「えー、色々ありまして、インベーダー君の処刑の日時が決まりました」
「……え?」
「ガアガア(なんで?)」
突如された死刑宣告に俺と冷泉さんは呆然としていた。
え?最近まで特訓に勤しんでたのにいきなり死刑宣告されるの?こんなこと普通ある?
「え? 冗談ではなく?」
「何か上がインベーダー君を殺すべきだって騒いでてさ、今すぐ実績をあげないと処刑だって。多分元々インベーダーと戦っている内かその前に殺す大義名分でも作る気だったんだろうけど、インベーダー君があまりにも人間に損のない行動しかしないからしびれを切らしちゃったみたいだね。まあ、インベーダー君って異質すぎてある種の人からすると目障りだったんでしょ」
「そんな勝手過ぎます」
無茶いうなよ、としかいいようがない。
そもそも実績っていっても怪物が出ないとどうしようもない。だって実績って怪物退治だもん。そもそも俺はまだ強くない、どうしろと。
「えー、単騎でインベーダーを倒したら処刑を延期してもいいってさ、……ふざけすぎでしょ」
「……そんなに上はこの子を殺したいんですか?」
冷泉さんは俺をちらりと見てから名草さんを睨んだ。……冷泉さん、名草さんは多分悪くないんで睨まないであげてください。
睨まれた名草さんはあっけらかんとした調子で言った。
「上がまじで殺したいみたいでさ。一週間後までに単独で強めのインベーダーを一体でも倒さないと、死刑にされるよ」
短い!まじで殺す気じゃねえか!?
「そんな訳でインベーダー対策を行おうと思う」
「え?」
名草さんの言葉に冷泉さんから戸惑いの声が出た。
あ、協力してくれるんだ?上層部が俺を殺そうとしているからてっきり協力できないものかと。
「何をきょとんとしているのさ、二人とも。だってこんな貴重なモル……サンプルを殺すなんてもったいないでしょ」
わあ!発想がマッドサイエンティストかな?……まあ、そういうことか。どの要素が貴重なのかよくわからないけど、名草さんが貴重というなら貴重なんでしょう、多分。
という訳で訓練所に来ました。今回は実験と実戦をかねて美玲さんが来てくれた。
「さて今回試すのは、インベーダー自身の能力の練習、冷泉の能力の練習、そして、新しい技の習得の3つでよかったな?」
「ガアガア!(はい!)」
「……地獄を見ると思うが、頑張れ」
美玲さんはとてもかわいそうなものを見るように俺の方を向いた。
まず行われたのは能力を鍛えることである。
まあ、一番の強みであるのだから鍛えない道理はない。心臓に意識を宿すと黒くなるあれである。
名草さん曰く訳がわからないほどの燃費の良さであり、デメリットがほぼなしで普通なら勝てないインベーダーを満身創痍から楽々と倒せるほどの出力は本来あり得ないそうだ。よっぽど能力の性能が良くないとこんなことは起こらないらしい。この強化だが、一時間ぐらいは維持できた。それ以上は結構きついものがある。一応クールタイムを挟めばその後も使えるようだ。能力の名前は黒魔強化となった。名付け親は名草さんである。まあ、わかりやすいし気に入っている。
二つ目の冷泉さんの能力だが、これは凄まじいリスクとリターンがあった。冷泉さんは契約しているインベーダーに魔力を送ることでインベーダーの強化を行えるのだが、三分使っただけで俺が疲労困憊になった。負担がでかすぎる。その割には冷泉さんは平然としているので、冷泉さんがすごいのか俺が弱いのかは不明である。
一応俺と冷泉さんは念話みたいなものができるので(合図を送るような簡単なものやなんとなく感情が伝わる)使いたいときにはすぐ使える。この能力は普段、ジェスチャーで大体伝わるので全然用途がないのだが、こういうときは便利なものだと思う。
三つ目は新田さんの訓練である。色々試行錯誤してくれたみたいで、結構殺意が高めの技を教えてくれた。インベーダー相手に使えるかどうかは不明である。
……まあ、地獄のような特訓だったのは言うまでもない。