麗しの世捨てロリババア生活を邪魔する奴は全員殺す(涙目) 作:がぱおら
遂に入国の時が来た。
が、何やら王子くんと門番さんが揉めている。
問題があって入れないというより、門番さんの報告が聞き捨てならず、王子くんがこの場で情報収集し始めた感じ。
「ゴブリンの集団突然死!?」
「はい、一切の外傷がない個体まで、軒並み全滅です。悪い出来事ではない、のかもしれませんが……」
「……ふむ、それで、現場の状況は……」
しばらく話し合った後、私の方に王子くんが向き直った。
「賢者様、申し訳ありません。少しお時間よろしいでしょうか?」
最近の王子くんは、なんか態度が変わった気がする。
私が仲間ではないと、ようやく理解してくれた感じ。どことなくよそよそしさが感じられるようになった。
良いぞ、王子様チーレム入りはかなり不可能に近くなったハズだ。
「ん、何?」
「先日、ゴブリンという魔物が、大陸中で不審死したのです」
「お、成功したか」
「せ、成功!? あ、えっと、賢者様が何かされたのですか?」
「王子ディッツ、彼女が賢者様ですか……?」
門番さんは、不審人物を見る目である。
やめてください、ロリババアメンタルは繊細なんです……。
「お、俺とパーティの皆が保証する。賢者様で間違いない」
「はあ、なんというか……可憐ですねぇ。箸より重いものは持てなさそうな……」
「やっと『理解者』が現れたか……!」
帝王のおっさんすらおっぱい星人だった今回の外出、キャラクリを褒めてくれたのは門番さんがはじめてだ。
うむうむ、やはり私の容姿は素晴らしいのだよ。
「け、賢者様、ずいぶんご機嫌ですね」
「この門番さんは見る目あるよ。ロリコン仲間だ」
「えっ、ロリコン!? 待ってください誤解です!」
「賢者様ありがとうございました!! 馬車にお戻りいただけますでしょうか!」
王子くんが慌てて私を帰そうとしてきた。
チーレム主人公がボディタッチすんじゃねぇ! ということで、適当に返事して大人しく戻った。
今の私は、馬車の中で過ごしている。
"浮遊"したままだと、王都に混乱をもたらすらしい。UFO見たら驚くよね、わかる。
ただ、私のパーソナルスペースは13㎞や。馬車なんて狭い空間で、推定ラキスケ常習犯の王子くんや、推定ラキスケ常習犯予備軍たる捏造ダブル主人公カイツと一緒にいたら、私はストレスで死ぬ。
なので、"空間"の魔法で、馬車内を13㎞くらいのマジカル空間にしておいた。
生徒会長は熱心に"空間"を解析しようとしている。勉強に前向きなのは良いことだ。
で、窓とかないから、王都の街並みを車窓から観光、なんてことはできない。
「ごめんよロッカちゃん、王都観光したかったろうに」
「いえ、アタシは大丈夫です」
「あとで王様にお駄賃せびろうね」
「いえ、アタシは大丈夫です」
しばらくして、馬車は城門をくぐった。
馬車が停止し、御者のシャリアドネから降りるよう促される。
まずは王子様パーティ、次にカイツとスラムの子供達、最後に私とロッカちゃん。
「わぁ……!」
ロッカちゃんは城の大きさに感動しているようだが……うーん。
(……ボロボロじゃん)
幼女の思い出づくりを邪魔しないように、口にはしなかった。
なんていうか、壁はところどころ煤けてるし、数か所工事中だし、焦げた旗が残ってるとこもあるし。
そういや、王子くんの帰還まで、邪剣に乗っ取られた国々と戦争してたんだっけか。
城に被害出るくらいのギリギリな戦況だったのかな。
修理の余裕も無い、と。
……私の森を焼かないと約束してくれるなら、城の修理をしてやることにしよう。
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まずは王子様パーティが、私や一緒に連れてきたカイツ達のことを、王様に説明しなければならないらしい。
私とロッカちゃんは、お客さん用の宿泊部屋?みたいな場所に案内された。
「わぁ、豪華ですね賢者様!」
「そうだねぇ」
ロッカちゃん、こういう豪華な寝室ってトラウマとかなってないのかなぁ。私との出会いは、すけべ衣装で襲われるとこだったろうに。
メンタルつよつよ幼女だ。かわいい。
「ご不便がありましたら、何なりとお申し付けください」
私たちを監視するのは(監視って言ってもいいっしょ)、いかにもやり手な老執事。
イケおじだねぇ。古木の貫禄?
「じゃあ早速なんだけど、この高級ベッドでトランポリンしていい?」
「申し訳ありません、何なりとというのは語弊がありました。わたくしめにできることであれば、お申し付けください」
「じゃあベッドトランポリンしていい? 見てるだけだから問題ないでしょ?」
「大変申し訳ございません、訂正させてください。ベッドで飛び跳ねるのはおやめください」
「賢者様、執事さんを困らせたら駄目だと思います……」
「え、ロッカちゃんしたくないの、ベッドトランポリン? 滅茶苦茶テンション上がってたじゃん」
「賢者様はテンション上がったら、そういうはっちゃけたことしたくなるんですか?」
「うん、旅の恥は搔き捨てだし」
「アタシはそういうことはしたくないというか、弁償とかしたくないです」
「なるほどなぁ。じゃあ仕方ないか……」
老執事は何やらほっとしていた。
「じゃあじゃあ、執事さん。見習い幼女メイドっていない? いたら私らの担当にしてよ」
「誠に申し訳ございません、年若いメイドは雇用しておりません。ご希望に応えられないことをお許しください」
「えー、なんで? メイド仕事は若いうちから練習させたほうがよくない?」
「我々の国は戦争状態が長く続いております。城内が戦場になることも多く、子供を雇用する余裕はないのです。ご期待に沿えず申し訳ございません」
「世知辛いねそりゃあ……」
おのれ邪剣め。お転婆ロリメイドとの交流を事前にパーにさせてくるとは……!
「私、全力で邪剣潰すね。ロリメイドのためにも」
「あ、ありがとうございます……?」
釈然としない様子の老執事だった。
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世知辛さは留まることを知らなかった。
「ようこそ、賢者様。慎ましいものですが、宴席を用意させていただきました」
王様がそう言って、テーブルを示したが。
言葉に一切偽りなく、慎ましい。
パンは小くて硬いし、肉も細い。野菜も、保存が効いて収穫量が多いものばかり。
酒だけは豪華っぽいが、宰相の顔つきが「これを出すのは嫌だった」とでも言いたげというか……。多分私物のヴィンテージワインだと思う。
部下の私物すら動員しないと、宴席の体裁すら保てないのか。
王国、想像以上に崖っぷちじゃない?
人も少ない。
スラムの子供達の方が多いくらい、王国側の出席者が少ない。
「名だたるものは、国境線の警備などに当たらせています。そもそも、貴族の血筋も数多く、邪剣に絶やされておりまして……」
人材不足まで深刻だった。
婚約破棄しそうなイケメンとか、全然見当たらない。
いるのは常在戦場とでも言いたげな、武士みたいなおっさん連中。着慣れない貴族スーツである。
宰相だけ太っちょだけど、「太りやすい体質の人っていますよね」とテルナが耳打ちしてきた。フォローなのか、それ?
「……すみません、王国は厳しい状況なのです。賢者様をもてなすには不足であることは承知しております」
「あ、いえ、私そこまでドカ食いするタイプじゃないんで……無理させてすんません……」
王様とペコペコ頭を下げあった。
……むむむ、これ本格的に、私がサポートしないとやばくない?
邪剣に負けたら、流れで森焼き討ちでしょ?
王国には防波堤になってもらわないといけない。
思ったより困窮してた王国の事情に戸惑いつつ、出されたもんは食べた。
調理に手は抜かれてなくて、味は悪くないのが、逆に哀愁を誘った。
名誉の為に補足しておくと、王子はラッキースケベをしたことはありません。