「アイギスはやっぱり強いですね」
「そりゃあそうだよ」
魔法少女養成学校のモニター室で私、冷泉と名草先生は魔法少女トーナメントを観戦していた。現場でトーナメントを見られるのは限られた面子のみ、大体はモニター越しに見せられるのだ。
「アイギス君はさ、普通に考えたら弱いわけないんだ。身長が2メートル超え、体重200キロ超えだよ? 猿型のインベーダーが何発も攻撃を受けても生きてたのが不思議なぐらいだ。まあ、色々いじられていたことが分かったからまだ納得できるけどね」
そう、名草先生のいう通りアイギスはデカイ。身長が高めな私でもアイギスがちょっとかがんでくれないと目を合わせられないぐらいには大きい。そして普通に考えて大きな生き物は強い。ましてや、インベーダーは人間と同じサイズでも何倍、いや何十倍もの力を持つ。強化されている魔法少女ですら二倍程度の力の差があるのだ。おまけに腕も足も丸太ぐらいの太さはある。確か腕の周径40センチ、足は周径70センチぐらいだったかな?
おまけに顔も目と口以外は皮膚が一部固くなり兜のようになっており頭部への攻撃はダメージが通りづらい。
本来肉弾戦で勝てる訳がないのだ。
なのに魔法少女トーナメントは割と近いところから試合が始まる。普通に考えて魔法少女が勝てる要素がなかった。……普通の魔法少女ならの話だが。
「とはいえ次の相手は魔法少女の中でも最強クラス。勝てるかどうかは賭けになるね」
第3回戦のアイギスの相手、京上無頼。長い金髪を靡かせ、鋭い眼でアイギスを睨む彼女は正直に言って少々怖い。今は変身しているため戦闘用のドレスを着ているため怖さも若干薄れているが、もし特攻服でも着ていたらヤンキーにしか見えないだろう。ちなみに彼女の身長は180センチであり、魔法少女の中では一、二を争うほどに大きい。
そんな特徴が多い彼女だが一番有名な特徴は肉弾戦の強さだ。近接戦闘だけなら最強格の魔法少女と言われており、遠距離攻撃ではほぼ倒せない耐久力を持つアイギスを倒す魔法少女としては最適解といえる。
「こっちも色々小細工はしているけどどこまで通じるかわからない。ここが正念場かな、アイギスの最大の弱点は解消された訳だしいけるとは思うけどね」
「……そうですね」
アイギスは魔法少女に対しとても攻撃が弱くなる、いや加減してしまうという弱点がある。そう、考えてみるといくらなんでもインベーダーと戦うときと魔法少女と戦うときのダメージがおかしかったのだ。インベーダーの耐久性と攻撃力は魔法少女よりも上なことは多い。故に魔法少女にぼこぼこにされるアイギスがインベーダーに勝てるはずは本来ないのだ。名草先生はそれに気づくと、私と美玲に相談し、弱点解決に動き出した。方法は簡単である。アイギスをとんでもなくぼこぼこにして魔法少女を本気で攻撃しても大丈夫だと意識させたのだ。無論、本当は本気で攻撃されたら魔法少女でも大怪我必須だが、怪我をしないトレーニングルームがあるのでなんとかなった。まあ、それですら日本の中で一番レベルが高い魔法少女が集まる東京の中でもトップクラスの魔法少女にしか相手はできなかったものだから苦労した。
……勝ってね、アイギス。私はそう祈るしかできなかった。
魔法少女とアイギスがインベーダーと戦っているのって、分かりやすく言うと、熊を退治するときに虎が猟師と協力しているようなものなんですよね。
数とか道具ある前提でようやく戦える敵に、単独で倒せる存在が主人公。
一応ごく稀に魔法少女なのに単体でインベーダーを倒せる人たちもいるんですけど、その人たちは例外中の例外なので普通主人公に勝てる魔法少女は存在しません。(搦め手なら可能性はある)