今回は次章のメインにもなる描写がちょびっとだけ登場します!
では、どうぞ!!
「ガブさん!!!!」
「シロナ!!フライさん!!」
「ぱーぱ!!!」
ガブさんはフライゴンとシロナを優しく抱きしめる。
本当に無事でよかったと何度も何度もガブさんは言う。
ガブさんの活躍で私達はなんとかSHARKとレインズワースの部隊を撃退した。
さすが竜王と謳われるだけあり…圧倒的な強さは見せつけていた。
しかし…
「ガブさん…大丈夫なの?」
「え?」
私はガブさん自身が心配だった…
こちらは助かったとは言え…戦争によって深く傷ついた彼を戦わせてしまった…
彼の心が気になる。
「その…結局戦わせちゃったから…ガブさんには戦争なんかさせないって約束したのに破っちゃった。ごめん…」
私は彼に深く謝罪した。
だけど…彼は私の頭を優しく撫でる。
「君は本当に優しいな。あの頃のままだ。」
ガブさんは穏やかな笑みを浮かべる。
とても安心感がある笑顔だ…
「正直最初はホッとしたよ…また戦争に行かずに済んで良かったって。あのまま何も起こらなければ俺は間違いなく君達の事を静観していた…」
ガブさんは続ける。
「でも…シロやフライさんが危険な目に遭って…シロナやフライゴンを必死に守ってくれた君や必死に戦っていたネリア達を見て俺も戦うべきだと思った。」
ガブさんは私に頭を下げる。
「コマリちゃん。本当にありがとう。2人を守ってくれて。」
「や…やめてくれよ!!私は頭を下げられるような事はしてないって!」
私はガブさんに慌てて頭を上げるように言う。
「私も必死だったからさ…誰かを守るのはさ…当然…じゃん?」
私は人として当然の事をしたと思っている。
その言葉を聞いてガブさんは顔を上げて真剣な眼差しで私を見つめる。
「コマリちゃん…今更答えを変えるようで図々しいかもしれない…だけど…君の姿を見て決めたよ…
今回だけ…今回だけ君たちの力になりたい。」
「え…それって…」
「俺も一緒に戦わせてくれ。ゲラを…
キング・マッドハルトを共に倒そう。」
その後…ネリアにもその事を伝えた。
最初は渋っていたが、何とか折れて同行を許可してくれた。
夢想楽園に向かう準備をする私たち…
「そういえばカルラはどうしたんだ?」
「従者の忍の方が一度天照楽土へと連れて帰りました。体制を立て直してからまた夢想楽園へ向かうそうです。」
確かに…気絶しちゃってたからなぁ…
「ガブさんはまだなの?」
「ちょっと用意するものがあるから待っていてほしいとの事でした。ネリア様」
ガブさんを探しているネリアにガートルードが答える。
「あの…コマリさん。」
「ん?どうしたの?サクナ?」
サクナが私に話しかけてきた。
「さっき…あの…ガブリアスさんに頭をナデナデされてたように見えたんですが?」
「う…うん。撫でられたけど…」
「!?!?そう…ですか。」
その後小声でコマリさんの髪を触るなんて羨ましいって聞こえた気がしたけど…
気のせいか。
「すまない!待たせたな!」
ガブさんの声がした。
私たちが振り返ると…
凛々しい軍服を着たガブさんが立っていた。
何か…
ちょっとキュンとしてしまったかもしれない。
私にはかっこいい警察官の兄がいるんだが,兄が初めて警察官の隊服を着た時のことを思い出した。
歳上のお兄さんかぁ…
かっこいいなぁ。
「コマリ様ぁ〜。何だかガブリアス殿の軍服姿に見惚れていないですか?」
「いや別に見惚れてる訳じゃ…」
「言っておきますが、男なんて所詮は野蛮で汚い生き物ですからね。さっきも頭をナデナデされていましたが、見ていて非常に不愉快でした。コマリ様の綺麗な髪をさわさわして…あのサメモドキめ…」
「ヴィ…ヴィル?」
いつもの戯言とは違う感じがする…
なんか怖いんですけど…
「やっと来たのね!中々似合ってるじゃない!!その軍服!」
「アルカ王国時代に来てたやつなんだ。サイズが合っててよかったよ。」
照れたように頭を掻くガブリアス。
「まぁそれはそれとして…ガブさん。聞きたいことがあるんだけど?」
「なんだ?」
ちょっと不満を交えた感じでガブさんに言うネリア
「さっきのお説教は何なの?」
「お説教?」
「SHARKの隊長にお説教してたじゃない。初弾を手動で何とかって。」
「ああ。」
「あれってどう言う事?私,銃についてはあんまり詳しくないのよ。」
「うむ。」
ガブリアスは軍服から一丁の拳銃を取り出した。
レインズワースやドラパルトが使っていたものと同じ奴だ。
「奴は新しい弾倉を装填した直後薬室内の弾丸の有無に関わりなく手動で初弾を装填していたんだ。これは中東方面の小国で教えられているテクニックだ。弾丸を確実に薬室へ装填し、空撃ちを防ぐと言う意味合いがある。」
「だったらいい事なんじゃ?」
「いやそれは違う。実は拳銃には暴発を防ぐ為の安全装置があるんだが、基本的に軍人が使う物には安全装置はないんだ。そこで暴発を防ぐために薬室内には弾丸が空になっている状態が常に保たれている構造になっている。そして…」
ガブさんが自動式拳銃の上の部分をスライドさせた。
「こうすれば薬室内に弾丸が装填される。だが、奴のように手動で初弾を装填・排夾してスライドさせると薬室内にある弾丸と二重装填が起きてしまい,弾詰まりが起きてしまうんだ。」
「へぇ〜。」
「中東の小国で使われている弾丸はこちらで使われている弾丸とは大きさや構造が違う。あちらではそのテクニックが通用するが、こちらでは通用しない。だから失敗したんだ。まぁ多分本で読んだか話に聞いたかして使って見ようとしたんだろう…新しく仕入れたテクニックを披露したいと言う虚栄心もあったに違いない。」
確かにドラパルトはかなりプライドが高そうでナルシストっぽかった。
「戦場はシビアな場所だ。地道な鍛錬で経て自分の物にした技術以外は通用しない。」
ネリアがなるほどね〜と呟く。
「じゃあリボルバー向きとかって言うのは?」
ガブさんは答える。
「奴は発砲時に大きく肘を曲げて反動を逃すような動作をしていた。あれは本人も気づいていない動作のようだが,実は致命的な悪癖にも天与の才能にもなる。」
「どう言う事?」
「反動力を作動に利用する自動式拳銃では反動をしっかり受け止めなければ回転不良の原因になる。つまり奴のように反動を逃がしてはいけないんだ。」
ガブさんはもう一丁の拳銃を取り出す。
自動式拳銃とは違う複数の穴が空いた筒がついた拳銃だ。
多分あの筒の穴に弾丸を入れるのであろう…
「だが、このリボルバー式拳銃なら反動を受け止める必要はない。逆に反動をうまく逃す事は手や腕への負担の軽減に繋がるんだ。大口径のリボルバーを持たせたらいい使い手になるかもしれないな。」
「いい使い手にって…貴方…自分で何言ってるかわかってるの?」
「何がだ?」
「彼は敵でしょう?何でそんなアドバイスするのよ?」
ネリアに言われてハッとした表情をするガブさん
「・・・どうしてだろうな。『何故だか放っておけなかった』…」
「ガブさん…貴方大丈夫?」
考え込んでしまうガブさん…
同じドラゴンでシンパシーを感じたからかな?
「閣下!!よろしいですか!?」
「ど…どうした!!カオステル!!」
「偵察中のメラコンシー大尉から連絡がありました!ゲラ・アルカ軍の第六部隊と第四部隊がこちらへ向けて進軍しているとの事です!」
「こっちに向かってきてるの!?」
「メアリ・フラグメントとオーディシャス・クレイルね。奴らは国の防衛を任されているから。」
多分あれだけの騒ぎを起こしたからだ。
まずい…早く夢想楽園に向かわないといけないのに!!
「コマリさん!此処は私達に任せて先に行ってください!」
サクナがマジックステッキを構えてそう言ってくる。
「大丈夫なのか!?敵は強いんだぞ!!それに此処はムルナイトの魔核の効果範囲外だ!死んじゃう危険性だってあるんだよ?」
だが、サクナは笑顔で答える。
「大丈夫ですよ。此処は南地区の端の街。核領域にも近い位置にあります。敵を何とかそこまで誘き寄せて戦えば魔核の治癒を受ける事もできます。」
「サクナ…」
「コマリ様。此処はメモワール殿達に任せて私たちは夢想楽園を目指しましょう。」
「ああ。あそこをぶっ壊すのが俺たちの本来の仕事だ。」
ヴィルやマスカーニャにも促される。
「わかった。行こう。サクナ、ありがとう!!皆もよろしく頼む!!」
ガブさんもフライゴンに戦いに行く事を伝えている。
「大丈夫。必ず戻るから安心してくれ。」
「ガブさん…気をつけて。」
ガブさんは敬礼をして私たちと合流する。
私・ヴィル・マスカーニャ・ネリア・ガートルード・ガブリアスの6人で夢想楽園へと向かった。
数刻後…
敵を核領域まで誘き出したサクナ達はそこで対峙していた。
敵はメアリ・フラグメントとオーディシャス・クレイル…
「吸血種どもめ…小癪な真似を…」
「あの白髪の奴…吸血姫にしてはいい女だな。彼奴は俺のモノにしてやる…」
サクナをジロジロみながら舌舐めずりをするオーディシャス。
「キモ…死ねばいいのに。」
それを見たサクナをゴミを見るような目でオーディシャスを見る。
「そ…そんな目もできるんだな…」
「私はコマリさん一筋縄です。」
「い…一途はいい事だ。」
サクナに対して恐怖心を更に強めるデルピュネー。
「では、皆さん行きましょう!コマリさんの為にも敵を此処で迎え討ちます!!」
吸血種達はおおおおおお!!!!と叫び…敵へと向かっていく。
そして…夕方ごろ…
「く…そ…馬鹿…な…」
オーディシャスはサクナとの一騎打ちに敗れ去り…倒れた。
「はぁ…はぁ…これで…最後の1人…」
立っているのはサクナと…
何故かメラコンシー。
他の隊員や敵兵は皆、力尽きた。
デルピュネーはメアリ・フラグメントと相討ちになった。
終盤戦で残ったのはサクナとメラコンシーだけになったが、彼女は単騎で20人もの第六部隊の敵兵を倒し…
オーディシャスも怪力で腹を突き破り…倒した。
「クックック…だが…これで勝ったと思うなよ…」
「はっ?」
サクナはオーディシャスを睨みつける。
「夢想楽園には第五部隊のアバークロンビー。第七部隊のソルト・アクィナスが待ち伏せしている…彼奴らも…それで…」
だが、サクナはフッと笑う。
「アバークロンビー?あぁ。あの時私が殺した奴だ…それなら大丈夫かな?」
サクナの右目が赤く光り始める。
「な…何を…」
「臭くて汚い息で私に話しかけないでくれる?不愉快だから。」
サクナはマジックステッキでオーディシャスにトドメを刺した。
夢想楽園 南側
私たちはとんでもない物を見てしまった。
ネリアから南側には第五部隊のアバークロンビーが待ち構えていると言われていたのだが…
何と…アバークロンビーとその兵達はお互いで殺し合ってもう既に死んでいたのだ…
「な…何があったんだよ。」
ガブさんが死体を調べる。
「まだ暖かい。多分30分前にはもう殺し合いは終わっていたと思う。」
「仲間割れでもしたのか?」
「いえ。恐らくこれは…
メモワール殿ですね。」
「サクナが?此処に来たの?」
「いえ。メモワール殿は皇帝の命を受けて他国とエンタメ戦争を仕掛け続けていました。その際にアバークロンビーを殺し…彼女の烈核解放アステリズムの廻天でいつでも操れるようにしていたのでしょう。」
マジか…
「そして…私達を待ち伏せしていたアバークロンビーとその部下達を同士討ちさせたのです。」
「エゲつねぇ。サクナ…いい子なんだけどなぁ。」
「そんなおっかない能力を持っている仲間がいるんだね…」
「う…うん。ぶっちゃけ敵には絶対に回したくない。」
青い顔をするガブさんとマスカーニャ。
「北側には第六部隊のソルト・アクィナスがいる筈なんだけど…この騒ぎでも来てないみたいね。今のうちに夢想楽園内に入りましょう。」
私たちは夢想楽園の地下へと続く階段を降り始める。
30分前…ゲラ・アルカ領内
ガブリアスに圧倒されたレインズワースは意識を取り戻し…魔核による治癒で完全回復した後…ドラパルトと共に夢想楽園へと向かっていた。
「クソが!!!ガブリアスめ!!!必ずこの手で殺してやる!!!!俺にはまだネリアや彼奴を倒す為の秘策があるんだからな!」
「レインズワース様。通信が入っていますよ?」
ドラパルトはレインズワースの通信用鉱石が光っている事を教える。
「『アイツ』からか。どうだ?ネリア達はどこにいる?」
『まもなく夢想楽園の地下へと…』
何者かと通信するレインズワース。
レインズワースはそれを聞いてわかった俺もすぐに向かうと返事をすると通信を切る。
「よし。アバークロンビーとソルトにも一応一報を入れとくか。」
まずはアバークロンビーへと通信する。
「アバークロンビー。俺だ。聞こえるか?」
だが、返事はない。それはそうだ。
もうこの時すでにアバークロンビーは死んでいたのだから…
「ち…通信に出やがらねぇ。仕方ない。ソルトに通信するか…」
レインズワースはひとまずソルト・アクィナスに通信する。
「おい。ソルト!俺だ!聞こえるか?」
通信が繋がる音が聞こえる。
だが…
『……か!?……われて……れた!!…けてくれ!!』
通信が途切れ途切れになっており…レインズワースはうまく音声を聞き取れない。
「おい!ソルト!何言ってるか全然わからねぇぞ!」
レインズワースが怒鳴る。
だが、次の瞬間
『何かに襲われた!?助けてくれ!!』
ソルトの必死な叫び声が通信用鉱石から響く。
夢想楽園 北側
「レインズワース!!頼む!!助けてくれ!!」
ソルト隊は正体不明の何者かの襲撃を受け…壊滅寸前に追いやられていたのだ…
キシャアア…
それは唸り声を出しながら一人一人着実に殺していた…
「ギャアアアアアア!!??」
「アツイィィ!!!アツイィィィィィィィィィィ!!??」
それは触れただけでソルトの部下達の体を燃やし…殺していく。
「あ…あぁ…あぁぁ…」
ゴラゲゼガギゴザ
それは意味不明な言葉を発すると…
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
ソルトの息の根を止めた…
「おい!!ソルト!!!どうした!?」
通信が切れた。
「くそ!!ムルナイトめ!!!ドラパルト!急ぐぞ!!アバークロンビーとソルトがやられた!!」
イラつきながら早歩きになるレインズワース
「(あの言語…確か天照楽土で聞いた事があるような…)」
ドラパルトはそう考えていた。
続く
いかがでしたか?
次回はいよいよあの胸糞展開か…
まぁ構想はすでに練っているので書くか。
ある意味原作以上に鬱かもです。
では、また!!