ありふれたフロンティアへ   作:友(ユウ)

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第21話 告白と別離。雫の『選択』。

 

 

 

突如現れたファントモンにより殺されてしまった魔人族の女。

 

「………………………」

 

その亡骸を一瞥した後、ヴォルフモンはその亡骸に背を向けた。

ヴォルフモンは歩き出し、途中でレーベモンも並ぶ。

そのまま勇者パーティーの方へ歩きながらデジコードに包まれ、輝二と輝一の姿へと戻った。

歩いてくる2人に、唖然として見ている光輝達。

輝二はそのまま雫の前に歩み寄ると、

 

「無事か?」

 

そう問いかけた。

 

「え、ええ………香織のお陰で怪我はもうすっかり……」

 

「そうか、良かった」

 

雫の答えにホッとした様に微笑む輝二。

 

「ッ……!?」

 

その微笑みに、雫は一瞬ドキッとした。

すると、

 

「香織! 改めて言うが無事だったんだな! 絶対に生きてると信じてたよ!」

 

光輝が香織に喜びの表情を浮かべながら語り掛けた。

 

「光輝君…………久しぶりだね」

 

香織はやや表情を曇らせながらそれに答える。

すると、

 

「香織、ユエ、シア。ご苦労様。それとティオも、ミュウを護ってくれて感謝するよ」

 

ハジメが皆に労いの言葉を掛けた。

 

「ううん。この程度どうってことは無いよ!」

 

「ん………」

 

「ですぅ!」

 

3人はそう言い、

 

「何、この程度些細な事じゃ」

 

「なの!」

 

ティオとミュウも何でもない様にそう言った。

 

「南雲………!」

 

横から言葉を遮られた光輝が、忌々しそうにハジメを睨んだ。

その時、元の姿に戻った拓也、優花、幸利も合流する。

 

「よっ! 久しぶりだな皆!」

 

拓也が気軽に声を掛けた。

 

「神原君………あなたも無事で安心したわ」

 

雫が純粋に拓也の無事を喜ぶ。

 

「ッ………待つんだ雫」

 

光輝が雫を呼び止めた。

 

「クラスメイトが無事だった事が嬉しいのは分かる。だが、彼らには聞かなければいけない事があるんじゃないか?」

 

光輝は責める様な口調で拓也達を見た。

 

「何だよ光輝?」

 

拓也が聞き返すと、

 

「そんなのさっきの得体の知れない姿の事に決まっている! 輝二や木村、清水もだ! なぜあんな姿に変身できる!?」

 

「ちょっと光輝! 輝二や神原君達は私達を助けてくれたのよ! そんな責める様な言い方しなくてもいいじゃない!」

 

「雫は黙っててくれ! 俺は『勇者』として皆を護る義務がある! 不確定要素を軽々しく見逃すわけには行かない!」

 

光輝の言い方に雫が異論を唱えるが、光輝は耳を貸さない。

 

「それに俺達が倒せなかった魔物をあんなに簡単に倒せたこともおかしい! もしかしたら、魔人族と通じてる可能性だって…………」

 

「天之河君………君ってバカ?」

 

光輝の言い分にハジメが呆れた声を漏らした。

 

「何ッ!?」

 

「拓也達が魔人族と通じてるなら、何で態々君達を助けたのさ? 状況から見れば、あのまま放っておけば間違いなく全滅してた。確実に始末できた状況を覆してまで、君達を助けるメリットなんてある?」

 

「だ、だが、それ以外にあんな魔物のような姿になるなんて………!」

 

「さっき香織が言ってたでしょ? 前に拓也達が話してた物語は本当にあった事で、拓也は再びその時の力を手に入れたんだ」

 

「あ、あんな現実離れした話が実際にあった事なんて信じられない!」

 

「現在進行形で現実離れした状況に巻き込まれてる僕達に言われても、全く説得力無いんだけど………」

 

「だ、だが………」

 

「止せ光輝」

 

メルドが前に出てきた。

そして、

 

「坊主……いや、南雲 ハジメ。それにお前達も…………助けてくれて感謝する」

 

メルドはそう言って頭を下げた。

 

「メルドさんっ!?」

 

いきなり頭を下げたメルドに、光輝は驚愕の声を漏らす。

 

「何故いきなり頭を!?」

 

「理由は如何あれ、俺達は彼らに救われたのだ。感謝の意を示すのは当然の事だ」

 

「そ、それは………」

 

「それから、あの時は助けてやれずすまなかった。それと………生きていて何よりだ………」

 

メルドは謝罪と安堵の感情をハジメ達に伝える。

 

「いえ、こっちこそ間に合って良かったです」

 

ハジメはそう言って微笑む。

 

「ですが、ここまだ迷宮内です。一先ず脱出しましょう。僕達が護衛します」

 

「重ね重ね感謝する」

 

メルドはもう一度頭を下げた。

 

 

 

帰り道は順調の一言だった。

敵が単体、もしくは数体で出てきた時はハジメが即撃ち殺し、群れで現れた場合はユエの魔法で一掃していた。

ほぼノンストップで大迷宮から脱出すると、

 

「さてと、これでとりあえず依頼は達成かな」

 

ハジメはそこで一息吐こうとし、

 

「南雲! さっきの話はまだ終わっていないぞ!」

 

光輝の言葉に深いため息となって息を吐く。

 

「一体何?」

 

「だから彼らの力の秘密だ! 何故あんな力を持っている!?」

 

光輝がそう言うと、

 

「あれは、かつてデジタルワールドを救った十闘士の力を受け継ぐ『スピリット』を身に纏って『進化』した姿だ」

 

拓也がそう言う。

 

「スピリット……? 身に纏う………? つまり、その力はお前達自身の力ではなく、道具を使って得た借り物の力という事か?」

 

「あ~………まあ、厳密に言えばそう言う事になるんだろうな」

 

スピリットを道具呼ばわりされた事に拓也はカチンと来たが、何とか気持ちを抑える。

 

「ならばそのスピリットとやらを渡すんだ! それがあれば力を得られるんだろう?」

 

そう言いながら光輝は手を差し出す。

 

「何でだよ?」

 

拓也はゲンナリした表情で聞き返す。

 

「俺は『勇者』だ! 俺には皆を護る使命がある! その為の力は俺が持っていた方が良い筈だ!」

 

光輝の言い分にほとほと呆れる拓也達。

 

「あ~、そう言っているが、お前達はどう思う?」

 

拓也はデジヴァイスを取り出して、その画面に語り掛ける様にそう言うと、その画面に十闘士のヒューマン形態の顔が順番に現れ、首を横に振った。

 

「残念だが、誰もお前に力は貸したくないってよ」

 

「こちらも同じだ」

 

いつの間にか輝二もデジヴァイスを取り出してそう言っていた。

 

「な、何を言ってるんだ!?」

 

「スピリットたちは、昔はともかく、今はそれぞれ自分の意志を持ってるんだ。力を貸すかどうかはスピリットの意思次第。優花や幸利は、その魂をスピリットに認められて力を与えられたんだ」

 

拓也がそう言うと、

 

「そ、そんな筈があるか!」

 

光輝はプルプルと震えると、その手を伸ばして強引に拓也の手からデジヴァイスを奪い取った。

 

「あっ!」

 

「俺は見ていたぞ。輝二や木村はこれを使って変身していた! これが変身する為に必要なアイテムなんだろう?」

 

光輝は意気揚々とそう言うと、

 

「さあ俺に力を! 俺と共に世界を救うんだ!」

 

デジヴァイスを掲げながらそう叫んだ。

だが、

 

「「「「「「「「「「……………………………」」」」」」」」」」

 

いくら待っても何も起きない。

 

「ど、どうして………!?」

 

「言った筈だ。今のスピリット達は自分の意志を持ってる。スピリット達に認められなきゃ力を貸してくれるはず無いだろう」

 

拓也はそう言うと右手を前に出し、

 

「スピリット!」

 

そう叫ぶと光輝の手からデジヴァイスが離れ、自分から飛んでいって拓也の手に収まる。

 

「な?」

 

拓也が確認する様にそう聞くと、

 

「な、何でだ……俺は勇者なんだ……! どうして勇者である俺を認めない………!?」

 

光輝が拳を握りしめ、身体を震わせる。

 

「単なる泥棒をスピリットが認める筈ないだろう」

 

そんな光輝に輝二が言い放った。

 

「何だと!? 誰が泥棒だ!」

 

光輝は怒りを露にして叫んだ。

だが、

 

「そうだろう? そのデジヴァイスは拓也の物だ。拓也の物を強引に奪い取ったお前が泥棒でなくて何だというんだ?」

 

「ち、違っ………これは勇者である俺の方がふさわしいと思って………」

 

「自分の思い込みで他者の物を奪う。典型的な犯罪者の言い分だな。お前の言う『勇者』というのは、他人の家に勝手に上がり込んでタンスを調べて勝手に物を漁る、一昔前のゲームの勇者の事か?」

 

輝二は呆れた様にそう言った。

 

「ぐっ………!」

 

光輝は言い返そうとしたが言葉が出てこない。

 

「まあいい。とにかくこの街での目的は達成した。もう用はない」

 

輝二はそう言って踵を返す。

 

「何っ………?」

 

光輝は声を漏らすと、輝二は歩き出し、それを追うようにハジメや拓也達も後に続く。

 

「ま、待て! これから一緒に戦うんじゃないのか!?」

 

光輝がそう言いながら呼び止める。

 

「誰がそんな事を言った? 俺達がこの街に寄ったのは、雫や輝一達に拓也達の無事を知らせる為だ。そこで偶然遠藤から救援を頼まれて助けに行っただけに過ぎない。お前達と戦うつもりなど毛頭無い」

 

輝二がそう言い切る。

 

「俺も迷宮に潜っていたのは拓也達を探す為だ。それが達成された今、これ以上お前に付き合うつもりはない」

 

輝一も、そう言う。

 

「木村まで………! 何故だ!?」

 

光輝が理由を問う。

 

「分からないの?」

 

ハジメが口を開く。

その表情は心底落胆している。

 

「南雲………! 分からないから聞いているんだ! 一体何が理由だ!」

 

光輝は声を荒げる。

 

「…………まあ、理由は色々あるけど、一番の理由は………」

 

ハジメはそう言いながら檜山に視線を向けた。

 

「如何して檜山がそこに居るの?」

 

「ッ!?」

 

ハジメに睨まれ、檜山は息を呑む。

 

「ど、如何いう意味だ!?」

 

光輝が問い返すと、ハジメは顔を顰め、

 

「どうして僕達を殺そうとした檜山が、特に罰も受けずにのうのうとそこに居るのかって聞いているんだ!」

 

ハジメは強い口調でそう言うと、

 

「処刑でなくとも、牢屋に幽閉されていたり、犯罪者として強制労働の刑を受けていたのならまだ納得できるよ。けど、輝二や幸利から聞いた話じゃ、檜山は何のお咎めも無く無罪放免になったそうじゃないか。殺そうとしてきた相手に背中を預けるなんて論外だし、そんな判断を受け入れた君とも一緒に戦いたくない!」

 

更に続けてそう言った。

 

「あ、あれは事故だったんだ! 檜山も本当に反省して何度も何度も頭を下げたし土下座だってした! 『仲間』なら許すべきだろう!?」

 

光輝がそう返す。

ハジメは再び溜息を吐くと、

 

「その言い分を信じる君にも呆れるけど、仮に事故だとしてもお咎め無しにする理由が分からない。日本でも過失致死は最低でも罰金は科されるし、状況によっては懲役刑だってあり得る。そして故意なら当然殺人罪が適用される。まあ、僕達が生きていたから殺人未遂になるんだろうけど」

 

日本の法律を持ち出してそう言った。

 

「そ、そうだ! 結局無事だったから、そう目くじら立てなくてもいいじゃないか! ここは俺の顔を立てて檜山を許して………」

 

「………………無事…………か……………」

 

光輝の言葉に、ハジメは何度目かになるか分からない落胆の溜息を吐いた。

すると、ハジメは唐突に上半身の服を脱ぎだし、右目の眼帯を取り、左腕の義手も外す。

 

「君は…………こんな有様でも僕が『無事』だって言うんだね?」

 

ハジメの右目は義眼として魔眼石が埋め込まれており、左腕は二の腕から先が無い。

 

「「「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」」

 

それを見て、助けられた者達は絶句する。

 

「拓也だって僕や香織を助ける為に奈落の底まで落ちて死にかけたし、拓也に助けられた僕達が行きついた先も、ベヒモスなんて目じゃない魔物がゴロゴロしている場所だった。左腕を食われて、何とか錬成でシェルターを作って香織と逃げ延びて、偶然見つけた神結晶から得た神水で命を繋いで、空腹を満たすために食べると死ぬと教えられた魔物を食べた。神水のお陰で何とか生き残ったけど、激痛に何時間ものた打ち回って、このありさまだよ。それでも君は檜山が何の罪も無いって言い切るんだね!?」

 

「そ、それは………だ、だが………」

 

光輝が言い淀んでいると、香織が歩み寄って来る。

すると、

 

「か、香織………君なら分かって………」

 

光輝は、優しい香織なら自分を理解してくれると期待を持って声をかけようとして、

 

「がっかりだよ、光輝君」

 

その口から落胆の言葉が紡がれた。

 

「え…………?」

 

その言葉に呆然となる光輝。

 

「光輝君にとって、私はその程度の存在だったんだね」

 

「か、香織……何言って………?」

 

「私が殺されても、光輝君はその犯人を許しちゃうんだ?」

 

「え………あ………?」

 

「光輝君は私の事を『大切』な幼馴染って言うけど、光輝君の『大切』は檜山君よりも優先度が低かったんだね」

 

「そ、そんなわけ………」

 

「だってそうだよね? 光輝君は私やハジメ君、神原君を落とした犯人である檜山君を庇って無罪にした。それは、私達よりも檜山君を優先したって事だよね?」

 

「あ……う………あ…………」

 

「自惚れる訳じゃないけど、ハジメ君と付き合い出してから、光輝君が私に好意を持ってるんじゃないかって薄々感じ始めてたんだよ。だけどね、君のそんな薄っぺらい『大切』な気持ちなんか、嬉しくもなんともない」

 

「か、香織……俺は………」

 

「私は君の『ヒロイン』じゃない。それだけは理解して」

 

香織がそう言うと踵を返し、光輝は愕然としたように膝を着いた。

香織はそのまま雫に歩み寄ると、

 

「雫ちゃん。私は雫ちゃんに不幸になって欲しくない。だからこれだけは言わせて」

 

「香織………」

 

「もっと素直になって、雫ちゃん!」

 

「………………」

 

香織はそう言うとハジメ達の方に歩き出し、雫は考え込む様に俯く。

そして香織がハジメ達と合流して歩き出そうとした時、

 

「ま…………待って!」

 

顔を上げた雫が叫んだ。

再び足を止める一行。

すると、雫は彼らに駆け寄り、

 

「わ、私も………私も連れて行って!」

 

雫はそう叫んだ。

その声に光輝がハッとなって我を取り戻し、

 

「し、雫まで何を言ってるんだ!?」

 

「光輝、ごめんなさい。勝手な事を言ってるのは分かってる。でも、私はこれ以上耐えられないの! 頼れる人が居ない、今の状況に………!」

 

雫は泣きそうな表情でそう語る。

 

「雫、何を言ってるんだ……? 君は強い! 頼る人が居なくとも………」

 

「もうそれが耐えられないの!」

 

光輝の言葉を雫が叫んで止めた。

 

「し、雫!?」

 

「私はもう、頼る事を………頼れる人を知ってしまった………それを知らなかった頃には戻れない………」

 

雫は光輝に背を向けると歩き出し、ある人物に向かって歩き出した。

それは………

 

「輝二…………」

 

「………雫」

 

輝二だ。

雫は輝二を見つめる。

そして、

 

「輝二…………あなたが好きよ。だから一緒に行かせて」

 

自分の思いを口に出した。

 

「雫ちゃん…………」

 

そんな雫を見て、香織は嬉しそうに微笑み、小さく呟く。

輝二はその告白を受け止め、

 

「…………俺の答えは決まっている」

 

輝二の言葉に、雫はやや不安げな表情を浮かべる。

そして、

 

「…………俺も同じ気持ちだ。だから一緒に来い………! 雫」

 

照れ臭さを隠す様に少しぶっきらぼうに。

それでも僅かに頬を赤らめ、ハッキリと輝二は言った。

 

「ッ………! 輝二!」

 

雫は花が咲いたような笑みを浮かべ、その胸に飛び込む。

 

「雫………」

 

そんな雫を受け止め、優しくその背に手を回す輝二。

 

「雫ちゃん………良かった………」

 

そんな雫を見て、嬉しそうに安堵の息を漏らす香織。

 

「え………? し、雫まで………何言って………? 輝二が好き………? そんなこと………」

 

ショックを受けながらも、光輝はそれを否定しようとして、

 

「いい加減にしねえか!」

 

龍太郎が怒鳴った。

 

「りゅ、龍太郎………!?」

 

怒鳴られた事に呆然となる光輝。

 

「そりゃ雫が他の男に取られた事がショックなのは理解できるがな、今回ばかりは取られても仕方ねえって俺でも分かるぞ!」

 

「えっ?」

 

龍太郎の言葉に困惑する光輝。

 

「ど、如何してなんだ………!?」

 

意味が分からず聞き返す光輝。

龍太郎は怒ったように光輝の胸倉を掴むと、

 

「なら聞くけどよ。どうしてお前は雫が助けを求めた時、這ってでも助けようとしなかった!?」

 

「えっ………? そ、それは雫が強いからだ………俺の助けがなくとも、雫なら何とかなると思って………」

 

「何とかならねえから助けを求めたんだろうが! それをお前は『自分で何とかしろ』って跳ね除けたんだぞ! そりゃ見限られるに決まってるだろ!」

 

「そ、そんな………俺はそんなつもりじゃ…………」

 

「龍太郎の言う通りよ、光輝」

 

雫が光輝に言葉を投げる。

 

「私が助けを求めても、あなたは助けてくれなかった。輝二に助けを求めたら、輝二は助けてくれた。偶然かもしれない。二度は無いかもしれない。だけど、輝二は私を助けてくれた。私に頼る事を教えてくれて、私が頼った時に助けてくれた輝二に、私は惚れたの」

 

雫はそう言い切った。

光輝は再び膝を着く。

 

「お前は自分の思い込みばかりで、雫の実際の女心を理解してなかったって事だ」

 

龍太郎がそう続くきながら光輝の肩に手を置くと、

 

「いや、流石の天之河も坂上に女心如何こう言われたくは無いと思う」

 

クラスメイトの誰かがそう言うと、何人かがウンウンと頷いた。

 

「…………少なくとも、この場で彼女が居ない人よりかは理解できると思うけど?」

 

その言葉に鈴が反論した。

 

「「「「「へっ?」」」」」

 

何人かが素っ頓狂な声を漏らす。

視線が鈴に集まるが、鈴は誤魔化す様に明後日の方を向いた。

 

「さてと、それじゃあ僕はどうしようかな?」

 

鈴の隣で恵理がそう言った。

 

「あれ? 恵理は木村君について行くんじゃないの?」

 

「それも考えてるけど、ただでさえこのパーティーの戦力ガタ落ちだからねぇ………鈴の身の安全が保障できないよ」

 

すると、

 

「なあ鈴。光輝に付き合うのは俺の我儘だ。お前も無理に付き合わなくていいんだぜ?」

 

龍太郎がそう言うと、

 

「だからってほっとけるわけ無いよ」

 

3人が揃って悩んでいると、

 

「ん?」

 

「これは………?」

 

拓也と輝二がデジヴァイスから光が放たれている事に気付く。

2人がデジヴァイスを取り出すと、光が飛び出した。

飛び出した光は、拓也のデジヴァイスから1つ。

輝二のデジヴァイスから2つ。

その光が、それぞれ龍太郎、鈴、恵理の間に落ちた。

 

「な、なんだぁっ!?」

 

突然光が降って来たことに、龍太郎が驚愕の声を上げる。

その光が収まると、龍太郎の前には龍太郎を超える体躯とカブトムシを思わせる風貌の鋼鉄の巨体。

鈴の前には同じぐらいの小熊のような風貌の白い雪ダルマを思わせるような存在。

そして恵理の前には、水色の身体をした所々にヒレのある少女のような姿の存在が居た。

 

「えっ? 何? あなた達………」

 

鈴が疑問を口にすると、

 

『俺は『雷』の闘士、ブリッツモン』

 

『僕は『氷』の闘士、チャックモン』

 

『そしてこの私が『水』の闘士、ラーナモン様よ』

 

それぞれが順番に名乗った。

 

「ブリッツモン……」

 

「チャックモン……」

 

「ラーナモンね……」

 

龍太郎、鈴、恵理がそれぞれの前に立つ彼らを見ながらその名を呟く。

ブリッツモンが龍太郎を見る。

 

『君の友を思う気持ちに俺は心打たれた。戦う覚悟があるのなら、俺の『雷』の力を君に与えたい』

 

続けてチャックモンが鈴を見つめ、

 

『君の優しさに僕は力を貸してあげたくなった。戦う覚悟があるなら、僕の『氷』の力を君に託すよ』

 

最後にラーナモンが、

 

『あんたは私と気が合いそうだしね。泣いて頼むならこの私の『水』の力を貸してあげても良くってよ?』

 

それぞれが力を貸す意思を見せた。

すると、

 

「……………正直、俺に神原や源たちみてぇな覚悟があるとは思えねぇ………けど、俺は最後まで光輝を支えたいと思ってる! その為にも俺に力を貸してくれ!」

 

龍太郎が叫び、

 

「私も………そんな龍君を支えてあげたい。その為に力が欲しい!」

 

鈴もそう答え、

 

「ハッ! 笑わせないで欲しいな。そっちこそ泣いて頼むなら力を使ってやってもいいぜ」

 

恵理は強気でそう言い返す。

すると、

 

『いいだろう。これからよろしくな』

 

ブリッツモンが、

 

『うん。一緒に頑張ろうね』

 

チャックモンが、

 

『ムッキー! ナマイキ! …………けど、それでこそこの私の力を振るうに相応しいのかもしれないわね。仕方ないから暫く付き合ってあげる』

 

ラーナモンがスピリットの形を取った。

すると、龍太郎の前に青と黄色のデジヴァイスが。

鈴の前に水色と緑のデジヴァイスが。

恵理の前に水色と朱色のデジヴァイスが現れた。

そのデジヴァイスにそれぞれのスピリットが収まる。

そのデジヴァイスは3人の手に収まった。

 

「………まさか、3人がスピリットに選ばれるなんて………」

 

拓也が驚いた声を漏らす。

 

「けど、これで後の心配は無くなった」

 

輝一がそう言う。

 

「そうだな。ブリッツモンとチャックモンが居れば、殆どの事態には対応できるだろう」

 

輝二がそう締める。

そうして、新たにこのホルアドで、輝一、恵理、雫の3人が旅の仲間に加わることになった。

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

次の大迷宮であるグリューエン大火山を目指し、大砂漠を横断する拓也達。

しかしその途中、謎の症状で倒れた男を助けた結果、ある依頼を頼まれる。

その内容とは………

 

 

次回、ありふれたフロンティアへ

 

 

第22話 緊急依頼! アンカジ公国の危機!

 

 

今、ありふれた伝説が進化する。

 

 

 

 






はい、第21話の完成です。
ぶっちゃけますがスタートダッシュはここまでです。
次から週一更新に戻ります。
そんで今回は雫がメイン………だった筈が、何か色々と出張って来ました。
特に3人のスピリットの継承は、もっと後にしようと思ってたのですが、冷静に考えると戦力的に不安があったので、恵理が素直について行くか疑問だったのでスピリットを継承させて戦力の問題を解決しました。(かなり強引)
それで、残る『鋼』のスピリットなんですけど、こいつだけはどうしようか迷ってるんですよ。
特に絵面的に。
メルキューレモンは、まあ、ギリ許容範囲内としても、セフィロトモンはアウトです。
あれは絵面的に味方であっていい筈が無い(偏見)
ネタバレになりますが、『鋼』は雫に使わせようと思ってます。
ですが、流石にメルキューレモンとセフィロトモンは雫に似合わないのでどうしようかと。
候補は3つ。
1つは我慢してメルキューレモンとセフィロトモンとして使う。
2つ目は闇のスピリットが変化した様に人型と獣型をそれぞれ別のデジモンにして、既存のデジモンから引っ張って来る。
3つ目は同じく別のデジモンでオリジナルデジモンを考える。
3つ目の今の所の考えとして、人型はジングウモン:神人型 ヴァリアブル種 鋼鉄の鎧を纏った侍のような女性型デジモン。刀を使った攻撃が得意。必殺技は神速の抜刀術『神起発祥』。名前の由来は日本の女神の1人、神功皇后より。
獣型はマカミモン:サイボーグ型 ヴァリアブル種 緑色の鋼鉄の狼の姿をしたサイボーグ型デジモン。空中を自由に駆け回る事ができる。身体中には無数の刃が隠されている。得意技は空中を駆けまわり素早い動きで敵を食い破る『オオクチ』。必殺技は身体中に隠された刃を展開し、全速力で突撃して敵をバラバラに粉砕する『御神之刃(みかみのやいば)』。名前の由来はニホンオオカミが神格化した聖獣、大口真神(おおくちのまかみ)より。
因みにビースト形態が狼型なのは輝二に合わせて。
これでアンケートするのでよろしくお願いします。

『鋼』のスピリットの形態はどうする?

  • メルキューレモン、セフィロトモンのまま
  • 既存の別デジモンを引っ張って来る
  • オリジナルデジモンで!
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