極東転生者、テラに生きる   作:野菜大好き丸

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プラモVS大会

「あ、ドクターだ」

「ほんとだ。おっすドクター」

 

 ある日のロドス本艦。いつものように仕事をこなし終えて、気分転換に廊下を散歩している黒フードの人物―ドクターは二人の少女に声を掛けられた。

 

「こんにちはウタゲ、キララ。見た所、これからお出かけかい?」

「うん」

「そうだよー。これから龍門に向かうんだー」

 

 二人の少女―ウタゲとキララは荷物を持ってまさにお出かけしてくる装いだった。ドクターはそこにちょっとした疑問を感じ取った。活発的なウタゲはともかく、普段はゲームや漫画などで自室や休憩室で過ごすことの多いキララがこうしてお出かけするのは珍しかった。

 一体龍門で何かあるのかと思い、ドクターは彼女達に興味本位で尋ねてみる。するとキララが「これに行ってくるんだ」とカバンから取り出したチラシを広げてドクターに見せた。

 

「……プラモフェスティバルin龍門?」

「そうそう、あたし達そこに行ってくるんだー」

「プラモデル作品の展覧会とか、プラモVSの大会がそこで行われるんだ」

「あ、プラモVSは少し聞いたことあるな。確かアーツ技術を応用してプラモデルを動かして戦うものだったかな?」

「うん」

 

 プラモVS。それは数年前に極東で生まれ、自らが作成したプラモデルを動かし戦うエンターテインメントであった。当初はプラモデラーなどのマニアックな層が支持をしていたが、公式が公開した試合動画などで徐々に極東の一般人にも認知され人気が出始める。今では少数ながらも炎国、遠い地域ではクルビアまでもが影響を受けているとかで、ロドスでも一部のオペレーターが話題にしていたのはドクターも聞いたことあった。

 

「にしてもキララはわかるが、ウタゲもこういうものに興味を持っていたのは驚いたな」

「意外にやってみるとネイルデコみたいで面白いんだよね。でもあたしはカジュアル勢で楽しんでるかな。キララはガチ勢として片足踏み込んでるけど」

「ウ、ウタゲったら……もう」

「ふむ……つまり今回の目的はキララが大会に出場するのか?それでウタゲが付き添いで着いて来るといった感じかな?」

「え?違うよドクター。私大会に参加しないよ?」

「……え?」

 

 キララの思わぬ返事にドクターはぽかんとした声を上げる。

 

「私達は観客として招待されたんだ。大会に参加する極東の友人からね」

 

 

 

*******

 

 

 

 プラモフェスティバル龍門会場―プラモVS大会ブース。各々の選手達がバトルスタジアム越しで対面し、スタジアム上では各々の機体(プラモデル)が接戦を繰り広げていた。

 

「いけえぇぇ!!」

「なんのぉぉ!!」

 

 あるスタジアムでは選手の叫びと同様に鎧武者と騎士の機体が剣と刀の鍔迫り合いで激しく火花散らせる。拮抗しているかと思いきや鎧武者の機体が身を引いて騎士の機体のバランスが崩れる。その隙を逃さず鎧武者の一閃により騎士の機体は腹部に深い裂傷を負い、機能停止し決着がついた。

 

 一方、別のスタジアムではジェットパック装備の人型機体と浮遊している二腕の異形な機体が空中でドッグファイトを繰り広げる。人型の機体が銃火器で攻撃するも、装甲が厚いのか二腕の機体にはビクともしない。そして二腕の機体が腕を射出しジェットパックの足を捕らえ、自らの内に引き寄せる。人型は拘束から逃れようともがいても爪が脚に食い込んで逃げられず捕まり、ついには二腕の機体によるベアハッグで機体がひしゃげ折られてしまった。

 

 

「うひゃ~すごいねあのゲテモノ機体。エグイよあれ」

「ふむ、あの鎧武者の動き。中々良い動きをしておる」

「ひょわぁ~、初めて見ましたけどこれが噂のプラモVSですかぁ。どの機体も凄いですね。造形や武装は科学者として勉強になります」

「にしても今回の大会、いつもよりレベルが高い気がするよ。大丈夫かなぁ……?」

 

 観客席のあるエリアにてウタゲとキララ、彼女達の保護者役としてアカフユとスノーズントが白熱した試合を観戦していた。ウタゲ達に送られた入場券は四枚あり、彼女達の友人が気を利かせて保護者分として追加で二枚送っていた。

 残った二枚の内1枚は、彼女達が同じ極東出身であるアカフユに保護者として事前に頼んでいた。残りの1枠は当初ドクターが行こうとしたがロバウサギ(アーミヤCEO)の仕事追加により泣く泣く同行を諦めた。

 ウタゲとキララは残り1枠をどうしようかと考えていた所、偶然通りかかったスノーズントを見かけた。彼女を誘った所、運良く彼女の予定が空いていたおり、彼女自身は科学者としてプラモVSに興味津々だった為そのまますんなりと同行してもらえることになった。

 

「それでウタゲとキララよ。お主達の友人はどこだ?」

「え~と、次が第8試合だから……うん、この試合だね」

「第8試合ですと、どうやらあのスタジアムで始まるみたいですよ」

「……あ、見つけた。あの人だよ」

「うん?どれどれ……む?」

「アカフユさん、どうしたんですか……え?」

 

 キララが指差す方向をアカフユとスノーズント見やると、二人は目を丸くした。なぜなら見つけた人物は鮮やかな青緑と白を基調としたパイロットスーツとフルフェイスヘルメットを装着していたからだ。

 この会場でもコスプレをしている選手は何人かいるが少数派であることに変わらなかったため、まさか目当ての人物がコスプレをしているとは保護者二人は思わなかった。

 

「ウタゲよ、あの者がそうか?随分と形から入った格好をしておるな」

「あーうん、合ってるよ。身バレ防止とモチベーション向上であえて行ってるんだって」

「私達はああいう突飛な行動するのは見慣れたけどね。そんなに気にしないでいいよ」

「それにしてもお二人のご友人さん、一体どんな機体を使うのでしょうか?」

 

 ウタゲとキララは友人の姿を見て相変わらずだと安心し、保護者2人は当人に疑問を思う。そして試合開始直前、司会者から選手の名が呼ばれる。

 

『さぁ第8回戦!ロッキー選手対、“極東の白い悪魔”ことサブカルチャー選手だぁぁぁ!!』

 

「「「「「ワァァァァ!!!!!」」」」」

 

「……“極東の白い悪魔”だと?お主達の友人は随分物騒な名で呼ばれておるな」

「ひょわぁ……でも、どうしてこう観客から歓声が上がるのでしょうか……?」

「それは──―あ、始まる」

 

 二人の選手が互いにスタジアムへと射出されるカタパルトに機体をセットする。機体がセットされたのを確認した司会者が息を整える。

 

『それでは8回戦!レディィ……ゴォォォ!!!!』

 

 二つの機体がカタパルトから射出し、砂漠ステージのスタジアムへと突入する。ロッキー選手の機体はずんぐりとした灰色の重装甲を纏ったキャタピラ装備の人型機体。名をパンツァービーストという。

 そして対するサブカルチャー選手の機体は──

 

『さぁ出ました!“極東の白い悪魔”を象徴する機体、ストライクブラン!あれが極東大会を二連覇した伝説の機体だぁぁ!!!』

 

「「「「「うぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」

 

 スタジアムに射出され飛翔しながら現れたのは白色が映える人型の機体──ストライクブランは背部に装備されている白色の巨大ブースターを勢いよく吹かせ、機体を半分隠す程の大きい盾を構えながら銃器―ビームライフルを構えて重装甲の機体へと向かっていく。

 

「ほう、彼はチャンピオンなのか」

「うん、サブカルチャー……もといブンカは極東のプラモVS大会を二連覇したチャンピオンなんだ。そして白い悪魔という異名はあの機体の特徴から、多くのライバル選手に畏敬の念を込められて呼ばれるようになったんだよ」

「あの機体、空中であんな自由自在に動くなんてどういう作りをしているのでしょうか。興味深いです」

「しかしプラモデルでこうも面白い戦いが出来るとは、私もプラモVSというものをやってみようか……?」

「お、アカフユも興味が湧いた~?確かプラモ教室のブースがあったからそこでプラモ組み立てられるよ」

「そうか。では後ほど向かうとしよう」

 

 パンツァービーストが放つ重火器砲撃を飛翔するストライクブランは余裕を持って回避していく。一方ストライクブランも手持ちのビームライフルで射撃を行い反撃していくが、ビームに強い装甲なのかあまり大したダメージを与えられていない。

 

「ありゃ、あの装甲結構固いね。並の装甲ならあのビームで貫けるんだけど」

「でも凄いですねブンカさん。サンクタの銃をああも再現しているなんて普通は出来ませんよ」

 

 互いに決定打を与えられていない中、痺れを切らしたパンツァービーストに変化が起きる。装甲のハッチが開き全身からミサイルを一斉掃射され、ミサイルの群れがストライクブランに襲い掛かる。

 ストライクブランは頭部のバルカンとビームライフルでミサイルを打ち落としていくが数が多く対処しきれず、打ち落としたミサイルによる誘爆の衝撃を受け、地面に墜落する。

 

 回避行動やシールドによる防御で直撃こそ免れている。体勢を立て直すストライクブランだが、パンツァービーストは第二射の構えを既に完了しており、そのままミサイルがストライクブランに向けて斉射される。

 

「うひゃ~さっきよりも大量だ~」

「ひょぁ!?あんなミサイルが来たらもう逃げられませんよ!?」

「ふむ、どう切り抜けるか見物だな」

「ブンカ……」

 

 迫りくるミサイルを前にストライクブランは迷うことなくパンツァービースト……もとい大量のミサイルの方へと突っ込んでいく。

 誰もが自殺行為かと思った瞬間、ストライクブランは急にブースターの推力で強引に宙返りし、地面の砂を大量に巻き上げた。巻き上げられた大量の砂は防壁となってミサイルを受け止め、爆発させていく。

 

 大量に舞う砂と爆煙で視界が悪くなり、パンツァービーストはストライクブランを見失う。パンツァービーストはセンサーとカメラで相手を探していると、センサーが前方から急接近してくるのを探知する。

 パンツァービーストは接近してくる何かに合わせて自慢の剛腕で叩き落した。「やったか」とパイロットは叩き落したものを見やると、それはストライクブランが装備していた大楯であった。

 

 仕留めたのは奴ではない。なら本体は……とカメラを見れば白い悪魔の顔がカメラに映し出されている。接近されたとパイロットは即座に反撃するためハンドルを操作するも同時にピーっという機械音がコクピットに発せられた。

 

 煙が晴れスタジアムが見えるようになると──、そこには刀身が赤熱したサーベルでパンツァービーストの機体を貫いたストライクブランの姿であった。

 

「凄い戦いでしたねぇ……」

「くっははは、実の面白い戦いであった!」

「いや~勝てて良かったよ」

「ひやひやしたよ、全くもう……」

 

『──勝者、サブカルチャー選手!』

 

 審判が勝者の名を告げ、会場は大きな歓声で湧き上がった。

 




・プラモVS
極東で生まれたホビーコンテンツ。要はリアルガンダムビルドファイターズ
ある日主人公がバイト先のチーフが発表してた研究論文を見て思いつき、チーフと共に生み出した。
(なお論文は著名(笑)な博士達に意味の無いものだと嗤われ、価値無しと切り捨てられた。現在は他者に掠め取られないよう、特許は主人公と企業の手で既に押さえている)
特殊な処理を施した源石粒子(感染対策済み)を原作のプラフスキー粒子みたいに扱って実用化に成功している。現在は源石無しでのプラフスキー粒子開発に尽力している。

バトルファイトがメインだが、コンテストやレースなど様々な遊び方で期待されている。


原作キャラについて
・キララ
陰キャオタクエーギル美少女。主人公の幼馴染にしてオタ友。原作と違い主人公との出会いもあってメンタル面は多少マシになっている。

・ウタゲ
種族不明(鵺?)のギャルで主人公とキララの学友。(おっぱいが)デカァァァァァいッ説明不要!!

・アカフユ
エーギルの女武士。プラモVSのバトルを見て血が騒いだ。

・スノーズント
龍門出身のリーベリの研究者。ひょわぁ。研究者として運よくプラモVSの大会を見れてうれしい。

・ドクター
まだ休んじゃだめですよ?(byロバウサギ)
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