殺すべしとおっしゃるのですね! 理解しました!」
「いや、そうは言わないけど。抵抗したら殺すけど、この通り無抵抗だよ」
「では先程の魔力の高まりはいったい……?」
「だって、そこのマキルダさんの追手でしょ? さっきのテルナの話に出てきた親玉でしょ? 潰すしか無くない?」
「えーっと、最終的にはそうなるのですが! 国のトップを軽々に消すと、外交関係や領土問題等で様々な懸案事項が発生するのです!」
「偉い人なら、いざって時の備えくらいしてるでしょ」
「されていらっしゃるかもしれませんが!! こう、穏便に済ませることは不可能でしょうか!?」
「……そもそも、邪剣所持者相手に、あなた達はどう決着つけてきたの?」
「え、我々ですか? 我々はディッツ様の聖剣が、邪剣の力を消滅させる力を持っていますので、可能な限りそうして無力化してきました。抵抗が激しい場合は、殺めなければいけないこともありましたが……」
「ふーん。でもこの場に王子いないし、仕方ないよね」
私は再び杖を振りかぶった。
「おおおお待ちください!! どうかお待ちを!!」
「なんだよもう。見なよこのチャラ男の顔、絶対女の子をモノとして見てる顔だよ。殺さないと駄目でしょ」
「そんな顔ですか!? 私には、気絶して白目を剥いた哀れな顔としか見えませんが……!」
「オーケーオーケー、じゃあ邪剣をこの場で破壊するのはオーケー?」
「え、ええ……それは、はい」
「面倒だから所持者ごと挽き肉にするのはオーケー?」
「もうちょっと段階を刻みませんか!? 即危害は短絡的に過ぎます!」
「首から下まではオーケー?」
「なんで譲歩してる風なんですか!? しかも何をする気なんですか!?」
「……あー、賢者さん?」
マキルダが話に加わってきた。
「そのチャラ男?とやら、アタイに売ってくれないか」
「げ、趣味悪いな……」
「何を勘違いしてるか知らないことにしとくけどさ……。アタイ、この国のトップになりたいんだけど、その手続きにソイツが必要なんだよね。引き継ぎとか、そういうの」
「ふーん。じゃあ"隷属"かけとくね。支払いはロッカちゃんにヨロシク」
私がチャラ男に魔法を使おうとすると、シャリアドネが食いついてきた。
「れ、"隷属"!? 賢者様、それは失われた禁断魔法のひとつです! 使うだけで寿命を縮めるような代物を、このような状況で気軽に使われては……」
「え、寿命? 禁断魔法? 何の事?」
そんな設定、あったっけ?
直接的に他人を操る魔法だから、絶対に私以外使えないように必死で改竄したのは事実だけど、まさか無理やり使おうとして死んだ奴が出たの?
それはそいつがアホだと思うんだけど……。
ともかく私には無関係なので、チャラ男の自由意志はこの瞬間消滅した。
「……い、いともたやすく……賢者様は、まことに賢者様だったのですね」
シャリアドネは感動しているが、私としては賢者って形でなんか世に伝わってるっぽいことが謎なんだよね。
隠れ住んでたのになぁ。
「……賢者様、我々は貴女の住処に無礼にも踏み入り、俗世の瑣末事を持ち込んでしまったことをお詫びします」
急にシャリアドネが、私の目の前で跪いてきた。
「私の世迷言に賢者様の慈悲を向け、怒りの矛先をどうか私の首で収めてくださりませんか」
「え、急に何々、怖……。ねえロッカちゃん漁師ちゃんマキルダさん、この女騎士はなんでいきなり首を差し出して来たの?」
「あ、アタシには何もわかりません……何が何やら」
「アタイもさ。なんか悪いことでもしたのかね?」
「……えっとですね、マルヴリアス王国ではこれこれこういう理由でこうなってて……」
テルナが頑張って説明してくれたことを、私なりに要約すると。
どうやら私は、キレて国を滅ぼすタイプの怪物だと認識されていたようだ。
「うーん、まあ初動に怒りがあったのは事実だけど……帝王のおっさんが邪剣持ってたって話しようか」
「な、なんと! アレストレウシス帝が、まさか……」
言い訳できそうなタイミングだったので、事情を説明しておいた。
さっき王子と生徒会長にギルドで会ったことも含めて。
「かくかくしかじか、つまりはほうれん草の不足だね」
「とんだ行き違いで、賢者様には多大な不敬を……」
「敬われるのも面倒なんだよなぁ……王子様にもその辺ちゃんと説明するから合流を、あーあと依頼の話もギルドにしないと。でも指名手配されてそうだし……」
どうしようかなぁ。
「であれば、我々の王国に一度来てはいただけませんか? 現王や宰相等の前で、賢者様自らアレストレウシス帝の件を説明してくださると、とても話がスムーズなのですが……。それに、冒険者ギルドはマルヴリアス王国にも存在します」
「結局一度は行かないと駄目だよねぇ……。面倒だけど、森を焼かれたくないし、一回だけだぞ」
「何があっても焼きはしません。寛大な御心に感謝します」
「ついでにロッカちゃん」
「あ、はい」
「この街には商人殺害の件でもう住めないだろうし、王国まで着いてくる? 奴隷仲間も連れていきたいなら、王子様に引率でも頼めばいいし」
「別にアタイが国を牛耳れば、そういう心配は必要無いんだけどね」
「だってさ」
「それなら賢者様、アタシもお供させてください。賢者様のお役に立ってみせます」
「うーんお手伝い宣言、可愛いねぇ。よっしゃ野郎共ォ国に帰るぞぉ!」
私は上機嫌で、チャラ男の邪剣を破壊した。
次はお前がこうなる番だ、闇医者!!
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未だ誰も知らない、家屋の地下。
邪剣の破片を整理していた白衣の男は、突然背筋に走った悪寒に身震いした。
ロリババアの殺気が飛んできたことを、彼はまだ知らない。
「……っ? はて、隙間風でしょうか……」
首を傾げながら、階段を上がっていく。
「さてさて、リカラ商公国では、あまり収穫はありませんでしたが……マルヴリアス王国、この地では良い研究成果を期待しましょう。聖剣の王子のお膝元ですからね」
男は、「本日営業開始」の立て看板を手に、家屋を出た。
しばらく忙しくなるので、少しの間更新休みます。
今後の展開の参考にしたいので、今後の奴隷少女の行動を決めるアンケートです。上ほどメインキャラ化。方向性固まり次第〆
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ロリババアに着いていく
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王子様に保護される
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スラムに帰って出番終了