今回でハッサムの過去回想は最後ですね。
では、どうぞ!!
血溜まりの中で倒れている兄貴…
和魂種達の手には棒や刀などの武器が握られている…
刀は恐らく神具…
「あ…あ…にき?」
俺は一瞬その光景をただ呆然と見る事しかできなかった。
「ふん!むしの分際で人間に楯突くからこうなるのだ!」
「さてマトウ様に報告しよう。邪魔なバサギリは始末したと…」
奴らの不愉快な笑い声で…
すぐに我に帰る…
そして…
耐え難い怒りの感情が込み上げてきた。
其処から俺は意識が曖昧になった…
ハッサムは走り出し…
「おい。何か走ってくるぞ。」
「イノシシじゃないのか?」
「いや…違う。あれは…」
ハッサムは高く跳躍する…
「てやる…ろしてやる…」
「コロシテヤル!!!!!!!」
「ぶがぁぁ!!??」
和魂種の1人の顔面に強烈な蹴りを浴びせた。
和魂種は白目を剥いて地面に倒れ込む。
「な…なんだ!?」
「子供!?何でこんな山の中に…」
ハッサムの右足首に彫られたカマキリの刺青が和魂種達の目に止まる。
「違う!!!愚崙徒だ!!!
バサギリの仲間だ!!!!!」
和魂種達は武器を構える。
「ウオォォォォォォォォ!!!!!!!!」
ハッサムは叫びながら和魂種達に猛進する。
「キキョウ!」
しかし、突然女の声が聞こえ…ハッサムは一度立ち止まる
「キキョウ…キキョウなんでしょう!?」
ハッサムの目の前に1人の女が現れる…
ハッサムは女の顔を見て…身体が硬直してしまう…
「やっぱり此処にいたのね…キキョウ…3年もの間心配したのよ?…」
「は…は…
母…上?」
その女は…紛れもなくハッサムの母親だった…
「テツコ殿。まさかこやつが…」
「ええ。失踪した私の一人息子です。此処にいる事はわかってはいたのですが…
其処に転がっている害虫に邪魔されて中々接触できなかったんです。」
ハッサムの母親は息子の顔に手を添える。
「な…何故…此処…に?」
「何故って…
貴方が出て行ったせいでキサキの家は廃れてしまったから…今はマトウ家に仕えているからよ?」
ハッサムは寒気と恐怖に支配され始める。
「レイゲツもレイゲツよ…あれだけ尽くしたのに…外道とか鬼畜な母親とか言って私を追放したのよ?…酷いと思わないかしら?
あの糞ジジイ…孫がいるからって調子に乗りやがって…
でも…
一番酷いのは貴方よ?キキョウ…」
「!?」
ハッサムは本能的に危機を察知して母親から離れようとしたが…
和魂種達にすぐに取り押さえられてしまった。
「やめろぉぉぉ!?はなせぇぇ!!!!」
「テツコ様…いかがいたしましょうか?」
「連れて行きなさい。マトウ様に献上すれば大手柄です。もう私の子ではありませんが…
ポケモン人としてはかなりの上物です。使い物になるでしょう。」
ハッサムは何とか反撃しようとするが…
母親の顔を見てしまうと身体が思うように動かなかった…
このまま連れて行かれると思った時である…
「"がんせきアックス"!!!!!」
ポケモン人の技が和魂種達を切り裂いてハッサムから引き離した。
技を繰り出したのは…
全身傷だらけで最早満身創痍のバサギリだった…
「ハァ…ハァ…ハァ…」
「バサギリ…!!!まだ生きてたのかぁ!!!」
がんせきアックスの追加効果で発生したステルスロックも和魂種達に突き刺さっていく。
「逃げろぉ!!!ハッサムゥ!!!!
生きろ!!!生きてくれぇ!!!!」
バサギリは和魂種達に果敢に挑む。
ハッサムはビートクロン号に乗り…山の中に逃げる。
「逃さない!!!!追うわよ!!!!」
「わかりました!!!!」
母親と手下の和魂種達は馬に乗り…ハッサムを追いかける。
ハッサムは山の中を必死で逃げるが…夜目はあまり効かず夜の山の中をバイクで走った事もない為思うように運転ができない。
「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ!!!」
それでも必死で駆け回っていたが…
「うわぁぁ!!??」
ついにバイクが何かにつまずいて横転してしまう。
「いたぞ!!」
「捕まえろ!!!」
馬に乗った追っ手に見つかってしまった。馬は山や森ではバイクよりも柔軟で小回りが効く。
ハッサムは走って逃げようとするが、転倒した上体力を消耗している為馬から逃れられない。
追っ手が縄でハッサムを捕らえようとする。
「キエエエエエ!!!!!!」
「な…なんだ!?
ぐわああああ!!??」
しかし、何かが奇声を上げて和魂種にぶつかり…落馬させた。
「一体何なの!?」
「テツコ様!!!上です!」
上を見上げると翼を広げた鳥型のポケモン人が木の上から追っ手達を睨みつけている。
「バ…バルジーナ…」
「ハッサム!!!逃げるんじゃ!!わしが足止めする!!!」
バルジーナは再び追っ手に飛びかかり、また1人落馬させて無力化する。
「小癪な!!!たかがポケモン人如きが!!
人間に歯向かうな!!!」
ハッサムの母親は刀を抜いて魔力を込め、空気の刃をバルジーナに向けて放つ。
バルジーナは翼をかすめてしまい、落下。
ハッサムは逃げようとするが、母親が放った拘束魔法で手足を拘束されてしまう。
母親は馬から降りてハッサムに近づく…
「嫌だ…嫌…だ…」
「さぁ。もう逃げられない…
大人しくマトウの傀儡になりなさい…」
母親とハッサムの距離がもはやなくなりそうになった時…
何かが突き刺さる音と血が吹き出した音が聞こえた。
ハッサムはゆっくりと目を開ける…
母親と自分の間に誰かが立っている。
「あ…が…あ…」
「死ね…人間…」
母親の腹に…
ウルガモスの右手が突き刺さっていた…
ウルガモスが右手を引き抜くと同時に母親の体は地面に倒れ込む。
「ウルガモス…」
「大丈夫か?ハッサム…」
左腕に母親の血がべっとりとついたウルガモス…
「テツコ様!!!!」
「おのれ!!!愚崙徒どもぉ!!!」
手下達が一斉に襲いかかる。
「"キノコのほうし"!!!!」
しかし、木の影に隠れていたキノガッサが放ったくさタイプの変化技キノコのほうしによって全員眠らされてしまった。
「ハッサム!大丈夫!?」
「あ…あぁ…」
「良かった…全員眠らせたから安心して?」
「あぁ…」
ハッサムはふらつきながら立ち上がる。
「お前達。大丈夫か?」
バルジーナに対し3人は大丈夫だと言う。
「こいつら一体何なんだ…」
「お…俺の…母親だ…」
「え…ハッサムの…お母さん?」
「こいつが…」
ウルガモスはハッサムの母親を睨みつける。
「こんな奴が母親か…」
「なんで皆ここに?…」
「お前がいきなり飛び出すから追っかけてきたに決まってんだろうが。」
「心配したんだよ?」
ウルガモスが頭を掻きながら答える。
キノガッサは無事でほんとに良かったとハッサムの肩を何度も摩る。
ハッサムは安堵したと同時に大切な事をすぐに思い出す。
「そうだ!!兄貴!!兄貴が!!!」
「兄ちゃんがどうしたんだよ!?」
「まさか兄さんに…」
「このままじゃ兄貴が死んじまう!!!!」
ハッサムは急いでバサギリの元へと引き返した…
ウルガモス達も後へ続く。
しかし…もう既に遅かった…
後に残ったのは全滅した和魂種達と…
何本もの刀を突き刺されて絶命したバサギリの亡骸だけだった…
「兄…兄さん…」
「遅かったか…」
キノガッサはその場で立ち尽くし
バルジーナは膝から崩れ落ちて顔を覆う。
「あ…あ…あぁ…」
ウルガモスはゆっくりとバサギリに近づく。
「あはは…兄ちゃん…何やってんだよ…
早く帰ろうぜ…皆で帰ろう…それでまた一緒に釜飯食おうぜ。
兄ちゃんの釜飯俺また兄ちゃんの作った釜飯食べてぇからさ。
兄ちゃん…兄…」
だが、ウルガモスがバサギリの肩に触れた途端…
バサギリの体をゆっくりと揺らぎ…地面に倒れた。
「う…あ…あぁ…あぁ…
うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
山に響き渡るウルガモスの絶叫。
叫び終えた後…
ウルガモスは山を降りようと走る。
「待て!ウルガモス!何処に行く気だ!?」
「東都に向かう!!!!人間を皆殺しにしてやる!!!」
ハッサムはウルガモスを必死で止める。
「やめろ!!捕まって返り討ちに遭うだけだ!!!」
「ふざけんじゃねぇ!!!兄ちゃんが死んだんだぞ!?
黙ってられるかぁ!!!」
「犬死にするだけだ!!!!」
すると…ウルガモスが突然動きを止める。
「お前…さっきから…
ナニイッテンダ?」
「え…」
次の瞬間
ウルガモスはハッサムを思い切り殴り飛ばした。
そして…ウルガモスはハッサムに馬乗りになる。
「わかった…わかッタゾ…
お前のせいでこんな事になったんだ…」
「な…」
ウルガモスは昆虫のような無機質で冷たい目でハッサムを見つめる。
「お前が東都に行って…工場建設をするならこの山がいいって…言いふらしたんダロ?そうだ…ソウニチガイナイ…」
「違う!!!俺はそんな事!?」
「お前はダレダ?俺の兄弟だったハッサムはそんな事絶対にシナイ…
お前はハッサムに化けた何かダ…
そうだ…絶対にソウダ…
ゼ ン ブ オ マ エ ノ セ イ ダ ! ! ! ! !」
ウルガモスの叫びにハッサムは何も言い返す事ができなかった…
その後…努力虚しく…2年後には愚崙徒達の山は削り取られ…あの工場が建設された…
主人と郷を失った愚崙徒達が悲しみに暮れ…絶望し、散り散りとなった。
ハッサムもその後カルラに何も告げる事なく3年もの間姿を眩ました…
「その後は各地を転々としながら喧嘩三昧の日々だった…そんな事を繰り返していたらいつしか俺は赤い死神と呼ばれるようになった…今年の初めに天照楽土に戻って…まっつぁんと知り合ってこの家に移り住んだ。そしてお前と再会して…
3年間の間に人間への恨みつらみと強さを身につけたウルガモスを止めようとして返り討ちって訳だ…」
「ハッサム…」
何も言えない…
いや…何て言えばいいのかわからない…
ガブさんは戦争と言うとてもつもなく血みどろで辛い過去を持っていた…
ハッサムもガブさんと同じくらいの壮絶でなんて悲しい過去を背負っていたなんて…
私達はハッサムにどう声をかけたらいいかがわからずに沈黙が続いた…
東都 東区
AM12:15
昼下がりの飲み屋街…
一軒の酒場に2人の男女が昼間から酒を飲んでいた…
1人は小柄な翦劉種の女…
もう1人は長髪長身の和魂種の男…
逆さ月のロネ・コルネリウスとアマツ・カクメイである。
「天舞祭…盛り上がってんのかねぇ。」
「さぁな。今のところアマツ・レイゲツ両陣営共に同点らしいが…」
「でも何で天舞祭はグロント…だっけ?ポケモン人の狩猟民族の殲滅なんだ?」
「大神が決めた事だから俺に聞くな。」
カクメイの言葉にコルネリウスの眼鏡が光る。
「聞くなって事は知って入るって意味だな?」
「ノーコメントだ。」
「教えろよ〜。麗しいお姉さんが聞いてるんだぞ〜?」
歳の割に見た目が幼いコルネリウスに対して何処が麗しいお姉さんなんだとカクメイは心の中でつぶやく。
カクメイはそのまま無視を続け…コルネリウスは頬を膨らませる。
カクメイとコルネリウスは逆さ月のボス…おひい様の命令で天照楽土に潜り込んだのだ。
カクメイにとっては里帰りでもある。
「実家には帰らないのか?」
「帰らん。今帰ってもいいことは何もない。」
「次はどんな愚崙徒が来るんだろうな〜?」
「そんな事よりおひい様が拾ってきた新人からの連絡はないのか?そろそろ連絡が来る頃合いだろ?」
「まだ連絡ないし。」
「ならウルガモス達がどう動くかはまだわからんな。」
何を聞いてもぶっきらぼうに答えるカクメイにコルネリウスは更に機嫌が悪くなる。
「アマツ〜!お前さっきから釣れないぞ!」
「任務だからな。」
「任務中に酒飲みながら言えた立場か!?」
「俺は飲んでない。お前だけだ。」
「むぅ〜〜!なら観光地連れてってよ!東都には天託神宮って言う縁結びの神社があるって聞いたぞ!そこに行きたい!」
「話が飛躍しすぎだ。行きたいなら勝手に行け。俺は行かん。」
「場所がわかんなーい!!!連れてけ〜!私もいい男と結ばれたい〜〜!!」
じたばた。じたばた。
酔いのせいもありコルネリウスは手足をばたつかせて暴れる。
周囲の目にも止まり始め、カクメイは無理矢理コルネリウスを連れ出そうとするが…
「あ」と2人の声が重なった。
コルネリウスの服の裾が酒の入ったお猪口を吹っ飛ばし…通路を歩いていた若い男の履き物に中身がかかってしまった。
若い男はギロリとコルネリウスを睨む。
「おい。てめぇ。何してくれてんだ?」
想像以上にドスが効いた声にコルネリウスは思わず身震いした。
彼女は頭はいいが、戦闘能力があまり高くない。
その為こういった事態には弱い。
「え…えと…その…これは違くて…」
「ごちゃごちゃと翦劉風情が騒ぎやがって…謝罪の一つもできねぇのか?」
「ご…ごめんなさ…」
「あぁ!?聞こえねぇよ!?」
「ひぅ!!!!」
「聞こえねぇって言ってんだろうが!!!!!」
男は腰につけた刀に手をかけようとした時である
「ねぇ。その辺にしてあげなよ。」
「あぁ?」
いつのまにか若い男の背後に緑色の髪をした青年が立っていた。
髪型はツーブロックの前下がりショートボブで耳にはトカゲを模したピヤスをつけている。
服装もかなりのアウトローである。
「わざとじゃないみたいだし。相手は女の子だよ?許してあげなよ。」
見た目に反して口調はかなり穏やかで顔つきも爽やかだった。
「なんだテメェ…関係ねぇだろ?すっこんでろ!!」
「いいから。いいから。」
「ぐお!?」
青年が刀を握っている男の手を握る。
かなりの力のようで男の顔が少し歪む。
「他の人達も見てるしさ。此処は引いてよ。ね?」
青年がニコッと笑う。
「ぐ…くそ!!!」
男は舌打ちをして店を後にした。
「君。大丈夫?」
青年がコルネリウスに近づく。
「あ…えっと…あ…ありがとう。」
「この辺りは結構チンピラが多いから気をつけてね?」
「は…はい////」
青年の笑みにコルネリウスは思わずときめいてしまった。
青年はそのまま飲み屋を後にした。
コルネリウスは顔を赤くしてカクメイの方を見る。
「ア…アマツ。」
「何だ?」
「今の男の子…超優しいしイケメンだった!!
天満神宮に行きたい!!!今すぐ行きたい!!
彼が私の運命の人だ!!!!」
「勝手に行け。」
カクメイは青年が出て行った後は見つめる。
「(首元を隠していたが…
カメレオンみたいな入れ墨が見えた…恐らく奴は…)」
「(あの男…ただの和魂種じゃなかった。僕があの雑魚と遊んでいる時も腰の刀に手をかけていつでも抜けるように帯刀していたし…何よりも
少しだけ同じ匂いがした…かも。)」
青年…キノガッサは人目がつかない場所まで来ると固有能力で周囲の景色に擬態して移動を始めた…
AM13:00
オートセクターに乗ったウルガモスはとある場所に来ていた…
「此処か…やっと見つけた…
ハッサム…愛する我が兄弟…」
其処はハッサムの家の前だった…
いかがでしたか?
前回あとがきで書き忘れたのですが、今作のカルラは弓矢が唯一得意と言う一面があります!どうしても加えたくて
それとキノガッサは固有能力で姿を消せます!
では、また!!