盃兄弟の長女は怪盗でした【アニポケXY / XY&Z】 作:小花
兄の1人・エースと再会してからしばらく経ち…
リナはその後もイーブイ・ケロマツとともに怪盗としての任務を続け、まもなく18歳を迎えようとしていた。そしてその甲斐あって最初の進化を迎える事になったのはケロマツだ。ケロマツは同じあわがえるポケモンのゲコガシラへと進化して、ゲコガシラとなってからもたくさんの愛情を彼に与えた。
彼、というだけありゲコガシラに進化する前にはリナもケロマツの性別が男の子である事に気がつき、自分とは異性だったと発覚したあとも常に寄り添い、助け合い、まだ進化していないイーブイも含めて3人で今までと変わりない日常を過ごしてきた。
『イーブイ、ゲコガシラ、いつもありがとうね!』
「「イッブイ!/ ガラッ」」
リナは2人の元へ行きイーブイとゲコガシラをひしと抱きしめ、それに応じるようにイーブイとゲコガシラも抱きしめ返す。
『これからも一緒に頑張ろう!』
そう誓い合ったその刹那… イーブイの体が光り出す。……進化だ。
『え…!?』
「ガラッ…?」
この光景にはリナだけでなくゲコガシラも驚いていて、【何事でござるか…?】とでも言いたそうにその光を見ている。リナはここにいるゲコガシラだけでなくイーブイにも平等にたくさんの愛情を与えていた事から彼女のイーブイの進化方法は完全に懐いた状態での【なつき進化】か、石を使った進化方法以外に何もない。今ここでどんどん姿が変わっている事からなつき進化するものだと手に取るように分かる。
そして今の時刻は昼、イーブイが進化できるのは朝か昼か夕方のいずれかになつき進化するエスパータイプの【エーフィ】か、方法が同じなつき進化であるフェアリータイプの【ニンフィア】の二択だ。
そうする間にも進化は続いていて、青い光が完全に晴れると…?
「フィア!」
イーブイはむすびつきポケモンのニンフィアに進化していた。
『これって… ニンフィア… だよね?』
「フィーア!」
『おめでとう!!!進化できたんだね!!』
「フィア♡」
リナも呆然としながら進化を遂げたニンフィアを見て、これはニンフィアなのか?と問うとニンフィアも【そうだよ!】と笑顔で頷く。それを見て本当だと分かり笑顔でニンフィアを抱きしめた。
◆◆◆
『お兄ちゃんに報告しないと…!最近ずっとテレパシーだったから今回は電伝虫使おうかな』
嬉しそうにしながら兄のエースへ報告しようと、さっそく電伝虫を手に取る。
ぷるぷるぷるぷる… ぷるぷるぷるぷる… がちゃ。
《もしもーし!》
『お兄ちゃん!!!』
《おっ、リナ!元気か〜?》
しばし待ったあと兄の陽気な声が響き、リナも食いつくように兄を呼ぶ。
『ねえねえ聞いてよお兄ちゃんっ!!』
《どーしたどーした、ちったあ落ち着いたらどうだ?》
リナは今回いつもよりハイテンションで兄に訴えかけていて、エースも顔は見えなくとも電話の向こうでニヤニヤしながらなだめてくるのが分かる。リナも次第にむすっとし始めほっぺを膨らませる。
『落ち着いてるもんっ。お兄ちゃんのばーか』
《へいへい(笑) それよかリナちゃん、バカはダメだろ?兄ちゃん泣くぜ》
『ぁ… ごめんなさい』
《ンで??かわい子ちゃんは今日どんなご用事ですか〜?》
エースからやんわり窘められるとリナもようやく我に返り謝る。そのまま間髪入れず兄からなんの用だというように聞かれた。
『えっとね、イーブイ、いたでしょ?茶色の子。』
《あーあいつか!いたな。で、どうした?》
『イーブイね、今日進化したの!!』
《おお、マジか!!やるじゃん… そんで、何になった?》
『ニンフィアっていうピンクの体をした子になったよ』
《にんふぃあ… わかんねェが、すげーカワイイんだろうなってのは伝わる》
リナはエースにイーブイが進化した事を報告。そのまま嬉しそうに祝われるとリナも詳しくニンフィアについて説明、エースもうんうんと頷きながら「ニンフィアがかわいいんだろうと伝わる」と話してきた。すると…?
《よおよお末っ子、誰と話してんだ?カノジョか??》
《電伝虫がキュートな姿になってんねい》
《げっ、マルコ!サッチ!てめェら揃ってこっち来んな!!》
1番隊隊長のマルコと4番隊隊長のサッチがエース側へと乱入してきた。リナもそれを聞いただけで仲間が来たと分かり、さすがに身構えている。
『お兄ちゃん… 仲間の人?そろそろ切る?』
《あーいいっ、切んな!!兄ちゃんはまだお前と話してェからよ!》
『そ、そう…』
《………… ‘‘ お兄ちゃん ’’ ?♡♡》
《おめェら聞いたかよい? ‘‘ お兄ちゃん ’’ だとよ〜!!》
《ギャーーッハッハッハッハ!!!!》
《おにーちゃ〜ん♡♡♡》
《だああああああああ!!!!!やめろッ!!!/////》
リナが気を遣って切ろうかと問うもエースは切らなくていい!と即答。それどころか興味津々で聞いていたマルコとサッチがからかい倒して、マルコに至っては近くにいた白ひげ海賊団のクルーにニヤニヤしながらバラしている。エースは赤面してキレ倒し、かなり参っているのが分かる。
《ウチの末っ子に妹がいたとはなァ!!♡♡♡》
《あーそーだよ!!!悪ィか!?////》
《おーどんなコだ!?♡♡》
《リナってヤツだ、おれのふたつ下!!///》
受話器はブルブルと震えていて、エースは逃がさないと言わんばかりに未だに仲間に捕まり詰め寄られてリナに対応しきれない状態だった。
◆◆◆
《ふう… やーっと行ったか。何だったんだあいつら》
『お兄ちゃん… 大丈夫?』
《んあ?ああ、大丈夫。心配かけてすまねェ》
その後ようやく電伝虫片手に船尾へ逃げてきたのは1時間後だった。エースは座り込みながら妹と電話し、マルコやサッチなどの隊長格に見つからないようにしている。
《あーそうだ… げこがしらは元気か?ほら、そいつもお前のぽけもんだったろ??》
『うん!ゲコガシラも元気だよ。今、かっこよくて強くて立派なゲッコウガになりたいって必死に修行してるの』
《げっこうが… それ確か忍者なんだろ?ニンニン!ってやつ》
『あはは、そうそう。ゲッコウガは
《ふーん。ま、頑張れ!いつでも応援してる。》
『うん!ありがとう。じゃあおやすみ、お兄ちゃん。』
《おう、おやすみ。また連絡する》
この時にはいつの間にやら夜になっていて、そう言いながら電伝虫を切り元に戻すが… これが最愛の兄との最後の連絡となってしまったのは、まだ誰も知らない。