盃兄弟の長女は怪盗でした【アニポケXY / XY&Z】   作:小花

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某日、とある島にて

新世界・とある島。

 

この島で白ひげや火拳のエースの葬儀が厳かに執り行われていて、戦争で命を落とした2人を手厚く埋葬すべく白ひげ海賊団や赤髪海賊団が集っていた。そして… フードを目深く被り、その身を隠すように黒いローブをまとった1人の男が誰にもバレないような位置で、白ひげ海賊団側の端の方にひっそりと立っていた。

 

赤髪海賊団大頭・赤髪のシャンクスはまず衣服や愛用していた武器などとともに白ひげの亡骸を収めた大きな棺を【EDWARD NEWGATE】とその名が刻まれた大きな墓地へと埋葬した。次いで今度は火拳のエース。被っていたオレンジのテンガロンハットや首につけていた赤い数珠のようなネックレス、ベルトに下げていたダガーとともに彼の亡骸を収めているであろう棺を【PORTGAS ・ D ・ ACE】と刻まれた墓地へと埋葬すべく、白ひげ海賊団の面々に最後の顔を見せる… が、ここで異変が起こる。

 

「!?!?」

「どうした、お頭」

「おかしいっ…」

「「??」」

「白ひげの遺体はきちんと埋葬できたのに、エースの遺体だけが無いから墓へ埋葬できねェんだ!!!」

「「なんだと…!?」」

 

最初に気づいたシャンクスを筆頭にベン・ベックマン、白ひげ海賊団1番隊隊長・不死鳥マルコなど頭のキレる者が血相を変え、その他の者もわらわらとエースの棺へと群がり始める。

 

「……フフ…」

 

……ただ1人の男を除いて。

 

◆◆◆

 

(その火拳のエースは ‘‘ 生きた状態で(・・・・・・) ’’ 今ここに来ているからな… おれの亡骸なんざもうどこにも存在しねェよ)

 

その黒いローブの男こそあの日戦死したはずの白ひげ海賊団2番隊隊長・火拳のエースで、彼は海賊を辞めて怪盗となりこの島に現れ… 愉快そうにクツクツ笑いながら戸惑う赤髪海賊団らを見ていた。

 

◆◆◆

 

「イブゥイ…」【エース…】

 

火拳のエースと出会い彼のパートナーポケモンとなったしんかポケモンのイーブイもまた、服の中に入ったボールの中から心配そうに主を思う。

 

◆◆◆

 

「なァお頭… もしかしたら火拳の亡骸は何者かに連れ去られたとかねェか?」

「連れ去られた… にしてもヤツの遺体だけキレイにねェんだ」

「ああ、まったくもって考えられん」

「う〜〜ん… じゃあ何だろうな」

 

ラッキー・ルゥがエースの亡骸は何者かに連れ去られたのではないか、と問うもシャンクスもベックマンもそれは考えられないとして一蹴り。実際には彼の妹が命を戻して再び蘇らせたのだからもうあるはずがない。

 

「ちょっと待った」

「「?」」

「……これはおれの推測でしかねェんだが… エースだけ ‘‘ 生きている(・・・・・) ’’ かもしれない、というのも考えられる」

「「……ッ!?!?」」

 

すると仲間と一緒に悩んでいたはずのシャンクスが待ったをかけ、エースは ‘‘ 生きている(・・・・・) ’’ かもしれないと勘ぐり他の面々も凍りついた。

 

「火拳が生きてるだと!?ヤツはもう死んだんだ、そんな事あるはずがねェ!!」

「でももし生きてるとしたなら… ヤツは今どこに…!!」

「のんきに一人旅でもしていそうだがな。」

「……ッ、エースはどこだ!!生きてるってんなら会わせろよい!!!」

 

上からホンゴウ、ライムジュース、ベックマン、そしてマルコ。赤髪海賊団は「エースは一人旅でもしていそうだ」と言う中でマルコは大きな声で「今すぐエースに会わせろ」と叫んだ。だがこの中の誰もがエースの居場所を知らず、ましてや彼はもう死んだものだと思っていたのだから。

 

「……ここだよ」

「…………は…」

 

そこへ… 黒いローブを身にまとった1人の男が姿を見せた。

 

「‘‘ 火拳のエース ’’ は このおれ(・・)の事さ」

「「「「エース!!!!!!」」」」

 

男は頭に目深く被っていたフードを取り、ニヤッと笑いながら正体を明かした。

 

◆◆◆

 

「やっぱり生きていたのか… エース… そりゃいくら探してもエースの遺体なんか見つかりっこねェよな」

「ずっと見てたぜ。オヤジの墓だけじゃなくて立派におれの墓なんか建てやがって、ご苦労なこった」

 

エースは自分の墓と偉大なる船長、そして偉大な父親の墓の前にゆっくりと歩いてきて、呆然としながら自身を見つめる赤髪海賊団らにそう言い放つ。……と思えばマルコが走ってきたのを筆頭に白ひげ海賊団の面々も末っ子の生存を知りひと目見ようとゾロゾロと走ってきた。

 

「エース… エース…!!!!!」

「マルコ、イゾウ、ハルタ、お前ら… ただいま。」

 

涙ながらにエースへ抱きつく隊長や他の仲間達や傘下の者達、エースも涙を流しながら白ひげ海賊団の仲間との再会を喜んだ。

 

◆◆◆

 

無事に白ひげの葬儀ならびに埋葬を終え赤髪海賊団と別れると、白ひげ海賊団の残党達はさっそく生きて帰ってきたエースを囲む。

 

「エース、お前今どこで何してる…?」

「おれは海賊を辞めて裏世界の人間になった」

「うら… せかい…?」

「裏世界… という事はマフィアや怪盗、殺し屋や情報屋… あたりか。なぜお前が…??」

「……おれは怪盗になった、海賊を辞めてまで」

「「「!?」」」

「か、怪盗…!?」

「ああ… またの名を、 ‘‘ 怪盗エル ’’ 。以後よろしく…」

 

マルコはこの日久しぶりの再会となったエースにどこで何をしているのか尋ねるとエースも仲間には話してもいいだろうと思ったのか海賊を辞めて裏世界の道へと進み怪盗になったと説明。全員が凍りつきながらその話を聞き、口角をあげて不敵に笑いながら怪盗として活動する際のコードネームを名乗った。

 

「怪盗エル… か。まだ聞いた事はないね」

「おれの名と弟の名をもじったんだ」

「‘‘ 怪盗サクラ ’’ ならよく悪事を働いたり金目の物や高価な宝を奪ったりとちまたでもっぱらのウワサになってるがな」

「おれもまだ怪盗としての任務はやった事ねェが、それでも一生懸命こなして妹のようなすげェ怪盗になってみせるさ」

 

エースのコードネームは【エル】といい、自分の名前と弟の名前をもじったそうだ。そして当たり前だが怪盗エルはまだ無名の怪盗。白ひげ海賊団の仲間すら聞いた事がないもののエースはほこらしげな顔でこれから妹の背中を追って頑張ってみせると告げる。

 

「そうかそれはいい事だ… え?」

「「「「妹ォ!?!?」」」」

「いつか聞いたエースの妹って怪盗サクラだったのかよ!?」

「あり?話してなかったか」

「「「「「聞いてねェよ!!!!!」」」」」

 

彼らは夜が明けるまで白ひげの墓を囲みながら酒を飲み、どんちゃん騒ぎを起こしたそうだ。

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