魔法少女の敵に転生してしまった   作:但野ミラクル

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名付けは混沌の極みなり

 

 コンコンと控え目なノックが部屋に響く。多分、冷泉さんか新田さんだろう。

「ガアガア(どうぞ)」

 まあ、別に急に入られても文句は言えないのだが魔法少女の皆はプライバシーには配慮してくれている。……監視カメラがある時点でプライバシーは消失している気もするがそこは気にしたら負けだ。

「……あなたの名前が決まったわ」

 おお、ようやくか。狼のインベーダーを倒してから1ヶ月ぐらいは経ってようやくである。なんか色々騒動があったらしく、俺も結構インベーダー退治に駆り出された。大変だったなあ、なんて考えていると冷泉さんが深呼吸をしているのが見えた。冷泉さんも緊張することがあるんだな。

 数秒が経ち冷泉さんが口を開いた。

「あなたの名前は――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えー、それではインベーダーの名前を決めたいと思います」

 魔法少女養成学校東京支部の会議室で少女が集まっていた。議題は冷泉のペット……ゲフンゲフン、冷泉の従魔生物インベーダーの名前を決めるためである。

 本来は冷泉が決めるべきなのだが、本当にセンスがない冷泉に私が会議で決めることを提案した。流石にインベーダーにシロと名付けるのはどうかと思うのだ。人前で、最悪テレビの前で名前を出す場合もあるのに、シロなんてちょっと安直過ぎる名前はまずかった。こちらが我が校で従えているインベーダーのシロです、って紹介したらお茶の間がひっくり返るわ。犬の名前か?と突っ込まれることは間違いない。

 なお、議長というか司会は言い出しっぺの私、新田美玲である。

「それではインベーダーの名前で提案があればどんどんあげてくれ、シロとかクロ以外でな」

「……」

「えー、議長」

「何だ、菊川」

「……適当でよくない?名前なんて記号じゃん」

「早くも飽きてきたか?」

「……いやだって別にシロでもいいじゃん?わかりやすいし」

「……一応メディアに名前を出すかもしれない、その時にシロとか格好がつかない」

「もー、真面目だなあ」

「一応候補を出して、冷泉には決めてもらうことになっているから、今日は候補出してくれ、頼む」

「……わかったよ」

 菊川も納得してくれたようなので話を進めていくことにする。とはいったものの――

「固そうだしディアマンテでいいのでは?」

「やっぱりかわいいしクオリプスは?」

「でかいし、ギガントとかジャイアントがいいと思うかな」

「……ウルボロス、ゴルゴーン、ラハム」

「やっぱりここは強そうだし、ヘラクレスだろ」

 色々と意見は出るが、冷泉は難しい顔をしたまま表情を変えようとしないところを見ると納得していないのだろう。

 うーん。どうしたものか?

「うーん、やっぱりさ強そうだし、いい候補も多いけどさ、もっと特徴を捉えた名前でもいいかもね。例えばアイギスとか」

 菊川の言葉に冷泉は少し表情を変えた。おっ、気に入ったか?悪くはない、か。

 それにしてもアイギスか。アイギスは盾の名前だ。元々はギリシア神話に登場する防具。主神ゼウスのものとも、ゼウスが娘の女神アテーナーに与えたとも言われる防具だ。ありとあらゆる邪悪・災厄を払う魔除けの能力を持つとされている。まあ、色々諸説はあるがな。

 ともかく悪くない名前だ。だが、私も考えてきた候補はある。

「そうだな。名前は特徴を捉えたものの方がいいかもな。そうだな。例えばデュランダルとかな」

 不滅の刃を意味するデュランダル。悪くはないだろう。自画自賛になるから言わないが。

 あっ、冷泉が百面相みたいな表情になってきた。ここらで一旦は切り上げるか。

「まあ、こんなところか、皆様、本日はこれで切り上げということでどうですか」

 皆から大体賛成されたので、今回はこれでお開きである。さて、どれが選ばれるだろうか。

 

 

 

 

 

「あなたの名前は――」

 聞き耳を立てて菊川と私はインベーダーの部屋の扉の前に立っていた。どっちだ、どっちになる?

「あなたの名前はアイギス、アイギスよ」

「ガアガア!」

 菊川の名前が採用されたか。少し悔しい。後インベーダー、いやアイギスの喜びようがすごいな。声だけでテンションが上がっていることが丸わかりだ。

「あー、私のやつか。まあ、どれでも変わらないけどね」

 嘘つけ、めちゃくちゃ喜んでいるじゃないか。お前表情を隠しているつもりでも意外と隠せてないぞ?まあ、境遇があんなだし、そういう詰めの甘さは直せなかったのかもしれない。というか私が異常なのかもしれないがな。

 

 




ストックが尽きました。今回からしばらく休みます。番外編や続きをぼちぼち書いていくので、気楽にお待ちください。
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