盃兄弟の長女は怪盗でした【アニポケXY / XY&Z】 作:小花
少女の過去、壊れた時間
新世界・ロザリア
その島で、少女は生を受けた。
少女の家族の名は父親が一流スパイ【イブ】として一躍名を馳せ有名なエンジェル・D・イアン。母親は凄腕怪盗【怪盗アリア】として
同じく一躍名を馳せ有名なエンジェル・D・ジュリア。
さらに少女には兄が2人と姉が1人いて、そのうちの兄は双子だ。
兄の名前は長男がエンジェル・D・ソウ、
次男がエンジェル・D・レイ。
姉の名前はエンジェル・D・シオンという。
そして… 肝心の少女の名前はエンジェル・D・リナ。
家には魔法の力が先祖代々伝わっていて、魔法は一家につき1人しか授からず少女もその ‘‘ 魔法使い ’’ であり、兄弟で、家族で唯一その魔法の力を授かった。
これは… 少女、エンジェル・D・リナの過去の話。
◆◆◆
「さあ、ご飯にしましょ!」
「「「『はーい!!』」」」
夜のひととき。彼らはこれより夕食の時間となりリビングで一堂に会し席に着く。……だが、その近くに黒い影。
◆◆◆
「ヒヒッ、ついに来たぜェ… この家に誰も扱う事のできねェ魔法使いがいる…!!」
「お頭、突入しやしょうぜ」
「まて、もう少し様子を見てからだ… この家に住む小娘の両親が一流スパイと凄腕怪盗、おれ達の存在が見抜かれちまったらシャレになんねェだろ?」
「「
彼らは殺し屋組織【SPIDER】といい、ロザリア島で、そして世界で唯一魔法を扱うことのできるリナの首を狙って彼女の家へ突入しようとしている。
「……ッ!!!」
「アナタ?」
「ああ… いや、何でもないよ」
一流スパイである父親のイアンが見聞色の覇気により真っ先にただならぬ気配に気づく… が、凄腕怪盗である母親のジュリアとリナ含む子供たちはまだその気配に気づいていない。この一家にとっての幸せな時間が壊れるまで… もうあと数時間と幾ばくもない。
◆◆◆
「はーい。どちらさまで?」
「夜分遅くに失礼。私達は☆☆という者です」
夕食をとり終え、就寝するのみ… という時、突如としてドアがノックされてジュリアが応じた。扉を開けると滅多にない夜の時間の来客にジュリアは戸惑い、対するSPIDER達は今にも突入しようと全員構えている。
「突入!!いけェ!!!!!」
「「「うおおおおおおお!!!!」」」
町中に、島中に響き渡るくらいの大声で駆け出していき、さっそく末娘であるリナを狙おうと探し回る。
「こいつらは…!!!」
「何か知ってるの?」
「こいつらは、殺し屋組織・SPIDERだ!!!!ジュリアッ、なぜこいつらを家に入れた!!!!!」
「殺し屋ですって…!?ごめんなさい、まるで普通の人のように名乗っていたから…」
既に気づいていたイアンはジュリアに怒声をあげ、ジュリアもようやく正体に気づいて謝る。
「とーちゃん…」
「父さん…」
「『お父さん…』」
両親が次に見た時には子供達が全員来ていて、この中で唯一魔法を扱えるリナももちろんそこにいて… イアンとジュリアはさらに血相を変える。
「リナ…!!!早くしないとリナが危ない!!!!こいつらは魔法を扱えるリナの首を狙ってるんだ!!!!」
「みんな、お母さんと逃げるわよ!!」
「「あ… ああ / うん…」」
「『……』」
「娘を連れて逃げる気か!!!逃がさねェぞ!!あとを追え!!!」
寝る間も惜しんで逃げ始める家族、SPIDER達は当然逃がさずそのあとを追う。
◆◆◆
「ハァ、ハァ、ここまで来れば大丈夫… 「だと思ったか?ちょこまかと逃げ回りやがって」お前達…!!」
家を離れロザリア
「背の小せェ娘は魔法を使える。そいつの首、おれ達によこしな。」
「リナは私達の大切な娘よ!!!貴方達にはやらない…!」
渡せと言われて渡すはずなく、イアンもジュリアもリナを守るようにしながらSPIDERの前に立ちはだかる。
「ソウ、レイ、シオン、リナ!!お前達は逃げろ!!!」
「嫌だ!とーちゃんも逃げようよ!!!」
「父さんと母さんも… 一緒がいい…」
「お前達…」
子供達も一歩も引かず、大好きな両親や大好きな兄弟達と逃げたい、と必死に訴えかける。…………だがその近くに…
「ピーピーうるせェガキだなァ!!!」
「う…!!」
「ううっ…!!」
「「ソウ!!レイ!!」」
SPIDERの手下の男が迫ってきていて、ソウもレイもその銃弾で殺害されてしまった。
「男のガキ共が喚いていたので、ひとり残らず沈めておきました」
「よし、ご苦労。あとはもう1人のガキと魔法が使えるガキだ」
「やめろッ!!リナには手出しさせない!!!」
『あ…!!』
そうこうする間にもSPIDERの男達はどんどん近づき、今にも銃を構えて殺害しようとしている。
「リナ!!!!」
「……う…!!」
「ガハッ…!!」
「お父さんッ!!!!!!」
『お母さんッ!!!!!!』
魔法を使えるリナやまだ生きているシオンを守るため、両親は身を挺して2人を守り… 致命傷を負った。
「チッ、外した… 弾も切れたしここは一旦引くぞ!」
◆◆◆
「ハァ… ハァ… 大… 丈夫… か?」
「ケガは… ない?ハァ… ハァ…」
「『お父さんッ、お母さんッ!!!』」
『お願い、もう喋らないで!!!!』
SPIDERが全員いなくなると、両親が力なく姉妹の無事を確認する。シオンもリナも泣きながら2人を見ていて、リナは使えるようになったばかりの初級回復魔法をかけようとしている。
「ハァ… リナ… もう、いいんだ… お父さんと、お母さんは… 治… らない」
「『そんなっ…!!!』」
「リナ…」
ジュリアは最後の力を振り絞り、兼ねてより怪盗になりたがっていた娘のリナへ何かを言おうと口を開いた。
「 ハァ… かな… らず、バディを… 見つけ… なさい…」
「バディ…!?」
『……うん…』
「お前は… かわいい女の子… だから、お父さんと… お母さんは… 心配、なんだ…」
「ハァ… ハァ… 頭が、良くて…優秀な… 人を… バディに… するのよ…」
リナが泣きながらも頷くとさらに言葉を紡ぐ。……だがここまで告げると、両親の力がさらに抜けていくのが分かる。
「お父さんとお母さんの力が…!!」
「シオン… リナ… しっかりね…」
「仲良くやるんだぞ…」
「『うわあああああああああ!!!!!!!』」
力なく横たわっていた両親は、そのまま息絶えて
二度と目覚める事はない、帰らぬ人となってしまった。
◆◆◆
――数日後。
残された姉妹は小さな墓に両親を埋葬すると、
ロザリア
「私… 島を出ようと思う。」
『お姉ちゃん…』
「ここにいても、また前みたいに襲ってくる… 魔法は誰にも使えない危険な物だから…」
『私も… 行く』
「ダメよ。貴女は安全な場所に行きなさい」
シオンはロザリア
「なるべく見つからないようにね」
それからさらに数日経つと、イカダに乗ってシオンが旅立っていきリナは見送りついに1人になった。
◆◆◆
兄達や両親は亡くなってしまい、シオンも旅立ちロザリア島に1人残されてから約1年。リナの魔法はどんどん強大なものとなっていき、物を出す魔法を使って食事をとっていた。
『今日はホットケーキ食べたい…』
今はホットケーキの気分なようで、手をかざして出てきたホットケーキを食べる。
『美味しい… 明日は何を食べようかな、』
家族や姉のいなくなってしまったロザリア
『はい…』
「エンジェル・D・リナちゃんのお家はここで合っとるか?」
『……エンジェル・D・リナは私です… おじいさん、いったい何の用ですか?』
「いやーーすまんすまん!突然来たから自己紹介がまだじゃったわい。わしゃあモンキー・D・ガープ、海軍中将じゃ!」
『海軍… 中将…』
声の主は老齢の男で、リナは恐る恐る扉を開ける。やってきたのは海軍中将・ガープで、彼女を探していたと見られる。
「……お前さん、未知の力を使えるな?」
『ど、どこでそれを…!!!』
「なに、ここロザリア島に1人だけ未知の力… ‘‘ 魔法の力 ’’ を扱う事ができる者がいる… とちいとばかし聞きつけたんじゃ。だからひと目会っとこうと思ったんじゃよ」
魔法使いがロザリア
「お嬢ちゃん、家族はどうした?」
『……いません。両親と兄は殺され、姉は遠くへ旅立ちました』
「そうか… ほんじゃあお嬢ちゃん、ワシとともに ‘‘
『
「ああ。
『……はい』
それから、ガープの乗ってきた軍艦に揺られて遠く離れた
◆◆◆
――別の日、とある島にて。
「この子は… 女の子?酷い傷だッチャブル!」
「船に運ぶぞ」
1年前に旅立っていたリナの姉であるシオンはある島で遭難し、傷を負って倒れていたところを何者かに救出された。