麗しの世捨てロリババア生活を邪魔する奴は全員殺す(涙目)   作:がぱおら

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ガス栓閉めたっけ?

魔法植物の殺意は十分。

森の奥のロリババアハウスは結界で保護した。

魔法戦の脳内シミュレーションはバッチリ。

魔法封じ対策に薬品も大量に抱えていく。

無許可で意識を失った場合、自動で半径8kmをこんがり焼き上げるカウンター魔法陣を、全身くまなく書き込んだので、不意打ち対策もパーペキ。

 

私はひとりで戦争をしに行くのだ。

準備はいくらしてもし足りない。

 

で、ここまで頑張って外出の準備をしたんだけど、気持ちは全然追いついてこない。

 

外出たくねぇ〜。

引きこもって大根と会話しててぇ〜。

 

 

「引き止めてくれるな……!」

 

 

私は大根にすがりついて、泣いていた。

大根は無言である。

えっちな太ももしてる癖に無視とは何様だコイツ、煮るぞ。

 

 

「はぁ〜」

 

 

クソデカため息5秒ぶりn回目。

私はビッグ杖にまたがり、浮き上がった。

またがる必要は、ないでもなかったりする。

いざと言う時、このデカい杖はミサイルとなるのだ。

一瞬で接近しつつ自爆し、不老不死で殴る。

頭いいな私。ロリババアになるとIQにも影響出るのかも。

 

 

「……行ってきま〜す」

 

 

私は滅茶苦茶後ろ髪引かれながら、邪剣との戦いに赴くのであった。

 

 

 

 

 

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マルヴリアス王国に帰還した王子ディッツは、旅の疲れを癒やす暇もなく、教皇に呼び出された。

 

ディッツを海の向こうから呼び寄せた神から、新たな啓示があったという。

 

 

「王子、お疲れのところ申し訳ありません」

 

「いや、俺が無理言って留守にしたんだ。疲れてなんていられない。それで、啓示の内容は?」

 

「……申し上げにくいのですが……その」

 

 

何やら言い淀む教皇。

ディッツは教皇の表情を見る。

 

害意は無いが、なにやら申し訳なさを感じているようだ。

 

 

「いいんだ、言ってくれ。なんで言いたくないか、だけでも」

 

「……此度のリーヴァス森深部探索が、徒労となってしまう可能性が高いので、お疲れのところ申し上げるのは気が進まないのです」

 

「……? まだ報告は現王にしか上げていないが、どういうことだ?」

 

「神は"リーヴァスの森に二度と近づいてはならない"、とおっしゃられました」

 

 

ディッツは、賢者の立ち居振る舞いを思い出した。

他人を拒絶する隔絶者。

 

 

「……言われずとも、森の住人に嫌われてしまったみたいなんだ。近づけやしないよ」

 

「なんと、それは……こちらの取り越し苦労でしたかな」

 

「でも、啓示があったから、ひとつ確信できたことがある」

 

 

一瞬で向けられた、濃縮された魔力。圧倒的な破壊の力。

それはもしかすると、既に人間相手では役不足で、普段は神の領域に向けられているものだったのかもしれない。

 

 

「現王にキツく言い含める必要があるな……リーヴァスの森は、王国ある限り絶対に不可侵だ、と」

 

「そ、そこまで確信できる何かを、リーヴァスの森で見つけられたのですか?」

 

「お伽噺の賢者様と会えた。多分、神を通じて念押ししてきたんだろう……手を出して来たら殺す、って」

 

 

真面目な顔で語ったディッツに、教皇は疑問を挟むことすらなく、理解した。

詮索すら許されない禁忌を、リーヴァスの森で見たのだな、と。

神の啓示すら動かせる存在と出会い、気まぐれで生かされ、次の命は無い。

 

教皇は王子ディッツが生きて帰ってきたことを、神に深く感謝した。

 

 

 

 

一方、女神様は「転属願い 書き方」で検索していた。

 

 

 

 

 

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突然だが、私はロリババアが水浴びしてるところが好きだ。

 

無敵で最強なのに、滅茶苦茶華奢で繊細な姿をさらしている、その無防備さがたまらない。

ましてや、私がそのロリババアで、しかも慢心は一切なく見たら死ぬ魔法陣を全身に書き込んだ。

 

せっかく旅行するなら、映える自撮りくらいしないとね!

 

というわけで、私は今、川べりの岩に腰かけ、生脚を水流に漬けているところだ。

……水温調節できるシャワーのほうが百倍良いと気付けた私は偉い。

あとカメラ、忘れてきてた。

 

 

「あ"〜……帰りたい」

 

 

未練たらたらの私は、魔法陣で死んでいく川魚を横目にやる気がない。

 

そもそも地図がないので、国境がわからないことに、さっき気がついたのだ。

うーん、どうしよ。

 

浮遊で空から城みたいなの探せばいいかなぁ。

見つけ次第突撃して、偉い人探して、どこの国の所属か聞く。

それで、ありなんたら王国じゃなかったら殺す。

 

あー畜生、私は頭を使いたくて転生したんじゃあない。

もうこの作戦でいいだろ。

戦闘力ある奴なら、殺しても虐殺判定にはならんだろうし。

 

 

「どっかに邪剣生えてないかなぁ」

 

 

死んだ川魚で塞き止められた川を尻目に、私はブーツを履いて立ち上がった。

 

 

 

 

 

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マルヴリアス王国と同盟関係にある、アレストレウシス帝国。

帝都城、執務室。

 

そこでは、偉丈夫アレストレウシス帝が、諜報部隊"陰の者"から定期の報告を受けていた。

 

 

「では、王国中枢の掌握は順調なのだな」

 

「はい。王国は宰相が既に我らの傀儡とは知らず、重用しております」

 

「ふむ……良い。王子の凱旋にかこつけた復興支援に、"陰の者"を紛れ込ませる策……上手く行っている。素晴らしい」

 

「現帝様の策謀、敬服するばかりです」

 

「全く、他の邪剣の国々と言ったら……ろくに頭を働かせぬから、王国風情に討ち取られるのだ」

 

 

アレストレウシス帝は、傍らに立て掛けた邪剣に目を移す。

禍々しい黒に染まった剣は、息の詰まるような邪悪な雰囲気を執務室に撒いていた。

 

アレストレウシス帝国は、とっくの昔に邪剣に支配されていた。

しかし、そうとは気づかせぬまま、マルヴリアス王国と同盟を結び、虎視眈々と王国を裏切る瞬間をうかがっているのだ。

 

ディッツはアレストレウシス帝を「戦友」と呼び頼りにしているのだが、アレストレウシス帝は笑顔の裏で、最初からディッツを「敵」としかとらえていない。

 

 

「他に、王国に何か動きは?」

 

「王子ディッツが、リーヴァスの森に向かい、先日帰還したようです」

 

「ふむ? リーヴァスの森などに、一体何用だったのか……」

 

「赤子だった自分を救った、命の恩人を探しに行った……との報告は受けております。何故それでリーヴァスの森が目的地となったのかは、把握できておりません」

 

「ううむ、神の啓示とやらであろうか。厄介なことよ」

 

 

世の中には理不尽が溢れている。

 

王子ディッツの傍らの槍娘に、帝国の企みを看破されかけたことだったり。神が聖剣に肩入れして、啓示などというカンニングをしていることだったり。

 

 

「実態把握の為に、我々もリーヴァスの森へ探索部隊を送ろう」

 

「冒険者ギルドを使いますか?」

 

「うむ、何があったか把握するためだけに、手駒を直接動かすのも大袈裟であろう。では────」

 

 

例えば、突然賢者が現れたりすることもある。

世の中は理不尽が溢れているものである。

 

アレストレウシス帝と"陰の者"は、突如として浮遊感を感じた。

執務机が浮き上がっている。

 

 

「────な、何だ!? なにが起きた!」

 

「わ、わかりませ……窓! 窓です!!」

 

 

アレストレウシス帝が、窓の外に目を向けると。

 

そこは雲の上であった。

 

アレストレウシス帝は遂に、天井にへばりついた。

 

 

「わ、我が城がっ、空から落下していると言うのかァーッ!?」

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