呪術廻戦トロフィー[新たな呪術の聖地]獲得RTA【追加DLCあり】 作:片腕のシオマネキ
今更ですが筆者≠RTA走者≠ホモ君です。
またまた今更ですが誤字脱字報告、感想、評価、ありがとうございます。めっちゃ助かっています!
「虚式 茈」
再度放たれる仮想の質量。一度目と同じく地面をえぐりながら豊一に迫るがこちらも再度結界に再度阻まれて止められた所を、豊一の術式反転によって呪符と呪力に分解される。
(あの結界、普通に攻撃をはじいているんじゃなくて無下限みたいに空間を弄って遅くしているみたいだな。アイツお得意の時間制限とか移動不可とか色んな条件を結界につけてるやつだろ)
五条の特殊な眼は結界の効果を看破する。
通常、五条の茈は並大抵の者であれば一撃で決着がつく文字通りの必殺技なのだが、手の内を知っているであろう豊一は対策済みであった。
だが一つの技が潰されただけで何もできない最強ではない、最強も相手の手の内を知っている。
「術式順転 蒼」
「!」
次に放たれたのは無下限の引き寄せる力を強化した蒼。周りを暴力的に吸引する力は豊一を結界から引きずり出し無防備にする。どうやら結界は飛んできた物を遅くすることのみに重きを置いたもので結界外からの力を遮断するものではなかった。
瞬時に距離を詰めた五条が無防備な豊一に拳を振るうが当たる寸前に豊一は真横に引き寄せられて距離を取る。吸い寄せられた後ろにはいつの間にか豊一の極ノ番が起動しており、吸い込み後の爆発も相まって再度距離を取られてしまう。
(厄介だな。豊一を倒すこと自体は時間をかければ余裕だろうが、豊一は傑を逃がすまでの時間稼ぎに徹してる。普通なら無視安定だが…)
周りを見てみればいつの間にか張られている帳。
外縁を殴ってみたり、携帯で外に連絡を試してみるがどちらも望んだ結果は得られない。
そんな五条を見ていた豊一が煽るように問いかける。
「言い忘れてたがこの帳は侵入可能で脱出不可能。内側の核を探して壊すか術者を殺すかしないと解除出来ない帳だ。さぁ、どうする?」
「じゃあオマエをサクッと倒して核を奪い取るだけだ。内側にオマエがいるならどうせ自分で持ってんだろ」
五条はそう啖呵を切って再度掌印を結ぶ。
「“九網” “偏光” “烏と声明” “表裏の間” 虚式 茈」
今度は呪詞を唱えてから放つ120%の茈。
出力は先ほどのものとは一線を画し、仮に結界があっても防ぎきれないであろう暴威が豊一に迫る。
「“暴れ河” “八雲” “八重垣” “
だが、豊一も掌印を結び、呪詞を詠唱して威力を増幅させた極ノ番をぶつける。仮想の質量と無限に吸い込む力はわずかにであるが豊一の極の番が押し負けていたが、豊一の極ノ番は吸い込んだものを
「さっきから秘伝の茈の連発に呪詞の完全詠唱、三級術師相手に必死だなぁ、五条。最強とかもてはやされてナマったんじゃないか?」
「ぬかせ、そっちこそさっきから大技の連発で苦しいんじゃないか?」
豊一の煽りに五条も煽り返すが豊一の表情は崩れない。夏油が呪霊の主従制約について隠していたように豊一も周囲に術式の高燃費さ、―――燃費が悪いのは呪符を創る時であり、使うときにはたいして消費しないこと―――について噓を信じ込ませている
だがそれだけでは埋まらない実力差が二人にはある。だが、それを理解して尚、豊一は煽る。
「こっちの術式や結界がめんどくさいのに領域を使わないのは押し合いに自信がないって言ってるようなもんだよ」
「安い挑発だな。まぁ、めんどくさいから使ってあげるよ…手負いの傑ならあの式神の護衛があっても術式なしで十分殺せるし」
五条が再度掌印を結ぶ。先ほどとは異なる掌印と呪力の起こり、それらが合わされば六眼を持っていない者でも次に来るものがわかるだろう。
だが、豊一は敢えて五条の方に歩み寄った。
「もう勝った気か?いいよ、試してみな」
その強気の姿勢から五条は領域の押し合いを予想する。
(だが、いくら豊一が結界術のスペシャリストとはいえ、術式の格が圧倒的に違う。仮に押し合いに強い領域であったとしても領域の押し合い中に
『領域展開
展開される宇宙空間のような煌めき、無限回の知覚と伝達を強制し、相手を行動不能に追い込む非常に対人間に効果的な領域。
それを塗り潰そうと、追って別の領域が出てくると思った五条は肩透かしをくらう。
「簡易領域」
豊一は領域を出さなかったのだ。いや、正確には簡易領域を展開することで無量空処の術式効果からは逃れたのだった。簡易領域の範囲を最小にし、強度を高めるため、胴を起点に義足をカバーしないギリギリの面積で耐える様は正に弱者の領域であった。
球形の簡易領域は領域の必中効果を打ち消してはいるがそれもガリガリと音を立てて削れている。
「成程、無限に情報を与えて処理落ちさせる、DDos攻撃みたいな領域か」
そんな簡易領域の様子を気にせず結界術の才能と興味故か領域に付与された効果について吞気に解析を行う豊一。
「吞気だな。今際の際だぞ」
豊一は五条が近づいても碌に抵抗せず、胸ぐらをつかまれる。中距離主体の豊一からすれば絶体絶命の状況であるが余裕は崩れない
「だいたいの領域は内→外の力には強く、外→内の力には弱い。この領域もそうであってあって安心してただけだよ。存分に食らえ」
瞬間、領域の外殻が四方それぞれ外側に引っ張られて崩壊する。
(極ノ番の遠隔起動!?それも複数)
五条が気を取られたのは一瞬だった。だが、その一瞬を作るために無謀な賭けをした豊一はそれを見逃さなかった
「術式反転!」
五条の掴んでいた右手は肘まで呪符に分解される
「――っつ!」
解放された豊一はそのまま畳み掛ける。術式反転を付与した拳で、平手で五条の分解を行う。
五条も術式抜きでも驚異的なレベルの体術を持っているが反撃が出来ていない
(呪力でガードしても分解が効いてくる!領域勝負を持ち掛けられた時点で無下限を使用不能に追い込むことが目的だったのか!)
焼けついて使用が困難な術式、直しきれていない片腕、伏せていた対人間への術式反転の威力と極ノ番の遠隔&複数起動。これらの要素によってやっと、この一瞬だけは豊一が五条の命に手をかけることが可能となったのであった。
だがしかし、それだけで届きうるのであれば最強の称号は務まらない
久方ぶりの自分の命が脅かされる状況、五条はこれに順応してみせたのだった
領域が崩壊して1分後。未だ焼け切れた術式は回復していないはずの状況だったが唐突に豊一の拳が五条の手前で止まった。
「!?」
五条は豊一の攻撃を耐えながら自分の脳の術式が刻まれた部分を自身の呪力で破壊し、即修復という一歩間違えれば廃人になる離れ業を土壇場で決めたのであった
早すぎる術式の回復に困惑した豊一の隙を見逃さずにそのまま反撃に移行する。呪符を取り出して何かアクションを起こす前にその手を潰す
「させねぇよ」
苦し紛れに突き出された拳もそもそもの体術のレベルが違うため、いいようにあしらわれ、逆に無下限を使った、拳に吸いつくようなカウンターを決められてしまう
(術式が回復した!?早すぎる!…だが、まだやりようはある!)
豊一は義足の片足に呪力を爆発的に込める。その呪力によって格納されていた呪符は全て焼き切れ、顕現し、義足の格納できる容量をはるかに超えて辺りにぶちまけられる。
ナイフ、包帯、拳銃、固形燃料、偽造パスポート、大岩、時計、鉈、スピリタス、手榴弾、ウクレレ、日本刀、スマホ、傘、軽トラ、ハンマー、コップ、フラッシュバン、義足、大量の水、段ボール、薙刀、土のう、弓矢、ガスバーナー、ビー玉、ライトマシンガン、ガソリン缶、ハンガー、モーニングスター、ぬいぐるみ、ダンベル、スコップ、etc.etc.
文字通り身を削った一手は辺りに雑多な物の土石流を生み出し、その出現の勢いで少しではあるが五条との間に少しの距離を稼ぐことが出来た。
豊一はその隙に結界を展開しようとするが五条はそれを許さずに追撃を与えるため、物の土石流を乗り越えて距離を詰めると再度掌印を結ぶ
(詰める前に腕、直せよ!!)
(直すかよ!!厄介な呪符のストックは大半を吐き出させた。時間を稼がれて新しく呪符を作られる前に倒しきる)
「領域展開 無量空処」
本日二回目の領域展開。本来はころころ変えるのは不可能に近い領域の条件を変化させ、今回は領域の外側からの力にも強くする。その分内から外への耐久力は弱くなったが、脱出される前に倒し切ればよいと五条は速攻で仕留めにかかる。
しかし、五条は意識の外に追いやってしまったのだった。豊一にも領域は使えること、そして押し合いに特化した領域である可能性に
「領域展開
五条の領域が押し返され、星の煌めきは彼方へ遠ざかる。代わりに領域内を満たしたのは白だった。
咄嗟に簡易領域を展開するが何かがおかしい
(簡易領域が押し合いをしない?)
通常、五条の領域を押し返せるほどの領域であれば簡易領域も押し合いによってすぐさま剝がれ始めるがいくら身構えてもそれが起きない。
「なんでって顔してるな。説明してやるよ。」
(術式の開示か…)
「この領域には術式が付与されてない。そのおかげで押し合いには滅法強いが必中効果が発生しないし、この状態じゃ簡易領域との押し合いが発生しない。なんてったって簡易領域が中和するものがないからな。だからこれから術式を展開するんだ。」
そう言うと豊一は呪符の束―――封入式の簡易領域の呪符―――を焼き切りながら掌印を結ぶと足元から蠢く黒があふれ始める。正確に言えばそれはただの黒ではない。文字が波のようになって溢れ出したのだった。
溢れ出した文字の奔流は五条ごと簡易領域を飲み込み、瞬時に簡易領域を全て剝がしきって本体にも襲い掛かる。簡易領域を剝がして尚、襲い掛かる文字の波がかかった所は先ほど分解された腕のように呪符に分解されている
(くっ!必殺だけじゃなくて必中効果を外したうえに、自分も簡易領域を使わないとならないあたり、自分にも当たるようにして使いやすさも捨てて術式の拡張性と出力を何倍にも引き上げてるのか…!?)
「初撃で達磨にするつもりだったが、耐えられたか。ならば
「“
豊一は領域の出力を後追いの呪詞詠唱でさらに上げる。五条の術式回復の仕組みはうっすらと理解しているが無下限ですら侵食出来るまで効果を引き上げれば問題ないと判断したためである。
呪詞によって増幅された術式効果は豊一自身の簡易領域も恐るべき速さで侵食しながら五条に襲い掛かる。触れたならばニュートラルな無下限だけでなく茈ですら豊一に届く前に分解されてしまうほどの分解効果を持った文字の波が五条に迫る。
だが、これに対して五条が取った行動は防御ではなかった。
「虚式 茈」
五条は真上に、未だ黒に侵食されていない領域の上側に茈を撃ったのであった
豊一が呪詞詠唱をしている間、五条は術式の焼け付きを回復しているだけではなかった。
六眼によってこの領域の条件付けについても解析を終わらせていたのだ
(多分豊一の領域は開示された条件だけじゃなく、単品じゃ出入り自由の引き算もされてる。だけど…いや、だから対領域では恐らくこっちの外郭を利用した外郭になっているはず!今回の外殻なら…)
茈が領域の上部に触れるといとも容易く領域は破壊される。なぜならこの度の領域は外からの力に強い代わりに内側からの力に弱いのだ。
もし仮に豊一が閉じない領域を習得していたのならばそのまま五条を呪符へと変換することが出来ただろうが領域が崩壊すると同時に文字の波も形が保てなくなり、地面にこびりつくシミへと変わる。
「今度は一回目の領域後と逆になったな」
「じゃあ、こっからこっちが逆転するってか!」
相手に直されてしまった術式、9割方使い切った呪符と半分しかない義足、残りが僅かな呪力量と圧倒的に不利な状況だが豊一の目は死んでいない。
(ハッタリだろ!)
そんな豊一の様子を虚勢と判断した五条は距離を詰める。豊一が残り少ない呪符を焼き切りながら投げつけてくるが何れも無下限に阻まれて五条に届くことはない
(だいたい呪符は吐き出させたと思ったがまだこんなに持ってたか!だが、この距離で術式があれば問題なく殺せる!)
五条が急速に距離を詰めて拳を振りかぶる。
接近された豊一がやぶれかぶれで投げた呪符も五条の無下限を突破することはできないだろう
それが無限に適応済みの特級呪具、天叢雲の呪符でなければであったが。
「は!?」
呪符が焼き切れると同時に現れた見覚えのある呪具に一瞬気を取られる
つい数時間前に新宿で破壊した、無下限ですら貫通する異質な呪力。
それまで回避しようとも意識しておらず、気が付いた時には回避不能だった
グサッ
五条の腹に天叢雲が突き刺さる。無論それだけで倒せる相手ではないことは理解している豊一は、残った義足で五条へ飛び込み、そのまま天叢雲によって無下限を解除された五条の首を手に持っていた呪符ごと掴んで後ろに押し倒し、マウントポジションをとる。
「僕の勝ちだ」
「詰みか…まさか豊一にやられるとはね」
「まだ、術式が復活してないかもしれないぞ」
「六眼を使わなくても自分の首に突きつけられてる呪符には見当がついてるよ。どうせ術式反転の効果を持たせた呪符だろ。一回目に領域使わなかったのはこの刀の適応のためか」
「両方正解。刀の方は保険だったんだけど最強に出し惜しみは出来なかったみたいだな」
「負けた奴への嫌味か?」
「いやいや賛辞だよ。それよりも今後の話をしようか。」
豊一は天叢雲を五条の腹から抜き取って瞬時に反転術式で腹の傷を塞ぐ。そのまま呪符に分解されかかっている部分や呪符に分解された腕も呪符からの顕現と反転術式で治してゆく。
本気を出し切れなかった部分は有ったが時間や病によって死ぬよりはマシだと現代人とはかけ離れた考えで死ぬ覚悟を決めていた五条は困惑した
「何のつもりだ?」
「治療だ。じっとしてろ、片足だから動くとうまくできない」
先程まで殺しあっていた相手に治療され、困惑する五条をよそに豊一は一通りの治療を終えると居直ってから土下座をする。更に困惑する五条をよそに豊一は頭をこすり付けながら嘆願する
「五条。頼みがある。」
「…憂太は殺させないよ。それに非術師の皆殺しとかも協力しないよ」
「違う。出雲の術師、特に夏油と敵対しないでほしい。あと、僕はそっちの手段を取る気はない」
「は?お前も傑の一派じゃないのか?」
予想外の斜め下の願いに驚く五条に豊一はこれまでのことを全て話す
夏油がまだ高専にいた時からの経緯や夏油と自分のスタンスの違い、そして今後の展望全てを話した。
「…じゃあ要約するとお前はお前のやり方で呪霊の生まれない世の中を作るつもりで、傑を取り込んだから上層部を何とかしてほしいってことか」
「ああ。更に言えば夏油と中途半端に通じてたのはアイツが今回みたいな大規模なやらかしをするのを防ぐつもりだったんだ。そのために戦力や影響力を高めてたんだけど…アイツを制御も出来なかったし、止めることも出来なかった。むしろ逆効果だった。」
豊一は自身の行動を振り返りながら自嘲気味に呟く。
そんな豊一の様子を見て、少し考えた後に五条は答えを出したのか立ち上がって夏油の行った方向と逆を向いて歩き出す。
「わかった。敵対しないし、傑は殺さない。なんだったら上層部に傑の事は認めさせてやる」
「いいのか!?自分で言ってても怪しい要素満点だったけど信じてくれるのか?」
「もし仮に傑みたいに非術師皆殺しにする気ならさっき殺してただろ。…あとお前が縛りを結ぼうとしないって所が信頼出来た」
背中越しにそう答えた五条はどうやら乙骨たちの方に行くらしい。展開していた帳を解除すれば術式で瞬時に飛んで行った。
最強との交渉を終えた豊一は一息ついて、あることに気が付く。
「…これどうやって回収役の幸吉*1に拾ってもらうかな…」
豊一は義足や呪符がなく、呪力もすっからかんのため、碌に一人では動けない事を忘れていたのだった。
この後豊一は1時間ぐらい寒空の下に放置されたあと、五条によって全部チクられた真希と棘と乙骨にボコられてから回収役のメカ丸が探しに来るまで子供達に説教されてました。
次話かその次くらいでRTAは完走する予定です。
完結自体はもう1話くらい使うかもしれません