「……まず、結論を述べるならば、インベーダー君の能力は不明だったよ」
「ええ……」
「ガアガア(結構色々したんですけどねえ)」
血液も取られたし、レントゲンとかも取られたのに不明かあ。
「し、しょうがないじゃん。異例なことばかり起きたんだよ!?」
「異例?」
名草さんが若干困惑するように言うと、冷泉さんは首を傾げた。
「そう、検査キットで調べたけど反応がほぼなし。他の怪物なら反応したところもこの子は反応しないんだよね」
「つまり、この子には能力がない、ということですか」
そ、そんなあ。それじゃああんまり戦えないんじゃないか?
「ちっちっち、そんなことはない」
名草先生は指を揺らして言った。
「確かに反応はほぼなかったけど、全くないわけではないんだ。つまり能力が成熟途中か、何か特殊な能力である可能性がある」
「なるほど」
「で、能力は不明だから、少しでも判断材料がほしいってことになってね」
ん?何か嫌な予感が……。前にもこんなことあったな?
「私の作った兵器と戦闘訓練だ!さあ、レッツゴー!」
……ええ、今からですか?
「こんにちは。インベーダー、私は東京インベーダー管理課の最高責任者、堂本だ」
訓練室に着くと何故か見知らぬ男の人がいたので内心首を傾げていると自己紹介をしてくれた。よく分からないが何かすごい責任者であることは分かる。
「名草君、私も実験に立ち会わせてもらうよ」
「……分かりました。インベーダー君今から戦ってもらうのは、私が作った怪物兵器アルコーン、一応強いから注意してね」
「ガアガア(あれ、モンスターですよね?)」
俺の目の前には絵に描いたような四足歩行のモンスターがいた。多分インベーダーとかってああいうのだろうな。あれと俺は同類扱いなのね。ちょっとショック。
「……頑張ってね、それクローンで作られた兵器だけど結構強いよ。割りと倫理的にアウトかつ、制御が難しいから戦力として運用はされてないけどね。あ、後今回は能力を探るために訓練中は傷を治さないからそのつもりで」
「ガアガア(ヤバくないんですか、それ!?)」
「さあ、交戦してくれたまえ!」
気軽に言ってくれるなあ。
目の前のクローン兵器とやらは当にモンスターの見た目をしていた。
体は毛むくじゃらでもさもさしていて、巨大な牙と爪を生やした三メートルはある巨大な獣。え?まじでこれと戦うの?
「ガアガア!」
「キシャア!」
巨大な獣は見た目に反して素早くこちらへと向かってくる。とはいえ、俺よりは遅いから避けられる。攻撃の直後に攻撃を仕掛けよう。
「キシャア!」
ひらりと獣の突進を避けると、獣に大きな隙ができた。よし、今だ!
俺は獣に肘を当て、ガッという音が部屋に響く。
「キシャア!」
流石にこれだけじゃ倒れないよな。だが、ヒットアンドアウェイを繰り返せば、勝てない相手では……?あれ?獣がちょっとずつだけど縮んでいく?
「さあて、ここからだよ?インベーダーくん、そいつは攻撃を受ければ受けるほど小さくそしてその代わりに強くなっていくからね。流石に目に見えない程度にはならないけど、大きめの犬ぐらいのサイズには縮んでいくから注意してね」
……それ、早く言ってください!
「キシャア!」
「ガアガア!」
……おいおい、めちゃくちゃ強いじゃないか。
獣はこちらが攻撃しても全く怯まず、牙では首を、爪では腕と足を狙ってくる。
これで結構強いレベルか、うん。能力とやらがないとこの先生き残る上ではまずいかもな。……でも能力とやらの使い方が分からない。困った。
「キシャア!」
そんなことを考えながらも獣からの攻撃を捌いていく。突破口が見えない。というか、こいつ結構固い。お互いに耐久性が高いせいで決定的な攻め手がない感じだ。
「キシャア」
ん?獣が一旦下がった?何を考えて……おいおい、体をめちゃくちゃ低くそして縮こませているが、何をする気、がはっ。
「ガアッ!?」
「ちょっと名草先生、あれはなんですか?」
「んー。困ったねえ。見たことない反応だ」
「え? それまずくありませんか?」
「……激まずいね、すぐに中止を」
「待て、止めるな。このままやらせろ」
「堂本最高責任者!?何を」
「私の権限にて中止はさせない」
「ッ!」
まずいな。中止もされないらしい。なんて考えていたのがまずかった。
俺は気がつけば強い衝撃と共に壁へと吹き飛ばされていた。
ずきずきとした痛みが背中に響く。体にダメージが残っている。まずい。
おそらく、俺を壁までぶっ飛ばした攻撃の正体は突進だろう。ただし、筋肉を縮ませて一気に溜めたエネルギーを解き放った突進。推測だがおそらく間違ってはいまい。何せ、動きは一応見えた。ただ、それが避けきれなかった、というか残像になって見えていた。速すぎだろ。
そしてまた、獣は体をめちゃくちゃ低くしている。まずい。
ドゴン!と音を立てて再び俺の体に衝撃が走る。
まずい、体が動かない。そんな俺の状態がわかったのか獣は笑みを浮かべた。まるでいたぶろうとでも言いたげだ。まずい。
ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!至近距離で五連続はずるいだろう。そんなこともできるなら結構強いの域を越えている。まじでヤバい。
そして更にヤバいことに痛すぎて痛みが分からなくなってきた。
何回も攻撃を受けて俺の体はボロボロだ。うまく立ち上がれない。ヤバい。意識が――
ドクン!落ちそうになった瞬間強い鼓動が体の中で響き渡る。まるで脈動するかのように、何かが噛み合い動き始めたかのように体が音を放っている。それと同時に体が黒く染まっていくのが見えた。指先が段々と細い糸が描かれていくように少しずつしかし、着実に染まっていく。いける。体を動かせる、そしてあの獣を倒せる。何故か俺はそう思った。
そして次の瞬間俺の体は獣の頭を粉砕していた。
おそらく、心臓を意識することが能力の解放のコツだったのだろう。
獣を倒し、俺がぶっ倒れた後に色々試した。その結果、心臓を意識すると体が黒く染まっていくようだ。
すごい発見である。何故か名草さんは呆然としていたが何かあったのだろうか。