火を絶やしたくない男   作:ヤチホコ

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18話です! どうぞ!


18話 執念

~~秦軍本陣~~

 

窮地に陥ったことで山中に後退した趙軍を追った秦軍だったが,夜を迎えてなお趙軍の背中を捉えることは出来ておらず,その中でも最後に動き出した秦軍本陣は当然のようにこの日は道中で夜営を行っていた。

 

そして,そこには付近の高台から一帯の山間を見下ろす男――王騎がいた。

 

「どの辺ですか?」

 

「ハ! 北東の方角,恐らく録鳴未・干央の辺りかと。しかし――」

 

部下からの報告を受けながらも王騎は考える。

 

ほんの少し前に辺りに響いたドラの音……あれは敵襲を知らせる合図だ。

 

部下はドラがすぐに止んだことや後退した直後であることなどから誤報を疑っているようだが,王騎にはこの時1つの可能性が見えていた。

 

「誤報でなければひょっとすると出たのかもしれません。趙軍総大将"龐煖"が……」

 

「龐煖が!?」

 

すると,報告を行った部下の驚愕をよそに,近くにいた側近の騰がひっそりと距離を詰めて小声で王騎に話しかけた。

 

「……この不自然な夜襲,やはりあの男の申した通りですか」

 

「……さァどうでしょう? 龐煖を装った趙軍の策の可能性もあります。尤も,敵の軍師である"趙荘"さんにそんな胆力があるかは甚だ疑問ですが……」

 

そこまで言ったところで,王騎は少し目を細める。

 

「……確か童信の率いる飛信隊には蚩尤もいましたね」

 

「ハッ!…………なるほど,殿がいると思い違いをした可能性ですか」

 

「……麃然さんの言葉を信じるならば,あり得ないとは言い切れません」

 

この戦が始まるよりも前のことだった……王騎の元に麃然から龐煖に関する情報が記された文がもたらされたのは。

 

自らが引導を渡したはずの因縁ある男が生きており,その男が趙国軍を率いて攻めてくるかもしれないなど,普通は到底信じられるようなものではない。

 

しかし,受け取った本人である王騎は生憎と普通ではなく,これを一先ず信じた。

 

麃然は自分が思っている以上に王騎からの信頼を勝ち得ていたのである。

 

……麃然がなぜ龐煖との因縁を知っているのかを疑問に思いはしたものの,王騎にとってはまぁ麃然だからで済ませられることだった。

 

王騎はこの情報を基に趙国内に独自の伝手を用いて探りを入れ,少なくとも龐煖が趙国の総大将として戦に出てくる事実は掴むことが出来た。

 

――そして,この時点で王騎は出陣の意思を固めたのである。

 

それ以上のことは趙国内でも情報封鎖の形跡があったことも関係してあまり上手くいかなかったが,麃然から得た残りの情報の中でも王騎が特に注目したものが2つだ。

 

1つは龐煖という男の性質のこと,もう1つは従軍する可能性の高い敵将の情報であった。

 

龐煖とは何者なのか,かつて自称していた武神とは何か……そういった龐煖の行動原理に関わる情報やその行動パターンの予測は,裏どりを行ったものではないにせよ王騎に灯った決意の炎を更に燃え上がらせた。

 

また,龐煖と共に秦国を侵さんとする者たちへの備えとして,念のために漏洩を懸念して軍長クラスの部下のみに情報の一部を与え,それらの特定の将との戦いを想定した演習を事前に行っていたのだ。

 

その備えと蒙武という将の予想以上の武力の結果として,ここまでの戦いではその被害を原作よりも抑え,戦の優勢をより強固なものとすることに成功していた。

 

「……出陣いたしますか?」

 

今度は再び距離をとってから問いかけられた騰からの言葉に,王騎は笑みはそのままに目の周りの皴を深めながらも答える。

 

「……いえ,現場の将たちには予め最大限の警戒を促してあります。ここは彼らを信じて任せるとしましょう」

 

傍から見ると自信たっぷりにそう言い切ったように見える王騎の言葉に,龐煖という言葉に少し揺れていた周囲も落ち着きを取り戻していく。

 

「…………」

 

しかしその間も,王騎は襲撃があったと思われる地点を凝視していた。

 

王騎は明確な理由はないものの,その先に龐煖がいる気がしてならなかったのだ。

 

本心では今すぐにでもその場所に駆け付けたかったが,万の軍勢を預かる総大将としての責任感は,王騎にそれを踏み留まらせるだけの一定の冷静さを保たせていた。

 

「此度の戦……嫌な予感がしますねェ」

 

龐煖のことだけではない。まるであらかじめ予定されていたかのように迅速な趙軍の動きからも感じた違和感は,形が定まらないままに王騎を悩ませていた。

 

しかし,まずは目の前のことだと頭を切り替える。

 

 

(――現在最も現場に近いのはあなた方です。頼みましたよ干央……それに録鳴未)

 

 

 

~麃然視点~

 

あれから一夜明けて,俺たちは馬車と騎馬によって観戦場所を別のところへ移していた。

 

そんななか俺はというと,端の方で俯きながら耳を澄ませていた。

 

 

「おぉッ!? 王騎将軍率いる本隊が戦場に合流したようだ!」

 

「助かった! 蒙武将軍はあの窪地に追い込まれてなお奮闘していたが,兵が消耗していたからな」

 

「しかし……王騎将軍の本隊だけか。他の軍は未だ山中で戦闘中なのだろう」

 

 

「お~! このお肉は美味ひいでふね~」

 

「モグ……ふむ確かに,ですがこの量では儂には少し物足りませんな」

 

 

「起きてよカイネ……ほら,これ食べ物」

 

「ん~~? オウ……もうちょっとだけ寝さ――zzz」

 

「もう! それ何回目だよぉ!!」

 

 

ああ,実に平和だ……目の前で飯を食っている奴らが秦国にとって特大の危険人物でさえなければ。

 

正直に言おう――俺はもう諦めかけていた。

 

鉄は熱いうちに打てという言葉があるが,熱いものは冷めやすいという言葉もあるだろう?

 

今の俺は不本意にもそれを体現してしまったわけだ。

 

だって李牧たちの俺に対する警戒が半端ないんだもん。

 

馬南慈が李牧から片時も離れないし,常に軍師ーズの誰かの隣で行動している。

 

鉄壁の守りですねありがとうございました。もう詰みですよこれは……。

 

ハァ~~。ここは潔くもう完全に観戦に徹してキャッキャする方針に舵を切るか……。

 

そう思った俺は顔を上げた。

 

…………

 

……あれ? しばらくボーっとしていたので気が付かなかったが,ここって原作で移動してた場所とは違わない?

 

それに気が付いた俺は,改めて周囲の景色を見た。

 

すると,少し距離はあるが現在地の山城跡から見える範囲で戦いが起こっており,そこでは趙軍と秦軍がぶつかり合っていた。

 

あれれ? 確か原作では移動先って両軍の狼煙と旗しか見えないような場所なんじゃなかったっけ? また変化があったの?

 

それにあそこってもしかして原作で王騎将軍と龐煖の一騎打ちが行われた場所じゃね? つまり馬陽の戦の決着がつく例の場所では!?

 

そこまで思い至った俺は,無意識に頭を回し始めた。

 

……待てよ,この距離なら最終手段として実行できることもあるか? あぁでも合流の方はどうしようか――

 

そんな風に色々と考始めて少しだけやる気を取り戻しかけていると,背中をトントンと叩かれた。

 

少し驚きながら振り返ると誰もいない――と思ったが顔を少し下げるとミノムシが1匹。

 

「なんだ軍師河了貂か……どうした?」

 

いつもなら『いつの間に背後に!?』などと冗談を飛ばしているところなのだが,その元気もなくなっていたことに今更ながら驚く。

 

「いや,なんか元気ないように見えたから。落ちてるものでも食べた?」

 

至って真面目な顔でそんなことを聞いてくるものだから,思わず笑ってしまう。

 

「アハハ! 大丈夫大丈夫! それにちょっと希望が出てきて持ち直してきたとこ――」

 

俺がそこまで言ったところで,辺りに異変が起こった。

 

 

――――ドドドドドド!!!

 

 

一帯に鳴り響くような地響きが轟いたのだ。

 

李牧一行を除いたその場の面々が慌てて後方の森に目をやると,そこには趙旗を掲げた集団が近づいてきていたのである。

 

 

 

~蒙毅視点~

 

僕たちは突如として集まってきた趙軍に取り囲まれ,あえなく縄で身動きが取れなくされてしまった。

 

どうやら,李牧殿たちは趙軍の関係者だったようだ。

 

特に李牧殿は趙国の大将軍である三大天に新しく就任した男だという。

 

くっ,彼らの同行を許可した僕の判断が間違っていた……!

 

そのことで然殿がまた何か諍いを起こさないかどうかが心配だったが,拍子抜けするほどに素直に捕縛されたことには驚き半分,安堵半分といったところだ。

 

むしろ『ほら,もっとキツく縛らないと抜け出せてしまうぞ』などと言い始めた時はどれだけ肝が据わっているのかと呆れたものだ。

 

だが,そのおかげで少し冷静さを取り戻せた。

 

彼らは僕たちを害するつもりはなく,戦が終わり次第開放すると言っていたが,その保証はどこにもない。

 

何か手立てはないかと思って周囲を見渡すが,見えるのは周囲の景色と僕たちを監視する趙兵だけだった。

 

先ほどから戦場の方角の騒ぎが大きくなっていることから,李牧殿が率いる趙軍はここからそう遠くない場所で行われている秦趙の戦に介入したのだろう。

 

くそっ! 周りには何人もの趙兵がおり,逃亡は現実的ではない。

 

このままでは先生にご迷惑をかけてしまうことになるかもしれない……!

 

僕は無力感に苛まれていた。

 

……しかしそんな中,僕の耳は隣から微かな声を拾っていた。

 

「そろそろいいか……」

 

そこには,縄でこれでもかと縛られて素顔も晒した然殿の姿があった。

 

然殿は縛られると共に李牧殿の手によって仮面を剥がされてしまっていたのだ。

 

それと,李牧殿は彼の顔を知る者がいないか周囲にしきりに確認していたのが印象的だった。

 

周りの兵も特に見覚えがなかったようでそれ以上のことは起こらなかったが,あれはいったい何だったのだろうか?

 

僕がそんな風に考えている間に,いつの間にかモゾモゾと音がすると思って再び隣を見ると,僕は吹き出しそうになった。

 

 

――そこでは然殿が力みながら,然も当然のように自分を拘束していた縄を無理やり引き千切っていたのだ。

 

 

そのまますっくと立ちあがり,あろうことか自由になった彼は堂々と最寄りの趙兵に近づくと,こちらに背を向けていたその男の肩を叩いた。

 

「もしもし?」

 

「ん……? なッ!? 貴様いつの――」

 

驚愕するその趙兵だったが,残念ながらそれ以上何かを言うことは出来なかった。

 

「そいッ!」

 

――ゴキッ

 

彼は,振り返った直後に然殿に首を蹴り折られてしまったのだ。

 

一瞬の内に起こった衝撃の光景に唖然としている僕を無視して,然殿はその勢いのまま周囲にいた数人の趙兵を瞬く間に制圧すると,こちらに戻ってきた。

 

「いや~不甲斐ない護衛でごめんね。よっと!」

 

そう言いながらその場にしゃがむと,僕たちに巻かれた縄を先ほどのように軽々と千切っていく。

 

……納得できない部分もいくつかあったが,とにかくこれで逃げる目途がついた。

 

あとは移動手段だ。運が悪ければ僕たちの馬車は恐らく破壊されたか持ち去られているだろうから,別の手段を探さなければならないだろう。

 

それから順番に僕たちの縄が解かれていき,全員分が終わろうかといったところで近くにいた同僚の1人が声を上げた。

 

「あっ!? 向こうにも趙兵が!!」

 

それに釣られて彼の視線の先を追うと,僕たちが拘束を解いたのを見てしまったのだろう趙兵が3騎ほどここから離れようとしていた。

 

しまった! 周囲にも隠れていた趙兵がいたのか!!

 

流石に応援を呼ばれると脱出が難しくなるぞ!

 

しかし,同じくその様子を見ていた然殿は慌てることなく,城の端まで移動するや否や大きく息を吸い込んだ。

 

一体何をするつもりなのかと訝しんでいると――

 

 

「源さァァーーん!!」

 

 

そう叫んだ直後,馬に乗って駆けていた趙兵たちは森の中から突如飛来した矢に纏めて貫かれ,勢いそのままに矢の軌跡の直線状にあった大木に縫い付けられた。

 

その光景を見てまたもや唖然とする僕たちだったが,しばらくすると矢が飛んできた森の中から源殿が馬と共に現れた。

 

この時点で僕は理解が追い付いていなかった。

 

源殿がなぜここに!? いや,それより然殿が落ち着いていたのはこれを見越していたのか!?

 

あれこれと考えが浮かんでくるが,もはや頭が真っ白にならないようにするのが精一杯だった。

 

そんな僕の混乱に構わず,彼はそのまま素早く僕らのいる山城跡まで登って来ると,然殿と話し始めた。

 

「……すまん,あの李牧とやらを獲るのは難しかった」

 

「いや,全て俺の想定不足のせいだ。中途半端にやったせいで過剰に警戒されたな,あれは。それにしても……ハァ,あの仮面気に入ってたんだけどなぁ……李牧め,最北の兵で俺の顔を知る奴なんているかよ……」

 

なにやらブツブツと独り言を言い始める然殿だったが,少し経って気を取り直すと話を続けた。

 

「……おっと,それよりもよく見つからずにここまで耐えてくれた」

 

「ああ,奴らと合流した際の若の合図が見えたのでな…………何か考えがあるのだろう?」

 

「??……………………ああ,勿論だ」

 

然殿は少し溜めてからそう言うと,コホンと一つ咳払いをしてから再び口を開いた。

 

「早速だが源さん……ここより見える戦場の奥の方で十弓の魏加が王騎将軍を狙っているはずなんだ。お前なら届くか……?」

 

それを聞いた源殿は少し驚いたような表情を見せる。

 

これには僕も驚いた。てっきりこのまま素早く離脱すると予想していたのだが,あろうことか戦に干渉しようとしているのか!?

 

そもそも李牧殿が率いていた趙軍が突然乱入したことで,あの戦場は渾沌と化している。

 

ここからでは戦場の一部にぽっかりと空いている場所があるのが見えるくらいで,誰かが一騎打ちをしているのだろうと予想できるくらいのものだ。

 

一体どうやって戦場の様子を把握したのだろうか?

 

それに,彼であればいくらでも言い逃れできるだろうが,そもそも許可なく戦に加わることは場合によっては罪に問われることもあるような大問題だ。

 

だが源殿は驚いたのも一瞬で,その言葉を欠片も疑う様子もなく平然と答える。

 

「あの魏加が…………だが難しいな。流石にくっきりと見えはせんがわかる。この高さがあってなお当てることすら叶わんだろう」

 

源殿は苦し気にそう言うが,それに対して然殿はとくに驚いた様子もなく話を続けた。

 

「だろうな……ではそれより手前で王騎将軍と斬り合っているだろう襤褸を纏った長髪の男はどうだ?」

 

そう言われた源殿は黙り込んでしまった。

 

それを見た然殿は少し考える素振りをすると,こちらに話しかけてきた。

 

「そうだ……軍師河了貂,ちょっと」

 

まさか呼ばれると思っていなかった貂は驚いていたが,もう一度手招きと共に呼ばれると,おずおずと彼らの横に並んだ。

 

そのまま話を聞いていると,どうやらその視力を買われて源殿に情報を与えて欲しいようだった。

 

「……それから補足だが,恐らく龐煖は王騎将軍との一騎打ちに夢中で矢を避ける余裕はない。今が最大の好機だろう」

 

然殿がそう付け加えると,河了貂は戦場に目を凝らし始める。

 

それから源殿は河了貂に一言二言尋ねると,おもむろに口を開いた。

 

「…………本当に当てるだけになる。それ以上は期待できん」

 

「十分だ……だが源さん,これはお前と魏加との間接的な対戦というだけじゃない。かの天下の大将軍王騎の命運を決め得るものだ。3年前のあの戦……神弓"馬朱離"との対戦にも劣らぬ重要な一射になると心得てくれ」

 

「……!! …………うむ」

 

その2人の会話を受けて僕は考える。

 

3年前の戦……それに馬朱離だって?

 

――もしや魏の信陵君による合従軍か!!

 

まだ秦の大王が先代の"荘襄王"だった当時,魏の政情不安につけこもうとした秦国は魏国に攻撃を仕掛けた。

 

しかしそれに危機感を感じた魏の安釐王は,戦国四君の1人でもある弟の信陵君に縋ったのだ。

 

信陵君はその名声で韓・趙・燕・楚からの援軍を迎え入れることに成功し,それらを率いて秦国に逆襲を仕掛けた。

 

それに対して秦国側は僕の祖父でもある蒙驁将軍が麃公将軍と連合を組んで,秦以外の斉を除く七雄が揃う5か国合従軍と黄河南部で対峙した。

 

結果としては双方痛み分けのような形で幕を閉じたが,確かその戦の中では魏の最強弓兵として"神弓"の異名をとる馬朱離と,秦の最強弓兵として知られていた蒼源殿による打ち合いが行われたはずだ。

 

2人の打ち合いは日を跨ぐ長期戦となり,最終的に蒼源殿が放った一射が馬朱離の胸を貫いたことで決着したと聞いている。

 

その結果として,蒼源殿は燕の"仙手備"や趙の"青華雲"と並んで中華十弓でも上位三人に入る実力の弓使いと認められたのだ。

 

もしや,源殿があの蒼源殿なのか!?

 

――ということは,彼が若と呼んだ然殿はまさか!?

 

僕がそう思い返している間に,源殿が背負っていた革袋に手を入れたかと思えば,次の瞬間にはその手には特徴的な形をした大弓が握られていた。

 

「久しいな,それを見るのは……やはり持ってきていたのか」

 

「……若の付き添いゆえ万が一にと思ってな。加えて今日はほどよく乾いており気候も良い……これは天祐やもしれぬ」

 

2人が何のことを話しているのかは分からないが,もしかしたらそれが例の戦で使用した弓なのかもしれない……。

 

然殿が後ろに下がりながら僕たちも続くように促すと,源殿は最後に河了貂と幾度が話した後,戦場となっている方角を睨みつけた。

 

「いざ――」

 

そう呟くや否やその弓に丁寧に矢を番えると,ゆっくりとそれを引き絞った。

 

その間,彼の驚異的な集中力によって滲み出る威圧感を受けて,僕たちは誰一人として言葉を発することが出来なかった。

 

――そのまましばらくの時間,静かな空間に弓矢の音だけが響く。

 

そして次第にキリキリと弓の弦が悲鳴を上げるようになり,もう無理だと言わんばかりに音が高まった次の瞬間――

 

 

――ドゴンッ!

 

 

およそ人が生み出したとは思えない程の轟音と共に放たれた矢が,周囲の空気を切り裂きながら戦場へとまっすぐに飛び出した。

 

それを見た僕たちは一目散に蒼源殿の近くまで駆け戻ると,矢が飛んだ方向を懸命に目で追った。

 

それから少しの間,自分が見ても結果は分からないにも関わらず僕の意識は矢の行方に釘付けとなっていたが,隣で同じ方向を見ていた河了貂が零した言葉は聞き逃さなかった。

 

 

――『当たった』と。

 




蒼源さん主人公説ゥ……いや,気のせいだ!
次回は戦後の話になります!

それではまた!('ω')ノシ
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