麗しの世捨てロリババア生活を邪魔する奴は全員殺す(涙目)   作:がぱおら

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心構える間もなくその日はやってくる

今日も今日とて森の奥。

ロリババアハウスは時間がゆっくり流れている。

マジカル野菜に水やりをしながら、うららかな陽射しを楽しんでいた私の脳内に、とても久々に、マジカル警報が鳴った。

 

 

「しっ、侵入者だーっ!!」

 

 

私はじょうろを投げ捨てると、身長よりデカい杖を魔法で引き寄せて握り締めた。

 

 

「え、ええっと、確か二十年は過ぎてないけど、十年は過ぎてるぶりくらい……?」

 

 

行き倒れの赤ん坊を孤児院に捨てた事件以来の警報である。

早速"広域鑑定"を使い、侵入者の位置を特定する。

 

今回はそれなりに大所帯だ。

四人、生命反応も正常。

なんだろう、冒険者とかそういうアレかな。

 

会えば正体はわかるが、私は泣く子も黙る社会不適合者。

元気な人間四人なんて絶対相手したくない。

 

 

「じゃあこれだ、"広域幻覚"」

 

 

なので、回れ右して帰ってもらおう。

 

四人組の感覚をちょっと惑わしつつ、魔法植物に指示して道を弄ってもらった。

狙い通り、生命反応四つは、ふらふらしつつも踵を返し、魔法植物の反応範囲外まで立ち去った。

 

私は一呼吸ついて、じょうろを拾うと、水やりを再開した。

本当はマジカル農法でスプリンクラーすれば一発なんだけどね、ロリババアは気まぐれなんだ。

自然との対話を邪魔してくれるな、人の子よ。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

翌々日、また侵入者のマジカル警報が鳴った。

 

 

「短期間に続くのは流石におかしい」

 

 

今回の生命反応は三つ。

うーむ、一つ減ったのか、あるいは一昨日とは別の団体さんか。

"広域鑑定"、細かいことがわからなくて、微妙に使いづらいな。

鑑定なんて名前ついてるんだから、個人の識別くらいできてもいいのに。

 

こんな頻繁に侵入者が来るのははじめてなので、今になってようやく"広域鑑定"の弱点に気づけた。

私は静かに暮らしたいだけで、こちらからどっかの国を攻めたりして新魔法を実験するようなことはなかったのだ。

今後も実験程度で外出する気は全くないが、しかしロリババアは魔法最強でなくてはいけない。

 

 

「あとで改良するかぁ」

 

 

私は手に持っていた水道ホースを捨てると、魔法で蛇口を捻って水を止めた。

杖を持つのも面倒なので、そのまま"広域催眠"を使用。

 

"広域幻覚"より強く精神に食い込む分、小回りが効かない魔法だが、今回でしっかり追い返さないといけない。

明後日くらいにまた来られるとめんどくさい。神経が休まらない。

 

 

「この森には何もないし、人間が暮らすには向いてない。無駄骨だから帰って寝よう」

 

 

暗示内容はこんなもんでいいだろう。

次来たら本気出すからな。本気だぞ。ロリババアの本気。

 

三つの生命反応は、しばらく迷いつつも、魔法植物の反応範囲外に出た。

ほっ。

 

 

「にしても、なんで人間が……」

 

 

原因がわからん。

森の近くに村でも出来たか?

狩りか何かで迷い込めるような深さじゃないと思うんだけど。

 

貴族が別荘でも建てに来たのかな?

それなら、今回の暗示で二度と来なくなるだろうさ。

 

うーん、人間関係作りたくなさが極まった結果、森の奥で生きてる身だから、本気で他人の考えが読めない。

サンプルにできる人間の知り合いがいない。

 

この際、無謀な冒険者が道に迷ったのが連続しただけ、でいいだろう。

考えるだけ無駄だよ、わかんないもん。

 

今日は自棄野菜食らって寝よ。

 

 

 

 

 

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翌日早朝、マジカル警報で叩き起こされた。

 

 

「ふざけんなよ!! 本気でやるって言ったじゃん!」

 

 

パジャマを脱いで、いそいそとロリババアローブに着替える。

キャラメイクの際には魔女帽子を被るかどうか迷ったものだが、あの三角帽子普通に重くて邪魔になるよな、と思ったので、あれは所持していない。

代わりにローブにはフードが付いている。顔はしっかり隠さないとね。

 

 

「私の考えた最強のロリババアだぞ、顔なんて容易く見せてやるものか」

 

 

金払え。

 

杖を呼び寄せ"広域鑑定"、平行して各種バフ魔法を自分にかけていく。

バフがなくてもロリババアのステータスは多分全部カンストしてるハズなんだけど(数値でステータス見る方法わからん)、本気って言っちゃったから本気でやる。

 

侵入者は四人。

次いでデバフ魔法……と思ったが、ここで私の脳裏に電流走る。

 

 

「ロリっ娘冒険者パーティかもしれん」

 

 

可能性はゼロではない。

 

夢を捨てなかったからロリババアになれたのだ、このくらいの願望はあっても許される。

うっかりロリが泣くほどがっつり状態異常かけて、到着までに死んでたら悲しいからね。

冴えてるな、私。

 

私は身長よりデカい杖を手に、転移魔法を使った。

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