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食欲が無い中、どうにか昼の軽食を済ませて、調理実験をすべくキッチンに立っている。
「なぁ……異世界の一般人って、本当にオーク肉を食ってたのか?」
魔物を食う習慣が無いので、異世界人の二人に改めて聞いてみた。
「ええ、日本で言う所の米と同じぐらい大衆に馴染みのある食材だったわ」
「魔族の住民も皆、オーク料理大好きでしたわよ」
異世界において魔族、人間種のどちらにも愛される食材らしい。
俺的にはあんなグロイ解体作業した後だと余計に食べる気になれないんだが。
千葉生まれ千葉育ちアイラブ千葉の俺としては、二足歩行の生き物を食うのって抵抗感とか忌避感がハンパない。なんかチバチバし過ぎだろ俺。
ここは考え方を変えよう。今から調理するのは、たまたまダンジョンで二足歩行していた猪だ。猪は畑を荒らす害獣。故に何も問題は無い。猪で思い出したが、ウリ坊って可愛いよな。
……ダメだダメだ。可愛い猪を連想するな、忌避感が増しちまう。
気が進まない中、空間収納からオーク肉、赤身に脂肪分がバランス良く乗った部位を取り出して、まな板の上に置く。
……取り敢えず血抜きからだな。
現状、解体間もない肉なので十分な血抜きが出来ていない。
「ルーメリア、魔法で血抜きしてくれないか」
吸血鬼の魔王様に頼むと、肉に人差し指を置き『ドレイン』と唱えた。すると、余分な血がみるみるうちに抜き取られる。
コイツの操血魔法って汎用性高すぎだろ。
「じゃあ、試しに何か作るわ」
まずはハンバーグでも作ってみるか。
包丁でひたすらに肉を薄くスライスしていく。次にスライスした肉を重ねて、細切れにする。これで挽肉が完成。
出来たてのオーク挽肉を、ドバッと10人前程ボウルに入れる。
塩と胡椒を振りかける。ナツメグも適量摘んで入れる。
最後に卵を投入して完全に混ざるまでコネコネする。
コネ終わったら、10個分の形を整える。それから、フライパンに投下して、焼いて蒸して終わり。この工程を3回繰り返して、ハンバーグ10人前が完成。
「出来たぞ。オーク肉100%ハンバーグだ。一応ソースはこの市販のデミグラスをお好みで掛けてくれ」
ハンバーグを皿に乗せて、その横にデミグラスソースのチューブを置いた。
「ふむふむ、ではわたくしが先に味見しますわ」
ルーメリアはハンバーグに適量のデミグラスを掛けてからナイフで小さく切って、フォークで口へと運ぶ。
「うぅぅぅぅん!! ぱないのぉぉぉぉおお!!」
大叫びである。
いや、ぱないのとか言ってるけど貴女、魔王様だよね。それ怪異の王様の台詞だからね。吸血鬼違いだからね。種族が同じだからって勝手に台詞だけをクロスオーバーさせちゃダメよ。
「ぱないのぱないのぱないのー!! マスター、これは儲かりますわ! 食えばぱないのしか言えなくなりますわよ! これは八万点ですわー!」
まだ言ってるし。まぁ高評価を頂けて何よりだよ。
「じぁ、じゃあ私も味見してみるね」
ずっとハンバーグを物欲しそうな目で見つめていたセインフィールさんも、ハンバーグを口へと運んだ。
「……っ!? ぱな、じゃなくて美味い! 特にこの濃縮された肉汁で食欲が刺激されて、ご飯が無性に欲しくなるわね」
いい感じにレビューして誤魔化してるけど、今この人ぱないのって言いかけたよな。危うくクロスオーバーなレビューになりかけてましたよ聖女様。あと美味い物を食った時にエルフの耳ってピクピク動くんですね。ちょっと可愛いから八幡メモに加えておこう。
「料理は本当に上手いんですね、八幡さん」
まるで料理以外はダメダメみたいに聞こえるんですけど。確かに解体作業は足を引っ張りましたけどね。テヘッ☆
「またドヤ顔してる……」
おっと、何で俺に対して表情を引きつらせてるんですかねぇ聖女様。俗に言う引くと言うヤツですよねそれ。俺のどこに引く要素があったんですか。ちょっと開き直って得意気な顔をしただけじゃないですか〜。ああ、その顔が気持ち悪かったのか。
「マスターは食べないんですの?」
「俺はまぁ……まずは他の従魔にな」
他の従魔と言えば、昼メシで満腹になってソファーやら縁側ですやすや気持ち良く寝ている。いいな、俺もあんな風に真っ昼間から寝たい。もういっその事ゆきのんの従魔になって、俺もぐうたらしようかな。いや、アイツがぐうたらさせてくれる筈がない。罵倒を浴びせられ、しまいにはケツを蹴られて働きに行かされるに決まっている。なんなら8時間以上働いてこないと家に入れてくれなそう。
ゆきのんの従魔になる夢は諦めるとして、俺は知っている。飯に釣られて確実に起きてくれる二匹をな。
「カマクラ〜、サブレ〜、飯だぞー!」
「にゃっ!」
「わうん!」
ほらな。飯に釣られてデカい猫とデカい狼が目を覚まして寄ってきたよ。こいつらとはもう長い付き合いだ、ある程度の事は知っている。勿論起こし方もな。
サブレなんて高校の入学式の日に、一緒に車に轢かれた仲だしな。一緒に轢かれるぐらい仲が良いって表現しちゃうと関係性が重く見えそうだな。轢かれて病院送りになったのは、俺オンリーだけど。うん、俺ってやっぱぼっちだわ。
カマクラはそのまま素手で食べて、サブレは顔からハンバーグに突っ込んだ。
「うわーんい!」
「パニャーイ!」
うわーんいもパニャーイも独特の鳴き方だな。まさかカマクラさんとサブレさん、ぱないのって言おうとしてたのか。なにそれ新手の猫語と犬語かよ。ちょっと面白い。
二匹は食い終わると、じーっと俺の方を見つめてきた。そして皿にはあと一つだけハンバーグが残っている。
「何だよ、食いたいなら食っていいぞ」
だが二匹は首を横に振り、どうぞどうぞと言いたげに俺の方へと手でジェスチャーを送ってきた。
なので俺は、ルーメリアとセインフィールさんの方に視線を投げた。
「「どうぞどうぞ」」
こいつらもかよ。いつもなら俺の分なんて残さずに全部食うクセに。
いやさぁ、全員のリアクションを見た限りだと美味いのは分かるんだよ。だとしても、嫌でもあの二足歩行の猪の姿が脳裏にチラつくんですよねぇ。
「こうなったら……男の意地だ……!」
この程度でヒヨってたらダメだ。オーク料理を東京ビッグサイトの技術展覧会で提供するのは確定事項。なので提供元の俺が味を確認しないのは論外だ。
覚悟を決めた俺は、ゴクリと喉を鳴らす。
デミグラスを少しだけ掛けてから、小さく切る。そしてフォークで口へと運んだ。
「…………っ!!」
月並みの感想だが物凄く美味い。元の食材が二足歩行だったとかが、些細な事に感じるぐらいには美味い。柔らかいし、なにより肉汁が舌に絡み付いて、食べ始めから後味までジューシー過ぎて美味い。
「マスター? どうしたんですの?」
「フッ、ちょっとな」
俺は堂々とニヒルな笑みを浮かべながら縁側へと行き、さんさんと輝く太陽を見ながら明るく感想をぶちまけた。
「……ぱないの!」
結局ぱないのかよ。
♢ ♢ ♢
オーク肉に可能性を見出してからは、考えられる料理を片っ端から作っては従魔達やセインフィールさんと共に、夜まで味見を繰り返した。俺的にはオークカツが一番美味かった。
「あるじ様〜、もう食べれない〜」
その従魔達と言えば、満腹な様子でぐったりしている。
「このオークのカツ丼、何杯でもイケるわね!」
セインフィールさんがルンルンとした表情でカツ丼を平らげていた。そんなに食ってそのモデル体型、エルフ超
もうこの人の給料はオーク肉払いでいいかな……。それだとブラックか。ブラックダメ絶対。
「イベントで売る商品はどれにする。どれも金を払って良いレベルだと思うが」
改めて全員に聞くと、デザートのハーゲンダッツを優雅に食べてるルーメリアが声を上げた。
「マスター、パンで挟むだけの料理のが良いですわ。調理時間とコスト的に」
なるほど、良い意見だ。オーク肉は俺達の労働時間を度外視すれば、無料で手に入る。なんならオークの皮や牙は売れるから寧ろ解体すればするだけ収支的にはプラスだ。
となると、コストがかかるのは肉以外の物。調味料は大した額にならないから良いとして、米とパンのコストが主要になってくる。付け加えるなら野菜も。
そして、安いのはパンの方だ。時間も炊き時間が掛かるから、これもパンの方に軍配が上がる。
俺自身、米に強いこだわりがある訳じゃないのでパンの方を採用って事で良いだろう。
「オーケー。パンで挟む料理だと、ハンバーガーとカツサンドになるが、どれが良さそうとかあるか? 俺の意見としてはハンバーガーだ。理由は楽だから」
「たしかにカツサンドだと衣を付ける手間が掛かるもんね……。八幡さんの意見で良いと思うわ」
「わたくしも、マスターの案で良いと思いますわ。ですが、あとはどれだけハンバーガーを凝るか、って話しになりますわね。言うなればチーズは必須。チーズがないハンバーガーとか邪道ですわ!」
こいつアレだ、何でもチーズをトッピングすれば美味くなると思ってるタイプに違いない。いるよなそう言う奴。まぁ俺もMAXコーヒを飲めば、人生が甘くなると思ってるタイプですけど。なんか俺のがヤベェな。
「そうだな、チーズは入れとくわ」
だが、あながちルーメリアの意見は間違っていない。
ハンバーガーはこうあるべきだと言う固定観念。それは無視出来ない問題だ。
俺だってお高めなハンバーガーを買って、チーズが入ってなかったら、ちょっとだけショックを受けるかもしれない。絶対に入れなきゃイケないと言う決まりは無いが、入ってなきゃオカシイと言うのは料理に関して言えば往々にしてある。
なら大衆の固定観念に照らし合わせるとチーズとレタスは必須。癪だがトマトも必須だな。ピクルスは微妙な所だと言える。個人的にはどっちでも良いが、あのシャキシャキとした酸味を苦手だと言う奴が一定数いるからな(ネット知識)。最悪なくても良いか。
商品も決まったし、クライアントに報告するか。
俺はリビングから廊下に出て、スマホの電話帳から『雪ノ下陽乃』をタップした。
『ひゃっはろー! 君の愛しの陽乃お姉さんだよ!』
ワンコールもしないうちに、愉快な声が聞こえてきた。彼女の姉だから大事な存在なのは間違いないが、断じて愛しいとは思ってない。
「うっす。あの、技術展覧会の出し物が決まったんで、その連絡です」
『あ、お姉さんには何出すか分かっちゃったぞ〜。従魔達のグラビア撮影会でしょ。比企谷君のえっち〜♪』
「いや、それは確かに考えましたけど違います」
『本当に考えたんだ……』
残念ながら俺も男として考えてしまった。うちの従魔と社員可愛いし。なんならタイプの違う可愛いさだから、大量の金づる共を確実に釣れる。だが、やはり家族と社員のグラビア撮影で稼ぐのは心が痛くなった。あとは東京ビッグサイト側が許すと思えないから。よし、て事で夏になったら全員を海に連れて行こう。そして家族写真と言う大義名分で水着写真を撮る。デュフフ
『いい歳して笑い方が気持ちわる〜い』
ヤバイ、変な妄想をしたせいで笑いが零れてデュフってしまった。しかも彼女の姉を相手に。後で毛布に包まって発狂してやる。
「ちょっと死にたくなってきました」
陽乃さんは俺のアホみたいな反省を無視して再度、疑問を投げてきた。
『で、何を出店してくれるの?』
「ハンバーガー屋っすね」
『…………ハンバーガー屋って、肉をバンズで挟むあのハンバーガー屋さんの事?』
「そうです。肉をバンズで挟む、あのハンバーガー屋ですよ」
嘘偽りなく答えると、電話の向こうから『うーん』と何かを悩んでるような声が聞こえてきた。
あれ、ハンバーガーってダメ? 生モノじゃないし、大丈夫だとは思うんだが……。
『分かったよ! ヤラかしで有名な鎌谷幕府の事だから特別な肉を使うんでしょ! ワニの肉とか!』
どうやらハンバーガー屋と言う言葉を深読みしていたようだ。まぁ陽乃さんからしたら、面白味に欠けるプランではあるよな。そもそも俺に面白味を求めないで欲しい。面白味があるなら長年ぼっちなんかやってないから。
「まぁワニの肉じゃないですが、同じぐらい獰猛な生き物の肉を使いますね」
『もー、勿体ぶらずに早く教えて』
「オークの肉ですよ」
『…………』
答えを言うと、応答がなくなりシーンとした。
うん? 電波が悪いのか?
「オークの肉ですよ」
『いや、うん、ちゃんと聞こえてるから。一応聞くけど、オークってあの二足歩行で歩く猪みたいな魔物の事よね?』
「それ以外にオークなんていないでしょ……」
『ねぇ比企谷君。お姉さんちょっと不安なんだけど。あれ美味いの? 二足歩行の化け物だよ? 本当たまにオーク肉が、市場に出回ってるから食べれるのはなんとなく分かるんだけど、でも魔物だよ?』
まぁ不安だよな。俺もハンバーグを一口食べるまではめっちゃチキってたし。だがアレを口に入れた瞬間、世界が変わったのも事実だ。オーク肉を食べないと言う事は人生を損してると同義だ(暴論)。
まぁ何が言いたいかと言うと、食わず嫌いは良くないって事だ。例えば、納豆だってネバネバしてて気持ち悪くてクサイが、食べればちゃんと美味しい。本当最初に食った人間は勇者だと思うわ。
「不安な気持ちは分かります。自分も口にするまではゲテモノだと思ってたんで。でも失望はさせないんで、どうか任せてください」
そう、これは文化祭のお遊戯ではなくビジネスなのだ。雪ノ下HDは何も酔狂で俺達を呼んでる訳じゃない。俺達を呼ぶ事で、企業ブースの集客率を上げようとしている。その代わりに、俺達は出店の売上が貰える。
今回の案件は雪ノ下HDに大した目先の利益は無い。と言うより度外視している。じゃあ何故、雪ノ下HDが技術展覧会に参加するかと言うと、それは未来への投資の為。見に来る来展者に技術力と数々の新商品をアピールして、未来の客になって貰うのが真の目的なのだ。
『へぇー、そこまで言い切るんだ。やっぱ比企谷君、探索者になって変わったね。昔より頼もしくなってお姉さん惚れそうだよ』
おいおいそんな事言うなって。こっちはあんたの妹と付き合ってるんだぞ。マジでシャレにならないから。次いでに、胃もシャレにならない事態になりそうだから。
「勘違いしそうになる社交辞令ありがとうございます。取り敢えず、ハンバーガー屋をやるって事でよろしくお願いしますね」
『社交辞令じゃないんだけどな〜。まあいいや。うん、じゃあ必要な設備をリストにしてメールで送っといてね〜♪』
報告とちょっとした雑談も済んだので電話を切る。
まったく最近の魔王界隈では俺の胃を痛めつけるのが流行ってるようだな。なんか俺だけ魔王との遭遇率高くないですかねぇ。
次は違う取引先に電話するとしますか。
なので俺はこんな遅い時間に悪いと思いつつ、唐ヶ原さんことガハラさんに電話を掛ける事にした。やっぱ文房具で刺してきそうなニックネームで呼ぶのは辞めよう。
『どうもどうもお世話になっておりますー。学生時代に浮気した元カレの口にホッチキスを突っ込んでカチッとした唐ヶ原でーす』
ヤベェよ、この人もヤベェガハラさんだったよ。まさか蟹に憑りつかれたりしてるのん? いやまぁ浮気した元カレが悪いんだろうけど……。これで元カレの名前がこよみ君だったら完璧だな。
「お世話になっております、比企谷です。よく分からないサイコな自己紹介ありがとうございます」
『いえいえ、これ言うと飲み会とかでウケるんですよね』
いやそれ表面上ウケてるだけで、確実にヤバイ奴認定されてますよ。
「それ絶対に裏で蟹女って渾名を付けられてますよ」
『……やっぱそう思います?』
「自覚あったんですか……」
『まぁまぁ昔話も程々にして、仕事関係で電話してきました?』
「そうです。オークの皮とか欲しかったりしないかなー、って思いまして」
皮を売るべく交渉を持ち掛けるとテンション高く乗ってきた。
『マジですか! 因みにお値段はいかほどで……?』
「逆に聞きますけど、探索者協会に仲介してもらう時はどのぐらい払ってるんですか?」
『最後に買った時は確か、一頭分あたり45000円が相場でしたね。因みにこれは調べればすぐに出てきますよ』
その値段設定は、仲介料やら事務手数料を乗せた料金だろうな。
「そうですか、なら一頭あたり税込31500円でいいですよ」
『めっちゃ安い! どのぐらい在庫あったりします?』
ビンゴ。めっちゃ食いつきが良いぞ。
「今後手に入る数も含めると、丼ぶり勘定で100以上は余裕でありますね」
『ヤバッ!? 比企谷さん、それアパレル界隈でめっちゃ稼げますよ』
俺は専門じゃないから分からないが、話しぶり的にオークの皮は服飾デザイナーから重宝されているのかもしれない。
取り敢えず、適当に話しを合わせておこう。
「そう思ったから、お世話になっている唐ヶ原さんに真っ先に連絡したんですよ」
と言うか他に大して取引先いないし。
因みに雪ノ下HDはダメだ。たまになら良いが、継続適に商材を卸すとなるとブラック労働になる未来が見えるからな。
『流石比企谷さん! やはり私の商売感覚に狂いはありませんでしたね!』
よし、もっと気分良くなって貰おうではないか。
「そこまで言われると、オマケしたくなりますね。大量買いしてくれるなら税別で5%割引しますけど、どうですか?」
『乗った! なら25頭分注文させて下さい!』
「いいんですかそれだけで? 今は訳あってオーク狩りしてるだけで、今後は大量入荷しないかもしれないですよ」
『なっ!? 期間限定商法ですか……。上手いですね比企谷さん。分かりましたよ、乗せられてあげます。なら40頭分で!』
まぁ妥当な数だな。
忘れない内に、空間収納から手帳とペンを取り出して『ワンダーカーテンにオークの皮40単価¥28500』とメモをした。
「お買い上げありがとうございます。明日には見積もりを送りますね。それと、こちらが払う側でもう一つ商談があるんですが」
『おお! どうやらそっちのが本題っぽいですね』
商売してるだけあって流石に鋭い。
そう、正直オークの皮は撒き餌だ。ぶっちゃけ単価20000円までなら下げても良いとすら思った。なぜなら俺の目的は展覧会での集客率向上だから。
「明後日、配信する事にしたんでうちのチャンネルにゲスト出演して貰えませんか。ギャラ払うんで」
『…………』
あれ? このパターンさっきもあったよな。
「聞こえてます?」
『…………』
これは本格的に電波が悪いようだな。仕方ない、応答するまで要件を繰り返そう。
「明後日、配信する事にしたんでうちのチャンネルにゲスト出演して貰えませんか。ギャラ払うんで」
『いや、聞こえてるんで繰り返さなくて大丈夫です』
電波の問題じゃないのかよ。てか、応答しなかったって事は、考え込むほど嫌な案件だったて事か。まぁ動画出演なんていい風に言ったが、言い換えればデジタルタトゥーを掘って下さいって言ってるようなもんだしな。仕方ない、癪だが大志、もしくは葉山に土下座して頼もうかな。その時はあいつらのギャラをオーク肉で払ってやる。
「すいません、やっぱ配信とか嫌っすよね。あんなのやる奴って、黒歴史を晒してたいだけの精神異常者ですもんね」
『待って待って! 逆に良くそんな考えで配信者やってますね!? いったいどういうモチベーションでやってるんですか!?』
イヤイヤ、俺は生粋の配信反対派だから。従魔達の楽しみじゃなかったら今すぐにでもチャンネル削除しちゃうぐらいの反対派だから。身内じゃないやつらのスパチャとか『馬鹿だなコイツら、その金でいっぱいMAXコーヒー買えるのに』っていつも思ってるから。まさにキャバクラの運営をやってる気分だよ。
『全然イヤじゃないです、むしろ逆! 本当に私なんかが鎌谷幕府に出ていいんですか! 本当にルーメリアちゃんやタマエちゃんと共演しちゃっていいんですか!』
なんかこの人、TV番組に偶然出る事になった一般人のリアクションなんだが……。うちのチャンネルってそんな大層なチャンネルじゃないぞ。登録者だって50万……ああ50万のチャンネルって言われてみれば、まあまあ大層だったわ。
「はい。唐ヶ原さんは、いつも通りの金にがめついなんちゃってメイドとして出演して下さい」
あ、ヤッベ。ついつい金にがめついとか言ってしまった。
『……どうやら比企谷さんとは、ゆっくりお話しなきゃイケないようですね。やいやーい、比企谷さんの甲斐性無しハーレム〜、伊藤誠系ダメンズ〜』
拗ねた声で電話越しから低レベルな悪口が聞こえてきた。
ふっ、その程度の罵倒で氷の女王の罵倒を耐え忍んできた俺の強靭な精神に勝てると思ったら大間違いだ。
「俺はゴミですけど伊藤誠よりはマシですって」
悔しいが、流石の俺でも伊藤誠に嫌われ度では勝てない。やっぱなんも悔しくねーわ。なんならアイツと同じ土俵に立っている事自体が悔しい。
『自分をゴミ呼ばわりしちゃうんですか……』
なんならゴミに失礼なまであるけどな。
「結局の所、出演のオファーは受けてくれるって事で良いですか?」
『勿の論! ただ逆に提案なんですけど、ギャラいらないんで、お店の宣伝する時間を3分で良いんで下さい!』
ギャラ無しは流石に心が痛むと言うか、取り引き相手としてフェアーじゃないと言うか……。
「イヤイヤ、ちゃんと払いますよ。宣伝も3分じゃなくて、別に10分でも良いですよ」
『10分も!? あ、あのですね比企谷さん、50万登録超えの大型チャンネルの配信枠で10分貰うって言ったら、本来ならこっちが金を払わなきゃイケないんですよ』
うわー、YouTuber界隈の風習イカれてんだろ。なんだその時間枠を売るテレビのCM商法は。まぁ確かに相手が唐ヶ原さんじゃなくて、俺が勤めてたあの憎きブラック企業だったら問答無用で大金を要求するけどな。タイムイズマネーと言う言葉があるぐらいだし、やっぱ唐ヶ原さんの言う事に一理あるのかもしれない。
「分かりましたよ。ノーギャラで宣伝枠は好きなだけ使ってくれて良いですよ」
本人がノーギャラで良いと言ってるし、もう何も言うまい。
『比企谷さん…………マジ神。八幡大菩薩様って呼んでいいですか?』
「やめて下さい。大体、八幡大菩薩って武運の神ですからね。唐ヶ原さんなら金運の神、大黒天辺りがオススメですね」
なんなら、うちの招き猫様を拝んでくれても良いんですよ。
『それもそうですね。所で、私は配信で何をすれば?』
「俺の作った料理を食レポするだけでいいですよ」
唐ヶ原さんにオファーした理由は単純だ。普通の人間だからだ。明後日の配信では、オークハンバーガーの調理風景を撮る。そして、それを従魔達に美味しく食べて貰って、イベントの為の宣伝を打つ。だが、視聴者は『魔物だから美味しく感じるだけだろ』とこう言う風に思う可能性が高い。なので普通の人間の食レポも必要なのだ(俺は死んでも仮面を取りたくない)。
『それだけで宣伝枠くれるんだ……分かりました! どんなに不味くても美味いって言えば良いんですね!』
「いや、ヤラセと忖度は無しでお願いします。と言うより、絶対に美味いんで安心して下さい」
『凄い自信……。比企谷さんの事を、料理で視聴者の好感度稼ぎしようとしてる汚い大人だと思いそうになった自分を殴りたいです』
俺はあんなブヒブヒ言ってる奴らの好感度なんていらねぇよ。好感度は従魔達が稼いでくれればそれで良い。
「あー、あの偶像に金を投げてるカモ共ですか」
『やっぱ汚い大人でした!』
「まぁこれで用件は以上なんですが、なんか質問あります?」
唐ヶ原さんからは料理をする理由と、明後日の集合場所と時間を尋ねられたので、雪ノ下HDの案件について大雑把に話した。集合に関しては俺の住んでる所の最寄り駅に17時と伝えてた。
『へぇー、またもやあの大企業の。凄いですね比企谷さん。これは協力のしがいがあります!』
ギャラ無しでこのやる気は純粋に尊敬するわ。
「じゃあ、そろそろ風呂入りたいんで切りますね」
『あ、待って下さい。最後に面白い話しがあるんですよ〜』
自信満々にそう言うので、俺は聞く事にした。
「なんですか、面白い話しって」
『なんと! 私の元カレの名前、恋を詠むと書いてこよみと言うんです! いや〜、これも飲み会で言うとウケ──』
凄いどうでもいい話しだったので遠慮なく切った。
そして、俺のスマホの電話帳では唐ヶ原さんの名前が、新たに蟹女と上書きされましたとさ。
「……あ、言い忘れた」
今更だが、料理の内容がオーク肉だって事を伝え忘れてしまった。まぁ当日のお楽しみって事で良いか。ククッ
♢ ♢ ♢
いつも通り朝早く起床した。今日は午前中にオーク解体。午後は業務用スーパーに、大量のバンズと野菜を購入しに行く予定になっている。
重い足取りで屋根裏部屋からリビングへと降りた俺はコーヒーを淹れてから、ノートパソコンを開き、見積書と必要な設備リストを手早く作成して、陽乃さんと唐ヶ原さんにメールを送信した。
「おっと、お前には魔力を注入しないとな」
一緒に持ってきた龍王種の卵を大事に抱きかかえて、最近日課となった魔力注入を行う。
にしても、ドラゴンって何日で孵るんだよ。埒外の存在だし、案外100年とか掛かったりしてな。その時は従魔達が育ててくれるであろう。願わくば仲良くして欲しいと思う。
──ピキッ
そんな事を思ってたら、卵の一部に亀裂が走った。
「え……?」
そして亀裂は音を鳴らしながら徐々に全体へと増えていく。
「おっふ……マジかマジかマジかー!」
俺は急ぎフライパンとお玉を手に持ち、二つをぶつけて盛大にカンカンと鳴らした。
「全員起きろー! 生まれるぞー! ハリーアップハリーアップ!!」
今日生まれちゃうとか、マジ想定外。
それにしても何だ、この急かされるような嬉しい気持ちは。きっとこれが妻の出産に立ち会う夫の気持ちに違いない。
こんな気持ちになるのは、もっと先の事だと思ってたよ。
「ふぁ~、なんですのマスター、騒がしい」
「あるじ様うるしゃ~い」
少しすると従魔達が集まってきた。強引に起こしたせいで全員が眠気眼だ。
「八幡さんどうしたの! 敵襲!? 私が一網打尽にするわ!」
大杖を構えた寝間着姿の聖女様が、戦意を漲らせながら降臨した。多分だが敵襲警報と勘違いしたに違いない。敵襲警報なんて設置してないけどな。
「……全員起こして悪いな。これを見てくれ」
卵を見せると、従魔達が納得の表情をしてくれた。
「なんか勘違いしちゃったかも……HAHAHA」
セインフィールさんだけは、恥ずかしそうに杖をしれっと空間収納にしまった。見るからにこの人は今、枕にうずくまって叫びたい衝動を我慢してるに違いない。因みに俺は昨日、デュフった事を後悔しながらめっちゃ叫んだぞ。
「私が一網打尽にするわ~。格好付けて登場した割には恥ずかしいですわね聖女、ップ」
ルーメリアはセインフィールさんの恥ずかしい台詞を面白おかしく復唱しながら煽り始めた。対してセインフィールさんは顔を真っ赤にしている。
「っ! あなたは何で一々そう言う事言うのよ!」
「あなたが恥ずか死ぬまで何度でもやりますわよ。私が一網打尽にするわ! あ~恥ずかしいですわね。プッ、プププ」
「やはり邪悪なる魔王ね。ここで討ち果たす事にするわ!」
「来なさい、全力で叩き潰してくれますわ!」
二人が殺気まる出しで武器を抜いた所で俺は止めに入る事にした。
なんでこの2人はお互いを無視出来ないんですかね。ほら女子って無視とか得意だろ。俺なんてガキの頃、しょっちゅう学校で女子に無視されてたぞ。やっべ、朝から泣きたくなってきた。
「ルーメリア、後で俺がお前の悪口に付き合うからやめろ。セインフィールさんは、えーと、カッコイイ台詞だったから気に病む事は無いぞ」
「フォローになってないわよ!」
えー、個人的にめっちゃ良いフォローだと思ったのに。このまま適当にほめ続けて誤魔化そう。
「えーと……アレだ、聖女らしくて良いと思ったぞ」
そう言ってあげると聖女の表情が柔らかく緩んだ。
「そ、そう、そんなに聖女らしかったなら良かったわ」
しまいには上機嫌になってるし……。
言っちゃ悪いがチョロッ! どんだけ聖女って職業に誇りを持ってんだよ。誇り高きサイヤ人の王子かよあんたは。
「で、マスター。ドラゴンの名前は決めたんですの?」
「まぁ、まだ悩んでる最中だ」
一応ほぼほぼ決めてあるけどな。あとはドラゴンの容姿を見てみて似合うかの判断をするだけだ。
「ならわたくしに素晴らしい名前の候補がありますわ!」
なんだろう。碌でもない予感がするのは気のせいなのだろうか……。
「……一応言ってみろ」
そしてルーメリアは、フッとドヤ顔してから名を口にした。
「ブルーアイズ・カオス・まっ──」
「うん、ちょっと儀式召喚するのやめようか。それ企業からクレーム入るヤツだから」
やっぱ碌でもなかったよ。大体、その名前だと、ブルーなアイズじゃなかった時にネーミングセンスを疑われるぞ。
「あるじ様、あのねあのね、あるじ様が大好きな千葉県から取ってチーバくんはどう?」
「タマエ……残念ながらチーバくんは既に存在するんだ」
でもお兄ちゃんは嬉しいぞ。俺の千葉愛はちゃんとタマエに伝わっていたようだ。
「えー、もういるの?」
「なんですのチーバくんって?」
「なんか聞いた事があるような、無いような……」
俺はスマホにあるチーバ君の画像を女性3人に見せる事にした。
「どうだ可愛いだろ。因みに俺らが住んでる富津市は、チーバくんの下腹辺りな」
「真っ赤なお犬さん!」
「凄い! 本当に千葉県の形してる!」
2人のリアクションが良いお陰で、俺は充足感を得た。
なんかこう、チーバくんの知名度向上に貢献してるみたいで嬉しくなるな。やはり愛すべきは千葉だな!
「真っ赤な犬って……プ、プッハハハハハ! ただの発情してる犬じゃないですの! ハッハハハハハ! あー、ヤバイ。腹が痛いですわー!」
一人だけ何故かツボに入ったらしく、ルーメリアが腹を抱えて馬鹿にしながら爆笑しだした。
コイツには優しく諭してやる必要があるようだな。
「おい、テメェの飯抜きにすんぞ。チーバくんを馬鹿にすんじゃねぇ!」
「マスターの沸点が意味不明ですわ……」
例え家族であっても、チーバくんを馬鹿にするのは許さん。決めた、今日から我が家の家訓に『チーバくん敬うこと』を追加しよう。
チーバくんに熱くなっていると、俺の腕に収まってた卵から音が鳴った。
「ドラゴンさんが生まれるよー!」
「全員庭に出るぞ」
念の為の安全確保と、全員がちゃんと見れるように庭に出てから卵を地に起いた。
全員で卵を囲みワクワクしながら待ってると、卵のてっぺんがピキッと割れ、それがひょこっと顔を出した。
「ドラ……?」
「……これが龍」
その生き物は卵を全て割り、全体を見せる。
目がくりくりしてる小さな仔犬程の大きさの爬虫類らしき可愛い生き物。小さな翼が付いていて、形態的には西洋龍だと思われる。鱗の色は角度によって赤・橙・黄・緑・青・藍・紫に見える。言ってしまえば虹色だ。どことなく瞳の奥も虹色に輝いてる気がする。
「逆鱗を見るに、メスですわね」
メスか……。てか逆鱗って確か顎下だよな。
俺は幼龍の顎下を見てみるが、知識が無いので何も分からない。
虹色の幼龍は興味深そうにカマクラの方から順番に、この場にいる全員を見渡して行く。
「ドラ~♪」
そして、俺と目が合うと胸に飛び込んで来た。
「お、おい……ドラ可愛いな」
言っといてなんだけどドラ可愛いってなんだよ。とつかわいいみたいでなんか良いな。うん、ドラ可愛いアリだ。
胸に飛び込んで来た幼龍を両手で持ち上げまじまじと見つめてみる。触った感触はなんかザラザラしている。
「ドラ?」
やはり予め考えていた名前で良いだろう。似合いそうだし。
「さぁマスター! カオス・MAX・ドラゴンと名付ける時が来ましたわ!」
いやだから儀式召喚すんなって。なんならカオス要素ねーし。
魔王の事を無視して、俺はゆっくりと言葉を発しながら新しい家族に名前を与えた。
「お前の名前は、アーサーだ」
ルーメリアが龍王種だと教えてくれたとき、俺が真っ先に連想した名前がペンドラゴン。そしてペンドラゴンと言えば、おとぎ話に出てくる偉大なる
「ドラドラー!」
上機嫌に翼を振って、空を舞い始めた。見るからに名前を気に入ってくれたようだ。
「ねぇねぇあるじ様。アーサーってどう意味?」
「カオス・MAX・ドラゴンのがカッコイイですのに……」
俺は空間収納から書籍アーサー王物語を取り出し、タマエに渡した。教養的にも良い本だし、読んで損は無いだろ。ランスロットはどうかと思うがな。どう考えても主君の奥さんと不倫はヤバイだろ。
「それを読めばアーサーの意味が分かるぞ」
ブツブツ遊戯王ネタを言ってるルーメリアは、敢えて無視する。まともに取り合うと面倒だからな。
「ドラドラ~♪」
「ニャー」
「ゴブー」
「プルプル」
「ワウーン」
「シャー」
訳:よろしくー
なんか器用に全員と握手で挨拶を交わしてるし。
「こいモンスターブック」
だがモンスターブックにはなんの情報も記載されていなかった。
どうなっているんだ……。今までの経験からして、名付けを受け入れてくれたら契約が成立する筈だろ。
念の為、俺はアーサーを近くに呼び寄せる。
「テイム」
久しぶりにビッと弾かれた感覚した。
「は……?」
「ドラ?」
アーサーと一緒に首を傾げる俺。
そんなクエスチョンマークだらけの俺に、セインフィールさんが話しかけてきた。
「何をやってるの? 龍は魔物じゃないから、別の
なんだよそれ。ここファンタジー黎明期の日本だぞ。異世界の先端知識とか知ってる訳ねーだろ。
「知らないんですけど……」
そして好機と見たのか、ここぞとばかりにセインフィールさんはいい笑顔を浮かべてきた。
「へぇ~、八幡さん教えて欲しいんだ~、年に二回のボーナスを付けてくれたら特別に教えてあげても良いんだけどな~」
この俗まみれ聖女め。
「…………雪ノ下HDにエルフの値段交渉してくるわ」
「待って待って、教えるから左遷しないで! エイトと離れたくないの!」
俺の腕を大慌てで掴んできた。
このエルフ、ルーメリア程じゃないが、ちょいちょい図々しい所あるよな。そもそも異世界人は図々しいのかもしれない。
「なら教えてくださいよ」
そしてセインフィールさんは丁寧に教えてくれた。
龍種の場合は胸のあたりに龍玉があるから、その辺りに触れながら魔力を流して契約すればいいらしい。龍玉は別名ドラゴンハートとも言って、文字通り心臓だとのこと。
「なぁ、そのやり方は無条件で成功するのか?」
「良い質問ね。今回の場合は八幡さんが卵から孵したから問題無し。アーちゃんは無条件で受け入れてくれると思うわよ。これが野良の龍種だと、力を示す必要が出てくるわね。言ってしまえば、聞き分けが良くなるまでボコボコにするの」
普通は拳で語り合う必要があるのか。なんとも平塚先生が好きそうな少年漫画っぽいやり方だ。
この情報も特級秘匿情報に分類しておこう。
「感謝の気持ちとしてこれやるよ」
情報が情報なだけに何もあげないのは、流石に可哀想なのでアマゾンギフトカード2000円分を渡した。
「わー、八幡さん超イケメン!」
やっぱ金をあげるとイケメン補正がかかるようだ。この俗にまみれた聖女め、聖職者として恥ずかしくないのか。恥を知れ、恥を。
「丁度拾ってくれた浜松夫妻に、感謝の気持ちとしてプレゼントを贈ろうと思ってたのよね。喜んでくれると良いな~♪」
喜ぶセインフィールさんの顔を見て、俺の心が痛くなった。
俗にまみれた聖女とか思ってごめんなさい。めっちゃ良い聖女様でした。恥を知るべきは俺の方でした。本当にごめんなさい!
セインフィールさんに申し訳ないと思いつつ、俺はアーサーの胸の辺りに手を重ね魔力を流す。そして、何かが繋がった感じがした。
「ドラドラー」
首を縦に振ってるて事は契約OKみたいだな。
「こいモンスターブック」
ネーム:アーサーLv1(幼体)
種族:
スキル
【ブレス】
【ドラゴンスケイル】
ステータス
生命力:1000/1000
魔力量:1000/1000
筋力 :+750
耐久力:+750
敏捷力:+750
知力 :+750
流石ドラゴンだけあって基本スペック高めだ。これはアレだドラ強いってやつだ。へぇー、種族は虹龍っていうのか。なんか強そうだな(小並感)。
「改めてこれからは、家族としてよろしくなアーサー」
「ドラ~♡」
訳:よろしくねマスタ~♡
頭を撫でてやると俺の胸に頬ずりしてきた。可愛いが増えて八幡嬉しいです。
「シャー」
訳:蛇のが可愛いよ
おっと、嫉妬したザリンちゃんが俺の耳を甘嚙みしてきたぞ。
「分かってる分かってる、お前も可愛いよ」
「む~、あるじ様は狐が一番すきだも~ん!」
「違いますわ、マスターはヴァンパイアフェチですのよ!」
「ちょ、お前ら、グヘッ!?」
そして2人が抱きつくようにタックルをかまして来た。
おいラブコメの神様聞こえてるか、二つ言わせてくれ。まず今日はありがとうな。そして、なんで高校時代にもっと仕事してくれなかったんだ。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます!