盃兄弟の長女は怪盗でした【アニポケXY / XY&Z】   作:小花

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おまたせしました。ようやくアニメXY本編始まります
読みにくかったら申し訳ないですm(*_ _)m


XY編
カロス地方へやってきた!夢と冒険のはじまり!!


「じゃ、行ってくるわ。」

「「行ってらっしゃいませ」」

『みんな、留守番よろしくね』

「「ハッ!!」」

 

ここは大手怪盗組織【怪盗DARKNESS】の巨大船、ナイト・シップ。ボスを務めるエースとリナが今まさに出かけようとしていて、手下達はガバリとお辞儀して2人を見送る。2人の最初のポケモン・ブースターとニンフィアもそれぞれの主の足元に立って、新たな旅立ちと期待に胸を踊らせていた。

 

「さあ、次はいよいよカロス地方だぜ… ジム戦は楽しめるのか、そこにはどんなトレーナーがいるのか… 楽しみだわ」

『お兄ちゃんはりきってるね』

「そらそーだ、おれはバトルのが得意だからな」

 

リナが褒めるとエースはドヤ顔しながらほこらしげにする。ナイトシップを出て翼で移動すること少し、ようやく目的の島が見え始めてきた。

 

「あれだ…」

『そうだね。カロス地方も今日が初日だし、久しぶりにカントーから飛行機乗ろうよ』

「だな。旅のはじまりって感じも出るし」

 

2人は目的の島に着くと、意気揚々としながら魔法を使いカントー地方へ。そこからさらにクチバシティを経て空港に向かう。……が、そこにとある少年も乗っているなど知る由もない。

 

「いよいよ到着だな…」

『うん!もうすぐだよ、ニンフィア!』

「フィア!」

「お前もだ、ブースター。いよいよカロスのジム戦だぜ… カロス地方でもおれがリーグ戦の勝利をもぎ取ってやらァ」

「スタァ!スタスタ!!」

 

2人の膝に乗せていたブースターとニンフィアにも声をかけると、2匹も嬉しそうに鳴き声をあげる。リナとニンフィアはトライポカロンというカロス地方発祥の乙女の祭典に、兄であるエースとブースターはカロス地方にあるポケモンジムを制し、カロスリーグ出場を目標としてこの地方へとはるばるやってきた。

 

2人の旅の幕開けはもう目の前だ…!

 

◆◆◆

 

ここはカロス地方・アサメタウン。その町に建つ大きな一軒家で1人の女性が野菜を切り調理していた。

 

「ヤヤコマ、セレナを起こしてきて。さっき一度起こしたんだけど全然降りてこないのよ!!」

「ヤッコ!」

 

窓側にいたセレナという名の娘を起こすよう命じて、ヤヤコマはひと鳴きすると指示通り起こしに向かう。階段を難なく潜り抜けて部屋の前まで来ると、ドアを抜けるのに苦戦しつつようやく部屋の中へ。

セレナの部屋は女の子らしいオシャレな部屋で、モンスターボールのテーブルやクローゼット、デスクなどが置かれてあり、その部屋の一角にあるベッドでセレナは寝ていた。ヤヤコマはパタパタと羽を羽ばたかせながら起こしに向かう。そしてセレナの顔近くで止まると… つついて起こした。

 

「痛ぁぁぁぁぁああ〜〜〜〜〜い!?!?!?」

「サイ?」

「うん、中まで火が通ってるわね!」

 

「いっったぁああ… もう、その起こし方やめてって言ったでしょ!?」

「ヤッコ?」

 

セレナは大絶叫しながら起きる事となり、庭にいたサイホーンやキッチンにいた彼女の母親にも届くほどだった。痛すぎて思わず文句を言うもヤヤコマは首をかしげてキョトンとしていた。捕まえようとするがヤヤコマは飛んでかわし、頭の上で停止。

 

「セレナ、朝練やるわよ!」

「はぁ〜〜い〜〜〜!!もー、またぁ??」

 

「サイホーンおはよう!」

「サーイ」

「うぅ〜〜んッ、今日はいい事あるかなぁ!」

「ヤッコ!」

 

セレナの母から声がかかり、若干鬱陶しそうにしつつパジャマ姿のまま体を起こしカーテンと窓を開ける。朝の挨拶をかわし欠伸すると、ヤヤコマはそのまま飛び立っていった。

 

◆◆◆

 

ここは、カロス地方。この地方でもポケモンと人はともに生きている。人とポケモンは調和し、この世界を織り成している。人が笑えばポケモンも笑い、ポケモンが悲しい時は人も悲しい。今この地方に新たな冒険を求めて、1人の少年と青年、そして1人の少女が降りたとうとしていた。

 

「ピカピカ!?」

「ああ、もうすぐ着くぞピカチュウ!!」

 

この男、カントー地方マサラタウンから来たポケモントレーナー・サトシ。彼の隣にはルポライターのパンジーも乗っていて、偶然にもエースとリナと同じ便の飛行機に乗車していたようだ。

 

「サトシくんもピカチュウも盛り上がってるわね!」

「新しい旅が始まるんですよ!?これで燃えなきゃポケモントレーナーじゃない!!」

「ピカチュ!!」

 

「ほら、もう着陸するぞ… 空港は目の前だ」

「スタ!!」

 

少年・サトシと青年・エースと妹のリナ。彼らがどんな冒険をし、どんなポケモンと出会うのか。

 

◆◆◆

 

その後すぐに空港へ着陸、タラップが飛行機に繋がり乗客達はゾロゾロと降りていった。もちろん、サトシとパンジーより少し前の席に乗車していたエースとリナとブースターとニンフィアもその中にいて2人は人さまの迷惑にならないようブイズを抱き抱えながら下車した。

 

サトシは彼らよりあとに降りてきて飛行機の出口を潜りタラップを降りるというところまで来てピカチュウを肩に乗せ、トレードマークの帽子を整えると…

 

「うおおおおおお〜〜〜〜、カロス地方!!!

マサラタウンのサトシが来たぞ〜〜〜〜!!!!!!!」

「ピィカチュ〜〜!!!」

 

サトシは人々の視線を浴びながら両手を上にあげ、タラップの上から高らかに自分の名前を叫んだ。

 

『サトシ…?』

「どっかで聞いた名前だな…」

『ほら、お兄ちゃんも出てたイッシュリーグに出てた人じゃない?マサラタウンのサトシって人…』

「マサラタウン?……ああ、いつか行った町だったな」

 

もちろんこの兄妹の耳にもサトシの叫び声は入っていた。……だが、彼らはともに旅をするという事は… この時はまだ知る由もない。

 

「どうしたの?急に…」

「カロス地方に挨拶です!これ降りたらカロス地方記念すべき第一歩ですよ!」

「ピィカ!」

 

サトシは嬉しさのあまりこのテンションの高さ、さっそく飛行機を降りようとするとフワリとポケモンらしき影が。その正体はフェアリータイプのシュシュプ。

 

「うわぁっ、見た事ないポケモンだ!!」

「ピカ!!」

 

……だが、ここで足を滑らせ…

 

「おわっ、わあああああああ!!!!!」

 

ドシン!!と大きな音がして、地面に倒れてしまった。ポケモンの戦闘不能状態のようにグルグルと目を回しながら。

 

「ピーカチュ!?」

「大丈夫!?」

「ピカピ!?」

「……ッ、いてて… 大丈夫です。パンジーさん、あれは?」

「ああ、あれはシュシュプよ!」

「シュシュプか!!」

 

桃色のポケモンの正体と名前を聞くとさらに嬉しそうに見て、そのままパンジーに手を差しのべてもらい飛行機をあとにする。だがその近くに双眼鏡で彼を見ている人物が。そう、ロケット団だ。

 

「ふふ〜ん…♪」

「やっと来たニャ、ジャリボーイ…!」

「もれなくピカチュウつき。」

「そういえばさっき、そばかすボーイと黒髪ガールもカロスへ着いたと連絡があったのニャ」

「また一緒に来たのかあいつら… 仲良しだこと…」

「とりあえず、あたし達も行動開始よ!」

「ソォ〜〜ナンスッ!!」

 

ロケット団は屋根の上から双眼鏡でサトシを見つめていて、先ほど空港をあとにした青年・エースとその妹のリナの事について話しながらもピカチュウのトレーナー・サトシを追って動き出した。彼らもまた、カロス地方での初陣が幕を開ける事になる。

 

◆◆◆

 

「『ぶえっくしょい!!/ くしゅんっ』」

『お兄ちゃん、大丈夫?』

「ああ、大丈夫だ。お前は?」

『私も大丈夫だよ。ねえお兄ちゃん、せっかくカロスへ来たし… ミアレガレット買おうよ!』

「ミアレガレット?」

『うん!それはここミアレシティでしか買えないって有名で、常に大行列なの!!』

「へえ、うまそうじゃねェか… せっかくだ、ブースターとニンフィアにも食わせてやろう」

「「スタ!/ フィア!」」

 

ウワサの彼らはくしゃみをしつつもせっかく来たからとここミアレシティで大人気の洋菓子・ミアレガレットを購入するため、ブースターとニンフィアを抱きかかえてほかの購入客に混じって並び始めていたところだった。

 

◆◆◆

 

「さあ行くぞ、ジム戦に出発だ!!」

「ちょっとまって、ジム戦ってどこに行くつもり?」

 

サトシはさっそく未知なる地・カロス地方へ出発!!と言わんばかりにほぼ無計画の弾丸で走り出していった… と思えば見かねたパンジーがさすがに引き止め、サトシも立ち止まる。

 

「どこって、もちろんパンジーさんの妹がジムリーダーやってるジムですよ!!」

「気合い入ってるところごめん… 妹のジムがあるのはここミアレシティじゃなくてハクダンシティってところなの」

「ええ〜〜〜っ!?!?そうなんですか…」

「ピカァ…」

 

サトシが言っているのはハクダンシティにあるポケモンジムの事… そこのジムリーダーはパンジーの妹で、写真好きのビオラだ。パンジーが教えるももちろんサトシは知るはずがなく… ピカチュウ共々落胆した。

 

「ちょっと妹に電話してみるわね。ロビーで待ってて!」

「はい!」

 

パンジーはビオラに電話する、と言いサトシを空港ロビーに待たせ颯爽と去っていく。サトシもロビーへ向かう… が、クルクルとあっちこっち見渡しながら歩いている。

 

「ピカピーカ?」

「もっと他にポケモンがいないかなぁと思ってさ!」

 

そう言いながら歩いていたが、空港の管制塔の上にポケモンらしき影が。

 

「「!?」」

 

そのポケモンの正体はバシャーモ、もっと正確に言えばメガストーンというものを使ってメガシンカを遂げた状態の【メガバシャーモ】だった。メガバシャーモは立っていた管制塔から颯爽と飛び降りていき、サトシの上を通り過ぎ… サトシが振り向く隙もなくあっという間に消え去っていった。

 

「ピカチュウ、今の見たか!?」

「ピカ」

「すっげぇぇえええ!!!!」

 

サトシが確認するとピカチュウも「見た」と言いたげにひと鳴きしてくる。呆然とする… 訳もなく目をキラキラさせながらもう一度ロビーへ向かった。

 

「エリキテル!すげーの見たんだ!!パンジーさんはどこ!?」

「エキ!」

 

ロビーではパンジーのエリキテルが大あくびしながらサトシを待っていて、サトシが来ると飛び跳ねながら駆け寄る。

 

「……」

「パンジーさ〜ん!!」

「どうしたの?そんなに慌てて…」

 

パンジーはビオラに電話しようとしたが何やら顔が困っていた。そこにサトシが来て… 彼女もまた振り向いた。

 

「また初めて見るポケモンに会ったんです!それがすっごいジャンプ力で!!俺の上をひとっ飛びだったんですよ!!!」

「そう、まだまだきっと知らないポケモン達と出会えるわよ!」

「はい!やっぱり来てよかったです、カロス地方!!ジム戦だってバッチリ勝ちますよ!」

 

サトシは改めてカロス地方での目的を意気込む… が、ここでパンジーは思い出したかのように驚きちょっと困ったものになる。

 

「あ… それが、妹と連絡取れたんだけど… あの子ったら今、ジムを留守にしてるのよ」

「留守ぅ!?っていつ帰ってくるんですか!?」

「あの子一度出かけたらなかなか帰ってこないのよね…」

「そんなぁ…」

「ピーカ…」

「ごめんね!せっかくの新天地、出鼻を挫いちゃったわね…」

 

……が、連絡を取っていたパンジーいわくビオラはジムを留守にしているとの事。サトシにとって初のジム戦ができず、それを知るとピカチュウ共々落胆する。パンジーも申し訳なさそうに謝った。

 

「あああ〜〜〜、あ〜〜!!バトル〜〜!!!今度こそリーグ優勝!!!めざせポケモンマスター!!!ああ…」

「そうだ!その熱い気持ち、ミアレシティのジムでぶつけてみたらどう!?」

「この町にもジムがあるんですね!?」

 

パンジーは落胆していたサトシに提案すると、彼はパッ!と顔を上げ、目つきもキラキラしていた。さすがはバトル狂のサトシである。

 

「えーっとこれね… ミアレジムは【プリズムタワー】の中にあるのよ」

「プリズムタワーですね… ピカチュウ、最初のジムはミアレジムで決まりだ!!」

「ピカ!」

「私とはここでお別れになっちゃうけど、あとは大丈夫かな?」

「何とかなりますよ!」

「ピカ!」

「そっか。じゃあ改めて… ようこそ、カロス地方に!!」

「ここまでありがとうございました、パンジーさん!」

「こちらこそ!楽しかったわ」

「エッキ!」

「俺もです!パンジーさん、それじゃ。」

「気をつけて!」

 

サトシは空港前でパンジーからプリズムタワーの位置を案内してもらうと盛大なる歓迎を受け、そのまま握手をかわして別れた。

 

「よーし、行くぞピカチュウ!!」

「ふふ、元気いっぱいね。頑張れ、チャレンジャー!!」

 

さっそく走り出したサトシ、パンジーも笑いながら完全に見えなくなるまでその背を見送った。

 

◆◆◆

 

空港を出てミアレシティの市街地に出ると、サトシは嬉しそうにその地に足を踏み入れ、プリズムタワーを目指す。

 

「わあ、初めて見るポケモンだ!見ろよピカチュウ、でっかい町だなぁ!!」

「ピカピカァ〜!!」

「あいつも!あいつも見た事ない!!……わっ、あいつも初めて見るポケモンだ!!!」

 

カロス地方に生息するポケモンを興味津々に眺めつつ、プリズムタワー目指してひたすら走る、走る、走る。……だが、ここで… ドンッ!!!と体に走る衝撃、ポケモンを見ながら走るのに夢中で前を見ておらず、何者かにぶつかったと分かる。

 

「『わっ!?/ キャッ!!』」

「いっ… ててて…」

「ピカチュ?」

「ああ、大丈夫。ありがとうピカチュウ… あ、すいません。ケガはないですか?」

『はい… 私も大丈夫です』

 

サトシが顔を上げ、ケガは無いかと聞くと… そこにいたのは水色のワンピースを着て、白い帽子を被りニンフィアを連れたかわいらしい女の子。

 

「わぁ!このポケモンも見た事ない!!!なんていうポケモンだろう!!」

(ち… 近い… 離れて… ///)

「フィア?」

 

サトシはずいっ!!と女の子とニンフィアに顔を近づけてまた新たなポケモンに興味津々だった。だがその女の子は顔が近い… という雰囲気を隠せず、ちょっと赤面している。

 

「俺、サトシです!こっちは相棒のピカチュウ!!」

「ピカチュ!」

『サトシくん…?私はエンジェル・D・リナといいます。こっちはパートナーのニンフィアです』

「フィア!」

「ニンフィア…!」

 

女の子の足元にいたポケモンはニンフィアといって、イーブイの進化系のうちひとつだ。

 

「おい、おれのリナに何媚び売ってやがる… さっさと離れろテメェ…」

『あ、お兄ちゃん… 違うの…』

「あ゙?」

「お兄ちゃん?」

「ピーカ?」

「ブ〜〜〜〜〜〜ッ…!!!!」

 

するとそこにオレンジのテンガロンハットを被り黄色い薄手のシャツと【A】と書かれたオレンジのベルトをはめてジーンズやブーツを履き首には赤い数珠のようなネックレスが下がっていて、左腕に【ASCE】とのタトゥーが彫られオレンジの肘当てを装着。さらにその下にはブレスレットをジャラジャラと付けている筋肉質の男が来る。男は眉間にシワを寄せながらサトシを女の子から引き剥がそうとしていて、彼の足元にいたパートナーと見られるニンフィアと同じイーブイの進化系のうちひとつ・ブースターも怒った顔で体内の炎袋をためている。

 

「あ、あの!リナさん!!俺達プリズムタワーに向かってるんです!一緒に行きませんか!?」

「ピカチュ!!」

『プリズムタワー?はい、いいですよ。お兄ちゃんもそこでいじけてないで行こう?彼、悪い人じゃないよ』

「こいつお前に媚び売りやがった、クソ、到着早々むかつくぜ」

「……」

『だから違うってば!!ぶつかっちゃっただけなの。ブースターも呆れてるよ?』

「ハァ、わーったよ。リナもいるなら着いてきてやる」

「ありがとうございます!!」

 

サトシは先ほどの女の子・リナも誘ってプリズムタワーへ行く事にし、リナも快諾。あとから来たブースターのトレーナーであるテンガロンハットの男も引きずるようにしながらその場を去り、改めてプリズムタワーへ。

 

「ピカチュウ、見ろよ!デンリュウ!チャーレムも!!知ってるポケモンもいるんだな。」

「ピーカチュウ」

『サトシくんは元気いっぱいだね。』

「……フン。」

 

サトシは見た事のあるポケモンでさえも興味津々で、あとを着いてきているリナも微笑ましそうに見るが、彼女の兄だと判明した男はいじけたままだ。そしてしばらく歩くと、橋の上からプリズムタワーが見えてくる。

 

「ピカチュウ、あれがきっとプリズムタワーだ。ジムはあそこだな!!」

『サトシくんもジムに挑戦するの?』

「はい!ミアレシティのジムが初めてなんです!!」

『そうなんだ!頑張ってね』

「ありがとうございます!……あの… そちらの方は?」

 

サトシは橋の上で見ているとリナが歩み寄ってきて激励される。そして彼女の兄である男に矛先を向け、彼の名前を聞いた。

 

「……おれか?」

「はい!俺、サトシっていいます!こっちは相棒のピカチュウ!!」

「ピカチュ!」

「サトシ… フーン、そうか。おれはポートガス・D・エース、リナの兄貴だ。こっちはパートナーのブースター。」

「スタ!」

 

男、エースもようやくサトシに応じて自身の名を名乗り、パートナーポケモンのブースターも笑顔で「よろしくね!」と言いたげにサトシとピカチュウに鳴き声をあげた。

 

それからもサトシはただひたすらに走り出していき、リナたち兄妹も走ってサトシのあとを追い、ブースターとニンフィアも走って追いかけながらミアレシティを進むこと少し。いよいよプリズムタワーの目の前まで到着した。

 

「ここだ!ミアレジム!!」

「ピーカ!」

「んあ?サトシも初のジム戦なのか」

「はい!ほんとはハクダンシティのジムに行きたかったんだけど、留守だって言われちゃって」

「チッ、ハクダンのジムリーダーは留守なのか… こりゃ出直しだな。ありがとうサトシ、教えてくれて助かった」

「スタ!」

 

サトシとピカチュウは興奮気味にプリズムタワーを見て、エースが食いつきビオラは留守だと教えると… 彼もまたハクダンジムから挑むつもりだったのか舌打ちまじりに眉間にシワが寄る。そしてここでブースター共々お礼を言う。さっきまで妹に媚びを売ったと勘違いしてムスッとしながらいじけていたとは思えないほど態度が変化している。

 

「エースさんもジム戦を?」

「ああ、もちろんここのポケモンジムも挑むさ。カロスリーグに出るつもりでここへ来たからな…!!」

「スタァ!!」

「いよいよだぞ… 俺達の新しい挑戦の始まりだ!!」

「ピカピカチュウ!!」

「行くぜ!」

「ピカ!」

「エースさんとブースターも行きましょう!!」

「ああ。」

「ブースタ!」

『お兄ちゃんまってよ〜!!』

「フィーア〜!」

 

サトシとピカチュウ、エースとブースターの目的が同じだと発覚。両者ともにプリズムタワーを見て気合を入れて中に入っていき、それを慌ててリナとニンフィアが追いかける。そこをたまたま金髪のメガネをかけて水色のつなぎを着た男の子と、同じく金髪で茶色のシャツを着た女の子が通りかかり、サトシ達をじっと見ていた。

 

「これこれ!この緊張感!!」

「昂ってきたぜ… ミアレからの出だしも悪くねェな…!」

 

ミアレジムに入ると一面雷に包まれた5本の培養ポッドのようなガラスケースがお出迎え、サトシもエースも俄然気合い十分といった雰囲気でジム戦を申し込む。

 

「すみませーん!!」

《ヨウコソ、ミアレジムへ》

 

代表でサトシが叫ぶとパッと頭上の画面が映る。

 

「俺、カントー地方のマサラタウンから来たサトシっていいます!ジム戦よろしくお願いします!!」

「ピカ!」

「おれはエースってんだ。ジム戦頼むぜ」

「スタァ!!」

 

2人とも名乗りさあジム戦!と言いたいところだが…

 

《バッジハ何個デスカ?》

「バッジ?このジムが初挑戦です!だからバッジは持ってません」

「おれもサトシと同じでバッジはまだねェんだ。このミアレジムが初挑戦なのさ」

《ゼロ!?ミアレジムニ挑戦スルナラ、最低デモバッジ4個集メタ者デナケレバナリマセン。サトシサマトエースサマトモニ出直シヲ要求シマス》

「うわああああ!?」

「ピカ!?」

「うおっ!?」

「スタァ!?」

『なに!?』

「フィア!?」

 

ここミアレシティのジムを攻略するにはジムバッジが4つ揃った状態でないとダメだそうで出直しを求められ、サトシ・エース・リナ、そしてピカチュウとブースターとニンフィアは頭上のマシンによる電撃をくらい…

 

「わっ、わあああああああ!!!!!!」

「こんな事ってあンのかよおおおおおおお!!!!!!」

『ギャーーーーーーーーーーッ!!!!!』

 

足元の床がスポッ!と抜けて全員そのままプリズムタワーから追い出されてしまい、モンスターボールの赤い部分の扉が開いて外に出された。

 

「わああっ!?わっ、わっ…!!」

『わっ!?お、お兄ちゃん助けて〜!!』

「つかまってろ!!絶対離すな!」

 

「しまった!!」

 

外に出るとサトシはじたばたしながら、リナはエースの身体に掴まりながらもそのまま落とされる…!と思いきやその近くに先ほどの金髪の男の子がいて、サトシ達を救出に向かう。

 

「僕はあの子を!!」

「あたしはピカチュウとブースター達!」

 

男の子と女の子は分担しながら分かれて走り、そうする間にもサトシ達はさらに急降下してくる。

 

「「『わあああああああ!!!!/キャーーーーーッ!!!』」」

「いっけぇぇぇええ!!!」

 

男の子は背負っていたリュックを投げると白いバッグのような物が登場。

 

「どわっ!?」

『にゃっ…』

「ふう…」

 

それがプクッと膨らむと… サトシとブイズを抱きしめたリナはそこに着地、凄まじいほどの身体能力を持つエースはストンッと間一髪地面に着地。

 

「ユリーカ、ピカッとキャーーーッチ!!わっ…」

「ピカ!?」

 

その直後にユリーカと名乗る女の子があとから落ちてきたピカチュウをキャッチした。……が、よろけて後ろに倒れた。

 

「大丈夫ですか!?」

「ああ… おかげで助かったよ。ありがとう」

「リナ、大丈夫か?」

『うん、大丈夫…』

 

サトシは男の子に、リナはエースに手を差しのべてもらいそれぞれ起き上がる。ブースターとニンフィアもプルプルと体を振り払いチョコチョコ歩いて主の足元についた。だが女の子は未だにピカチュウをだっこしている。

 

「みてみてお兄ちゃん!ピカチュウだよ、ピカチュウやっぱかわいい!!」

「ピッ…!!」

「ピィィカ、ヂュウウウウ!!!!」

「「わあああああ!!!」」

 

ピカチュウがかわいくてたまらずスリスリすると… ピカチュウは嫌がりほっぺに電撃を貯める。そして10まんボルトを発動、女の子は黒焦げになった。

 

「……げふっ」

「ユリーカ!!」

「大丈夫か!?」

「アハハ!大丈夫!!」

 

これにはさすがにその場にいた全員がヒヤヒヤさせられたが、女の子はあっという間に復活。あっけらかんと笑った。

 

「ピカピカ…」

「すみません、妹が…」

「いや、こっちこそ…」

 

ピカチュウは肩の上に避難。男の子は申し訳なさそうに頭を下げ、サトシも両手を振りながら同じように謝る。

 

「ほら、ユリーカも謝って!」

「かわいかったから仲良くしたかっただけだもん!!」

「ピカチュウ嫌がってただろう?」

 

男の子が妹だと判明した女の子を叱る。が、その女の子は頬を膨らませてムスッとしながら言うと今度は優しく諭すように言った。

 

「……、ピカチュウ、ごめんなさい…」

「ほんとにいいんだよ!ピカチュウもびっくりしたんだよな?」

「ピカピーカ…」

「それより、お礼がまだだった。ピカチュウを助けてくれてありがとな!」

「ピカピカ!」

 

サトシはピカチュウの感情を汲み取り、肩にいたピカチュウも申し訳なさそうに鳴き声をあげて改めてお礼を言い、女の子も嬉しそうに「どういたしまして!」と笑顔で応じる。

 

「それはそうと、なんなんだこのジム!!」

「追い出されたんですね」

「挑戦しようとしたんだが、ある程度集めねェとダメらしい」

「せっかく来たのにどうなってるんだ?あそこのジムリーダーは…」

「……そうですよね…」

 

サトシは初めての挑戦となるはずだったミアレシティのジムをすぐさま追い出されてしまい不満爆発。エースもバツの悪そうな顔でサトシに続くと、何やらその男の子は歯切れ悪そうな、ちょっと困ったような雰囲気で話す。

 

「ミアレジムのジムリーダーはなかなか手強いヤツなのよね!ねえ、バッジの数聞かれなかった?」

 

すると女の子が兄を庇うように前に立ち、バッジの数を聞かれなかったかとサトシ達に聞いてくる。

 

「「聞かれた」」

「持ってないって言ったらいきなり電撃だよ!」

「あれにはビビったわ。ロギアの能力者が潜んでンのもごごっ」

『お兄ちゃんッ!!あ、すみません… 気にしないで』

 

サトシもエースも同時にハモって聞かれた、と言い電撃をくらったことを明かすとエースは【ロギア系悪魔の実の能力者が潜んでンのか?】と言いたかったようだが、すぐに気づいた妹が背伸びして兄の口部分に手を覆いはぐらかした。

 

「「……え。」」

「持ってないの!?2人とも!!」

 

だが彼らの矛先は幸いな事にエースが言いかけた悪魔の実の事ではないようで… やはりというべきか、2人のバッジの数だった。

 

「さっきカロス地方に着いたばかりでさ。このジムが最初だったんだ」

「おれもだ。ひょっとしたらサトシと同じ便に乗ってたかもしれねェな」

「失礼ですが… どちらから?」

 

サトシはこのミアレジムが最初の挑戦だったと言いエースもそのあとに続くと、男の子がどこから来たんだ、と2人に問いかける。

 

「カントーのマサラタウンから来たんだ!俺はサトシ、相棒のピカチュウと一緒にポケモンマスターめざして修行中なんだ!!」

「ピカピカチュウ!!」

 

まずはサトシが自己紹介し、ピカチュウも「よろしく!」と言いたげに笑顔で鳴いた。

 

◆◆◆

 

「それではこちらも自己紹介を。僕はシトロン、こっちは妹のユリーカ。」

「よろしく!」

「おれはエース、こっちは妹のリナだ。血の繋がりはねェけどな」

『よろしくお願いします。』

「こっちのブースターはおれのパートナーで、隣のニンフィアは妹のパートナーだ」

「スタ!」

「フィア!」

「よろしくな!シトロン、ユリーカ!」

「ピカピカ!」

 

場所を変えると続いてシトロンとユリーカ、そしてサトシと一緒にプリズムタワーを訪れたエースとリナもシトロンとユリーカへ自己紹介し、血の繋がりが無い事を明かすとともに兄のエースが代表で足元の2匹も紹介。ブイズ達も「よろしく!」と言いたげに鳴き、改めて挨拶した。

 

「ピカピカチュウ!」

「ブースタ!」

「あ!ピカチュウ、エースさんのブースターともう仲良くなってる!!」

「よかったな。お前ら、もうダチになったのか?」

「「ピカ!/ スタ!」」

「エースさん、俺達もこれからよろしくお願いします!」

「ああ、こちらこそ。よろしくなサトシ」

 

サトシ達が挨拶を終えると、サトシの頭にいたピカチュウがエースの足元にいたブースターに笑顔で「初めまして!」と鳴き、ブースターも「よろしくね!」と笑顔で鳴いた。彼らのトレーナーであるサトシとエースは2匹があっという間に打ち解けた事にすぐに気づいて、新しい友達ができたことに嬉しく思った。

 

「ピカチュウとサトシ、仲良いんだね!仲良くなくちゃ頭に乗るなんてできないもんね!」

「へへっ、俺達付き合い長いもんな!」

「ピーカチュ!」

「ピカチュウはさ、俺の最初のポケモンなんだ!だからここにも2人で挑戦しに来たんだよ」

「ピカ!」

「ブースターとニンフィアかわいい〜〜!!ブースターもエースにくっついて離れないし、サトシとピカチュウみたいに仲良しだね!」

「ああ。このブースターもおれの最初のポケモンさ。」

「スタ!」

『私のニンフィアもよ。私とお兄ちゃん、この子達と4人でカロスへ来たの!』

「フィア!」

「シトロンとユリーカもジム巡りしてるの?」

 

全員ここまで盛り上がりながら話していたがサトシがふとその質問をすると、シトロンもユリーカも固まる。

 

「あ、ぼ、僕達は…」

「あ、あたし達もまだまだこれからなのよね」

「兄妹2人旅か〜!俺、兄弟いないから楽しそうだなぁ… エースさんとリナさんも兄妹2人旅だって言ってたし… 羨ましいよ」

 

しどろもどろと話す2人に対しサトシはちょっと羨ましそうに、ワクワクしたような顔つきで言う。

 

「でも、エースさんとリナさんは血の繋がりが無いってさきほど…」

「ああ、そうさ。苗字もおれがポートガスで妹がエンジェルと別々だからな… で、おれと妹はガキの頃、故郷の山で盃を交わしたのさ。【おれ達は今日から兄弟だ!】って。な、リナ」

『うん!お兄ちゃんが音頭とったの。懐かしいなぁ』

「おれ達は四兄弟で、あともう2人いるんだ」

「四兄弟!?すげー!!」

「ピカ!!」

「シルクハットを被ったサボって男と、麦わら帽子を被ったルフィって男だ。」

『サボ兄はここにいるお兄ちゃん… エース兄と同い年で、ルフィは私の1個下よ』

「サボさんとルフィさん?俺会ってみたいな〜!!」

「ルフィは今ひとり立ちしてて、仲間と旅に出てる」

「へ〜!!」

『でも… サボ兄は…』

「まあ、人には言えない事もあると思うので深くは聞きません。言いたくなったらでいいと思いますよ。」

「悪ィ、恩に着る。」

 

シトロンが切り出したのを筆頭に、エースとリナは懐かしそうにしながら故郷で出会ったルフィ達と兄弟になった経歴や、残る2人の兄弟・サボとルフィの名前を教えたりした。するとサトシがサボやルフィに興味を示し目をキラキラさせて「会ってみたい!」と言い出す。……が、サボは12年前に消息を絶ち、今は革命軍の参謀総長にまでのし上がっているものの2人とは会えておらず生き別れになったままだ。悲しそうに顔を伏せてしまったリナを気遣い止めると、エースも礼を言った。

 

「リナはニンフィアといつも一緒でエースもブースターといつも一緒、サトシもピカチュウといつも一緒!」

「ユリーカはまだポケモンを持てませんから、ポケモンを連れて歩くのに憧れてるんですよ」

 

ユリーカが目を輝かせながら言うとシトロンが説明。ユリーカは年齢上ポケモンを持てず、連れて歩いたりするのに憧れていたという。

 

「それすっごい分かる!!俺も早くトレーナーになりたかったもんなぁ」

「ああ、おれも妹の後にトレーナーになってブースターをはじめとしたポケモンを連れ歩くようになったけど… こうしてトレーナーになってみたらポケモンと毎日触れ合えて絆も深まるしで毎日楽しいさ」

「だよね!!サトシもエースも分かってる!!!」

 

サトシやエースが共感すると、ユリーカは嬉しそうに話す。

 

「ね、シトロンはどんなポケモン持ってるんだ?」

「つい最近GETしたのがいますよ。」

「見たい見たい!!バトルやろうぜ!」

「ピッカァ!!!」

 

ここでサトシの矛先がシトロンに向く。どんなポケモンを持っているのか問いかけると、シトロンもモンスターボールを出して返答。バトル大好きサトシがウズウズしない訳がなく、「バトルやろうぜ!」と嬉しそうに誘うとピカチュウもコートへ駆けていった。

 

「バトル… ですか?」

「ああ!ジム戦できなかったし、記念すべきカロス地方の最初のバトルだ!!やろうぜシトロン!!」

「やってみようよ!お兄ちゃん、腕試し!!」

「そうだね。それじゃあ!」

 

シトロンは若干迷っていたようだが、サトシとバトルする事を決意。

 

「よろしくお願いします!いけっ、ホルビー!」

「ホッビ!」

『うわぁ、かわいい〜〜♡ ねえねえお兄ちゃん、ウサちゃんだよ!あんなかわいいウサちゃん、カロスにもいたんだ〜!』

「あれはホルビーっていうウサちゃんだな。」

『ホルビー… 帰るまでに絶対GETしちゃお〜。その時はお兄ちゃんも来てね』

「はいはい、もちろん行きますよかわい子ちゃん。」

(おれの妹マジ天使…)

 

シトロンはあなほりポケモンのホルビーを繰り出すとバトルコートで見学していたリナはかわいい物に目がないようで、ウサちゃんことホルビーを見て目をハートにさせてエースもそんな妹にメロメロになりつつ教えてあげ、いずれ訪れる妹のホルビーGETの同行を約束した。妹がかわいすぎて内心悶絶していたが。

 

「わぁ、やっぱり初めて見るポケモンだ!!」

「ピカピカ!!」

「ピカチュウ、思いっきりいくぞ!!」

「ピカッチュウ!!」

「2人とも頑張って〜!!」

『頑張れ〜!』

 

ユリーカやリナが応援すると、バトル開始。

 

サトシは早速10まんボルトを指示、高く飛び上がり大きな雷を放つ。だがホルビーも負けていない。耳で砂を巻き上げ、それを見事にかわす。コートに大きな穴があいた。

 

「どうです?タイプはノーマルですけどこのホルビーはでんき技対策はバッチリなんですよ!」

「こりゃ手強いぜ…」

「ピーカ…」

「今度はこっちの番です、あなをほる!」

 

今度はシトロンの反撃。あなをサトシもピカチュウに走れ!と指示、ピカチュウは素早い早さで走って逃げ回る。

 

(素早い早さで撹乱させようという訳ですか… でもムダですよ!)

「ピッカァ!!!」

「今です!」

「ピカァ!?」

 

だがさすがはシトロンと言うべきか、うまいこと突き止め穴から出させピカチュウを攻撃、耳で叩きつけた。

 

「大丈夫かピカチュウ!!」

「ピカピカ!!」

「よし、その意気だ!!ピカチュウ、でんこうせっか!」

「ピッカチュウ〜〜、ピッカァ!!」

「ビ!?」

「へえ、でんこうせっかか。あのピカチュウやるな…」

 

サトシは次いででんこうせっかを指示。ピカチュウは突進して見事攻撃に成功、ホルビーも何とか持ち直して戻ってくる。妹と見ていたエースもニヤッと笑ってサトシのピカチュウに興味を示した。

 

「おうふくビンタ!」

「ホッビ!ビィ!」

「ピッカ!?」

「あの耳… まるで手だ!」

 

シトロンもおうふくビンタを指示、ホルビーの両耳が手のようになり、容赦なくピカチュウを叩きつけていきピカチュウもされるがままに叩かれまくりサトシは警戒する。

 

「すごいでしょう、これがホルビーの自慢の耳です!」

「ビィル!!」

「ピカチュウ、まだいけるよな!?」

「ピーカァ…!」

「アイアンテールだピカチュウ!」

「ピカ!チュウウウウアア〜〜ッ…!!」

「はがねタイプの技を覚えてるの!?」

 

シトロンが挑発したタイミングでピカチュウは吹き飛ばされるも持ち直し、アイアンテールを指示され再び飛び上がるとしっぽが光り、まさに向かおうとする。ユリーカも知らなかったのか驚愕していた。

 

「耳で受け止めてください!」

「ピッカァ!!!」

 

ピカチュウがアイアンテールを発動するその瞬間、ホルビーは耳でしっぽを挟み攻撃を止めた。

 

「ホッビ!」

「ピカ!?」

「うまくいきました!」

「でも捕まえたのはいいけど、ホルビー、もう耳が使えないぜ!」

「ホッビ!?」

「『えっ!?』」

「ほお… 読んでたのか」

「手強い耳が動かないなら、こっちのもんだ!エレキボール!」

「ピッカピカピカピカピカピッカァ!!!」

 

シトロンはうまくいったとばかりに嬉しそうにするも、サトシはまったく動じていない。むしろ先を読んでいたようだ。そして耳に挟まれた状態をうまく利用してエレキボールを発動、ホルビーに大きなダメージを与えた。

 

「すごい… お兄ちゃん、サトシ達おもしろいよ!!」

 

ユリーカはそう言うとシトロンも頷く。そして、戦うともっと分かる… と1人思った。

 

「でんこうせっか!」

「ピッカァ!!」

「きますよ、ホルビー!」

「ホッビ!」

 

サトシは再びでんこうせっかを指示、ピカチュウはホルビーに向かっていった… その時。

 

「ピカ!?」

 

網のような物体がピカチュウめがけて降ってきて、走ってきていたピカチュウはズザザーーッと滑ってかわした。

 

「「「!?」」」

「『……』」

 

サトシ・シトロン・ユリーカは突然の事に驚くがエースとリナは犯人を見抜いたような仕草で無表情になる。

 

「大丈夫かピカチュウ!?」

「ピーカチュ!」

「誰だ!!こんな事したのは!!!」

「危ないですよ!!」

「ていうか誰!?」

 

そして網のような光が消えると… サトシ達5人はその犯人に向き合う。犯人は…言わずもがな、ロケット団だ。

 

「何だかんだと聞かれたら!」

「答えてあげるが世の情け!」

「世界の破壊を防ぐため!」

「世界の平和を守るため!」

「愛と真実の悪を貫く!」

「ラブリーチャーミーな敵役!」

「ムサシ!」

「コジロウ!」

「銀河を駆けるロケット団の2人には!」

「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!」

「ニャーんてニャ!」

「ソォーーナンスッ!!」

 

「ロケット団… こんな所まで…!!」

「サトシ、知り合い?」

「ニャースが喋りましたよ!?すごいじゃないですか!!」

「待って!あいつら、俺のピカチュウをずっと狙ってる悪者なんだよ!!」

 

いつものごとく名乗り口上を名乗る3人。このバトルはロケット団によって邪魔されてしまい中断、サトシはピカチュウを狙いしつこく追われ続けているのだ。ユリーカが知り合いなのか?と聞く中でシトロンはロケット団のニャースが人の言葉を話しているのに興味を示し、ズンズン歩み寄ろうとしていたのをサトシが説明しながら止めた。

 

「おっとぉ、そのセリフには誤解がある!」

「我がロケット団の目的はあんたのピカチュウだけじゃないのよ!!」

「この地方の強いポケモン、珍しいポケモンもガンガンGETして悪のポケモン大軍団を結成するのだ!!」

「まずはと〜ぜん、ピカチュウちゃん!!」

「ピカ!?」

「お前のGETでカロス地方征服の幕が開く」

「ソォ〜〜ナンス!!」

 

ロケット団いわく目的はピカチュウGETだけでなくカロス地方にいる強いポケモン、珍しいポケモンもガンガンGETして悪のポケモン大軍団を結成するというもの。だがサトシは動じなかった。

 

「ついでにそいつら3人もGETだニャ!!」

「ビル!?」

「フィア…!?」

「ピカピカ!!」

「スタ!!」

「そんな事させるか!!」

「人のポケモンを奪うと聞いては黙ってられませんね!!」

「サトシのピカチュウやシトロンのホルビーだけじゃなくて妹のニンフィアまで狙いやがって… ずる賢いヤツらだ」

『あなた達には絶対、ニンフィアは渡さない』

「そうよ!あなた達何様よ!!」

「「ロケット団様だ!!」」

 

ニャースがカロス地方でしか見かけないポケモンのホルビー、初めて見るイーブイの進化系・ニンフィアに矛先を向けるとサトシのピカチュウとエースのブースターが庇うように前に出る。サトシ、シトロン、ユリーカ、そしてエースとリナも彼らに立ち向かう。

 

 

 

……が、エースとリナにも秘密がある事、そしてロケット団と面識を持っている事はこの時点でまだ… ムサシとコジロウ、そしてニャース以外誰も知らない。

 

「いくぞピカチュウ、10まんボルト!!」

「援護だブースター、かえんほうしゃ!!」

「ピィィカ、ヂュウウウウ!!!」

「ブーーッ、スタアアアア!!!」

「よろしく、ソーナンス!」

「ソォ〜〜ナァ〜〜ンス!!!」

 

サトシはピカチュウに10まんボルトを、エースはブースターにかえんほうしゃを指示。だがすぐに飛びかかってきたソーナンスにミラーコートを使われ跳ね返される。

 

「あっ!?」

「『ミラーコート!?』」

「ピカ!?ピカァァァアア!?!?」

「スタアアア…!?」

 

10まんボルトは2匹に跳ね返り直撃。サトシ達は当然驚き、ピカチュウ達も当然かわせない。さらにピカチュウはブースターと違ってこの前にホルビーとバトルしており体力を削られている… これまでバトルしておらず無傷だったブースター以上の大ダメージを負った。

 

「ピカチュウ〜〜〜!!!!」

「ブースター!!!」

 

サトシはエースとともに走り出し、前転して落ちてきたピカチュウをキャッチ。エースも持ち前の身体能力であとから落ちてきたブースターをキャッチして救出した。

 

「大丈夫か?ピカチュウ…」

「ピィカ…」

「ブースターも大丈夫か?すぐに治療しような」

「スタァ…」

「サトシ… エース…」

『お兄ちゃん… サトシ…』

 

サトシもエースもそれぞれを抱きかかえながら心配そうに気遣う。2匹は笑顔を作って大丈夫だ、と言いたげに鳴き声をあげた。そばで見ていたシトロンとユリーカ、リナも心配そうにしている。

 

「さすがソーナンス、やればできる子。」

「ソォ〜〜ナンス!!」

「ここはいったん引きましょう!ミラーコートは倍のダメージになって打ち返してくるんです!!そのダメージをモロに受けて…!!」

『そうよ!お兄ちゃんのブースターもケガしちゃったし、それにサトシのピカチュウも治療が必要なの!!』

「俺達はいつだって立ち向かってきたんだ!そしてこれからも…!!ピカチュウが大丈夫だって言う限り、ピカチュウが諦めない限り、俺はこいつと一緒に戦う!!!」

「ピッカチュウ!!」

「サトシ…」

「スタ…」

 

サトシは今までもこれからも共に立ち向かうと言い、シトロン達だけでなく側にいたエースもブースターも呆気に取られてサトシを見る。シトロンとユリーカは笑顔で頷き合い、リナも嬉しそうにサトシを見た。

 

「何度来ても同じこと!!」

「ピカチュウ、エレキボール!」

「ブースター、かえんほうしゃ!」

「ピカピカピカピカチュッピィ!!!」

「ブーーッ、スタアアア!!!」

「僕達も援護します!ホルビー、マッドショット!」

「ホーッ、ビィ!!!」

 

今度はシトロンとホルビー、エースとブースターも来てサトシはエレキボールを指示、シトロンはマッドショット、エースはかえんほうしゃを出させて2匹に援護させる。

 

「いけ!ソーナンス!!」

「ソ〜!!」

「すべて避けた!?」

「クソッ… 万事休すか!?!?」

「ソォ… ナ〜〜ンス!!!」

「ダメか!!」

 

ソーナンスは飛び上がると全てかわし… ミラーコートで10まんボルトを跳ね返した。シトロン、そしてエースは驚き歯を食いしばる。

 

「ピカ!?」

「ケロッ!!」

 

当たる…!!!と誰もが思っただろう、そこへ頭部分がモコモコとしたカエルのようなポケモンが来て、跳ね返ってきた10まんボルトを代わりに受けてピカチュウを庇った。

 

「ピカチュウ!!」

 

来たのはあわがえるポケモンのケロマツ、カロス地方の初心者用ポケモンのうち1匹だ。だがみずタイプのケロマツにとって、でんきタイプの技は効果抜群。身体中がビリビリとしびれ始め、相当なダメージをくらってしまったのが伺える。

 

「大丈夫か、ピカチュウ!!」

「ピカピカ!!」

『え… このポケモンって…!!!』

「間違いねェ、ケロマツだ… 初心者用のポケモンが何でここに…!?」

 

ピカチュウは自分は大丈夫だ、このポケモンが!!と言いたげに身振り手振りでサトシへケロマツの事を知らせた。近くにいたリナにとってケロマツはニンフィアの次にGETした今の切り札ポケモン・しのびポケモンのゲッコウガの進化前… 目を丸くさせ、驚きに包まれる。そしてエースもまた彼女のケロマツや今のゲッコウガとも面識があり、妹同様驚きを隠せていない。

 

「なに?」

「ポケモン?」

「ケ… ロ… ケロッ」

「ケロマツです!」

「ケロマツ?」

「カロス地方の初心者用の1体で、みずタイプだからエレキボールの反射技を当てて…」

「ケロッ…!」

「大丈夫か、ケロマツ!!」

『ケロマツ…』

 

ゲッコウガのトレーナーであるリナとは違いカロスへ来たばかりのロケット団やサトシはケロマツを見た事がなく… そんなサトシに対してシトロンが説明している。すると再びビリビリと体にしびれが走り、サトシが気遣う。リナもゲッコウガの進化前ポケモンというだけあり思い入れが強いのか心配そうにケロマツを見ている。

 

「こいつのトレーナーは!?」

「ケロッ、ケロッ」

「おいやめとけケロマツ!!!お前傷ついてんだぞ!?こいつらはおれのブースターとサトシのピカチュウで止める!!」

 

サトシはケロマツのトレーナーはいるのか?と探すがケロマツにはお構いなし。エースの制止も聞かずに再びロケット団に向かっていった。

 

「もしかして…」

「ケロッ、ケーロ!」

「何なのあいつ!?」

「手を貸してくれるっていうのか?」

「ケロ!マケーツ!」

「悪いヤツは許さニャいって言ってるニャ…」

「ケロマツ、そのダメージで無理するな!!」

「ケロッ!」

「ケロマツ!!!!」

 

ニャースはケロマツの言葉を汲み取り翻訳するのをよそにケロマツはサトシの制止さえも振り切りケロムースを膨らませて勝手に飛び出していき、そのままケロムースを飛ばす。

 

「ケロムースを飛ばした!!」

「はいはい、それも跳ね返しちゃって!!」

「ソォ〜〜!!」

 

ロケット団側に向かってくるケロムース、ムサシはソーナンスにミラーコートを指示して跳ね返そうとするがケロムースはケロマツやゲコガシラが持つ特有の物で技ではない。そのため最初にソーナンスへケロムースがくっつき、そのまま後ろに吹っ飛ばされてくるとムサシやコジロウら他の面々にもベタベタとくっついてしまった。

 

「「わーーーっ!?」」

「何これぇ!?」

「くっついて離れニャいのニャ!!」

「反射… しない!?」

「そうか!ケロマツのケロムースは技ではないですから、ソーナンスの反射技では返せなかったんですよ!!」

「やるじゃないかケロマツ!!俺達もいくぞ!」

「ピッカァ!!」

「僕達もいきますよ!」

「ホッビィ!」

「おれも援護するぜ」

「スタァ!!」

「あたしも忘れないでよね!!」

『みんな元気だね。』

 

ケロムースがくっつきそれに気を取られているロケット団、サトシはケロマツを称えるとピカチュウとシトロンとエースとともにトドメに入る。ポケモンを持てないユリーカは私も忘れるな、とすねてしまいリナはニコニコ笑い一同を見ていた。

 

「ホルビー、あなをほる!」

「ビィルルルルルル!!!」

「「「どわーーーーっ!?」」」

「やったあ!!」

「いいぞホルビー!!」

「たたみこめ!ピカチュウ、10まんボルト!」

「手ェ貸すぜサトシ!!ブースター、かえんほうしゃ!」

「ピィィカ、ヂュウウウウ!!!!」

「ケロォ!!!!」

「ブーーーッ、スタアアアア!!!!」

「ヤな感じ〜〜〜!!!!」

「ソォ〜〜ナンスッ!!」

 

最初にホルビーのあなをほるでロケット団をまず吹っ飛ばす事に成功。続いてピカチュウの10まんボルト、ケロマツのみずのはどう、ブースターのかえんほうしゃをモロにくらってロケット団は地平線の彼方へと吹っ飛ばされていった。

 

◆◆◆

 

「うわあぁ〜、すっごいパワー!!」

「ありがとうみんな!」

「よくやりましたねホルビー!」

「ビィル」

「ブースターもありがとう、よく頑張ったな」

「スタァ♡」

 

ロケット団を撃退すると、サトシは全員に礼を言いみんな戦ってくれたポケモン達をたたえ、礼を言っている最中… ケロマツが倒れた。やはりそのダメージはかなり大きいものだったのだろう。

 

「ケロマツ!!大丈夫か!?」

「ケ… ロ…」

「早く手当てしないと…!」

「ポケモンセンターは!?」

「えーと、ここからだと…」

「ここからならポケモンセンターより博士の研究所に連れて行った方が早いよ!!」

「研究所!?」

「プラターヌ博士の研究所です!ケロマツの事なら確かに適任です」

「サトシ、こっちだよ!」

「ありがとう、ユリーカ!エースさんとリナさんも来てください!!」

「ああ、もちろん!一緒にいたし行かせてもらう…」

『私も… ケロマツが心配』

「しっかりしろケロマツ、すぐ回復させてやるからな…!」

 

サトシはシトロンにポケモンセンターはどこか聞くが、シトロンもちょっとアタフタしている。だがそんな時ユリーカがここからなら博士の研究所に行った方が早いと提案する。ということで彼らは急遽カロス地方の博士… プラターヌ博士の元へ行く事となった。

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