神様。これは、寝ている最中に思い返す。どうでもいい記憶。
「二人ってさ。仲いいよね」
とは、一つ年下の猫目のウマ娘から言われた言葉。
今年で小学生六年生になったハルウララと私は、お互いに顔を見合わせて、それから同時に口を開く。
「そうかぁ?」
「うん! 仲良しだよねっ!」
もう一度顔を見合わせる。眉毛を曲げて視線を寄越しても、相手のニコニコ顔は変わらない。
私はウララの仲が良いなどと言われてもピンとは来なかった。
「ウララは誰とだってこういう感じだろ」
と、目の前の花丸笑顔に指をさしながら私は抗議してみる。
「でも、ディオスちゃんとそんな風に引っ付いてる子なんて。ウララちゃんくらいよ?」
なんて事を言いながら、猫目のウマ娘はわざとらしく両手を広げながらこちらに近寄ってくる。私は反射的に掌を前に出して、制止する。
「……ほら」
ちょっとだけいじけたような声色。でもニヤニヤ顔。それを受けて、私はムキになって言い訳する。
「仲良くない! 学校だって違うし、付き合いなら猫目やキング相手の方が長い!!」
ウララに指差してそう力説すると、猫目はおろか。ウララの方さえキョトンとした顔をしている。
ウララは先の私のように困っているように眉を曲げると、頭をコテンと傾げながら問いかけてきた。
「……仲良くない?」
その眼差しに、私はウッと怯んでしまう。彼女のキラキラと輝く瞳がこちらを見据えてくるから、どうにも落ち着かなくなる。まるで、こちらが悪者のようじゃないか。
そんな中で私が選んだ答えはこうだった。
「……ごめん、嘘。からかわれてるように感じたから、ムキになって言い返してた」
そう返すと、ウララは嬉しそうに顔を綻ばせた。
「よかったぁ~!」
その笑顔に私は思わず唇を噛みしそうになりながらも……先の繰り返しにならないように、妹か弟をあやす気持ちでウララの腕を手に取って、引き寄せる。
「やっぱ仲良いじゃない」
と、猫目のウマ娘が呆れたように言う。
「そうか?」
そんな甘い記憶の中から、目覚まし時計の音で目が覚める。
「……もうちと遅い時間に設定しておけばよかった」
なんて、私は独りごちる。
寝る前に変なやり取りをしたせいだろう。妙な夢を見てしまった。
小学生の頃は、恥ずかしがる事もなく抱き合えたものだが。中学三年生となった今となっては、人前でそんな事は気安く出来ない。
――寂しい。
空虚な感情が胸の中に巣くう。ウララとの関係性に限ってだけは、過去に戻りたい。小学生の頃の方が、彼女と上手く触れ合えていた気がする。
『だからね。ディオスちゃんが寂しい時は、ウララがお母さん役してあげる!』
「…………」
彼女の言葉を思い返しながら、わずかながらに期待を膨らませながら、私はのっそりとベッドから起き上がったのだった。