盃兄弟の長女は怪盗でした【アニポケXY / XY&Z】 作:小花
Heroine Side
次の日。お兄ちゃんの様子を見に行くと、彼はもう起きていて… 優しい笑顔で「おはよ。」と挨拶してきた。今日も生きていてくれた事が嬉しくて、ニンフィアやゲッコウガとともに彼の元へ駆け寄る。
「改めて… 助けてくれてありがとう、リナ。」
『ううん、お礼はいらないよ』
「いや… おれはお前に感謝してんだ、言わせてほしい。それとおれの命まで救ってくれて感謝してもしきれねェ。リナ、お前はおれの命の恩人だ」
『お兄ちゃん… 恩人だなんて大げさだよ、まだお兄ちゃんと笑いあっていたかったから…』
お兄ちゃんはマリンフォードまで乗り込み自分を助けてくれた事のお礼を言い、お礼はいらないと断るも立て続けに自分の命を救ってくれた、私はお兄ちゃんにとっての命の恩人だ、として魔法をかけて彼の命を戻した事にもお礼を言ってきた。
それからお兄ちゃんはやはりというべきか、戦争の事を知りたがり… 「オヤジや仲間はどうした?ルフィは無事か?」と矢継ぎ早にあれこれ聞いてくる。私も知っている事を彼に教えるべく、戦争の状況や結果を教えた。教えたのは以下のふた通りで… 白ひげが黒ひげ海賊団にやられて亡くなった事、ルフィは海峡のジンベエに運ばれハートの海賊団によって治療を受けているだろうという事も合わせて伝えると、お兄ちゃんは涙を流し「……そうか…」とポツリとつぶやく。
私も姿を消す魔法を使って頃合いを見ながらお兄ちゃんをアジトへ運び出すタイミングを見ていたために、白ひげが黒ひげ海賊団に襲撃され立ったまま亡くなったところや死の外科医が大きな声で「おれは医者だ!!」と叫びルフィを彼の船へ運んだところまでしか見ておらず、そこから先は魔法を解いて姿を現し海軍を振り切りポケモン達と協力してお兄ちゃんを運んでアジトへ帰ったため何も知らない。
◆◆◆
あれから悲しそうに顔を伏せ始め、お兄ちゃんは白ひげの死をまだ受け入れられないんだとひと目で分かり… 1人にした方がいいだろうと思いお兄ちゃんの部屋を出てニンフィアとゲッコウガとともに神妙な面持ちで円になって座る。
「フィア…」
「……」
『あなた達もお兄ちゃんが心配なの?』
「「フィア… / ……コウ」」
問いかけると、2人ともゆっくりではあるが即座に頷く。ニンフィアもゲッコウガも優しい子達だ… お兄ちゃんのためを思い、こうして私と一緒に心配して寄り添ってくれている。
それから1時間〜2時間ほど経った頃、お兄ちゃんから【もう落ち着いた。心配かけてすまねェ】というのと、【お前に話がある】としてテレパシーが飛んできたため2人を連れてお兄ちゃんがいる部屋に戻る。
◆◆◆
「お、来たな。よかった」
扉を開けるとお兄ちゃんは文字通り落ち着いていて、歯を見せてニッと笑い右手をヒラヒラ振りながら出迎えてくる。先ほどまで時折寂しそうにしながら見せていた涙ももう1つもなかった。
『ねえお兄ちゃん… 話って?』
「あ〜〜… その… リナ、お前は怪盗なんだろ?17歳で旅立ってからその夢を叶えたって、お前の本当の母ちゃんの遺言通りに優秀なバディを探してるって… おれに話してくれたよな」
『え?うん… でもそれは全部昔話した事じゃん。突然どうしたの?』
「……」
『お兄ちゃん??』
話とは何かと問いかけるや否や、お兄ちゃんは突然私の本業である怪盗の話や今もひそかに探し続けているバディの話を持ち出してきた。それもかなりモジモジしながら。
「……おれはお前のバディになりてェ… 頼む、おれをお前の仲間にしてほしいっ」
『え…!?』
「この通りだッ、頼む!!!」
お兄ちゃんは私の仲間になりたいと、私のバディになりたいと真剣な顔で、痛くて体を動かせない状態でもお構い無しに、ゆっくりと少しずつお辞儀しながら申し出てきた。
『お兄ちゃん顔上げてよ… 私あなたより年下なんだよ…?』
「……、」
お兄ちゃん… エース兄とサボ兄は私より2つ年上だ。彼は顔を上げろと言っても聞かず今もなお真剣な顔で頼み込み、お辞儀をしている。
『……ッ…』
『…………わかっ… た』
「ほんとかッ!?!?……いてェ…」
私はしばし悩んだ末にお兄ちゃんをバディにする事を決意、承諾すると彼はガバッ!!!!と起き上がり、嬉しくてたまらないのかまるで大型犬のようにしっぽをブンブン振り真っ黒な両目をキラキラ輝かせてこっちを見る… が、やはりマリンフォードで負った傷の痛みが反動として現れすぐに痛そうにしながらお腹を押さえた。
『うん… 言ったからには嘘はつかない。』
「ありがとう!!!本当にありがとう!!!!これから先もお前といられるキッカケができて幸せだ…!!」
『ただし!!!!』
「??」
私が承諾の返事をお兄ちゃんへと出すと、満面の笑みでお礼を言いながら抱きしめてきた。それをゆっくりと抱きしめ返すと待ったをかけ、お兄ちゃんもキョトンとしながら私を見る。
『怪盗は裏で動くもの。表で動く海賊や海軍と違ってバレないようにしないといけないし甘くないんだよ』
「ああ、わかってる… もうその覚悟は決まってる。【海賊・火拳のエース】は今日で卒業だ」
『……。私はお兄ちゃんとサボ兄とルフィにも話した通り、「頭が良くて、優秀なバディを見つけなさい」とお母さんから言われてきた。お兄ちゃんは勉強が嫌いだと話してきたけど、私のバディをやるからにはこれから猛勉強して… 私に釣り合うようになってもらうから』
「ああ、もちろんだ。お前の役に立てるなら何だってやる」
お兄ちゃんは真剣な面持ちになりつつ、かつて見た手配書のようにニヤリと笑ってそう言った。表で動く人間から裏で動く人間へと変わる覚悟が決まっているのなら… と彼を信じる事にした。
『そう…?ならいいんだ。これから頑張って、お兄ちゃん』
「ああ、ありがとう!!期待に応えられるように頑張るさ…」
『でもまずはケガの治療が先。2週間は絶対安静だからね』
「ちぇっ」