盃兄弟の長女は怪盗でした【アニポケXY / XY&Z】   作:小花

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投稿遅れました… ごめんなさい(汗)


ハクダンジム戦!華麗なるビビヨンの舞バトル!!

「ヤヤコマに起こされる事もないしサイホーンレースの朝練もない…!いいなぁ、こんな朝…♡♡」

「フォコフォコ」

 

あるポケモンセンターではセレナがパートナーとなったフォッコとともに朝食をとっていた。そこではいつものようにヤヤコマに起こされる事やサイホーンレースの朝練が無いという事に1人で喜んでいる。その横でフォッコはポケモンフーズを頬張る。そのとき、食べ終えて顔を上げたフォッコがよろけてセレナはクスリと笑う。

 

「おなかいっぱいになったの?」

「フォコ!」

「私も!」

「それじゃ…」

「フォコ?」

「ご馳走様でしたー!」

「フォコ!」

 

互いに満腹になるとセレナは帽子を被りカバンを取ると椅子から立つ。完食の挨拶をするとそのまま出発。

 

「行こう、フォッコ!」

「もうすぐハクダンシティ… いよいよ会えるわ、あの子に!!」

「フォッコ!」

 

セレナの目的はひとつ、ハクダンシティでサトシに会う事。決意を新たに出発した。

 

◆◆◆

 

シルクハットがよく似合うこの男、サボもまた出発していて… 地つなぎの洞穴や7番道路を経てコボクタウンの近くまで到達、ミアレシティまであと少しというところまで来た。だがエースやリナがいるのはハクダンシティ側、ここからだとまだまだ距離がある。

 

「ふう… ミアレシティはどこだ?」

「ブラッ」

 

サボはカロス地方の地図を片手に見渡す。どうやら道に迷っているようだ。

 

「おーいそこの金髪兄ちゃん、バトルしよう!」

「ばとる… ああ、バトルか!で、それはおれの事か?」

「そうそう!他に誰がいんの。」

「わかった、受けて立ってやろう。このブラッキーで!」

 

バックパッカーを背負い探検帽のようなベージュの帽子を被り顎ヒゲを生やした通りすがりの山男から勝負を仕掛けられ唐突に始まった1 VS 1のポケモンバトル。目と目が合ったら勝負、これはポケモントレーナーとしての基本。男はイシツブテを、サボは外にいたブラッキーを繰り出し向かい合う。

 

◆◆◆

 

デデンネをGETした次の日。一行はようやくハクダンシティへ到着。サトシは走ってハクダンシティのポケモンジムへまっしぐら。

 

「待ってろよ、ハクダンジム!1個目のバッジ、必ずGETだぜ!!」

「ピカチュウ!」

「サトシは元気だな。おれもようやくジム戦ができる…」

『お兄ちゃんも特訓したものね。今回は誰で行くの?』

 

そのすぐ後ろをエースとリナが続き、彼もまたポケモンジムをする事になり妹のリナが戦わせるポケモンを尋ねた。

 

「ん〜… おれはサトシのあとに戦うからそん時までナイショだ!」

『そっか。楽しみにしてるよ』

 

仲良く笑い合う兄妹、そのさらに後ろをユリーカやシトロンが走って続いている。……この中で1番足の遅いシトロンはまたもひいひい言いながら走っているが。

 

「ま、待ってくださ〜い!!……うわあっ!?」

 

そしてついに転んでしまった。

 

「シトロン早く!!」

「サトシ、ひ、1つ質問があるんですが… サトシはハクダンジムがどこにあるか知ってるんですか…?」

「もちろん知らないぜ!」

「「え?」」

「デネ?」

『道も知らないのにひた走ってたのか…』

 

じっとしていられないサトシはもちろんのこと急かす。こけたままのシトロンは顔だけを起こしてサトシに質問があると尋ね、それはハクダンシティがどこにあるのか知っているのか?というもので、サトシはもちろんジムへの道すら知らずユリーカやシトロンは唖然とし、見かねたリナも呆れた。

 

「走れば道は見えてくる!進めば必ず辿り着く!!それが俺達だ」

「ピカチュ」

 

サトシは噴水を指さしドドンと宣言、ちょうどいいタイミングで水も出てきた。ピカチュウと笑い合い何ともまあ【()える】という言葉が似合う。するとどこからかパシャッ!と音がしそんな彼らを撮ったのが分かり、サトシも気づいて振り向いた。

 

「ん?」

「ピーカ?」

「ステキな写真をありがとう!あなた達、なかなか良いコンビのようね!」

 

その者は女性で、女性は金髪がよく似合い、白いノースリーブを着て一眼レフを首に下げていた。

 

「はい!ピカチュウは俺の相棒です!!」

「ピーカチュ!」

「ふふ」

 

嬉しそうにピカチュウが自分の相棒(パートナー)だと話すとその女性は微笑んだ。

 

「あ、そうそう。ハクダンジムならこの先を右に曲がったところよ」

「ホントですか!?ありがとうございます!!ほら、道は見えたぜ!!行くぞピカチュウ!」

「ピカ!」

「え、あ、サトシ!!」

「待ってよ〜!」

「ハハハ、サトシは威勢良いなァ!」

「あ、ありがとうございました」

「うふふ、あ、あなたちょっと待って?」

『ふぇ?わ、私ですか?』

 

サトシにハクダンジムへの方角を教えるとサトシも一目散に駆け出していった。それをシトロンがお礼を言ってユリーカとエースとともに慌てて追いかけ、妹のリナだけはその女性に捕まる。

 

「ええ!私はビオラ!ここハクダンシティのジムリーダーなの♪」

『あ、あなたが…!!』

 

女性はリナを捕まえそのまま自己紹介。サトシ達を撮った女性は… ここハクダンシティのジムリーダー、ビオラだった。

 

「そんなかしこまらないで、ねえ、あなたの名前は?」

『ぁ… えと、エンジェル・D・リナ… です』

 

ジムリーダー相手に緊張してしまうリナ、おどけながらも名前を名乗った。

 

「リナちゃん?かわいい名前!私と友達になりましょ!」

『ぅえ!?い、いいんですか…?//』

「ええ、あなたならすごく仲良くなれそうな予感がするの。これから仲良くしましょ?このシャッターチャンスのように!!」

『はい!』

 

リナはビオラから女同士友達になろうと申し出られ、連絡先を交換して別れた。

 

◆◆◆

 

「とうとう来たぞ…!!」

「いよいよだな。……最初のジムバトル!!」

「僕の記憶が正しければ、ここのジムリーダーはむしポケモンの使い手のはずです」

「どんな人かな!?楽しみだね!」

「デネデネェ」

『ふふ、みんな頑張ってね。』

 

気合いに満ちたサトシ。その隣のエースも負けず劣らずの気合いに満ち溢れていて、リナは2人を応援しシトロンは2人に助言。ユリーカもどんな人だろうかと言うが先ほど会った女性・ビオラだという事はまだ知らない。

 

「こんにちは〜!俺とバトルしてください!!」

「エキ〜!」

「わあっ!?」

「エリリ♪」

 

サトシは元気よく自分とバトルしろ!と挨拶。すると勢いよく扉が開き中からポケモンが飛び出してきてサトシの顔に飛びついてくる。……来たのはエリキテル、これはビオラの姉・パンジーのポケモンだ。パンジーのエリキテルは「サトシ♪」というイントネーションで鳴きサトシもさすがに気づく。

 

「エリキテル!?」

「ピーカァ!?」

「いらっしゃい、サトシくん、ピカチュウ!」

「エリッ」

「元気そうね、2人とも!」

「パンジーさん!!来てたんですか!?」

 

その後やはりと言うべきかパンジー登場、エリキテルもパンジーの肩に戻りサトシもパンジーに気づいた。

 

「ええ!取材も終わったしサトシくんも来る頃かなぁと思って!……あら、新しいお友達?」

「はい!ミアレシティで知り合ったんです」

「はじめまして、ユリーカです!この子はデデンネ」

「デネデネ!」

「それからお兄ちゃんの…」

「シトロンです!どうぞよろしく。」

 

パンジーいわく取材を終えてサトシもハクダンシティへ来る頃だろうと踏んでポケモンジムへ訪れていたそう。そしてまずは彼の後ろにいたシトロンとユリーカへ矛先が向き2人の事をサトシが紹介、シトロンとユリーカも挨拶した。

 

「あらっ!?超人気アイドルのJOKERさんじゃない!!サトシくん、彼らと知り合いだったのね!」

「「えっ!?!?」」

「じょーかー?」

( (ずこーーーーっ!!!) )

 

さらにそのあと、今度は超人気アイドルユニット・JOKERとして活動するエースとリナにも矛先が向き… シトロンとユリーカはJOKERを知っていたのか兄妹全員驚く中サトシはただ1人知らなかったようで… キョトンとし、シトロンとユリーカがずっこけた。

 

「サトシ、知らないの!?JOKERって超人気のアイドルなんだよ!!あたしもお兄ちゃんもパパの影響でJOKERを好きになったの!!」

「まさかエースさんとリナさんがあのスーパーアイドルのJOKERだったなんて… 驚きましたね…」

 

ユリーカは兄のシトロンや父親共々JOKERのファンだった事が発覚。ずいっと詰め寄りサトシにそう言うと、シトロンも2人がJOKERだった事に驚く。

 

「パンジーサンですね、初めまして。おれはエース、JOKERのリーダーをしています。以後よろしく」

「そしてこの子はおれのパートナーのブースターです」

「スタ!」

『はじめまして、妹のリナです。よろしくお願いします!』

 

エースが最初に挨拶し、またも勝手に出ていたブースターも笑顔で「はじめまして!」とひと鳴き。次いでリナも挨拶した。

 

「知っていたんですね、ここのジムリーダーを」

「違う違う、パンジーさんはポケモンルポライターなんだよ」

「そう、ここは妹・ビオラのジムなの」

 

シトロンはここハクダンシティのジムリーダーなのかと勘違いしているようだがサトシの言う通りパンジーはジムリーダーではない。そのジムリーダーは妹のビオラだ。

 

「ビ… オラ?」

「私よ!」

「「「え?」」」

 

ユリーカがビオラの名を聞き返すと後ろから声がかかる。……彼女こそがビオラだ。

 

「さっきはどうも。」

「え、あなたがパンジーさんの妹!?」

「ピーカ…」

「あら、もう妹と会ってたんだ!」

「1枚撮らせてもらったの!姉さんから聞いてるわ。しばらく留守にしていてごめんなさい」

「いえ、楽しみにしてました!」

 

元いたパンジーと、後ろから来たビオラが向かい合う。茶髪のパンジーと金髪のビオラ、もっとよく見ると髪の雰囲気も若干似ている。ビオラはサトシと話すと姉のパンジーを通りすぎ、再びリナの元へ。

 

「また会ったわね、リナ!」

『ビオラさん…』

「知ってるんですか?」

『うん、さっき友達になろうって誘われたの』

「さんは硬いから、あなたの呼びやすいように呼んで♪」

『じゃあ… ビオラ、ちゃん?』

「うん!それでいいわ。あとでぜひ1枚どう?あなたの事もぜひ撮りたいわ」

『あ、ぜひ!ビオラちゃんと撮りたいです』

「ありがとう、楽しみね。じゃあみんな入って!」

 

ビオラはリナと友達になった記念から、1枚撮りたいと話す。さすが写真家だ。サトシ達もリナがビオラと知り合いだった事に驚き説明を受け、ジムの中に入った。

 

◆◆◆

 

ジムに入ると、壁にはポケモンの写真が貼られていた。アゲハントにミツハニー、モルフォンやイルミーゼなどさまざま。

 

「へ〜、これ全部ビオラさんが撮ったんですか?」

「ええ!ここにあるのは作品のほんの一部だけど…」

『すごいですね… むしポケモンがかわいく見えちゃう』

「そう?よかった!リナ、どの子もかわいくて綺麗でしょ?」

 

この壁中の写真達は全てビオラが撮ったものだ。そして飾ってあるのもほんの一部だと言う。むしポケモンはもちろん虫が嫌いなリナもその華々しく綺麗な写真を見て素直にかわいいと思ったのかそう言うと、ビオラも嬉しそうにリナに近寄る。

 

「妹は優秀なむしポケモンカメラマンでね、ときどき私の取材も手伝ってもらってるのよ」

「取材も手伝ってるだなんてすごいっスね。」

 

ビオラは優秀なむしポケモンカメラマンだそうで、さらには姉・パンジーの取材も手伝っているとか。これには妹とともに写真を見ていたエースも感心する。

 

「良い写真ですね!被写体への愛情が溢れていますよ」

「ほんと!むしポケモン大好きって感じだね!」

「デネ!」

 

シトロンもユリーカもサトシや兄妹の近くで同じように写真を見ていて、ユリーカは何やら嬉しそうにビオラの元へ。……これは兄のシトロンにとっては非常にイヤな予感なものだ。

 

「決めた!!ビオラさんキープ!お願い、お兄ちゃんをシルブプレ♪」

「は…?」

 

そのまま手を差し伸べ跪き… 【シルブプレ】をした。突然の事にビオラも冷や汗をタラ〜〜… と流し唖然としている。

 

『しる… ぶぷれ…』

「(仏語→シルブプレ…) ユリーカでいう私のお兄ちゃんをどうぞよろしく!ってこった」

『フランス語もお兄ちゃんと勉強したから意味は分かるけど… なんで急に…?』

「さあな。」

 

リナも初めて見る光景に呆然として、見かねたエースも流暢な発音でその意味を話し、兄妹はヒソヒソと会話しあう。

 

「しるぶ、ぷれ…」

「ユリーカ!!それはやめろって言ってるだろ!?」

「だって、お兄ちゃん1人じゃ頼りないんだもん。お嫁さんがいれば安心なんだもーん♪」

「お嫁さん…?」

 

シトロンもさすがにこの時には赤面しながらユリーカを止める。が、すぐ反抗される始末。ユリーカいわく兄のシトロンは頼りなさすぎて【お嫁さんがいれば安心できる】との事。ビオラはそれを聞くと顔を赤くする。

 

「あーーーもーーーッ、恥ずかしいいい!!!エイパムアーム起動!!」

「うわあっ!?」

「小さな親切、大きなお世話だ!!!」

「ビオラさん、考えといてねー!」

 

この時にはシトロンはさらに顔を赤くして怒りなからエイパムアームを起動し引きずりながら回収(笑)した。笑顔で手を振りながら消えていき、パンジーも苦笑いしながら「ユニークな妹さんね…」とつぶやく。

 

「それじゃあまずはサトシくん、始めましょうか!!」

「はい!!」

「ピッカ!」

 

始める、それはバトルの始まりを意味するもの。サトシは気合い満々で頷いた。

 

◆◆◆

 

「いきなり会ったらきっと驚くわね!私を見てどんな顔するかな… 楽しみだな〜!」

 

同時刻。セレナもハクダンシティへ辿り着いていて、嬉しそうな足取りで階段を下りていたところだ。考えるのはただひとつ、あの時にあった男の子・サトシだ。サトシに会うため、ハクダンシティのポケモンジムをめざす。

 

◆◆◆

 

「これより、チャレンジャー・サトシ VS ジムリーダー・ビオラのハクダンジム、ジム戦を始めます。使用ポケモンは2体、どちらかのポケモン全てが戦闘不能になった時点でバトル終了となります。ポケモンの交代はチャレンジャーのみ、認められます」

 

そしていよいよ始まるサトシのジム戦。サトシもビオラも、堂々としながら向かい合う中審判の声が高らかに響いた。

 

「シャッターチャンスを狙うように、勝利を狙う!!いくわよ、アメタマ!」

「アッ」

「アメタマか…」

《アメタマ、アメンボポケモン。水面を滑るように歩く。頭の先から甘い匂いを出して獲物を誘う》

 

ビオラは初手としてアメタマを繰り出し、アメタマはスイスイと地面を横歩き。サトシはアメタマに図鑑をかかげた。

 

「カロス地方最初のジム戦!まずはお前からだ、ピカチュウ!!」

「ピッカァ!!!」

 

対するサトシの初手はピカチュウ、ピカチュウもほっぺに電撃を溜めやる気いっぱいだ。むし・みずタイプのアメタマに対して技を出した際に効果が出る。

 

「サトシはピカチュウだ!

「むし・みずタイプのアメタマにでんきタイプは断然有効だからね!」

『アメタマかわいい〜♡』

「お?お前アメタマは平気なのか」

『だってかわいいじゃんアメタマ… ずっと見ていたい…♡♡』

「ほぉん?お前かわいいし、いずれアメタマ連れ歩いたら似合いそうだな」

 

同じようにシトロンも解説する中、リナは虫嫌いなはずだがアメタマには見とれてエースがニヤニヤして妹を見る。

 

「それでは、始め!」

「ピカチュウ、先制のでんこうせっか!」

「ピッカチュ〜〜、ピッピッピッ!」

「アメタマ、まもる!」

「アッ!!」

「ピッ… カァ!ピカ〜〜!!」

 

バトルスタートの合図がかかり先制はサトシが手にする。先制技としてでんこうせっかを繰り出すもアメタマはまもるを繰り出しガード。そのまま吹っ飛ばされてしまう。

 

「回りこんでアイアンテールだ!!」

「ピィ〜〜カァ〜〜チュ〜〜!!!」

「かわすのよ!」

 

だが吹っ飛ばされてきたタイミングでサトシがアイアンテールを指示、ピカチュウも走ってアイアンテールをするがビオラはかわすよう指示。

 

「チュウウウウアアッ、ピッカァ!!!」

「アッ!」

「ピッ…」

「アッ!アッ!」

「ピーカ!?」

 

指示通り発動するがもちろんかわされる。アメタマは再び横にスイスイと走り回ってかわした。ピカチュウは驚きキョロキョロする。

 

「惑わされるな、エレキボールで動きを止めろ!!」

「ッチュウ!」

「ピーカァ〜… チュッピィ!!」

 

サトシはエレキボールで動きを止めるように指示。そのまま高く飛び上がりエレキボールでを発動させた。だが…

 

「アメタマ、れいとうビーム!」

「アァ!!」

 

アメタマによって発動されたれいとうビームによって空中に土煙が舞った。

 

「「『あっ!?』」」

「ジムリーダーなだけあって強ェな… ビオラサンよォ」

「妹は手強い。簡単には勝てないわよ…?」

「エキ…」

 

シトロンやユリーカ、兄妹と見ていたパンジーは挑発的な目つきをしていた。エースもビオラの実力を見てギリリと歯ぎしりする。

 

「こっからが本番よ!!フィールドにれいとうビーム!」

「アァ!」

「ピカ!?ピッ、ピッピッピッ… カ!?」

 

ビオラはアメタマにれいとうビームを指示、フィールドがどんどん凍りついていきピカチュウもかわすのがやっとな状態だ。

 

「『あっ!?』」

「うわーーっ、フィールドが凍っちゃったよ!!」

「ネネェ!」

「へえ、やるな… フィールドをうまく使ってやがる」

 

サトシやユリーカ達はこの状況を見て驚き、兄妹も呆然と凍りついたフィールドを見た。

 

「ピカチュ… ピカチュ…!ピィ!ピィ、カ!」

 

ピカチュウは足がツルツルと滑ってしまい、立っていられなそうだった。それでも必死に立とうとしている。……が、ついには転けてしまった。

 

「立て、ピカチュウ!!」

「氷のスタジオの完成ね!滑るのよ、アメタマ!!」

「アッ!」

「しっかりしろ!アイアンテールだ!!」

「ピカ!」

 

ビオラの指示でアメタマはスイスイと滑り出していき、それはフィールドが凍りつく前よりもっと早い。ピカチュウもフラフラしながらサトシの所へ戻されるもアイアンテールを指示され、しっぽに力を込める。

 

「チュウウウウアアッ、ピッカァ!」

「アァ!」

「アメタマ、そのままれいとうビーム!」

「アッ!」

「ピカチュウ、10まんボルト!」

「ピカァ〜〜、ヂュウウウウ!!!!」

 

アイアンテールを出してそれを受け流し、戻ってきたアメタマはクルクル回りながられいとうビームを発射。サトシもすぐに10まんボルトを指示してれいとうビームと10まんボルトがぶつかり合う。だが、れいとうビームの方が10まんボルトの威力を上回りピカチュウは吹っ飛ばされてしまう。

 

「ピカチュウ!!」

「今よ!フォーカス合わせてシグナルビーム!!」

「アァ!!」

「ピカチュウ!!!」

「「「『ああっ!?!?』」」」

 

ビオラはサトシ側に生まれた隙を逃さず、倒れて体勢を戻せない状態のピカチュウにシグナルビームを直撃させてみせて2匹のまわりに土煙があがる。もちろんそれを観客席にいたシトロンやユリーカ、エースやリナも見ていて4人全員驚き目を丸くする。

 

「ピッ… カ…」

「ピカチュウ戦闘不能、アメタマの勝ち!」

「ピカチュウ、大丈夫か!?しっかりしろ!」

「……ピカピカチュ…」

「よく頑張ったな、ありがとう。」

 

次に姿が見えた時には再び吹っ飛ばされてピカチュウは目を回す。ジャッジが下るとサトシはピカチュウの元へ駆け寄りピカチュウは笑顔で弱々しく鳴き声を出すとたたえて階段へ寝かせる。

 

「しっかりは育てられてるけど、まだまだ私のアメタマには勝てないわね!」

「勝ってみせますよ、こいつで!!頼むぞヤヤコマ!」

「ヤッコォ!」

「へえ、サトシの2番手はヤヤコマか。」

「そっか!空から攻撃できるヤヤコマなら氷のフィールドもへっちゃらね!!」

「おまけにひこうタイプはアメタマに相性抜群だから!」

 

サトシは2番手としてヤヤコマを出す。シトロン達やエース達も元気よく飛び上がるヤヤコマを見て応援しようとした時… 突然バトルコートのドアが開いた。来たのは… セレナだ。

 

(いた… サトシだ!!)

「……あなたは?」

「ぁ… ちょっと見学したいんですけどいいですか?」

「ええ、大歓迎よ。どうぞ」

「バトル中なのでこちらで」

「今いいとこなの〜!」

「ありがとうございます!」

 

セレナは目を輝かせながら堂々とするサトシの後ろ姿にを見て駆け寄ろうとした所にパンジーが声をかける。今はバトル中、当然と言ったら当然だ。見かねたセレナも申し訳なさそうに断りを入れて観客席へ駆け寄る。

 

「えっ… あなた達って…!!!」

「ふふ、初めまして。おれ達の事より今はこっちだろ?」

『あなたも一緒に見ましょう!』

 

セレナももちろん超人気アイドルのJOKERとして活躍する2人に気づいて驚くが… 兄のエースが微笑みながらもバトルコートを指さして制し妹のリナもエースの隣で同じようにニコッと微笑んできた。

 

「ヤヤコマ、つつく攻撃だ!」

「ヤッコォ〜、ヤッコ!」

「かわして!」

 

さて戻ってバトルコート、サトシはヤヤコマにつつくように指示、ヤヤコマも空中で回転しながらつつきに向かうがアメタマに滑ってかわされ失敗。

 

「れいとうビーム!」

「アァ!」

「避けろ!!」

 

れいとうビームが放たれ、ヤヤコマは飛んでかわす。

 

 

「すごい!」

「いいぞ〜、ヤヤコマ〜!!」

 

「アメタマ、ねばねばネット!」

「かげぶんしんだ!」

「ヤッコ!ヤッコ!ヤッコ!」

「アッ!アッ!アッ!」

 

次いで蜘蛛の巣のようなねばねばネットが放たれ、ヤヤコマはかげぶんしんを使い無数の分身を出す事でそれをどんどんかわす。

 

「うまく避けました!」

「今だよ!攻撃攻撃攻撃〜!!」

 

「ヤヤコマ、かまいたちだァ!!!」

「ヤッコォ!!!」

 

続いて今度は翼を使って風を起こす技、かまいたちを使いアメタマもさすがにかわせず2匹のまわりに土煙が舞った。

 

「あっ!?」

「アッ… アァ〜…」

「アメタマ戦闘不能、ヤヤコマの勝ち!」

「よっしゃあ!!」

「ヤッコォ〜、ヤッコヤッコ〜!」

 

ここでようやくビオラのポケモンも1体戦闘不能状態となり、サトシもガッツポーズして驚き空中にいるヤヤコマも飛んで喜んだ。

 

「「「『やったあ!!』」」」

『やったよお兄ちゃん!』

「今の見たよね!?かっこよかったよね!?」

「うん!すごかった!!」

「残るポケモンはお互い1体ずつ、サトシの勝利も見えてきましたよ!」

 

観戦していた一同も同じように喜び、ユリーカはセレナにハイタッチをしリナは兄のエースに飛びついた。

 

「アメタマ、ご苦労さま。ゆっくり休んでちょうだい」

「もう一体を倒して、ジムバッジ必ずGETしてみせます!!」

「そう簡単にバッジは渡さない。ジムリーダーのプライドに賭けて!!頼むわよ、ビビヨン!!」

「ヨォォォォォォオオン!!!」

 

ビオラが2体目として繰り出したのは、りんぷんポケモンのビビヨンだ。

 

「あのポケモンは…!?」

《ビビヨン、りんぷんポケモン。水源を探し出す能力に優れ、ビビヨンのあとをついていけば、湧水に辿り着けると言われている》

 

サトシは当然知らず、ビオラの前でフワフワと宙に浮いているビビヨンに図鑑をかざす。ヤヤコマとビビヨン。これにより、空中を浮いたり飛んだりできるポケモン同士の戦いが幕を開ける事になる。

 

「ヤヤコマ、つつく攻撃だ!」

「ヤッコッコ!ヤーーッココココココ!!!」

 

再びヤヤコマにつつくよう指示、ヤヤコマは回転しながら飛び上がる。

 

「ひこうタイプの技はビビヨンに効果抜群です!」

 

◆◆◆

 

「ビビヨン、サイコキネシス!」

「ビィィィイイ!!!!」

「ヤッコ!ヤッコ…!」

「な… なに!?」

 

ビビヨンはビオラの指示で、なんとサイコキネシスを出した。それを見て、サトシも驚きを隠せていない。

 

「せっかく氷のスタジオを作ったんだからあなたも使って!!」

「ヤッ!ヤッコォ〜〜!!!」

「ヤヤコマ!!!」

「「「『あっ!?』」」」

「……」

 

ヤヤコマもサイコキネシスで振り回され、そのまま凍りついたフィールドに叩き落とされた。見ていたシトロンとユリーカ、セレナ、リナはこの展開に驚きが隠せず、エースも心配そうにヤヤコマを見る。

 

「大丈夫か、ヤヤコマ!もう一度飛べるか!?」

「ヤ… ヤッコ…!」

「よし!」

「かぜおこし!!」

 

サトシはヤヤコマにもう一度飛べるか?と確認を取りヤヤコマも苦しそうにしつつも何とか立ち上がりもう一度パタパタと翼をはためかせた。……だが、間髪入れずにかぜおこしが炸裂した。

 

「ヨォォォォン!!!」

「ヤッコォ〜〜〜!!!!ヤッ… コ…!!」

「なに!?」

「えっ!?」

「さっきのねばねばネットに!?」

「そんな…!!」

『ヤヤコマッ…』

「……厄介な技をくらっちまったな。サトシ… これを巻き返すにはきちーぞ…」

 

ヤヤコマはかぜおこしによって吹っ飛ばされ、天井にへばりついた【ねばねばネット】にくっついてしまった。これにはサトシも、そしてセレナ達やリナも驚いた。エースもこれを打開するには厄介だと1人解説する。

 

「頑張れヤヤコマ、抜け出すんだ!!」

「ヤッ… ヤッコ!!」

 

エースの推測通りこれはなかなか抜け出せず、さらに羽がくっついているためにヤヤコマは大苦戦。……だがこの状況をビオラが見逃すはずがない。

 

「最高のシャッターチャンスよ!!ビビヨン、ソーラービーム!」

「ビッ!!ヨォォォォン!!!!」

「ヤッコ!ヤッコォ〜!!」

「ヤヤコマ!!!」

「「『あっ!?』」」

(巻き返せなかったか…)

 

なんとビオラのビビヨンはむしタイプなはずだがくさタイプの技【ソーラービーム】を覚えていて、ソーラービームは天井についたねばねばネットから抜け出そうとするも大苦戦しているヤヤコマに直撃。もちろんかわせるはずがなく… 吹っ飛ばされ、落ちてきた時には目を回して戦闘不能となっていた。

 

「ヤッコォ〜〜…」

「ヤヤコマ戦闘不能、ビビヨンの勝ち!よって勝者・ジムリーダービオラ!!」

 

サトシがカロス地方に来て初となるジム戦はビオラの勝ち。初戦にして黒星となってしまった。

 

「ありがとう、ビビヨン。」

「ヤヤコマ!……大丈夫か?」

「ヤココ…」

「「『サトシ!』」」

「デネネ!」

 

サトシはヤヤコマを抱き上げ、ヤヤコマの容態を聞くもバトルで負ったダメージが蓄積されており傷だらけだった。その後すぐにシトロンとユリーカ、そして盃兄妹が来て… ピカチュウはシトロンが抱き抱えていたが同じようにバトルで負ったダメージが蓄積され傷だらけだった。

 

「すぐにダメージの回復をしないと… ポケモンセンターに急ぎましょう」

「「ヤッ… ココ… / ピィ… カ…」」

「……ッ…」

 

傷だらけのピカチュウとヤヤコマを見てサトシは両目を揺らし歯を食いしばって悔しそうにしながら「俺の負けです」と自身の負けを認め、そのまま言葉を続けた。

 

「でも、もっと強くなってきますから!もう一度挑戦させてください!!」

「楽しみにしているわ!いつでもいらっしゃい」

 

サトシはもっと強くなると、もう一度挑戦させてほしいと話すとビオラも挑発的にサトシを見て頷いた。

 

「行こう!」

「……あ… あ…」

 

バトルコートをあとにし、一行はひとまずポケモンセンターに急いだ。セレナもサトシに話しかけたそうにしていたが今はそれどころではなく、ただ呆然とその背を見送った。

 

「……あれ…?」

 

……が、バトルコートに何やら忘れ物。それはサトシのカバンだ。

 

◆◆◆

 

「すいません!お願いします!!」

「プリリィン」

「大丈夫、すぐによくなりますよ!」

 

ポケモンセンターに着くとサトシは血相を変え心配そうに2匹を回復してもらうためジョーイさんとプクリンに預け、ジョーイさんも「すぐに良くなる」と言うがサトシはまだ心配そうだった。

 

◆◆◆

 

「来る時に撮ったって言ってた写真ね。」

「ええ、良い写真でしょ?」

「そうね。サトシくんとピカチュウの強い絆がよく表現されているわ!」

「エリィ」

 

ここはハクダンジムのエントランス。サトシに勝ったビオラが姉のパンジーとともにそのサトシとピカチュウが笑いあっている写真を見ていた。

 

「絆は強いけど、ポケモンバトルは今ひとつだったかな…」

「あら、油断は禁物!今度対戦する時はたぶんあなたもびっくりするわよ!」

「え?」

「サトシくんはそういう子よ!じゃ、ちょっと出かけてくるわね」

「エリリィ」

「ね… 姉さん…?」

 

ビオラは【絆は強かったもののバトルに関しては今ひとつ】と評価。だがサトシをよく知るパンジーは次はこうはいかないだろうとし、そのまま出かけてくると告げて去っていった。

 

◆◆◆

 

ところ変わってポケモンセンターのテラス。そこではユリーカがデデンネにポケモンフーズを食べさせていて、サトシは1人で離れた場所にて座り込んでいた。兄妹もシトロンやユリーカの近くに座っていて、エースの足元にはサトシのジム戦中は邪魔にならないよう強制的にボールへと戻されていたが、再び勝手に出てきたブースターがちょこんと丸まりながら座っていた。

 

「さ、食べて!」

「ふふっ、デデンネったらホントにかわいい!!」

「よっぽど空いてたんですね。」

 

ユリーカの兄であるシトロンはデデンネにメロメロな妹の話に乗っかりつつ、1人で座り込み… 落ち込んでいるサトシを心配する。

 

(完全にやられたな… 強いよ、ビオラさんは…)

 

サトシの頭の中はあのジム戦の事でいっぱいになり、拳を握って下を向いた… ところにセレナがカバンを持って追いついてきて、彼女もまたサトシを心配そうに見ていた。

 

(ピカチュウもヤヤコマも思うように動けなかった。あれじゃ何度バトルしても勝てっこない…!どうすればいいんだ…!!)

 

『サトシ…』

「初めてのジム戦だって言ってたからな… あんな負け方しちゃあ悔しいだろうよ」

「サトシ… 大丈夫でしょうか…」

「なァに、今は悔しいだろうがあいつは必ず元気になるさ。」

「スタァ!」

「エースさん…」

 

エースの妹・リナもまた同じようにサトシを心配していて、1人で座り込み悔しそうにするサトシを見ていた。シトロンもついには耐えきれなくなり大丈夫かとポツリと漏らしたところに複雑そうにしていたエースもニッと歯を見せて笑いながらそう答える。ブースターも「サトシは絶対に勝てるよ!」と笑顔で、大きな声で鳴き声をあげた。

 

「……あの…」

「ッ!」

 

そこにおずおずとセレナが声をかけ、サトシもびっくりして考えが止まると同時に見知らぬ女の子・セレナを見た。

 

「これ、あなたのでしょう?」

「え?あ、ああ… 忘れてた。ありがとう!」

「あっ!さっきのお姉ちゃん!!」

 

サトシもここでようやくカバンを忘れていた事に気づいてキョロキョロしながらそれを受け取り、ユリーカとシトロン、リナとエースとブースターも走ってくる。

 

「‘‘ さっきの ’’ ?」

「見学してたんです、サトシのバトルを」

「あたしはユリーカ!こっちはお兄ちゃんの…」

「シトロンです!そして彼らは…」

「あっ知ってる!あなた達、JOKERさんですよね?あの超人気アイドルの!!」

「ええ、その通り。おれはアイドルユニット・JOKERのリーダーをしています、ポートガス・D・エースです」

『私は妹のエンジェル・D・リナです!兄と同じくJOKERのメンバーです』

「こっちはおれのパートナーのブースターです」

「スタ!」

「それで、この子がデデンネ!」

「ネネェ!」

「よろしくね!」

 

サトシとシトロンとユリーカ、エースとリナ、そしてセレナは輪になって固まりながら自己紹介をかわす。

 

「そうなんだ!ごめん、バトルに集中してて気がつかなかったよ」

「ううん、大丈夫」

「俺、サトシ!」

「うん、知ってる!私はセレナ!ねえ、私のこt__」

 

セレナは続いて本来の目的だったサトシと向かい合い、「自分を覚えているか?」と問いかけたかったようだが… ここで回復が終わった事を知らせるアナウンスが流れた。

 

「「「「『あ…』」」」」

「回復が終わったらしい。行こうぜ」

 

◆◆◆

 

「お待ちどおさま!お預かりしたピカチュウとヤヤコマはすっかり元気になりましたよ!」

「「ピカァ!/ ヤッコォ!」」

「あははっ」

「ありがとうございます、ジョーイさん!」

「どういたしまして!」

「プリリィン!」

 

ポケモンセンターへ行くと2匹はすっかり元気になっていて、ほぼ同時にサトシに飛びついていった。

 

「ピカチュウ、ヤヤコマ、セレナだ。俺達のバトル、見ててくれたんだって」

「ピカピカ!」

「ヤッコ!」

「はじめまして、よろしくね!」

 

サトシはピカチュウとヤヤコマにセレナを紹介するとともに自分達のバトルを見ていてくれたと説明、2匹は元気よく挨拶をかわしセレナも挨拶した。

 

「それにしてもジョーイさん、4番道路のポケモンセンターからいつの間に私を抜かしていったんですか?」

「え?」

「その4番道路のジョーイさんは…」

「ええ!たぶんそこにいたのは私のいとこのジョーイね!」

 

セレナが泊まっていたのは4番道路のポケモンセンターだったと発覚。ハクダンシティのジョーイさんにどうして抜かしたのだと問いかけると、なんと4番道路のジョーイさんとはいとこ同士だったそうだ。

 

「いとこ!?」

「やっぱり!!」

「『……ハハ / ふふふっ』」

「スタァ!」

「これが、ジョーイカロス地方研修会の集合写真よ!」

 

セレナは驚くが、サトシは知っていた様子。そしてもちろんこの兄妹も見抜いていたようで2人とも笑っていて、エースに抱かれながらくっついていたブースターも笑顔だ。そのままカロス地方での研修だとの事でたくさんのジョーイさんの集合写真を見せてもらった。

 

「このカロス地方でもそうなんだ…!」

「何かすごい…!」

『ジョーイさんがいっぱい…』

 

「あ、そうだ!私のポケモンも見てください!」

「フォコフォコ!」

「あ、見た事ないポケモンだ…」

 

するとここでセレナがポケモンを出し、ボールから出てきたのはキツネポケモンのフォッコだ。サトシにとっては当然見た事がないものの、マフォクシーのトレーナーであるエースにとっては懐かしいポケモンである。

 

《フォッコ、キツネポケモン。小枝を食べると元気になって、摂氏200度を超える熱気を吹き出す。》

 

サトシは図鑑をかざしてユリーカも興味津々でフォッコの鼻をつつくと、そのまま図鑑の解説通り炎のくしゃみをした。

 

「フォッコか… 懐かしいもんだな」

「エースも持ってたの!?」

「ああ。今はマフォクシーになってる」

「マフォクシー?」

「フォッコの最終進化系ですよ。フォッコもマフォクシーもほのおタイプですが、マフォクシーになるとエスパータイプとの複合タイプに変わるんです」

 

エースはセレナのフォッコを見て懐かしそうに笑うと、ユリーカが反応したのを聞いてサトシが首をかしげ、シトロンがそんなサトシに対し説明した。

 

「へえ、ほのおタイプのポケモンか!」

「かわいい〜〜♡♡」

「プラターヌ博士にもらったんだ!」

「プラターヌ博士か!?」

「フォッコはプラターヌ博士から与えられる最初のポケモンの一体、ずばりセレナは新人トレーナーですね?」

「ええ!旅に出たばかりなの!」

『新人さんかぁ… まだ夢はこれからだね。』

「フォッコはお預かりします。健康チェックが終わるまでしばらくお待ちくださいね」

「プクプクッ」

「よろしくお願いします」

 

「サトシくん!」

「「「「「『!!』」」」」」

 

セレナもフォッコを預けたところで後ろからサトシを呼ぶ声が聞こえて、一同もそれに気づいて振り返る。呼んできた主は先ほどハクダンジムにてビオラと一緒にいたパンジーだ。

 

「パンジーさん!」

「ピカチュウもヤヤコマも元気になったみたいね!じゃあ早速やるんでしょ?特訓!」

「もちろんですよ!手伝ってもらえますか?」

「ピカピカチュ!」

 

こうしてリベンジ戦に向けての特訓が決まり、サトシ達はバトルコートに移動した。

 

◆◆◆

 

バトルコートに来るとサトシを除いた5人が見守る中、ピカチュウ、そしてヤヤコマは風船をつけて2匹揃った状態でコートに立った。

 

「かぜおこしならこの子も使えるわ!オンバーン、出てらっしゃい!」

「バオンバオーン!」

『オンバーンかっこいい!!』

 

パンジーはオンバーンを出し、これでかぜおこし対策のための特訓をするようだ。オンバーンは早速飛び上がっていき、サトシ達は身構えた。

 

「かぜおこしを突破しなきゃビオラさんのビビヨンには勝てない… これでバランスをとるんだ!やるぞ、ピカチュウ、ヤヤコマ!」

「「ピカチュ!/ ヤッコ!」」

「お願いします、パンジーさん!」

 

ピカチュウはピンクの風船、ヤヤコマはオレンジの風船をそれぞれ紐で括りつけてあった。サトシもかぜおこしを突破しなければ勝てないとして、2匹に鼓舞を入れ… 合図をかけて特訓が幕を開けた。

 

「いくわよ!オンバーン、かぜおこし!」

「バオォーン!!」

「ピカッ…!?/ ヤッコ…!?」

「踏ん張れピカチュウ、耐えろヤヤコマ!」

 

ピカチュウだけでなくヤヤコマも必死にこの暴風に踏ん張ったり耐えたりしているが… 最終的には2匹同時に吹っ飛ばされてしまった。

 

「「「「『あっ!?』」」」」

「ピカチュウ!ヤヤコマ!」

「大丈夫か?」

「ピカ… / ヤコ…」

「何度だって受け止めてやる。だから安心してトレーニングしような!」

「ヤッコ!」

「ピカピカ」

「パンジーさん、もう一度お願いします!」

「手加減はしないわよ!オンバーン、かぜおこし!」

 

(このかぜおこしを攻略しないと…!!)

 

ピカチュウもヤヤコマも何度も踏ん張りそして吹っ飛ばされる。……が、そのたびサトシが受け止めたがサトシもどう攻略すべきか、どうすれば勝てるのかなどで頭がいっぱいだった。

 

「その調子です!」

「がんばってー!」

「ネネネェ!」

「『……』」

 

側ではシトロンもユリーカも応援していて、兄妹も心配そうにサトシを見た。

 

◆◆◆

 

「「ピーカ…!/ ヤッコ…!」」

「ううっ… ぐ…!!」

「「『あっ!?』」」

「サトシ!!」

 

次に吹っ飛ばされた時はサトシも再び受け止めたが、その拍子に傷を負った。ミアレ兄妹も盃兄妹も心配したが、誰よりも心配したのはセレナだ。

 

(アメタマのれいとうビーム… ねばねばネット… 他に課題は沢山ある… こんなんで勝てんのか!?)

「ヤココ…」

「ピカピカ…」

 

実際かぜおこしだけではなく、れいとうビームにねばねばネット。攻略しなければならない課題は山ほどあり、サトシもいっぱいいっぱいだった。側ではピカチュウとヤヤコマが心配そうな顔で主を見ている。

 

◆◆◆

 

「サトシ。」

「!!」

「よかったらこれ使って。」

「ああ、サンキュ。」

 

そこにセレナが来てハンカチを渡し、受け取ると…

 

 

「あのさ… 覚えてる?私の事…」

 

 

そう、聞いた。

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