麗しの世捨てロリババア生活を邪魔する奴は全員殺す(涙目)   作:がぱおら

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またお付き合いよろしくお願いします。


後の世の三連休の為に

マルヴリアス王国36代王ディーラエイが、37代王ディッツに玉座を譲ったその日を、マルヴリアス王国魔導学院では、偉大な出来事が起きた祝日として教えている。

 

祝い事の名目は、「賢罰の日」。

多くの王国民は、祝日に相応しくない「罰」の意味を疑問に思っているが、それはそれとして仕事を休み、子供達を甘やかす休日として満喫している。

 

魔導学園に入学できた生徒達は、その日に起きた出来事を学び、今も魔術の頂きにいる存在を知る。

「賢罰の日」一日でハリッシア神国を滅亡させ、マルヴリアス王国に不可侵の"契約"を結ばせた、この瞬間もリーヴァスの森の奥にいると言われる、単身の超存在。

 

賢者の名は、どこにも伝わっていない。

ただ存在し、動いたという事実が、祝日として語り継がれるのみである。

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

「動くなよ」

 

 

"転移"して生身で目を覚ました時には、何故か床に寝転がっていた。

んん~……? 私、夢遊病とかじゃなかったハズだけど。

 

 

「おい、動くなと言っている」

 

「ふああ……誰だよ、今起きるから待ってて。ここどこ」

 

 

大きく伸びをして、身体を起こす。

王城の廊下だ。

何故か私は、ロッカちゃんにあげた斧の上で寝ていた。

 

 

「?????? どういう状況? ロッカちゃんと添い寝してたと思ったんだけど……」

 

「……あの、ごめんなさい……」

 

 

ロッカちゃんの声。

 

 

「ん~……?」

 

 

声のほうを向くと。

何故か、黒づくめの男に、ロッカちゃんが捕まっていた。

ロッカちゃんの首筋に刃物が添えられていた。邪剣ではない普通の刃物だが、毒が塗られている。

 

 

「チッ、呑気なガキめ。それ以上喋るな。いいか、今から地下牢に向かう。お前たちは人質だ」

 

 

黒づくめがなんか一方的に宣言してるけど、何のイベント? これ。

地下牢襲撃イベントは夜中に終わらせてるんだけど。

 

 

「……ああ~、なんかメガちゃん言ってたな……戦争だっけ」

 

「……喋るなと何度言えばわかるんだ、クソガキ。今からお前たちの手首を縛る」

 

 

王城、やっぱ警備ザルだな……。

この手の自陣拠点って、本当によく忍び込まれるんだよなぁ。

宰相すらスパイだったし、王国は確実に詰んでるんだろう。

参った。森の焼き討ち回避の為に、ほにゃらら神国は滅ぼさなくてはいけない。

私がやらないと、手が足りないみたいだ。

うわ~、めんどくせぇ! 学園編はスキップした癖に、戦争編はやるつもりか!?

軍服スキンを手に入れろってのか!?

 

 

「"消毒"」

 

「な」

 

 

まずは黒づくめの暗殺ナイフを無力化する。

いろいろと解毒に手間がかかる毒だったみたいだけど、こちとら人体改造し続け一阿僧祇年だぞ。薬も毒も熟知してる。

 

黒づくめが驚いたのは一瞬だけ。プロいね。

すぐに次の行動に移った。

毒が無くても、ナイフは良く研がれている。ロッカちゃんの首は柔らかい。

 

当然"硬化"は使ったが、効果は発揮されなかった。

どうやら、ロリババアチームの新人は働き者らしい。

 

"転移"以降身を潜めていたエリーンちゃんが、物陰から飛び出して、黒づくめの腕を斬り飛ばしていた。

切断の際に、血が出にくい切り口にする技術を使っていた。

なんか手練れっぽい黒づくめすら欺く気配を断つ技術といい、けっこう何でも覚えてるなぁ。

 

 

「ぐっ!?」

 

「てぇ!」

 

「きゃっ」

 

 

エリーンちゃんは、ロッカちゃんを突き飛ばしつつ、黒づくめの心臓に"技と裁縫"の聖剣を突き刺した。

同時に、"裁縫"の針が黒づくめの脚の神経に突き刺さった。

 

一連の動きが終わり、廊下を静寂が支配した。

……なんとびっくり、男は死んでいない。

エリーンちゃんが、殺していない。

この新入りロリ、やたらと便利だな……。

 

 

「心臓は、刺し方を工夫すれば、死なない」

 

「馬鹿な」

 

「いてて……そ、そうなんですか、賢者様?」

 

「まあ、うん。凄いなエリーンちゃん」

 

 

エリーンちゃんができるとは思ってなかったけど。アイオーめ、なんでもかんでも覚えさせるなよ。

ひとまず、男は無力化できた。服毒自殺も"消毒"で不可能。

ロッカちゃんを"治療"し、まずは状況把握を優先しよう。

 

 

「ごめんなさい、賢者様。目を覚ましても賢者様が起きなかったので、何かあったのかと思って、医務室を探していて……」

 

「そうだったんだ。心配かけたね、おんぶでもしてくれたの?」

 

「いえ、そちらの斧に乗せて運びました」

 

「おお、こっちのロリも応用力で負けてない」

 

 

確かに、ロッカちゃんにあげた斧の刃部分は、気を付ければ子供一人くらいはぶら下げて運べそうなサイズだ。

手で持つだけでなく、浮遊能力の使い方もマスターしていたとはねぇ。

 

 

「その最中、王城はなんだか慌ただしいし、そこの男の人に会って、突然人質にされて……」

 

「おーよしよし、怖かったろう。そこの男は魂魄ごと消滅させてやるから、安心してね」

 

「そ、そうですね。それより先に、何故男の人が襲ってきたのかとか、あとさっき賢者様が言ってた戦争とか、そこの女の子の話とか、いろいろ情報が必要です」

 

「よーし、じゃあまずは簡単に新入りの説明をしよう。詳しい自己紹介はあとでよろしく。少女の名前はエリーン。"技と裁縫"の聖剣所持者で、私の邪神討伐を手助けしてくれるらしい」

 

「はい、そのあたりの詳しい話は後回しですね。では、男の尋問をしましょう」

 

「りょーかい。エリーンちゃんお疲れ~、脚まで動かなくさせるなんてすごいね」

 

「ガンドラとポルシムが教えてくれたんだよ」

 

「この子はロッカちゃん。賢くて可愛い。仲良くしてね」

 

「わかった。よろしく、ロッカ」

 

「よろしくお願いします」

 

 

さて、現在の最重要議題。

 

 

「ああ、お前は自己紹介要らないよ」

 

「……誰がするか」

 

 

男は悔しそうに返した。

脚は動かず、腕もなく、心臓を握られていて、機密を守るための自殺も不可能な状況。

まあ、悔しかろうよ。

 

 

「というか、尋問するなら、私達よりも当事者な王国の人達のが適任じゃない?」

 

「王城内全体が浮足立っていて、王様も王子様も探して見つかるかどうか。男性の人質としての価値も不明です。あたし達がどこに進むべきか定めるためにも、この場で済ませましょう」

 

「それもそうか。しかしなぁ……」

 

 

私は少し悩んだ。

 

 

「……やはり、何か不調が……?」

 

「不調というか……尋問って苦手なんだよね。コミュニケーションじゃん、ある種の」

 

「そ、そうですか……」

 

「ロッカちゃんとエリーンちゃんは、そういうのできる?」

 

「アタシもちょっと……」

 

「エリーンは、こういう状態にした後は、ナユリスかアイオーを呼ぶように言われてる」

 

「まず何を聞けばいいのかだよね。うーん……あ、そうだ」

 

 

私はとりあえず、男の顔の皮膚を剥がしてみた。

 

 

「ぐううぅうう!? い、いきなり何を」

 

「まずは何聞けばいいかな。ヒント出してよヒント。背中で生け花するよ」

 

「こ、これは尋問ではない! クソガキどもめ、遊びが過ぎるぞ!」

 

「こっちも酔狂でやってるんじゃないんだぞ!! ほら吐け!」

 

 

右足の小指の爪を剥いでみる。

 

 

「吐かないなんて、強情なヤツだ。優秀なスパイだぞコイツ……!」

 

「賢者様、賢者様! まず出身地とか聞いてみてはいかがですか!?」

 

「そんなお見合いみたいなことしたくないよ!」

 

「趣味を聞いて打ち解けろってことじゃないです!!」

 

「ロッカちゃんがお前の生まれ故郷に興味津々だぞ! 吐け!」

 

「ぐうぉおおお! 話す! 話すから皮を剥ぐな! ぎゃああ!!」

 

 

私達は涙ぐましい試行錯誤を続けた。

 

結果として、男はハリッシア神国の隠密で、地下に囚われた偉い人を奪還しようとしていることがわかった。

 

 

「なるほどなるほど。なんとしても地下牢破壊の怪獣決戦をやりたいのか、運命力は」

 

「ぬぐうう……な、なんの話を……」

 

「こうなっては仕方ない。状況のコントロールを握るためには先手必勝だ! 地下牢にコイツを連れて行くぞ!!」

 

「ほ、本気ですか……?」

 

「い、いいのかな……?」

 

 

ロッカちゃんとエリーンちゃんが、顔を見合わせている。

距離が近くて可愛いねぇ。眼福。

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