「おおー、これが噂のインベーダーかあ!」
いきなり謎のツインテールの少女に部屋に入られてガア!?と驚いていたらやたらテンションの高い言葉が返ってきた。
「ガアガア(誰!?)」
「おっといきなりで驚かせちゃったかな? 私は菊川奏! よろしくね?」
……なんでこの子こんなに親しげなのだろうか?一応先日に認められたとはいえ、種族的には敵対しているのに。普通なら嫌悪感とかありそうだよね?こんなにフレンドリーに来るものなのか?
……まあ、返事ぐらいはしておこう。
「ガアガア(よろしく)」
「おおー、返事をできるのは本当なんだね!」
彼女は興味深そうに俺の顔を覗く。
「美優ちゃんに話は聞いていたけど本当に頭いいんだね。下手すると私より頭良さそう!」
「ガアガア(冷泉さんに?)」
「……おっ、美優ちゃんって言葉に反応したっぽい? 本当にインベーダなのかわからなくなるね」
……インベーダがどんな生物かわからない以上どう反応したらいいのかわからない。やっぱり情報が欲しい所だな。魔法少女についても魔法と能力、インベーダとやらの情報がないと考察も難しい。
「まあともかくよろしくね、インベーダー君」
そう言うと彼女はにっこりと笑い、手を伸ばして俺の目の前で止めた。……あ、これ握手か。
「ガアガア(よろしく)」
俺がその手を握ると彼女は驚きつつも面白そうな表情を浮かべた。
なんかこの子を見ていると、昔いた妹を思い出す。いつも一緒で遊んでて、お兄ちゃんが守ってやるって言ってたなあ。……懐かしい思い出だ。
「……すごいなあ」
「ガアガア(え?)」
「君に興味が出てきたよ! ねえねえもっと話をしても――」
「奏? いるわね?」
「あ、うん。美優ちゃんいるよ!」
ドアの向こうからくぐもった冷泉さんの声が聞こえた。
「……奏、せめて入るなら許可を取って欲しかったわ。あなたがこの子の部屋に入ったって聞いてびっくりしたんだから」
「えへへ、ごめん。次はちゃんと報告するよ」
「頼むわよ、本当に」
俺の部屋に入った冷泉さんは呆れながらも優しい表情で菊川さんを見た。……仲がいいんだな。
「……まあともかく奏はこの子を傷つけないとは思うけど、会うときはできれば私に話してからにしてね」
「……美優ちゃんは過保護だなぁ」
「そんなことはないわ」
「……別に美優ちゃんの好きにしたらいいけどさ、そんなに大事なら怖がらなくていいじゃないの?」
「っ!」
え?怖がる?冷泉さんが俺を?
「あれは偶然だったって自分でもわかっているんでしょ?」
「それは……」
「……私は本当に責めたい訳でもない。というか誰も責めてない。あれは本当にただの事故。でも美優ちゃん自身が自分を責めている。まるで自分のせいで全てが決まると思い込んでいる神様みたいにさ」
「……」
「美優ちゃん、もうちょっとぐらいはさ、自分を許してあげなよ、幸いさ」
菊川さんが俺の顔をちらりと見た。
「こんなにあなたのことを思っているインベーダがいるんだから。過去の後悔をやり直せる機会なんてそうそうないんだからね」
「……奏、うん。わかってはいるの。だから条件が揃えばするつもり」
「……そっか! ならよし! 条件ってどんなものなの?」
「……この子が最低限戦えるようになったら……かな」
冷泉さんが俺をちらりと見る。
あー、俺か。まあ、実戦とかはそろそろするつもりらしいって美鈴さんには言われているから、本当に最低限の力はあるんだろうけどなあ。
冷泉さんが安心するには、まだまだ足りないということなのだろうな。
……頑張ろう、戦闘訓練。