「それでは第3回戦開始!」
「……」
俺は試合開始の合図を聞きながら無言で睨んでくる京上さんを見つめる。
彼女は左手を肘と拳を平行にだらりと下げるフリッカースタイルでこちらの様子を伺っている。つまり、ボクシングで来るつもりか。しかし彼女は美玲さんによると――
そんな事を考えていると、腹の辺りに蹴りが飛んできた。そして、続けざまに響く三連撃。
……フリッカースタイルはただのはったりか。美玲さんによると彼女は武術を多用しない、いや特定の武術を専門としないらしい。
要するに俺と似ているタイプだ。まあ、俺はそうしたのではなく、そうなるしかなかったから正確には違うが。
そう、俺は特定の武術を持たない。だから――
「っ!」
俺は無頼さんに抱きついて、首へと噛みついた。絶対に逃がさない。
無頼さんは拘束を解こうと、パンチと蹴りを繰り返すが、ゼロ距離なため、耐えられないほどじゃない。痛いが美玲さんの自爆攻撃よりはましである。いやまじで訓練で自爆は止めてほしかった。訓練の範疇を超えてるよ。
……まあ、それはいいか。
俺は膝蹴りを何発かした後に右フックで顎を揺らして勝った。。……まじで痛かったなあ。
今までで一番攻撃を喰らったと思う。
……さて次が最後か。どうなるかね。
「魔法少女の中で最強とは誰か? 本来強さのジャンルによってその定義は変わり議論は荒れる。しかし、彼女が最強だと言っても誰も異論を挟めない。彼女が最強っ!! 平等院天音!!」
割とノリノリな実況とともに平等院天音さんが入場してきた。無頼さんとは違いマッチョとは言えない細身の体、腰まで伸びた艶やかな黒髪、にこやかな笑顔を浮かべた女性が目の前にいた。……にこやかな顔なのにプレッシャーは無頼さんと同等もしくはそれ以上といったところか。
……やるしかない。俺は死ぬわけにはいかないんだ。
そう覚悟を決めていると、ドタドタとした足音が聞こえてきた。
「大変です。今東京に大量のインベーダーが出現いたしました!」
え?
突然現れたおそらく魔法少女トーナメントの運営をしている役員であろう人が発した言葉に俺は困惑していた。え?このタイミングで?
「なので、魔法少女トーナメントは一旦中止です。今ここにいる魔法少女にも出動要請が出ています。ご協力をお願いいたします」
……まじか?とりあえず、東京に向かおう。
「え? ちょっと待ってね、もう一度言ってもらえる? うん、超大型インベーダーは岩井戸ちゃんの隕石落としで倒して、その他のインベーダーは魔法少女トーナメントに参加していた参加者が一体五秒ペースで倒して死傷者数もこの規模のインベーダーが出現したことを考えれば極めて少ないと。それで……えっとアイギス君と菊川ちゃんが黒い箱みたいなものに包まれて箱ごと消えちゃって行方不明? え? まじで?」