麗しの世捨てロリババア生活を邪魔する奴は全員殺す(涙目)   作:がぱおら

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宰相死す!

私は王国の食事にボロクソ言ったけど、スラム育ちの子供らにはこれでも十分量なご馳走だったらしい。

 

 

「け、賢者様、本当にもらってもいいんですか?」

 

「うん、私は森に帰ったらいくらでも食べるものあるから」

 

「あ、ありがとうございます……!」

 

 

ロッカちゃんのみならず、カイツや他の面々にも、分け与えることにした。

なんか……見てて悲しくなってきて……。

 

 

「……賢者様は、やはり根は優しいお方なのですね」

 

 

なんか嬉しそうだな王子くん。キミからの評価は必要ないんだ、すまんね。

見直されてまたヒロイン候補にされる前に、話を進めよう。

ダブル主人公のハズのカイツはなんで、そんな自分には関係ありませんって顔で能天気に飯にがっつけるんだ。スラムメンタルすげー。

 

 

「それで、なんだっけ。話は食べながら? それとも食べてから?」

 

「賢者様がお急ぎでしたら、食べながら」

 

「王様も食欲無さそうっすね。じゃあ先にお話ししてよっか。まずはそちらからどうぞ」

 

「ありがとう。それでは、まずは帝都城崩落の件について……」

 

「ああ、帝王のおっさんね。邪剣持っててさ」

 

「なんですと!?」

 

 

何故か宰相のほうに目を向ける王様。

 

 

「……!!」

 

 

宰相が何故かナイフを手に取ろうとしてたので、"崩壊"で宰相の食器類を消しといた。

"レーダー"が敵だっていうから、警戒はしてたけど、どゆこと?

 

 

「……年貢の納め時ですかな、これは」

 

「何をひとりで納得して一抜けピーしようとしてんの」

 

「ふんっ!」

 

 

今度は服毒自殺しようとしたから、宰相に"解毒"をかけた。

さっきから生徒会長の熱い眼差しが刺さる。見て学びたまえ。

 

 

「え、王様、この人なんで急に自殺願望マシマシになったの……?」

 

「……宰相は、追い詰められた我が国に、帝国から派遣されてきた人材なのです」

 

「へぇ、じゃあ間者なんだ。でももう秘密保持目的の自殺は無意味じゃないの? 帝王のおっさん死んでるよ?」

 

「……け、賢者め、この俺を殺しに来たんじゃあないのか!? なんの真似だ! 貴様の手で惨たらしく殺されるくらいならば……!」

 

「??????」

 

 

ひとまず"鎮静"かけてみよう。王子くん達とのすれ違い劇場で、どうやら私は人を感情的にする天才らしいと理解した。だからコミュニケーション拒否が加速するんだよ。

 

 

「どうどうどう、落ち着いて落ち着いて。何故、私があんたを殺さなければならない?」

 

「……て、帝国を滅ぼした理由を、聞いてもいいか。邪剣があるとわかってて、滅ぼしたんじゃあないのか?」

 

「森から近かったし、帝国ってだいたい悪者だから」

 

「…………」

 

「……わ、悪者ぉ…?」

 

「そ、そんな理由で……?」

 

「邪剣がなかったらどうするつもりだったのだ……」

 

 

宰相は黙るし、王子は頭を抱えるし、女騎士は質問してきた。スラムの子らは食事しながら、ことの経緯を見守っている。

 

 

「あ、そこ服にジュースこぼしてる。ロッカちゃん拭いたげて」

 

「えっ、あっゾンこら!! あんたそそっかしいんだから食事に集中なさいよ!!」

 

「それで、邪剣なかったらって言われても……あったからよくない? ダメ?」

 

「よくないです。よくないんですが……そもそも、その……帝国は悪い、という固定観念? がよくわからなくて、責めるとっかかりがありませんな……」

 

 

王様が呆れたようにため息をついた。

 

 

「……わざわざ、城を破壊した理由は?」

 

「邪剣ならどのくらいの攻撃を止められるのかって確認」

 

「……繰り返し質問されるのは苦痛でしょうが、ここだけは徹底的に聞かないといけないので、何度でも聞きますね。邪剣があったって確信とか、本当になかったんですか?」

 

「帝国名乗ってるのに邪剣持ってなかったらダサいじゃん。そこ念押しするとこ?」

 

『…………』

 

 

遂に全員が頭を抱えて俯いてしまった。私以外。スラムの子たちすら。

空気重いなぁ。

しゃーない、これ言えば許されるだろ。

 

 

「……私、またなんかやっちゃいました?」

 

「ええ、ええ……賢者様、あなたは森への接近禁止がお望みでしたな。私とディッツの代までは、確実に、命に代えても、その約束を厳守いたします」

 

「あ、はい。森焼かれなくてよかった~」

 

「絶対に、火元も厳禁にいたしましょう」

 

 

なんかすんなりと、手出ししませんって降参されちゃったよ。

異星人でも見る目で見られてるけど、まあ二度と来る予定ないし、いっか。

 

 

「そんで、話戻したいんだけど、宰相さん? なんで私の邪剣ぶっ壊し攻撃と、あんたの命が結びついちゃったの?」

 

「……賢者様は全てお見通しかとばかり思っていまして、暗殺に怯えておりました……。故に、賢者様に王子達をぶつけようと画策しまして」

 

 

すっかり観念した宰相のゲロった計画に、私はまあまあキレた。

 

 

「私に王子近づけようとすんなっつったよなァ!?」

 

「そ、その時は聞いておりませんでしたので! いやそれ以前に、そのお言葉は初耳です!」

 

「……そ、そんなに怒るほどに、俺は邪魔者なのですか……?」

 

 

王子が深く絶望してる。うっとうしいぞコイツ!

 

 

「あいにくそうなんです!! だいぶ邪魔! 邪魔じゃなけりゃ、森で行き倒れてるところを孤児院に放り込んだりせず自力で育ててるとか、そうは思わない!?」

 

『……!!』

 

 

結構な人数が、今気づいたとばかりにハッとした。

このあんぽんたん共め……!!

 

 

「……その、賢者様。話の流れで聞かねばならないのですが、我が妻……ディッツの母親は、どのように死んだのですか」

 

「追手からの致命傷で死んだ。死体は森の魔法生物が食べたか、魔法植物の肥料になった」

 

「……埋葬などは……いえ、賢者様にそのような義理はありませんな。ディッツを救われただけでも、返せぬ大恩でした。ありがとうございました」

 

「なんかここまで徹底的に全面降伏されると、罪悪感湧いてくるな……」

 

「今更……?」

 

 

さっきジュースこぼしてた子供が呟いたけど、ロッカちゃんが頭はたいて黙らせた。

いや体罰はよくないよロッカちゃん。後で注意しとこ。

 

 

「……では、リカラ商公国へ赴いた理由は、どのような……?」

 

「帝王のおっさんの邪剣で、邪剣を探知する魔法を作ったの。そしたら、そのリカラ? って場所に三つ反応があった」

 

「よかった……ちゃんとした理由があった……!」

 

 

そんなことで喜ばれても、反応に困る。

 

 

「で、王子様達がいた理由のほうが知りたかったけど……宰相さんの差し金、か」

 

「おっしゃる通りです。全ては私の責任です」

 

 

宰相さんはすっかり諦めムードである。

 

 

「なるへそ。で、えーと、シャリアドネ? なんだっけ、少し前、偉い人を軽々に殺したら駄目って言ってたけど、この人も偉い人だよね? 殺す許可がいる人?」

 

「ぶっ、わ、私ですか!?」

 

 

突然その場の生殺与奪権を任された女騎士シャリアドネに、全員の注目が集まる。

 

 

「……あー、その、まずですね。スパイなら殺す前に、情報を吐かせますので、そもそもこの場で即殺は致しません」

 

「それもそうだよね。そこはわかる」

 

「次に、そもそも送り出された大本が滅んでおります。スパイとしてはやることがなくなっていますね」

 

「そこも納得してる」

 

「それと、私怨を抱いて復讐する可能性や、情報を他に売ろうとする可能性もありますが、その場合は賢者様のお力をお借りすることになりますね。お手数をおかけしますが……、宰相殿、そういった意思は?」

 

「思考回路も能力の限界も読めぬ相手に、二度も立ち向かえるほど、私の忠誠心は強くありませぬ」

 

「うーん、一応"隷属"いっとく?」

 

「いえ、最後の理由に……そもそも現在のマルヴリアス王国は人材不足です。"隷属"で政治の中枢の意思を失えるほどの余裕がないのです」

 

「王国どんだけ瀬戸際なの……」

 

「以上の理由で、宰相殿の沙汰は、我々に任せていただきたいのです。……これでよろしいでしょうか」

 

 

最後の確認は、その場の全員に対してっぽいな。まあ、突然人ひとり死ぬ寸前だったから、プレッシャーだったんだろう。

 

 

「自由意志に任せるの不安だな……じゃあ、この場の全員に、魔法をひとつ教えるよ」

 

「魔法をですか!?」

 

 

生徒会長が滅茶苦茶嬉しそうに食いついてきた。

 

 

「魔法の名前は"起爆"。これを唱えると、宰相の身体が即弾け飛ぶ。ああ、魔力がなくて唱えられないってことはないよ、空気中の魔力で起動できる」

 

 

かくして、宰相はいつでも死ぬ準備ができましたとさ。

めでたしめでたし。

 

 

「おおお、これが賢者様の魔法……!」

 

「スラムの俺たちが、一国の命運握ってていいんすか……?」

 

「……こうなったら一蓮托生しかあるまいよ」

 

 

貴族様たちとスラムの子たちに、なんか結束感が生まれた。

 

 

「それにしても、邪剣を探知する魔術……ですか。そのような魔術まであるとは、驚きですな」

 

「開発したのは帝王のおっさん殺した後だよ。由緒正しいヤツじゃあない。これも教えようか? こんな風に使ってもバレないタイプの……おろろ?」

 

「賢者様?」

 

「"邪剣探知"に反応あるぞ、この城の近くだ。地図、地図持ってきて」

 

「……! そこの壁にかかってるよ!」

 

「世界地図じゃない! 王国の地図!」

 

「ここに!」

 

 

宰相が早速仕事して、お城中心の地図を床に広げた。テーブルは食べ物でいっぱいだからね。

私が示した一点を見て、骨付き肉かじってたテルナが叫んだ。

 

 

「まふぉふぁうへん!」

 

「なんて? ああいや、よく噛んで飲み込んでね」

 

「そこは魔導学園です。俺たちの……学園」

 

 

王子が深刻そうに呟いた。

ええっ!? 今から急に学園編はじめる気!?

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