ポケットモンスター 炎の吸血姫の革命   作:テツノカシラ

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どうも! テツノカシラです!!


今回なんですが…かなり胸糞描写あるのでご注意ください。



では、どうぞ!!


血塗られた過去

 

 

 

 

東都 西区

 

廃寺

 

 

AM1:30

 

 

 

 

真夜中…再び愚崙徒達が集まっていた。

 

 

 

デンチュラとグライオンが倒され…

 

 

もう上級集団は2匹しか残されていない…

 

 

 

 

「グライオンも死んじゃったね…」

 

 

 

 

「・・・・・」

 

 

 

 

カメレオンキノコの青年の言葉に反応を示さないウルガモス…

 

 

 

「レイゲツ・カリンにやられたみたいだよ?…」

 

 

 

 

 

「そうか…彼奴じゃないんだな…」

 

 

 

 

 

「彼は女を殴れないよ。」

 

 

 

 

 

「変わらないな…あいつも…」

 

 

 

 

 

カメレオンキノコの青年はそう返答すると

 

 

 

ウルガモスはまるで懐かしむような表情を見せる…

 

 

ずょん

 

 

 

 

 

そんな中協力者の少女が姿を現す。

 

 

 

 

「グライオンが死んだな。これで残った上級集団はお前と首領のウルガモスだけだ。」

 

 

 

 

カメレオンキノコの青年は少女に近づく。

 

 

 

 

「ねぇ…バルジーナから聞いたんだけど…何で君がいながらグライオンはレイゲツ・カリンに殺されたの?」

 

 

 

「あの時は傍観するしかなかった。下手に庇えば私が協力者だと怪しまれる。」

 

 

 

 

「そう言ってデンチュラの時だって何もしなかったじゃないか。君は一体何を考えているの?」

 

 

 

 

「以前も言った筈だ。お前達の生命浄化とやらはお前達側にも犠牲になる者を出ると。それは承知のはずだ。」

 

 

 

 

 

「ち…」

 

 

 

 

カメレオンキノコの青年は舌打ちをして少女から離れる。

 

 

 

 

暗闇からバルジーナが姿を現す。

 

 

 

 

 

「次はお前の番じゃろう?どうするのだ?」

 

 

 

 

バルジーナがカメレオンキノコの青年に算盤のような道具を見せる。

 

 

 

 

「ちょっと街の様子を見たいな…久々に兄さんとの思い出を振り返りたい。

 

 

 

僕の狩りはそれからでいいよ。バグンダダをしまってくれ。」

 

 

 

 

カメレオンキノコの青年は算盤のような道具…バグンダダをしまうようにバルジーナに言う。

 

 

 

バルジーナはそうか…と言って懐にバグンダダをしまった。

 

 

 

 

「ウルガモス。そう言う訳だからちょっと街を見てまわりたい。

 

 

いいだろう?」

 

 

 

 

「・・構わない。ただ…掟だけは守るんだ。狩りや粛清以外で人間を殺してはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『キノガッサ』…」

 

 

 

 

カメレオンキノコの青年…キノガッサはニコッと笑う。

 

 

 

 

「わかってるよ。じゃあまたね。」

 

 

 

 

 

キノガッサは廃寺を後にした。

 

 

 

 

 

「面倒くさいな。いちいち殺すのに掟があるとは…」

 

 

 

 

 

「我らの狩りは己を高めるための神聖な儀式…故に掟は厳しく決められておる。」

 

 

 

 

 

「あいもかわらずよくわからん。」

 

 

ずょん

 

 

 

少女はそのまま姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうすぐだ…もうすぐで生命浄化が始まる…

 

 

 

 

俺たちは救われる…

 

 

 

 

 

 

そうだろう?兄ちゃん…」

 

 

 

手から小さな火の粉を出して空に放つウルガモス…

 

 

 

それを虚しい目で見つめるバルジーナ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハッサムは…夢を見ていた。

 

 

部屋に並ぶ化粧道具…

 

 

立てかけられた綺麗な着物…

 

 

 

厳しい眼差しを向ける女…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱く…激しく燃え盛る炎…

 

 

鳴り響く女の怒鳴り声…

 

 

 

炎に身を焼かれて苦しみ…叫ぶ少年…

 

 

 

それを見て何かの経を唱える女…

 

 

 

その後…全身に酷い火傷を負った少年…

 

 

 

少年を優しく抱き抱える青年…

 

 

 

青年の笑顔が視界に映る…

 

 

 

 

 

 

そして…

 

 

 

 

血だらけで倒れている青年の姿…

 

 

 

泣き叫ぶ白髪の少年と…ただ立ち尽くしているだけの緑色の髪の少年…

 

 

 

 

 

 

 

 

炎がまた…視界を覆い尽くす…

 

 

 

熱い…怖い…

 

 

 

 

苦しい…苦しい…

 

 

 

 

 

 

助けて…助けて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兄貴!!!!!!!」

 

 

 

 

 

そこでハッサムは目を覚ました…

 

 

 

「ハァ…ハァ…ハァ…」

 

 

 

時計の針はまだ2:15を指していた。

 

 

汗がすごく…顔色も悪い…

 

 

 

 

「水でも飲むか…」

 

 

 

ハッサムは布団から起き上がり…冷蔵庫から水を取り出して一気に飲み干す。

 

 

 

 

「なんであんな夢を…」

 

 

ハッサムは自身の腕を見つめる…

 

 

交流パーティの際リオーナに言われた通り…体毛一本も生えていない…

 

とても男の腕とは思えない程に…

 

 

 

 

「そりゃそうだ…」

 

 

水を冷蔵庫にしまい、ハッサムは再び寝床につく…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日…

 

 

 

アマツ家

 

 

AM7:40

 

 

昨日の花街の一件で疲れとハッサムの事が気になりすぎて私は風呂にも入らずそのまま寝てしまったため現在朝風呂に入っていた…

 

 

 

 

「ふぅ〜…気持ちいい〜」

 

 

 

天照楽土は温泉もかなり有名だ。

 

 

それもうなづけるほど名湯だ。睡眠だけでは取れなかった疲労が一気に流されていく…

 

 

 

 

「ここにきてもうかれこれ11日ぐらい経ったのか…3週間はあっと言う間かもしれないなぁ…」

 

 

 

本当に色々と濃い11日間だった…

 

 

 

天照楽土の環境問題や愚崙徒…そしてハッサムやカルラの事…

 

 

 

 

 

ハッサムが女の人と戦えないのは絶対に何かある…

 

 

 

カルラも知らないみたいだったが…

 

 

 

 

そういえばカルラとハッサムはいつ知り合ったんだろう?

 

 

 

私はカルラやハッサムの事をまだよく知らない…

 

 

 

もっと2人のことも色々知りたい。

 

 

 

「お風呂から上がったらカルラに少し聞いてみようかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アマツ殿に一体何を聞くのですか?コマリ様。」

 

 

 

 

 

「そりゃカルラの事やハッサムの事を…って」

 

 

 

 

後ろから声がして振り返ると全裸のヴィルがいつものクールな表情で立っていた。

 

 

 

 

 

 

「うわああああ!?いつのまに!?」

 

 

 

 

「コマリ様…私に黙って1人でお風呂とは…一体何を考えているのですか?マスカーニャ殿を締め…問い詰めてもわからないの一点張りな訳です。」

 

 

 

 

「ねぇ。今マスカーニャを締めたって言おうとしてなかった?言っとくけどあいつは無関係だからな!?お前やサクナは最近日常でのマスカーニャに対する扱い酷すぎるぞ!?」

 

 

 

 

「そんな事はありません。私やメモワール殿なりの愛情表現です。」

 

 

ヴィルはそう言いながらさりげなく私の隣に来て湯船に浸かっていた。

 

 

そして…案の定セクハラをかましてくる。

 

 

 

「それはそうとコマリ様…マスカーニャ殿には伝えたのですが…実はパンドラポイズンでこの先の未来を見ようとしました。」

 

 

 

「へ?誰に血を飲ませたの?」

 

 

 

 

「アマツ殿のお茶にこっそりと…」

 

 

 

「何やってんの!?」

 

 

 

いや、吸血って確か和魂種にはあんまり体に良くないって聞いたぞ!?

 

 

何やってんだこいつは…

 

 

 

 

「ご安心ください。少量であれば和魂種の身体には悪影響はありません。

 

 

それで…未来なのですが…」

 

 

 

「未来はどうだったんだよ。後、私の心をさりげなく読むな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わからなかったのです。」

 

 

 

 

「え…わからない?そんな事あるの?」

 

 

 

 

「いえ。こんな事は初めてです。正確にはヴィジョンにモヤがかかって見えないのです。」

 

 

 

「モヤが?…まさか。敵の能力とか?」

 

 

 

 

「それはありません。愚崙徒には私の能力は知られていないです。

 

 

 

 

もしかしたら和魂種の特性が影響しているのかもしれません。」

 

 

 

 

 

「和魂種の特性?」

 

 

 

 

ヴィルは頷く。

 

 

 

「はい。彼らは時間に関して鋭敏な感覚を持っていると言われています。もしかしたらそのせいで未来が見えないのかも…」

 

 

 

 

 

「そうか…」

 

 

ヴィルの能力には助けられた場面が多かったから意外と厄介な問題だ…

 

 

とりあえず今後はリスクマネジメントをしながら行動しよう。

 

 

 

 

 

 

 

お風呂後…

  

 

 

 

「ツーン…」

 

 

 

「ヴィル…マスカーニャに謝りなよ…」

 

 

 

「申し訳ありませんでしたー。」

 

 

 

「適当すぎだろ…」

 

 

 

居間に行くと美味しそうな朝食とヴィルに理不尽な尋問を受けて拗ねて丸まってるマスカーニャがいた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風呂から上がった私たちは朝食を食べ終わり…現状をカルラやカルラのお祖母さんと話し合っていた。

 

 

 

「現在…レイゲツとアマツは同点だ。残りの愚崙徒は後2体。いつ出てくるかわからんから気を引き締めな。」

 

 

 

「はい。お祖母様。」

 

 

 

 

「ん?カルラ…やけに素直だね。

 

 

 

なんかあったのかい?」

 

 

 

珍しくお祖母さんがカルラに悩みを聞いてくる。

 

 

 

 

「いえ…何も…」

 

 

 

「はぁ…別に怒ったりしないよ…言ってみな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お祖母様は…ハッサムが女性に対して過度に恐怖を抱いている理由はご存知なのですか?」

 

 

 

 

「!!……あぁ。知ってる。」

 

 

 

 

「!!じゃあなぜ?」

 

 

 

 

 

 

お祖母さんはお茶を一口啜る。

 

 

 

 

「彼奴は元々レイゲツの仕えていた『キサキ』って言う家の出身だったんだ…」

 

 

 

「えっ!?ハッサムって名家の出身だったの!?」

 

 

 

全然わからなかった。名家のお坊ちゃまって将来あんなヤンキーになるのか…

 

 

「キサキ…名前は聞いたことはあります。確か今はもうない家だったような…」

 

 

 

 

「あぁ…随分前に廃れたよ…まぁ当主…ハッサムの母親がちょっとな…」

 

 

 

お祖母さんはキサキ家にあまりいい感情を抱いてなさそうだった…

 

 

「ハッサムの…お母様が?」

 

 

 

 

だが、お祖母さんは話をそこでやめた。

 

 

 

 

 

 

 

「いや…この先は本人の口から聞きな。」

 

 

 

「本人に?」

 

 

「家ならマツバが知っている。案内してもらいな。」

 

 

 

 

お祖母さんはそう言うと立ち上がって部屋を後にしようとする。

 

 

 

 

「カルラ。」

 

 

 

 

「はい。」

 

 

 

 

 

 

 

「辛いかもしれないが…あんたとハッサムなら絶対に乗り越えられる。

 

 

 

だから…しっかりおやり。」

 

 

 

 

お祖母さんは優しくそれだけ言い残すと部屋を後にした。

 

 

 

 

あれが一体どう言う意味なのか…私はよくわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

AM10:00頃…

 

 

 

マツバが車で迎えにきてくれた為私たちはハッサムの住む家へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車中にて

 

 

 

「そうだ。カルラに聞きたいことがあるんだ。」

 

 

 

「何でしょうか?」

 

 

 

 

「カルラとハッサムはいつ頃出会ったの?」

 

 

 

 

 

ストレートだが、これしか聞く方法を思いつかなかった。

 

 

 

 

 

「ハッサムとは小さい頃に出会いました。当時私は家のこともあり…友達があまりいませんでした…」

 

 

 

 

「カルラ様。今もそうじゃん。」

 

 

 

 

「こはる。普通に傷つくのでやめてください。

 

続けますね。友達がおらず家の者の目を盗んで外でよく手鞠遊びなんかをして…そこで出会ったんです。」

 

 

 

「カルラは小さい頃は結構お転婆だったの?」

 

 

 

 

カルラは首を横に振る。

 

 

 

 

「いえ。昔から大人しくて自己主張はあまり強くありませんでした…それにお気づきかもしれませんでした。私は両親を早くに亡くしています。」

 

 

 

 

「そう…だったんだね…」

 

 

 

何となく気づいていた。カルラのお父さんやお母さんは見たことない。

 

 

「はい。2人とも神具で出来た毒物が溶け込んだ水を誤って飲んでしまってそのまま…」

 

 

 

「ごめんね。辛い話を…」

 

 

 

 

「いえ。唯一血の繋がった家族であるお祖母様も多忙であまり家におらず私は寂しかったんでしょう。

 

 

こっそり外に出て1人で遊ぶ事が多かったんです。

 

 

そんな中…ハッサムと出会いました。」

 

 

 

 

カルラは胸に手を当てる。

 

 

 

 

「本人の前では恥ずかしくて言えませんが…当時孤独だった私にとってハッサムはとても救いだったんです…初めて出来た友達…それだけで私は嬉しかったんです。」

 

 

 

カルラは優しい笑みを浮かべながら話す。

 

 

 

 

「彼奴はそんなにアマツにとっては大事な存在だったんだな。」

 

 

 

 

「はい。ガンデスブラッドさんとマスカーニャさんとの関係に近いかもですね。」

 

 

 

 

「アマツ殿。マスカーニャ殿ではなく私に変えていただけませんか?」

 

 

 

 

「ヴィルは少し黙ってて。」

 

 

 

またマスカーニャと喧嘩するかもなので私はヴィルを制止した。

 

 

 

 

 

「ですが…私が10歳になった頃…

 

 

 

ハッサムは突然姿を消したんです…」

 

 

 

 

「突然?…」

 

 

 

 

「はい…」

 

 

 

 

「その時期にハッサムに何かあったのか?」

 

 

 

 

 

カルラは重い口を開く…

 

 

 

 

「あの事件があってから…ハッサムは姿を眩ましました…」

 

 

 

「あの事件って…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「和魂種達によるポケモン人集団暴行殺人事件やな…」

 

 

 

「え…」

 

 

 

 

 

カルラに変わってマツバが答えた。

 

 

 

 

「ちょうど5年前や。そちらさんの皇帝陛下から聞いたことあるやろ?愚崙徒が工場建設に反対運動を起こしたって…

 

 

実はそれには続きがあるんや…」

 

 

 

 

「続き?…」

 

 

 

 

 

「愚崙徒の反対運動に腹を立てた和魂種達は…

 

 

 

愚崙徒のとあるポケモン人を集団で痛めつけて…

 

 

最後は魔核の効果範囲外の場所で殺したんや…」

 

 

 

 

 

「え…」

 

 

 

あまりにも衝撃的な事で何も反応ができなかった…

 

 

 

 

 

「それからです。ハッサムは3年間もの間私の前から姿を消しました…」

 

 

 

 

「その事件と関係あるの?…」

 

 

 

 

「わかりません…」

 

 

 

 

 

「後はハッちゃん本人から聞くしかないな…彼は愚崙徒と深い関わりがあるのは間違いないし。」

 

 

 

 

 

「なぁ…その殺されたポケモン人って…」

 

 

 

マスカーニャが恐る恐る尋ねる…

 

 

 

 

 

「殺されたポケモン人は…愚崙徒にとっては宝みたいな存在やった…

 

 

そのポケモン人の名前はな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

 

 

レイゲツ家

 

 

 

 

「やはり…首領バサギリだったか…」

 

 

 

 

「プロヘリヤ…何を調べてるの?」

 

 

 

プロヘリヤとリオーナはレイゲツ家に保管されている過去の新聞記事を読んでいた。

 

 

 

 

「5年前に起きたポケモン人集団暴行殺人事件だ。その被害者が愚崙徒の前首領バサギリだったんだ。」

 

 

 

「集団…暴行…」

 

 

リオーナの顔が青くなる。

 

 

 

「あの自然を根こそぎ破壊している悪趣味な工場の建設を反対した事で殺されたらしい…」

 

 

 

「そんな理由で…」

 

 

 

プロヘリヤは新聞をクシャクシャに握りつぶす。

 

 

 

 

 

「実に不愉快だ…書記長はこれを知ってて私に天舞祭に参加しろと言ったのか?」

 

 

 

「多分うちの国王は知らなかったと思う…」

 

 

 

 

 

2人は部屋を出る。

 

 

 

 

「これからどうする?」

 

 

 

 

 

「一度白極連邦に連絡を行う。」

 

 

 

 

「私も一回ラペリコに連絡するよ。」

 

 

 

2人はそれぞれ国に連絡を行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東都 中央区   

 

 

AM10:30

 

 

 

車に乗って30分…

 

 

ハッサムの住む家に到着した。

 

 

 

天照楽土の一般的な木造住宅だ。

 

 

 

「さぁ着いたで。じゃあ僕は他に用事があるから5時間後ぐらいにまた迎えにくるわ。」

 

 

 

マツバはそう言うと車を走らせてその場を後にした。

 

 

 

私達は玄関の呼び鈴を鳴らす。

 

 

 

 

するとすぐに足音がして

 

 

 

 

戸が開き…

 

 

エプロン姿のハッサムが姿を見せた。

 

 

 

 

 

「お前ら…何でここに?」

 

 

 

「えっと…ハッサムとちょっと色々話をしたくて…

 

 

って言うか何でエプロン姿?」

 

 

 

赤い髪を一つ結びにしてエプロン姿のハッサムは女の子にしか見えなかった…

 

 

 

ハッサムは短いため息をつく。

 

 

 

 

「とりあえず上がれよ…お前らの分も作ってやる…」

 

 

 

 

 

「え…何を?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「釜飯。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に上がった私たちはハッサムの作った釜飯御膳をご馳走になった。

 

 

 

釜飯は勿論鰹のたたきや筑前煮なんかも初めて食べたが、すごく美味しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食後…

 

 

 

 

「美味しかったぁ。ハッサムって料理上手いんだね!」

 

 

 

「あんなに美味しい釜飯御膳は初めて食べました。」

 

 

 

私とカルラはハッサムの料理を絶賛した。

 

 

ヴィルやマスカーニャ、こはるも満足気な顔をしている。

 

 

 

 

「くるしゅうないぞ。ハッサム。」

 

 

 

 

「まぁまぁのお味でしたね。」

 

 

 

「お前ら何様だよ。美味い美味い言いながらバクバク食ってた癖に。」

 

 

 

何故か殿様のようにふんぞり返ってるこはるとヴィルにツッコミするマスカーニャ。

 

 

 

 

「釜飯とか和食を作るのは得意なんだ。」

 

 

 

 

「オムライスも作れるの!?」

 

 

 

 

「オムライスは…作った事ないなぁ。」

 

 

 

 

「是非今度作ってみてくれ!オムライスは全世界公認のグローバルフードなんだ!!」

 

 

 

マジで私はそう思っている。オムライスは神が作り出した奇跡の料理だ。

 

 

 

「お…おう。まぁ今度作ってみるわ…」

 

 

 

「絶対だよ!!釜飯にも負けない美味しさなんだ!」

 

 

 

美味しいものを食べてテンションが上がってしまった。

 

 

我ながらちょっと恥ずかしい…

 

 

 

 

 

 

 

 

「釜飯はさ…兄貴の好物だったんだ。旬の食材がよく取れた日には毎回釜飯作ってさ…まぁ俺も好きでよく食べたんだけどな。」

 

 

 

 

「兄貴?…ハッサムってお兄さんがいるの?」

 

 

 

私はつい気になり…聞いたが、ハッサムは「いや。何でもない」とはぐらかした。

 

 

 

 

 

 

「そういや…お前らどうして俺の家に?何か用があってきたんだろ?」

 

 

 

 

ハッサムに用件を聞かれた為私達は本題に入ることにした。

 

 

 

昨日のことやカルラのお祖母さんに聞いた事…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどな…あのクソババア…余計な事話しやがって…」

 

 

 

「幼馴染の私も知りませんでした…ハッサム…

 

 

キサキの家で何があったんですか?

 

 

何で3年もの間私の前から姿を消したんですか?」

 

 

 

 

 

私達の問いにハッサムはため息をつき…

 

 

 

 

ポツリポツリと自身の過去を話し始めた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が生まれたキサキ家は代々レイゲツ家に仕えてきた名家だったんだ。

 

当主となる女は五剣帝となり…生涯レイゲツの為に刀を振うのが使命としていたんだ。

 

 

 

ある日…キサキの当主が念願の子を身籠もった。

 

 

みんな後継ぎが漸く生まれると歓喜回ったらしいんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど…産まれてきた子は女ではなく男…

 

 

 

しかもむし・はがねタイプのポケモン人…

 

 

 

 

それが俺だったんだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい?お前はこれから男ではなく女として生きていくのよ。キサキの当主は女でなくてはならないの。ましてやポケモン人である事も許されない…

 

 

 

 

お前は今日からキサキの娘…キサキ・キキョウと名乗りなさい。」

 

 

 

 

 

「はい…お母様。」

 

 

 

 

当時何の力もない俺は母親の言葉にただ従うしか出来なかった…

 

 

 

 

 

 

それからはキサキの後継として…女の着物を着させられ…女の生き方を教え込まれた。

 

 

 

正直苦痛だったが…反抗する勇気も湧かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

そんなある日…俺は母親に連れられてある場所に向かった。

 

 

 

其処は儀式場だった。

 

 

 

 

 

「今からお前には太陽の舞をしてもらう。」

 

 

 

 

太陽の舞…それはキサキがレイゲツに忠誠を誓う為の儀式だ。

 

 

 

松明を両手に持ち…日舞を踊り…

 

 

 

最後にその炎を自身の体に燃え移すとか言う…

 

 

イカれた物だった…

 

 

 

 

だが、その儀式は本来後継が15の歳を迎えた時に行う物だ…

 

 

 

それに俺はむし・はがねタイプ…

 

 

 

火は昔から大の苦手だった…

 

 

 

 

 

「お母様…怖いです…」

 

 

 

「怖がってはダメよ。キキョウ…お前はこれから先レイゲツ家に忠誠を誓い…生涯を捧げなければならない…

 

 

 

 

その為に必要な事よ…

 

 

 

松明をこの子に」

 

 

 

 

俺は言われるがまま…

 

 

 

 

 

松明を両手に取って…慣れない足取りで日舞を踊った…

 

 

 

 

そして…その時は来た。

 

 

 

 

 

 

松明の炎を自分の身体に燃え移す時が…

 

 

 

 

髪の毛には燃え移らないように耐熱性の面を被せられて…

 

 

 

 

「さぁ…キキョウ。忠誠の炎を体に…」

 

 

 

 

視界を遮られても…松明の上で燃え盛る炎の熱と匂いははっきりとしていた…

 

 

 

それがより俺の恐怖心を煽ったんだ…

 

 

 

 

「お母様…怖い…怖いです…やめて…ください。」

 

 

 

そして…俺はいつのまにか母親に命乞いをしていた…

 

 

 

だが、それが母親の怒りを買ってしまったんだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この大馬鹿者が!!!!忠誠の炎を拒むなど万死に値する!!!

 

 

 

 

 

早く炎を体に移しなさい!!!!!」

 

 

 

 

 

 

母親は何か液体を俺の体に付けた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

匂いですぐにガソリンだとわかった…

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

松明の炎は俺の体に燃え移った…

 

 

 

 

 

 

「ああああああああああああああぁぁぁ!!!!!!!????」

 

 

 

 

ガソリンをかけられた事で炎はより一層俺の体で燃え盛った…

 

 

 

 

すさまじい熱と痛みが俺の身体を襲ってきた。

 

 

 

頭と顔以外の全ての部位に激しい苦しみが止まらなかった。

 

 

 

 

 

「アツイィィ!?アヅイィィ!!??おがあざまぁ!!??おゆるじを!?おがあざまああああああ!!!??」

 

 

 

 

 

「耐えなさい!!!!お前はこの儀式を乗り越えなければならない。耐えて…耐えて…

 

 

 

天照楽土の為に生きるのです!!!!」

 

 

 

 

 

「あああああああああ!!??だずげでええええ!!??だれがああああああああああ!!??」

 

 

 

 

 

俺は必死に叫んだが、誰も止めようともしなかった…

 

 

 

 

 

 

そして…30分が過ぎた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

炎はようやく消えた…

 

 

 

 

「ふゅぅ…フュゥ…」

 

 

 

俺は全身に酷い火傷を負い…呼吸も上手くできなかった…

 

 

 

皮膚は焼け爛れて多分骨も一部溶けてたと思う…

 

 

 

 

 

 

 

すぐに魔核で身体は治癒した。

 

 

 

 

 

 

 

だけど…魔核で治癒した体からは髪の毛以外のあらゆる体毛が生えてこなかったんだ…

 

 

 

 

「お前は女よ?体に生えてくる産毛などいらないわ。これで…これで…

 

 

 

 

キサキ家が絶えずに済む…ああ…これで…」

 

 

 

 

 

儀式の後で知った事だ。

 

 

あの松明には特殊な神具が仕組まれていて炎をつけて生物の体に着火させると…体内の男性ホルモンを根こそぎ破壊して体毛を毛根から焼き尽くして生涯生えなくさせる物だったらしい…

 

 

 

特に7歳頃の男児には効果が絶大みたいだったんだ。

 

 

 

俺の身体に体毛が全くないのはそれが原因だ…

 

 

母親は俺を女にして家の血と伝統の為だけに火をつけたんだ…

 

 

 

 

それからも地獄の日々が続いた…

 

 

逆らえば叩かれ…飯も食わせてもらえなかった…

 

 

 

 

 

 

苦痛に我慢できなくなり…気がつけば俺は…

 

 

 

 

家をから逃げて街から出た…

 

 

 

 

 

そして…山林の中に逃げ込んだ。

 

 

 

勿論追っ手は来た。

 

 

 

 

俺は必死で逃げて逃げて逃げ続けた…

 

 

 

 

だけど…空腹と疲労で山の中で動けなくなったんだ…

 

 

 

 

 

 

「おい?…誰だ…俺の縄張り荒らしてる奴は…逃がさねぇからな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど1人のポケモン人の声で…俺の人生は変わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?餓鬼?…どうした?お前…」

 

 

 

 

 

 

 

 

それが兄貴…

 

 

 

 

 

バサギリとの出会いだった…

 

 

 

 

 

続く




いかがでしたか?


次回はハッサムとバサギリの関わり…


そして、バサギリが殺される所ですね。


では、また!!
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