麗しの世捨てロリババア生活を邪魔する奴は全員殺す(涙目) 作:がぱおら
役目を終えた軍隊をまとめて消失させる準備中、エリーンちゃんが裾を引っ張ってきた。可愛い。
「賢者さん賢者さん。兵士を何人か残せる?」
「おや、エリーンちゃん。何か閃いたのかい?」
「うん。"裁縫"で操れるから、10人くらい欲しい。人手が必要な場面もあるかもしれないよね?」
「なるほどなるほど~。じゃあとびきり屈強そうなハッピーセットをプレゼントだ! 自由に使ってね!」
一番最初に攻撃してきた将軍含む、見るからに強そうトップ10を選りすぐった。
エリーンちゃんに渡してから、残りを一気に"埋葬"で地面に埋めた。
この魔法は、埋めた死体が一瞬で養分になるという、使い道が今までわからなかった魔法のひとつ。
ロッカちゃんにグロシーン見せない為に役に立った。人生何があるかわからんね。
「では、再度の空中散歩と参りますか。ふたりとも~、ハンカチ持った~?」
「は、ハンカチ……?」
「よし、"浮遊"!」
全員で空中に浮きあがり、エリーンちゃんに"遠視"を使用。
私よりも、"技と裁縫"で記憶力のあるエリーンちゃんの方が、いちいち城のイラストと見比べなくて済む。
「わ、すごい! 遠くが見えてるんだよね、これ?」
「そうだよ~。じゃあ、ぐるっと周囲を見渡してみて」
「んーと……」
視力を調整しつつ、見渡すこと10分程度。
「あった! こっち! 真っ直ぐ!」
「でかした! ……ご褒美の飴、本当にいらない? おいしいよ?」
「……何入ってるかわかんないから、いらない」
「そんな……」
女の夢である永遠の美貌が手に入るのに。私基準で。
────────────────────
空をカッ飛びながら、作戦会議。
「それで、私としては"信仰化"を神国全体に放つのが手っ取り早いかな、と思う」
「"信仰化"、ですか? どういった魔術なんでしょうか」
「有機物・無機物問わず、高純度な神様の栄養に変換する魔法。具体的には対象の全身が光の粒になって天に昇る」
「こ、怖い魔術ですね。何故その魔術を使うおつもりなんですか?」
「神国、というくらいだから、そういう死に方が幸せかなって」
「……。その魔術を使うデメリット等は……?」
「範囲指定しかできなくて細かい制御が不可能だから、離れた場所から使わないとこっちにも被害が出る。あと光の粒に触れたものも光の粒になる。土壌をガタガタにするから、数十年は使い物にならない土地になる。シンプルに私以外が使うと死ぬ」
「地上に被害が残るやり方はやめたほうがいいと思います」
「エリーンも、せっかく『お人形』が手に入ったんだから、活躍したいなぁ」
「ていうか、よく考えたら神国だってロリは住んでるよなぁ。じゃあこのやり方は駄目だ」
「賢者様なら、真正面から挑んでも問題ないのでは?」
「そういう油断が命取りなんだよ、ロッカちゃん。人を従える立場なら慢心も武器だけど、私は個人事業主だから」
「……???」
「賢者さんは、邪剣が怖いの?」
「うん、怖い。エリーンちゃんの仲間のおっぱいシスターいたじゃん、彼女に一瞬魔法防御を下げられかけてね。邪剣は、私の魔力とは動いてるルールが違う。用心はしないと」
「……あ、えっと、そういえば邪剣はあるんですか? ハリッシア神国に。賢者様は嘘だって言ってましたけど、でもどの国にも邪剣が入り込んでたこと考えると、ハリッシア神国にも邪剣がある可能性は高いんじゃないでしょうか?」
「おっと、それもそうか。"邪剣探知"しておこうか」
そして、眼下のハリッシア神国全体に、"邪剣探知"を放ち、私は絶句した。
「な、ご、五十本以上は反応があるぞ!? どんだけ貯めこんでるんだ!?」
「五十ですか!? ええ、それは……まずくないですか?」
「いっぱいあるんだね。でもそれって、一本一本はそんなに強くないと思うよ?」
エリーンちゃんは、邪剣の数を聞いてもきょとんとしていた。
私達三人の中で、邪剣を持っていたことがあるのはエリーンちゃんだけだ。彼女の感覚は参考にすべきだろう。
「そうなの?」
「うん。多分、育てる邪剣を絞り切れてないと思う。『食事』が追い付いてないんじゃないかな?」
「え、食事?」
ここでいきなり、新しい概念が出てきた。
「えっとね、邪剣は負かした邪剣が貯め込んだ力を、刀身ごと吸収できるの。能力の全部は受け継ぐことはできないんだけど、相性次第で応用力がちょっと増えることはあるよ」
「……あ、あー、そういうことか……! 納得した」
「賢者様、説明お願いします」
「えっとね、邪剣って本当はひとり何本でも持てるんだよね。でも今まで相手してきた敵に、ひとりで邪剣を二刀流してくるようなのはいなかった」
「へえ、邪剣って何本でも持てたんだね。エリーンは試したことなかったなぁ」
「必要なかったんだ。自分の持つ一本をとことん育てることができるシステムだから、どんな実力者でも複数持ちの必要がなかった……というよりも、二本以上を持てる余裕がなかったのか」
ポケモンの旅パみたいな話だ。
四つ全部攻撃技でレベルが一番高いポケモンを先頭にして、敵は全てそいつが倒せば、経験値も一匹に集約されて、ストーリー内なら最終的にステータス差で無双できる。
邪剣がポケモンと違うのは、相性不利な相手と戦うために有利な邪剣をゲット! なんてのは、夢物語という話。
これは現実なので、相性悪い敵と会えば負けて邪剣取られて終わりである。
そしてタイプ相性なんてわかりやすい仕組みは存在しないため、負かして奪った邪剣のどれを残すかという取捨選択なんてのは非現実的なわけだ。
二刀流で格上に勝とうにも、手元には自分の最大戦力と、それで負かせる程度のレベルの邪剣。経験値は一本に吸わせる以外選択肢がなく、おこぼれや学習装置なんて存在しない。
私が実験した時、邪剣は全て同一能力で、エリーンちゃんの言う『食事』はする素振りが無かった。共食いだし、無意味だったんだろうね。
「盲点だったなぁ……。とまあ、この通り、私にとって邪剣はまだまだ未知数なんだ。故に警戒心は常に最大なんだけど……エリーンちゃんが言うからには、五十本もあるなら雑魚ばっかりってこと?」
「多分。何本か突出してるモノもあるかもしれないけど、五十本全部を警戒する必要はないと思う」
「そういう不遇能力が、案外私みたいな大ピンチに対する逆転の布石になったりするものだけど……」
「そんなエリーン達でも対策し忘れるような突飛な能力があっても、ハリッシア神国目線で考えたら、残す理由ないよね? トップの邪剣のおやつになってると思うなぁ」
「それに、今の賢者様は『歴史を作る側』ですよね? あたしも、地下牢でのお話での、賢者様の不安を少しだけ理解したかもしれません。賢者様は、『悪者になってはいけない』んですね?」
「おお、ロッカちゃんはやっぱり凄いな。賢い、偉い」
「ありがとうございます。しかし今の賢者様は、無実のマルヴリアス王国に攻め入り、邪剣を複数抱え込んだハリッシア神国を攻撃する立場です。この立ち位置に、賢者様が悪人と語り継がれる要素はありますか?」
「ハリッシア神国からすれば当然文句は言いたいだろうけど、エリーン達の知ったこっちゃない、よね?」
「お、おお~……なるほどな~。雰囲気に流されるならまさに今、か……!!」
「……あたし達からすると、賢者様は少し神経質過ぎるくらいだと思いますけどね」
「プランは固まった! ノープランだ! 真正面から殴り込んで、邪剣を全て回収……いやこの際、エリーンちゃんの聖剣能力を試してみよう! 正々堂々危険人物が殴り込めば、ロリ達だって国外に避難するだろう! そのくらいの遊び心を保ちつつ、臨機応変に蹂躙していこう!」
「エリーンも頑張る! えいえいおー!」
「えいえいおーっ!」
「え、えいえい、お~……」
なんだろう、物凄い一体感を感じる……!!
今、私の側には超かわいくて超賢いロリが二人もいる!
今の私は孤独じゃない!!
孤独大好きな私、普通にゲロ吐きそうだけど、我慢しなきゃ……。