麗しの世捨てロリババア生活を邪魔する奴は全員殺す(涙目)   作:がぱおら

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四天王は何人いてもいい

世界を邪剣で支配するという目的の元、日々暗躍する秘密組織『シャドウ』。

そもそも邪剣という存在が、理性を容易く奪う。組織立って動ける程の正気は保てない。

故に、その構成員は驚くほど少なく、100人にも満たない。

しかし、邪剣の囁く「力を示せ」という誘惑に打ち克った者だけが集まっており、精鋭揃いだ。

 

"絶望と闇"のアイオーをリーダーとするこの組織には、4人の幹部がいる。

今日は、幹部が集合しての会議の日である。

 

 

「遅いな、アイオーの野郎。どこで油売ってやがる」

 

 

"力と破壊"のガンドラ。

筋骨隆々、身長3メートル越えの偉丈夫。

ライオンの獣人、絶滅したと言われる巨人族、魔物、そして人間の英雄という、武力に関してこれ以上ない程理想的な、クォーターの血筋を持つ。

大規模戦闘での主力部隊を任されている。

平常時は冒険者ギルドで活動し、スカウトと新人教育を行う部隊でもある。

 

 

「私達の参謀デンセルスを探しに行ったそうです。何か新たな導きがあって、遅れているのかもしれませんね」

 

 

"心と信仰"のナユリス。

修道服に身を包んだ、男なら誰もが生唾を飲み込むグラマラス体型のシスター。

山奥の秘境で邪神信仰をしていた一族の生き残り。邪神の教えに従っているため、誰よりも邪剣の力を引き出す効率が高い。

遠距離での魔術戦を想定した部隊を指揮する。

普段は各地に散らばって隠密活動を行っている部隊で、市民に紛れて情報を収集している。

 

 

「キヒヒヒ……困ったものですね。我らがアイオー様の、ご友人への過保護ぶりも」

 

 

"肉と薬物"のポルシム。

痩身痩躯で、ガンドラ程ではないが長身の男。

デンセルスによって見出され、心臓に邪剣の欠片を埋め込まれた。幹部では唯一、破片で邪剣の力を得ているが、その実力は他の幹部と遜色ない。

治療やサポートを目的とした部隊を率いる。

デンセルスも名目上はポルシムの配下であるが、アイオーの参謀も兼任しているデンセルスに対して、ポルシムが悪感情を吐いたことは一度もない。怪しげな喋り方で誤解されがちだが、アイオーへの忠誠心は人一倍高いのだ。

 

 

「え~、エリーンつまんなーい。さっさと"かいぎ"しようよ、帰って"おもちゃ"で遊びたいなぁ」

 

 

"技と裁縫"のエリーン。

場違いに思える程幼く、言葉もたどたどしい少女。常に『人形』を手放さない。

アイオーに拾われた、元奴隷の少女。生意気な発言も、アイオーがエリーンに「年相応」を求めているから、応えようと努力しているのだ。

すばしっこく、大きな戦闘では偵察とかく乱の部隊を引き連れる。

現在は『シャドウ』拠点の警備担当。というより、実力が先走って教育が追い付いていない彼女は、アイオーと毎日「おべんきょう」をしている。まだまだ伸び盛りだ。しかし個人の実力だけは、幹部で2番目に高いとされている。

 

この4人が、『シャドウ』幹部。

闇の組織の実力者集団。

 

その時、会議場に、濃い闇が漂い始めた。

アイオーの帰還だ。

 

 

 

これからこの集団は消失するッ!!

 

 

 

 

 

 

====================

 

 

 

 

 

"闇"による移動中、何度もアイオーが私を振り切ろうとした。

その度に足を止めさせて叩きのめしていたので、すっかり夜が明けそうだ。

ロッカちゃん起きるまでには帰りたいなぁ。

 

さて、悪の組織の総本山に、そろそろ到着である。

 

 

「ようやくか。それで、この闇が晴れたらどこに出るの?」

 

「……俺の、寝室だ……」

 

 

度重なる折檻で、アイオーは左足を失った。

ついね、力加減間違えてバツンと……。

デンセルスがなんとか身体を支えているが、疲労が濃い。アイオーは最早今日のうちは戦力にはなれないだろう。

 

 

「嘘こけ。絶対厄介な場所に出てやる、って顔だ」

 

「……デンセルス……本当に、なんで……なんでこんな怪物に発見されたんだ。恨むぞ……」

 

「ぼ、僕にもわからない。未だに……いや、見当はついているが、もしこの推理が当たっているなら……」

 

「当たっているなら、なんだ。この際だ、全部吐いてくれ」

 

「……もし、僕の読み通りなら。僕たちの野望は、最初から詰んでいた……」

 

「……。確かに、こんな凄まじい超存在に、我々は気づいていなかった。いずれ虎の尾を踏んでいた、か……」

 

 

黄昏れてるなぁ。

まーこいつらも悟ってるんだろうな、今日で仲良しこよしの裏組織も解散だって。

 

じゃあ颯爽とガサ入れ開始……、あっ。

私に天啓が舞い降りた。

 

 

「一旦ストップ。アイオーくんさ、君らの組織に、子供いる?」

 

「…………、は?」

 

「具体的には、世の中舐めてるメスガキか、言葉喋れない野生児の女の子。あるいはトップに忠誠誓ってる恋は盲目系美少女」

 

「……デンセルス、これは組織の内情把握なのか、化け物が人間の言語を学習する過程で産まれた意味のない音の羅列なのか、どっちだと思う?」

 

「なんと! 昔話の賢者はロリコンだったのか!? そう考えれば、過去の文献の全ての謎が明かされる! 大発見だし、朗報だ! アイオー、エリーンの命だけは助かるぞ! 良かったな!!」

 

 

突然デンセルスくんは全てを理解したらしい。満面の笑みだ。嬉し涙すら流してる。

すげー。なんで闇組織の闇医者やってたのかわからんくらい仲間意識たけー。

 

 

「全部理解してるなら、闇医者と話したほうがいいかな」

 

「待ってくれ、俺は理解が追い付いていない。ロリコン? 突然差し込まれた場違いな単語で混乱しているんだが」

 

「アイオー、本気で今回ばかりは、僕たちからひとり生き残りが出る可能性に賭けないと駄目なんだ。あの世で全部説明するから、今は我慢してくれ」

 

「そうだぞ、アイオーくん。救える命は救うべきだ」

 

 

アイオーは、何もかも諦めたらしい。頭を抱えて、長いため息を吐いた。

 

 

「賢者、僕たちにはあなたの性癖にガッチリ嵌る幹部がひとりいる。アイオーが買った元奴隷で、名はエリーン。まだ教育不足で、しばらくはアイオーを失うショックで暴れるかもしれない」

 

「げ、元奴隷!? 細心の注意が必要だねそれは……」

 

「ああ、文献のあなたは奴隷身分を嫌っていたな。確かに、精神性の根本に奴隷根性が染みついている少女だが、決して単細胞ではない。様々なことを学ばせれば、きっとあなたに抵抗も服従もしなくなる」

 

「組み立ては自分でしてね、ってことかー。ま、幼女はちょっとくらい負けん気強いくらいがかわいいって言うし……いいよ、その子はお持ち帰りする」

 

「ああ、アイオー! やった! エリーンは死なない! 邪剣より凄い賢者の庇護下だぞ、未来永劫救われた!」

 

「……今のお前の売り文句、奴隷商そっくりだったぞ」

 

 

アイオーはデンセルスに若干の不信感を覚えたらしい。

 

 

「てか、幼女奴隷買うなんて。アイオーくんは闇のロリコンだったのか」

 

「違う!!!」

 

「賢者、それは違うよ。アイオーは誰にでも優しい」

 

「なるほど、バイセクシャルってやつね」

 

「それも違うぞ!!!!」

 

「ムキになるこたないっしょ。私はそういう愛のカタチがあってもいいと思うぞー。デンセルスと肩組んでる姿とかブロマンス的でお似合いだ」

 

 

瞬間、アイオーはデンセルスを突き飛ばした。

自然と片足立ちになるアイオー。バランス感覚すごいっすね。

 

 

「……。い、今の拒絶は少し傷ついたぞ、アイオー……」

 

「もういい……もういい。俺は、疲れた……」

 

 

"闇"の移動が終わり、霧が晴れていく。

 

現在地確認。

ここは会議室?

"レーダー"に敵、4人……いや、一瞬で40くらいに増えた。

でも真っ先に気付いた数からして、ヘッドは4人か。

なるほど、こいつら四天王だな!

 

"闇"を切り裂いて、真っ先に斬り込んでくるヤツがひとりいる。

斬り込み隊長かな。

ふふふ……こいつは四天王の中でも最弱。最初に死ぬから。

 

3メートルの男が、柱みたいな邪剣で、アイオーとデンセルスごと私を圧し潰そうとしていた。

 

そうだね、四天王の先鋒は巨漢だよね。

お約束、わかってるねぇ。

多分組織のトップなら防げるって信じてるんだろうな。

 

"破壊"で四天王一人目をトマトジュースみたいにしてやり、邪剣は森の奥のロリババアハウスに"転移"。

口上のひとつも聞かないまま死んじゃった……。あれ? 思ったより戦闘のレベルが低いな……? 殺気を察知して避けたりしないの?

 

 

「……がっ、ガンドラァァッ!」

 

「嘘、でしょう……一瞬で」

 

「ガンドラ……?」

 

「……ぐうぅ……!」

 

「お出迎えどうも」

 

 

流石に、一瞬でミンチ肉になった四天王最弱の姿を見ては、実力者集団でも躊躇するらしい。

四天王一人目、撃破! チョロ甘だね!

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