盃兄弟の長女は怪盗でした【アニポケXY / XY&Z】   作:小花

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メガシンカとプリズムタワー!

「わっ、わあああああ!!落ちる落ちる落ちる〜!!!」

「サーイ」

「舌を噛むわよ!喋っちゃダメ!!セレナ、あなたは今サイホーンなのよ!」

「無茶言わないでよおおおおお!!!」

「ママもそうやってサイホーンレーサーの世界で戦ってきたの!!」

 

 

ここはアサメタウン。セレナは朝言われた通り、母親とともにサイホーンレースの朝練を行っていてまさに振り落とされそうな状態だった。セレナの母は元サイホーンレーサーだと発覚、娘にも同様にサイホーンレースを経験させようとしていた。

 

「セレナもできる、当たって砕けろよ!!」

 

セレナの母は当たって砕けろ、と励ますがその後すぐにサイホーンから振り落とされてしまった。

 

「もーやだぁぁぁぁあああああ!!!!!!」

 

◆◆◆

 

「サトシ、こっちこっち!!」

「ああ!ケロマツ、頑張れよ!」

「ケ… ロ…」

 

ここはミアレシティ。サトシはシトロンの妹・ユリーカの案内のもとプラターヌ博士の元へ向かう途中で、彼女の兄のシトロンはもちろんエースとリナも一緒についてきていた。ケロマツは傷だらけのまま、事態はどんどん一刻を争っているものだと伺える。

 

サトシとユリーカ、エースとリナは同じペースで走っているがシトロンは1人かなり離れたところでゼエゼエしながら走っている。……おそらく走りには自信が無いのだろう。

 

「も〜、お兄ちゃんったら遅い!!!」

「わかってるよ… サトシ、先に行ってくださーい…」

「ごめん、シトロン!」

「全くもってだらしないんだから!!」

「ンならおれがシトロンを先導する。おれは町の方向や体力、足の速さには自信あるからな。サトシ、すぐ追いかけるから妹を頼む。」

「すいませんエースさん、ありがとうございます…」

「わかりました。じゃあエースさんもまたあとで!」

 

エースはシトロンにつくと言い妹のリナをサトシに託す。そうしている間にもやはりケロマツが心配だ。サトシ・ユリーカ・リナの3人は先にプラターヌ博士の研究所へ向かう事にした。

 

◆◆◆

 

サトシとユリーカとリナが向かっている研究所の近くの木の葉がガサガサと揺れる。そこにいたのは… ロケット団。

 

「ハァ、ひでー目にあった」

「許さニャいのニャ…」

 

ロケット団は研究所近辺の茂みに飛ばされていたのか全員先ほどのダメージを受けボロボロになっていた。

 

「サトシ、こっちだよ!」

「「「!?」」」

 

するとサトシを案内するユリーカの声が聞こえて、ロケット団もパッ!!と顔を上げる。様子を見ると、サトシはユリーカに連れてきてもらい3人で研究所に到着しようとしていた。

 

「あれだよ、プラターヌ研究所!」

「ジャリンコ発見ニャ!」

「プラターヌ研究所?」

「ポケモンの研究所だな…」

「強いポケモン、珍しいポケモンの匂いがするニャ…!」

「ソォ〜〜ナンスッ!!」

「「「わーーーーっ!?」」」

 

 

ロケット団も興味を示さないはずがなく、研究所へ入っていったサトシを見つつ強いポケモンや珍しいポケモンがいるかもしれないと悪者特有の目つきでニヤリと笑いながら見ていると、もたれかかっていた木の枝が折れて全員落ちていった。

 

◆◆◆

 

「すいませーん!!プラターヌ博士いませんか〜〜!?」

 

こちらはサトシ達、3人とも無事にプラターヌ研究所へ辿り着き扉を開いていたところだ。エースは足の遅いシトロンに付き添っているためまだいない。

 

「ふぁ〜〜い… ん?」

 

するとあくび混じりに返事をしつつ白衣を着た男性が来て、サトシが抱きかかえていたケロマツを見ると表情を変えた。

 

「博士ですか?」

「……ケロッ…」

「ケロマツ!!」

「知ってるんですか?ケロマツを…」

「もちろんだ… ソフィー、来てくれ!」

 

博士は助手らしき人物の名を呼ぶと、そのままケロマツを抱きかかえる。

 

「心配したんだぞ。お前のトレーナーから連絡があったからな」

「……」

「頼むよ。」

「はい。」

 

そう言うとすぐにソフィーと呼ばれた助手の女性が来て、ケロマツを託され中へと消えていく。

 

「ピーカ…」

「あの… 連絡があったって、ケロマツのトレーナーがここに向かってるんですか?」

 

サトシも気になっていたのかそう尋ねると、博士は「いや…」と切り出し顔を曇らせたままだ。

 

「ケロマツを手放したいという連絡だったんだ」

「ええっ…?」

「ピーカ?」

『そんな…』

 

そのトレーナーいわく【ケロマツを手放したい】というもので、今の時点ではこれしか分からないものの… それは後に深く語られることとなる。そこまで話を聞いた時にガチャリと扉が開き、エースの先導の元、シトロンがようやく追いついてきた。そして2人の後ろにはまたボールから勝手に出てきたのか、エースのブースターも歩いてきている。

 

「ハァ、ハァ、ハァ…」

「あーやっと着いた… おつかれシトロン。」

「アリガトウゴザイマシタ、エースサン…」

「スタァ… スタァ…」

「遅い!お兄ちゃん!!」

「ハァ… ケロマツは…?」

 

シトロンは虫の息状態でへなへなと脱力しながら入ってきて、彼の足の遅さにエースもさすがにくたびれたのか床に座り込む。ブースターも息があがりヘトヘトになっているようで、主の足元で座り込み小さくまるまってしまった。

 

ユリーカはそんな兄の状態もお構い無しに遅い!と叱る。

 

ようやく5人が揃い、一同はケロマツが治療されている部屋へ案内される。ケロマツは助手のソフィーにより適切な治療を施されていた。

 

「ケロマツ…」

『……ッ…』

「ケロマツはここできちんと適切な治療を受けて、絶対元気になる。大丈夫だ… 兄ちゃんと一緒に祈ってよう。な?」

『……うん…』

 

サトシは窓越しから心配そうに見ていて、その後ろにいたリナに至っては声を殺して泣き出してしまいエースが励しながら妹の手を握る。が、彼もまた心配そうにケロマツを見ていた。するとそこに博士が来て、サトシ達に「心配いらないよ」話しかけた。博士いわく助手のソフィーの治療の腕はピカイチだ、との事でようやくサトシとリナも安心したように笑った。

 

「僕はプラターヌ、このカロス地方のポケモン研究家だ」

「俺、サトシっていいます!こっちは相棒のピカチュウ」

「ピカ!」

「おれはエース、こっちはパートナーのブースター。」

「スタ!」

「で、こっちはおれの妹のリナだ」

『リナです。よろしくお願いします』

「リナさんとエースくん… 彼女はいつかケロマツを、隣の彼はフォッコを連れて行ってくれたお二人だね!」

『はい!今はゲッコウガに進化しています』

「おれの方もマフォクシーになった」

 

「あたしはユリーカ!お兄ちゃんのシトロン!」

「シトロンです!初めまして、プラターヌ博士!」

「今日、カントーのマサラタウンから着いたばかりなんです」

「カントーから…!!」

 

研究所のあるスペースに案内されると自己紹介される。その人こそが目的の人物・プラターヌ博士で、サトシ達も全員自己紹介をかわすとサトシはカントー地方・マサラタウンから着いたばかりだと説明すると、プラターヌ博士は驚いた。

 

「はい!ポケモンマスターを目指して修行の旅を続けてます」

「ピカチュ!」

 

次いで今度はポケモンマスターを目指し修行中の身だ、と説明。

 

「なるほど!そういえばお礼がまだだった。ケロマツを助けてくれてありがとう」

「助かったのはこっちの方です!それより… さっきの話、手放したいって何があったんですか?」

「ああ、僕はトレーナーに最初のポケモンを渡す役目も持っていてね。ケロマツは新人トレーナー用なんだ。でもあの子はちょっと変わっていてね… バトルで言う事を聞かなかったりトレーナーを見限って逃げ出したり一緒に旅立ったものの僕の所に直接返しに来たトレーナーも何人かいたよ」

 

サトシはプラターヌ博士からお礼を言われるが、助かったのはこっちの方だと主張。そして再びケロマツの事を尋ねた。プラターヌ博士いわくケロマツはちょっと変わり者で、バトルでトレーナーの指示を聞かないのはもちろんさらにはトレーナーを見限り逃走する事もあり、そんなケロマツを見てプラターヌ博士の所へ返しに来るトレーナーもいたそうだ。

 

「「「『えっ!?』」」」

「……」

「そんなに何度も!?」

「ピッカチュ…」

「ケロマツなりに考えがあるのかも」

「苦労してるのね…」

「そういう初心者用のポケモンの事はウワサになってましたが、まさか本当にいるとは驚きました…」

 

これには誰もが驚き、エースもそんな性格だったと知り顔をしかめた。プラターヌ博士はさらに説明を続けて、ユリーカもケロマツに同情。シトロンいわくこのケロマツのような変わった初心者用のポケモンがいるらしいとウワサになっていたようで、実在していたのを知らず驚いていた。

 

「ガブガーブ!!」

「?」

「ガブリアスか…」

『すごい、かっこいい!』

「わあ、ガブリアスだ!!」

「ピカピカチュウ!!」

「あんたいいヤツ持ってんな。」

「うちのガブリアスだよ!気のいいヤツさ。」

 

ケロマツが治療を受けている部屋で、ガブリアスが離れず心配そうに見ていたのをサトシ達が見逃すはずなく、サトシは嬉しそうに、エースも微笑ましげに食いつきプラターヌ博士に話しかけると博士も「気のいいヤツだ」と言う。

 

「ガブリアス、調子はどうだ?」

「ガブガァ〜ブ、ガーブ」

「ケロマツは大丈夫。サトシくん達のおかげだよ」

「ガブガブ!」

「よろしくなガブリアス!」

「ピカピーカ!」

「優しいんだな、ガブリアス。でももう大丈夫だってさ!」

 

博士はガブリアスの元に駆け寄り頭部分を撫でながらサトシ達のおかげだと話しガブリアスも改めて向かい合う。そしてサトシやシトロンとユリーカ、エースとリナもガブリアスを見て、ポケモンが大好きなサトシはさっそく撫でてもう大丈夫だ、と告げた。

 

「博士!あたしも撫でていい!?本物のガブリアス初めてなの!!」

「どうぞ!ガブリアスも喜ぶよ」

「やったあ!ガブリアス、いい子だね〜!かわいい!!」

 

 

ユリーカも興味を示さないはずがなくサトシのように撫でたいとおねだりすると博士も快諾。小さいから頭まで届きづらいため、届きやすいように抱っこして撫でさせてあげた。

 

「博士!」

「ん?」

「博士は主にポケモンの進化について研究しているんですよね?」

「ああ。この研究所には他にもたくさんのポケモン達がいるんだよ」

「見たい見たーい!!」

「そうか!それじゃあ見に行こう。コゼット、ガブリアスを頼む」

「わかりました!」

 

次いでシトロンがポケモンの進化について研究しているのか?と目を輝かせながら聞くと博士もそうだ、と頷き他にも沢山ポケモンがいる、とし助手にガブリアスを託して見に行く事に。……するとサトシとエースとリナは残っていて、シトロンは振り向く。

 

「サトシとエースさん達は行かないの?」

「ああ、先に行っててくれ」

「すぐ追いかける」

「わかった」

 

「ケロマツ、本当にありがとな!助かったよ。」

「ピカピカ!」

「俺達はお前が大好きだぜ!俺には分かる。お前は「いらない」なんて言われるポケモンじゃない!ピカチュウを助けてくれた熱いヤツだ!!」

「ピィカ!」

 

サトシはケロマツに先ほどのお礼を言いたかったようだ。ケロマツも瀕死ながらも振り向き、また眠ってしまった。

 

 

……サトシはこのケロマツをのちにGETする事になり、さらには絆の象徴となる未知の力を手に入れ向き合うことになろうとはこの時はまだ誰も、何も知らない。

 

◆◆◆

 

《ノノカサンから着信です。ノノカサンから着信です。》

「悪ィ、おれだ… リナ、ちょっと外す」

 

しばらくケロマツを見守っているとここでエースのスマホロトムがけたたましく鳴り、席を外した。

 

《ノノカサンから着信です。ノノカサンから着信で__》

「はい、エースです」

《エース!今からミアレシティで仕事よ。リナも連れてきて》

「うい。ノノカサン、今日はなんスか?」

《ポケビジョン撮影と雑誌撮影、新曲のレコーディングよ》

「わかりました。おれ達もミアレにいたんですぐ行きます」

《ええ!よろしく。こっちも今私用でミアレの近くにいたから迎えに行くよ。プリズムタワーの前で待ってて!》

 

電話の主はこの2人の兄妹からなる超人気アイドルユニット・JOKERのマネージャーを務める女性、ノノカだ。電話内容は【仕事が入ったからリナもともに連れてこい】という旨だった。ノノカは私用のためミアレシティの近くにいて、これから迎えに行くからプリズムタワーで待機しろ、と告げた。

 

「俺もシトロン達を追いかけます。エースさんはどうしますか?」

「あーおれ達はいいや。お前らと見てェのは山々なんだが… ちょっと用事が入っちまってよォ」

「そうですか… あのっエースさん、また会えますか!?」

「ああ。ミアレでの用だしすぐには出発しねェから… きっとまた会える。行くぞ、リナ」

『うん。じゃあ、また』

 

電話を切りサトシの元へ戻ってくると、JOKERとしての仕事が入ってしまったためひと足先にプラターヌ研究所をあとにした。

 

 

 

……そのプリズムタワーで事件が起こるとも知らず。

 

◆◆◆

 

「おまたせ!兄妹そろって何してたの?」

「あ〜、ちょっとくっちゃべってた」

「ふうん?仲良しね」

『ケロマツがいたの。ミアレシティのバトルコートに…』

「ケロマツ?ゲッコウガの進化前じゃない。」

 

兄妹はミアレガレットを食べながらノノカを待っていると、約束通り車で迎えに来て、窓から顔を出しリナ→エースの順で乗車。そのまま何をしていたんだと尋ねられ、リナが代表でノノカへ説明した。

 

◆◆◆

 

ところ変わってこちらはプラターヌ研究所の温室。たくさんのポケモン立ちを前にユリーカが嬉しそうに駆け回り、その近くにプラターヌ博士と兄のシトロンがいた。

 

「わぁ〜〜!」

「ピーカァ!」

 

そこへ遅れてサトシとピカチュウが温室に来た。

 

「すっげ〜!!」

「サトシ、ケロマツどうだった?」

「心配ない、あいつは強いから!」

「よかった!……あれ、エースさん達は?」

「エースさんなら帰っちゃった。用事あるんだって」

「ねえねえサトシ!見た事ないポケモンがいっぱいだよ!!」

 

サトシはたくさんのポケモン達に興奮していて、そこにシトロンがケロマツの容態とエース達兄妹の居所を聞いてくる。

 

「あ、エリキテルもいるじゃないか!!」

「ピカピカ!」

「マリィ!」

「ザグ〜!」

「ピカ!」

「博士!進化の研究ってどんなのですか?」

 

そしてプラターヌ博士に進化はどんなものなのか?と聞くと… 博士はポケモンにもう一段階進化があると言ったら信じるか?と聞く。……それは主にカロス地方で見られる【メガシンカ】の事だ。

 

「別の進化?」

「ガブリアスがまだ進化するって事ですか!?」

「その可能性があるんだよ。」

「えっ…?」

「本当に…!?」

「いくつかのポケモンにそういう報告があってね。研究者の間では、【メガシンカ】と呼ばれているよ」

「メガシンカ…?」

 

サトシはともかくカロス地方出身のシトロンまでもが知らなかったのか2人とも驚き、博士は2人のために分かりやすく説明する。

 

「そのメカニズムにはまだまだ謎が多くてね… 進化には特殊な石と、ポケモンとトレーナーの絆がとても重要だと考えられているんだ」

「絆…」

 

‘‘ 絆 ’’ とのワードを聞きサトシは思わずつぶやいた。

 

「ピーカァ…?」

「しかも驚くべきことに、進化しても元の姿に戻ってしまうんだ」

「えっ… 元に戻る!?」

 

 

「メガシンカ… なんか強そうニャ」

「進化の上のそのまた進化!!」

「あたしきーめた!!ここのポケモンみんなGETするわよ〜!!」

「ソォ〜〜ナンスッ!!」

 

そしてもちろんそれを屋根の上でロケット団が聞いていた。……彼らは大変な事件を引き起こす引き金となる。

 

◆◆◆

 

「はいはいどーも〜!!」

「メガシンカの研究に来ましたぁ!!」

「はい?」

「…… ( ニヤリ。」

 

入り口ではニセの研究員が来る… が、これは白衣とメガネ、マスクしか変装していないロケット団だ。ソフィーも困惑気味に入れると、ロケット団は作戦成功… とばかりにニヤリと笑った。

 

「ケロ… ケロ!?」

 

ケロマツのいる部屋ではガラスのフタが勝手に開き、驚いている様子が伺える。

 

「お手伝いに来ましたのニャ」

「そんな話聞いてないですけど…」

「博士に確認してきます。」

「「「ヒソヒソヒソヒソ…」」」

 

真ん中にいたソーナンスと合体したニャースもニヤニヤしながら話す。が、ソフィーは当然応じずガブリアスの事を託されていたコゼットが来て、博士に確認すると伝える。

 

「ガーーブ!!」

「ケロ!ケロロ!!」

 

何かを感じたのかガブリアスが吠えると、ケロマツがロケット団に向かっていった。

 

「ガーブ!」

「ニャー達をぶっ飛ばしたヤツニャ!」

「じゃあまずはこいつからいただきますか。さあ研究の時間ですよ!!」

「はいはい危ないですからね!はい下がって下がって〜」

 

ロケット団もケロマツに気づくと、最初にいただこうとコジロウが白衣姿のままカプセルのようなものを取り出しムサシが助手のソフィーを無理やり下がらせる。事件の幕開けだ。

 

「とーりゃ!!」

「ケロッ!?」

「ガブ!!ガアアアアブ!!!!」

「ケロ!?」

 

コジロウがそれを投げるとカプセル状の物は輪っか状へと変化し… 捕まる…!!と身構えていたケロマツだったがなんとガブリアスが庇って捕まった。そしてガブリアスは苦しそうに唸るような感じで鳴き声をあげ… 庇われ九死に一生を得たケロマツは驚き目を見開く。

 

「あ… ガブリアス!!!」

 

ここでようやくソフィーもガブリアスの異変に気づきロケット団の目的がポケモンの捕獲だと分かった。

 

「思わぬ収穫ね… こいつにはメガシンカの可能性があるとか言ってたわ」

「作戦変更、まずはこいつをGETニャ!!」

「よーしガブリアス、俺達と来るんだ!」

「ガアアアアブ!!!!!!」

 

ニャースが作戦変更だと告げるとコジロウが何かを操作、ガブリアスはさらに苦しみだし… とうとう暴走した。ケロマツが助けようとしても叶うはずなく、呆気なく吹っ飛ばされる。

 

「ガブリアスの声だ!」

 

そしてその叫び声は温室にいたサトシ達にも届き、彼らも入り口方面へと走っていった。そうする間にも暴走は止まらずとうとう技を出し、研究所の入り口を破壊。

 

「ちょっと、話が違うじゃない!!」

「ガブリアス、言うこと聞くニャ!!」

「おかしいな…」

 

これにはロケット団も戸惑い、コジロウが再び操作する中ニャースが宥めるも効果ナシ。

 

「ガブリアス!!どうなってるんだ!?」

「ピーカ!?」

「博士!あの人達が!!」

「キミ達は何者だ!!」

「キミ達は何者だ!と聞かれたら」

「答えてあげるが世の情け」

「ロケット団か!!」

「ちょっとあんた達しつこいわよ!!」

「ロケット団?」

「人のポケモンを奪う、悪いヤツらなんです!!」

 

そこで遅れてサトシ達も来てプラターヌ博士が何者だと問うと、ロケット団はいつものごとく名乗り口上を名乗り変装を解く。プラターヌ博士は知る訳がなく困惑するとサトシが説明。

 

「はぁ〜〜い!!その通り!」

「ガブリアスはロケット団がいただいた〜!!」

「それでは本日は撤収ニャ!!」

「にゃ、ニャースが喋ってる!?」

 

ムサシはその通りだ!と言っているようににコジロウとハイタッチ。ソーナンスと合体したままのニャースは撤収の号令をかけ… プラターヌ博士はシトロンのように人の言葉を話せるニャースを見て驚いた。

 

「ええ、喋れますのニャ」

「ガァーーーーーブ!!!!!」

「えっ、ええっ、えええええ!?!?」

「「「まっさか〜〜〜〜!!!!」」」

 

ニャースはお辞儀して返答するがまずはガブリアス。赤い目つきとなり暴走しながら技を出し… 屋根からロケット団を地平線の彼方まで吹っ飛ばした。

 

「ガブリアス、どうしたんだ?」

「ガァーーーーーブ!!!」

「危ない!!!」

 

ロケット団が吹っ飛ばされてもなお暴走は続き、技を出して研究所をさらに破壊した。

 

「博士!ガブリアスの首を!!」

「何だ、あのリングは!?」

「ヤツらの仕業です!!ケロマツを庇ってガブリアスは…!」

 

シトロンはガブリアスが苦しめられている要因を突き止め首輪をはずせと指示、プラターヌ博士もようやく気づいてソフィーが教える。

 

「ガァァァアアアアブ!!!!!!!」

「ガブリアス!!!」

「ピーカ!」

「ガブリアスが… 泣いてる…!」

 

助走をつけると、ついに建物を突き破り研究所の外へミアレシティの街へと出ていってしまった。

 

「どうなっちゃってるの…!?」

「追うぞピカチュウ!」

「ピーカ!」

「気をつけろよ、サトシくん!!ソフィー、他のポケモン達の様子を確認だ!」

「お兄ちゃん… ガブリアス可哀想…」

「僕達も行こう!」

 

研究所ではユリーカは恐怖で涙が出ていてシトロンが守るように手を握る中、サトシはピカチュウと、ユリーカやシトロンも彼とともに追いかける事を決意。

 

「ケロ!」

「ケロマツ!」

「ケロ!!」

「お前も来てくれるのか!!」

「ピーカァ!!」

 

それだけでなくケロマツもともに力を貸すと言いたげに鳴いてきて、みんなで追うことに。

 

◆◆◆

 

夕方になってもガブリアスの暴走は止まらず、技を出してミアレシティ中を破壊している。早く止めないと市民が危ない…!!!

 

「住民のみなさん、現在ガブリアスが暴れています!!すみやかに避難してください!」

 

この時にはジュンサーも来て避難を呼びかけるほどには大事になっていた。

 

『なに…?いったいどうなってるの!?』

「車が… あちこちで渋滞してやがる」

「ガブリアスが暴れているそうよ」

「『えっ…!?』」

 

JOKERとしての用を済ませていた彼らも車の渋滞に巻き込まれていて、窓から覗いているとマネージャーのノノカが知らせてきて血相を変えた。

 

◆◆◆

 

「ガブリアスはプリズムタワー方向へ飛んでいきます!!」

 

さらにはミアレシティの上空にはヘリも飛んできて、リポーターやカメラマンが乗って報道していた。

 

「ガブ!ガーブ…」

 

ガブリアスはプリズムタワーへ着き、壁にへばりついたのち床へ着地。そして紫色の技… はかいこうせんを出し威嚇した。

 

「わああ!?なんと、はかいこうせんをあたり構わず発射して我々報道のヘリコプターに対して威嚇してきました!かなりの興奮状態のようです!!」

 

それは報道されていたのもあり兄妹だけでなくアサメタウンのセレナ達の耳にも入っていた。

 

「ねえ、これ見てよ。すごい事になってるわよ?」

「私の顔もちょーすごい事になってるんですけど?」

「なんて映画?」

「違う違う、生中継よ!ミアレシティだって」

 

母親はセレナに対し今すぐ見ろ、と言うが絆創膏に包まれたセレナは私の顔もすごい事になったと言うと目を泳がせ知らん顔。そしてなんだかんだでソファに座ってテレビを見た。

 

◆◆◆

 

「ガブリアス!!!」

「ピーカチュ!」

「サトシ!!」

 

そしてこの時にはたくさんの人が来て、暴れるガブリアスを見ていた。サトシ達もプリズムタワーへと到着しており、あとからシトロンとユリーカも走ってきた。

 

「ガーーブ!ガーーブ!!!」

「あいつの側に行けないかな!?」

「ええっ!?危ないですよ!!」

「1番危ないのはガブリアスなんだ!!あのリングを外してやりたいんだ!」

「ケロッ」

 

さすがはスーパーマサラ人、ガブリアスの元へ行って助けると言うのだ。これにはさすがのシトロンも驚き危ないと止めるもサトシは1番危ないのはガブリアスで、自分がリングを外して救出したいと聞かない。ケロマツは何か思うところがあったのか、鳴き声をあげながらサトシを見た。

 

「ガブリアスに近づく事ができればいいんですよね?それなら手はありますよ!」

「ほんとか!?」

 

 

するとここで悩んでいたシトロンだったが、手はある、と何か閃いたようにサトシに言った。3人は夕焼け空を背景にそのままプリズムタワーの裏口らしき場へ行き非常階段へ案内。

 

「この奥に非常階段があります!リュック持ってきて正解でした!」

「フッフッフ… サイエンスが未来を切り開く時!シトロニックギア・オン!!」

「エイパムアーム起動!」

 

なにか役に立つのだろう、リュックを持ってきて正解だったと言うとそのまま得意げに笑い… なんとリュックの中からエイパムの手のような触覚型のメカが伸びてきて、そのまま非常階段を開けるセキュリティに差し込んだ。

 

「わぁ!なんだ!?」

「これで入れます!」

「かがくの ちからって すげーーーッ!!!」

「かっこいいでしょ?お兄ちゃんの発明なの!」

「僕、こういうのちょっと得意なんですよ///」

 

サトシは目を輝かせながらそのセキュリティの仕組みに大興奮。ピカチュウも主の方で目を輝かせていた。ユリーカが自慢げに言うと、シトロンは得意分野なんだと照れくさそうに説明した。

 

「ありがとな、シトロン。」

「いえ。」

「「わあっ!?」」

 

礼を言ってさあ突入!という時、ガブリアスがはかいこうせんを出しサトシ達にも威嚇。サトシとピカチュウ、そしてケロマツは階段の入り口へ、シトロンとユリーカは非常階段前へとそれぞれ吹っ飛ばされてしまい分かれてしまった。

 

「シトロン!ユリーカ!大丈夫か!?」

「はい!僕達に構わず早く行ってください!!」

「わかった!」

 

だが2人とも無事だと分かると、サトシは早速突入した。

 

「ジュンサーさん!」

「プラターヌ博士!!」

「お騒がせしてすみません。ガブリアスは?」

 

この時にはプラターヌ博士もプリズムタワーへ到着。ジュンサーに声をかけ謝罪した。すると…

 

「おい、あれを見ろ!!!」

「子供だ!!!!」

「サトシくん!!!」

「ええっ!?」

 

プリズムタワーを見に来ていた男性らしき声がかかり上を見てみたらなんと少年… サトシがいた。これにはさすがにプラターヌ博士もジュンサーさんも驚いた。

 

「ガァブ…」

「ガブリアス…」

「ガァブ… ガァーーーーーブ!!!!!」

「わっ!?」

 

同時刻、サトシ達もいつの間に登りきったのかガブリアスの元へ到着。ガブリアスも赤い目のまま振り向きはかいこうせんを出した。

 

「大丈夫かな… サトシ…」

 

シトロンもユリーカも下からサトシを案じていた。

 

◆◆◆

 

「よーーい… スタート!!」

「せーの!」

「『こんにちは〜!JOKERです!!』」

 

……さてここで少し時間を戻し、遡ることプラターヌ研究所でガブリアスの一件が起こる少し前。こちらはミアレシティの原っぱ。マネージャーのノノカがカチンコを鳴らし合図をかけ、エースの号令の元でJOKERのポケビジョン撮影が始まった。

 

「こんにちは〜、エースです!」

『こんにちは、妹のリナです!』

「こっちはおれのパートナーのブースター、そのお隣は妹のパートナーのニンフィアです!」

「「スタ!/ フィア!」」

 

エースもリナもさきほどまでのサトシ達に対する態度と打って変わって違ったものになっていて、エースは白ひげ海賊団の仲間などに見せていたような明るい笑顔と声色で挨拶、妹のリナも負けず劣らずの明るさで続き、ブースターとニンフィアも紹介を受けると笑顔でひと鳴きする。

 

「今日のポケビジョンは、久しぶりにこの子達がパフォーマンスをしてくれます!ブースター、ニンフィア、お前ら2人とも準備はいいか?」

「「スタ!/ フィア!」」

『ありがとう!それでは、早速やってもらいましょう!』

「ブースター、」

『ニンフィア、』

「『かえんほうしゃ!/ スピードスター!』」

 

エースが優しく笑ってブースターとニンフィアに目線を合わせて屈み、準備はいいか?と問うと2匹もOKだと言いたげに頷き… それぞれ技を出すため飛び上がる。

 

◆◆◆

 

『あ〜〜〜、疲れたぁ…』

「おつかれ。ミアレガレット食うか?残りだけど。」

 

JOKERの全ての仕事が終わったのは夕方前で、彼らはノノカの運転により車で移動していた。

 

『うんっ!お兄ちゃん大好き!!魔法で増やして一緒にわけっこしよう?』

「……ぐふぅッ…!!あ、ああ… 兄ちゃんも大好きデス」

『お兄ちゃん?』

「何デモゴザイマセン…」

「エース、あんたほんっとシスコンよね。妹に耐性ないワケ?」

「いや、そんなこたァねェはずだ… でもかわいすぎて失神しかけちまう、昔からそうだった…」

「ハァ… ったく、JOKERのリーダーはベールを取るとこうなんだから… しっかりしなさいよね。男でしょ?」

 

エースがミアレガレットを食べるか?と聞くとリナも嬉しそうにしながら抱きついて悶絶、和やかな雰囲気で解散しようとしていた。だが、まだこの時は研究所での異変に気づいていなかった。

 

◆◆◆

 

「おいおい、これは一大事だぞ!リナ、今すぐハッキングして映像繋げるからパソコン貸せ…」

『う、うん…』

「サンキュ、助かる」

 

そして現在。この時には研究所から始まった異変はさすがにミアレシティ中に広がるほどの大事となり、車の中ではエースが険しい顔のままプリズムタワーの映像を映すため妹にパソコンを借りハッキングをスタート。エースがパソコンを打つ音しか聞こえず、妹のリナもその隣で見ていた。

 

「……ッ!繋がった!!!」

「もう繋がったの?相変わらず仕事早いわね」

 

それはあっという間に繋がり、サトシやガブリアスがいるプリズムタワーが映り… 兄妹はみるみるうちに血相を変えた。

 

「『サトシ!!!』」

「えっ何?アンタ達あの子と知り合いなの!?」

「あのプリズムタワーには下にシトロンとユリーカもいる… ガキ3人だけじゃ危ねェ!!」

『お兄ちゃん、私達も行こう!もう足手まといかもしれないけど…』

「ああ、もちろん… ノノカサン、この大渋滞だと車停めらんないのであんたは妹のボーマンダの背中に乗ってください!」

「わ、わかったわ」

 

ノノカは彼らがマサラタウンから来たサトシと知り合いだと知ると運転しながら驚いた。エースとリナもまた、サトシの元へ行こうとして話し合い、マネージャーのノノカへは妹・リナが持つドラゴンとひこうタイプの複合タイプポケモン、ボーマンダの背に乗れと指示。JOKERが全員行く事になったとわかり急遽同行する事になったノノカもエースの迫力に押されつつも頷き承諾した。

 

『でもどうやって車から出る?この渋滞じゃドアからは出れない…』

「ンなの簡単だろ?ノノカサンごと消して魔法でちょちょいのちょいだ」

『わかった… 一か八か、やってみよう!』

「ああ!」

『じゃあ出てきて、ボーマンダ!』

「ボーーッ!!」

 

話し合った末に魔法で2人の姿を消し、唯一魔法を使えないノノカの姿ごと消して扉を通り抜けた状態で脱出。車を置き去りにリナは白い翼を、エースは黒い翼をそれぞれ背中に生やし空を飛ぶ。肝心のノノカはエースに掴まりながら空中へ。そのあとリナが空中でボーマンダを出すと、エースがノノカをお姫様抱っこしながら運んでボーマンダの背中に乗せた。

 

「ンじゃボーマンダ、魔法を使って空を飛べるおれと妹が先導するからノノカサンを乗せてプリズムタワーへ向かってくれ!おれ達は3人全員トレーナーだ、サトシの力にはなれる!!」

「エース…」

『よろしくね、ボーマンダ!』

「ボーッ!」

 

ボーマンダも了解!と言いたげに頷きながら咆哮をあげ、改めてプリズムタワーへ出発した。

 

◆◆◆

 

「ガブリアス、落ち着いてくれ!」

「ケロォ!?」

「ピーカチュ!!」

 

戻ってプリズムタワーにいるサトシ。ガブリアスは相変わらず落ち着かないまま。ヨロヨロになりながらも説得しようとしていた。

 

「プリズムタワーに少年がいます!説得しようとしているのでしょうか!?」

 

上空には報道ヘリもいる。そこへ…

 

「お前らどけェ!!!!!おれ達は急いでんだ!!!」

『兄がすみません… お願いします、通してください!!』

 

背中に翼を生やして先導していたエースとリナがサトシに追いついてきた。

 

「……おっと!?ここで青年と少女が来ました!後ろにはボーマンダに乗った女性もいます!!青年と少女は背中に白い翼と黒い翼を生やしています!!!あれはいったい何なのでしょうか!?」

 

◆◆◆

 

「ガブリアスのトレーナーかしら…?それにあの2人ってJOKERじゃない… なんで2人とも背中に翼なんて生やしてるの…?」

 

ここはアサメタウン、まだ生中継を見ていて… セレナは少し呆然としている。……何かを思い出したようだ。

 

◆◆◆

 

「サトシ!!!!」

「エースさんと、リナさん…!?」

「ガブリアスを止めるんだろ?おれも力になるぜ」

『私もよ… サトシ、あなただけじゃ危ない!!』

「2人とも… ありがとうございます!」

「出てこいブースター!」

『ニンフィア、あなたもよ!』

「「スタ!/ フィア!」」

 

エースとリナはサトシに追いつきプリズムタワーへ着地すると子供1人だけじゃ危ない、と言い最初のポケモンのブースターとニンフィアを出す。ブースターもニンフィアもボールに戻されていたが、さすがに状況を把握していたのかやる気満々だ。

 

「ガブ!!!!」

「待ってくれ、ガブリアス!!!」

「『ガブリアス!!!』」

 

だが、ガブリアスはプリズムタワーのさらに上空へ飛んでいってしまった。サトシはキョロキョロするも、運良くハシゴを発見… ケロマツとピカチュウを肩に乗せてそこから追いかけていった。兄妹もそれを見届けるとボーマンダに乗ったノノカに接近してもらってブイズを抱っこさせる形で託し、再び魔法を使い背中に翼を生やしてサトシを追った。

 

◆◆◆

 

「サトシだ!!お兄ちゃん、サトシってポケモンの事になるとすごいね!!!」

「僕も行かなきゃ… エースさんとリナさんも、サトシのために力になってる!!!」

「あ、あたしも!」

下にいたシトロンとユリーカもサトシを見て感激していて、サトシの元へ行こうと決意。そしてさらにエースとリナも協力している事に気づいていた。エイパムアームを使ってガレキをどかし、ユリーカが渡れなくなるもそこは兄らしく手を引いて助けてあげると「ありがとう」と礼を言われ改めて向かった。

 

◆◆◆

 

「ハァ… ハァ… 来たぜ、ガブリアス!!」

「おれ達もいるぞ。」

『私だって!』

「ハァ… ハァ… サトシくん足はやすぎよ…!!」

 

ガブリアスがいたのはプリズムタワーの最上部、サトシとピカチュウとケロマツ、そしてエースとリナのほか、マネージャーのノノカもガブリアスの元へ追いついていた。

 

◆◆◆

 

「なんと、少年はプリズムタワーのてっぺんまで上がってきました!!そして少年と一緒にいる青年と少女は、JOKERのエースさんとリナさんです!!!」

 

リポーターも目ざとく報道していて、アサメタウンにいるセレナもそれを見ていた。

 

◆◆◆

 

「ガァブ!ガァーーーーーブ!!!」

「わあっ!?」

「『うおっ!?/ キャッ!!』」

 

再び戻りプリズムタワー。夜になってもまだ暴走しているガブリアスはひときわ大きなはかいこうせんを放ち、サトシ達と兄妹は慌ててかわす。その時にサトシとピカチュウとケロマツ、エースとリナとブイズとで二方向にわかれてしまった。

 

「「『う…!』」」

「ピィィカ…!!!」

「まて、ピカチュウ!!」

「ピカ!?」

「ガブリアスに攻撃しちゃダメだ!」

「ピーカァ!!」

 

なんとか全員這いつくばって戻ってくる。その直後、ピカチュウがほっぺに電撃を貯めて10まんボルトを放とうとしたのをサトシが止めた。サトシいわく攻撃するな、との事だ。

 

『サトシ…』

「サトシの言い分は分かる。今のガブリアスは暴走状態、ヘタに攻撃したらピカチュウがやられちまう」

 

リナもそれを少し悲しそうな、複雑そうな顔で見ているとエースも腕組みしながらサトシに同意するように頷く。

 

◆◆◆

 

「ハァ… ハァ…」

「お兄ちゃんしっかり!」

「もう足が… サトシは?」

「もうてっぺんまで行っちゃったよ!」

 

先ほどまでサトシがいた場所にようやくシトロンとユリーカも追いついてきて、足の遅いシトロンはヘロヘロになりながらもサトシはどこだ?と聞くとユリーカがもうてっぺんまで行ったと教えた。

 

◆◆◆

 

「ガーブ!!!」

「わあっ!?」

「『わっ!?/ キャッ!?』」

「「ピーカァ!?/ ケロッ!?」」

「「スタ!?/ フィア!?」」

「ガブリアス、聞こえてるか!?苦しいんだよな、辛いんだよな!」

「「ピーカ… / ……ケロ」」

 

プリズムタワー最上部でははかいこうせんをうまく避けつつ、サトシはガブリアスに説得。エースとリナもともに向かい合う。

 

「みんな心配してるぞ。さあ、リングを外してみんなの所に帰ろうぜ!」

「ガーーブ!!!!」

『うそ、効いてない!?』

「な、ガブリアス…」

 

サトシは一生懸命説得するもガブリアスにはまたまた効果ナシ。首元の輪っかが赤く光ったまま全員に吠えた。だがサトシは怯まず説得を続けた。

 

「……、そうだぞ、ガブリアス… お前のトレーナーはあのイケメン博士なんだろ?一緒に帰ろう。」

『イケメン博士じゃなくてプラターヌ博士でしょ?ガブリアス、博士も心配してるよ。みんなで帰ろう!』

 

サトシが勇敢に立ち向かう姿を見てエースとリナも続く。

 

「ガァーーーーーブ!!!!!!!」

 

ガブリアスはまだ苦しいのか吠え続けていて、その下にいるシトロンとユリーカ、1番下の入り口にいるプラターヌ博士達も… 全員が息を殺し、誰もがそれを見守っていた。

 

……すると、一瞬目つきが戻った。かと思えばガブリアスは後退していき、今にも下に落下しようとしている。

 

『ガブリアス〜〜〜〜〜〜!!!!!!』

 

リナは大粒の涙を流しながら大きな声でガブリアスを案じ、兄のエースが妹を抱きしめ支えている。

 

「ガブリアス!!!!!!」

「ケロッ!!」

「いいぞ、ケロマツ!!」

 

それはサトシ達も同じ。リナと同じように叫ぶとケロマツが飛びかかり、ケロムースを投げてサトシが褒めた。

 

「ピカチュウ、リングを壊すんだ!」

「ピカチュ!!」

「ブースター、お前も行け!!ピカチュウを援護するんだ!」

「スタァ!!」

 

次にサトシがピカチュウにリングを壊すよう指示すると、エースもブースターを援護に行かせた。

 

「ガブリアス、すぐにこいつを外してやるからな!」

「ガァーーーーーブ!!!!」

 

サトシもガブリアスの体に飛びかかりリングを外そうとするが、暴走は止まらずガブリアスが暴れてうまく外せない。

 

「ピカチュウ、リングにアイアンテール!」

「ブースターはかえんほうしゃで援護しろ!」

「チュウウウウアアッ、ピッカァ!!!」

「ブーーッ、スタアアアア!!!」

 

ピカチュウとブースターの2匹による連携技で、ガブリアスの首にはまっていたリングがついに破壊。目つきも完全に戻り、長い苦しみから解放された瞬間だった。

 

「ガ… ブ…」

「大丈夫か、ガブリアス!」

「ピカ!/ ケロ!」

「スタ!/ フィア!」

 

ガブリアスは疲労からグッタリと座り込んでしまい、サトシがガブリアスを案じる。着地したピカチュウとケロマツ、そしてリング破壊の援護に入ったブースターや待機していたニンフィアも全員が嬉しそうにした。

 

「苦しかっただろ?すぐ助けが来るからな!」

「ガーブ…」

「ピカ!?」

 

ここまで言ってサトシがガブリアスを安心させていると… 最上部の床が突如破壊。向かってこようとしていたピカチュウに異変が。

 

「ピーカァァァアアア〜〜〜!!!!」

「ふんっ!!!」

 

なんと、下に落下してしまったのだ。そしてサトシも恐れることなくピカチュウを助けるために自ら落下。

 

「「!?!?」」

『あっ!!!!!!』

「「スタァ!?!?/ フィッ…!?」」

「あの野郎ッ、何考えてんだ!!!!!」

「1人で落下なんて、ありえない!!!」

 

下にいるシトロンやユリーカだけでなく上に残っていたリナとエースやブイズ、マネージャーのノノカも見ていて… エースは眉間にシワを寄せて歯を食いしばりながら憤ったような表情を見せ、リナは手で顔を覆ってもうダメ…!というように泣いてしまっている。

 

「「ああっ!?」」

「……ッ!?」

 

そしてさらにその下にいたプラターヌ博士やアサメタウンにいたセレナもまた… その行動を見ていた。

 

◆◆◆

 

「ピカチュウ〜〜〜〜!!!!!!!」

「ピーカ…!」

 

「なんだ!?」

「あれは…!」

 

サトシは無事ピカチュウを救出。だがどんどん下が見えてきていて、ぶつかる…!!!!と誰もが思っただろう。そこへ流星群のような物が降ってきて、サトシとピカチュウを救出した。全員見守る中、サトシ達を助けたのは…

 

「お、お前は… あの時の…!」

 

ミアレシティの空港で見かけた、メガバシャーモだった。

 

「ありがとう!」

「バシャ!」

 

無事にプリズムタワーの下へと着地。サトシがメガバシャーモにお礼を言うと、颯爽と去っていった。

 

「よかった!」

「はぁぁああ〜〜…」

『サトシ… よかった…!』

「ったく… 無茶しやがって。世話の焼ける弟が増えた気分だな。」

「ケロ!」

「ガーブ!」

 

シトロンとユリーカ、兄妹が安心する中、ケロマツとガブリアスは仲良く笑いあった。

 

「サトシくん!2人とも、ケガは無いかい?」

「大丈夫です!ガブリアスも元に戻りましたよ」

「ありがとう。今、ジュンサーさんが迎えに行ってくれてる」

「博士… あのポケモン…」

 

そこへプラターヌ博士が走ってきてガブリアスの救出が済んだことを伝えると… 先ほどサトシを助けたポケモンは何かと聞いた。

 

◆◆◆

 

「よくやった、バシャーモ。」

「バシャ!」

 

月が輝くその屋根の上で、バシャーモのような仮面を被った男がバシャーモを称えると、メガシンカを解き元に戻りまた去っていった。

 

◆◆◆

 

「あ…」

「ピーカ…」

「さっきのはバシャーモのメガシンカ… 【メガバシャーモ】に違いない。」

「メガバシャーモ?」

「新たな報告例になるぞ!!」

「ありがとう!!!メガバシャーモ〜〜〜!!!」

「ピカピカ〜〜!!!」

 

さきほどのポケモンはやはりメガバシャーモで、バシャーモがメガシンカした姿だりサトシはそれを知ると、ピカチュウ共々お礼を言った。

 

◆◆◆

 

「あーよかった…!!」

「あれ… この子… もしかして…」

 

アサメタウンにいるセレナは今も中継を見てひと安心していた。そこに映ったサトシの姿を見て、完全に何かを思い出したような様子だった。

 

◆◆◆

 

次の日。ここはプラターヌ研究所の前。サトシはもちろん、シトロンやユリーカもいて… 博士に別れを告げようとしていた。研究所は前日の被害が大きく、ところどころ破壊された状態だった。

 

「みんな眠れたかな?こんな有り様で…」

「はい、もうすっかり!!」

「全然ぐっすりだったもんね!」

「お世話になりました!」

「一緒に泊まらせていたテンガロンハットが目印の男性… エースくんと、その妹のリナさんだったかな、キミ達より早く出ていったよ」

「そっかあ… ざんねーん。」

 

サトシ達はエースとリナ共々、プラターヌ博士の元で一晩泊まっていたようでユリーカいわく研究所が壊れていようとぐっすり眠れたようだ。そして兄妹はというとサトシ達より早く出発したらしく、ユリーカは残念がった。

 

「サトシくんはこれからが冒険の本番だね。」

「はい!」

「ときに、カロス地方のポケモン図鑑は持っているかな?」

「いえ。」

「それじゃあ、冒険の友として役立ててくれ!」

「ありがとうございます!それじゃ行くぞ、ピカチュウ!」

「ピカチュ!!」

「プラターヌ博士、研究頑張ってください!……どわっ!?」

 

ここでプラターヌ博士がポケモン図鑑の事を切り出すと、まだカロスへ来たばかりのサトシは当然持っていないと答え博士は冒険のお供に役立ててほしいと図鑑を手渡し、さっそく出発だと意気込み別れを告げたところで… ケロムースを投げられた。犯人はただ1人、先日のケロマツだ。

 

「ケロマツ!」

「ケロ!」

 

ケロマツはサトシにGETされる気なのだろう、モンスターボールを持ってやってきた。そのままボールを転がし、自らGETされたく鳴き声をあげる。

 

「一緒に行きたいんじゃないかな。」

「ケロマツの方からトレーナーを選ぶなんて!」

「気に入られたんだね、サトシ!」

「そうなのかな… ケロマツ、俺達と行くか?」

「ケロ!!」

 

プラターヌ博士もすぐにそれを汲み取り、シトロンやユリーカも感激した。サトシもようやくケロマツの汲み取り、そのまま勧誘するとケロマツは嬉しそうにボールの中へ。少し揺れるとポーン!!と音がしてケロマツをGETした事が確かに証明され、サトシが「これからもよろしくな!」と言うとかたり… とボールが2回揺れる。

 

「ピカチュウ、カロス地方最初の仲間だ!」

「ピカ!!」

「ケロマツ、GETだぜ!!」

「ピッピカチュウ!!」

 

サトシはカロス最初の仲間として、ケロマツをGET。改めて冒険の旅へと出発した。

 

◆◆◆

 

「あの研究所… 壊れてたけど快適だったな。」

『何も言わずに出てきちゃったね』

「ああ、でも大丈夫だろ、きっとまた会える」

 

兄妹はミアレシティ某所の木陰で朝ごはんを頬張りながらひと休みしていて、今日はアイドル業は無くoffだと伺える。2人の近くにはブースターとニンフィアも座っていた。

 

◆◆◆

 

「は〜い、あっさごはんよー!」

「サーイ」

 

アサメタウンでは、部屋着姿のセレナがサイホーンに朝食を与えていた。そしてポケモンフーズを頬張るサイホーンを撫でながらふと口を開く。

 

「ねえサイホーン、何だかね… おもしろい事が起こりそうなの!!」

(絶対あの時の… よし、決めた!!)

 

セレナが思い浮かべるのは… 幼少期に出会った男の子。マサラタウンのサトシだった。彼女もまた、旅に出て、トレーナーになる事を決意していた。

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