ありふれたフロンティアへ   作:友(ユウ)

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第23話 魔人族の神の使徒! フリード現る!

 

 

オアシスの汚染の原因となっていた魔物を倒したハジメ達は、患者達の治療に当たっている香織やその手伝いをしている拓也達と合流する。

 

「香織、これから【グリューエン大火山】に挑む。どれくらい持つ?」

 

「ハジメくん……」

 

患者の治療を続けながら香織は笑みを向ける。

 

「大丈夫、このペースなら一週間は軽いよ!」

 

自信を持ってそう言う香織。

 

「私は、ここに残って患者さん達の治療をするね。ハジメ君は静因石をお願い」

 

「私もここに残って香織の手伝いをするわ。急がなきゃいけない案件だし、私が居ると足手纏いだろうから………それに、ミュウちゃんの面倒を見る役も必要でしょ?」

 

「僕も今回は居残り組に回らせてもらうよ。火山って事は『火』のフィールドだろうし、『水』の属性の僕は戦力として心許ないだろうからね」

 

雫に続いて恵理もアンカジに残る事を告げる。

 

「そうなると悔しいがワシらも残るべきじゃハラ………急ぎの要件じゃからのう………」

 

「仕方ないね~」

 

ボコモンとネーモンも残る事を選択する。

こうして、グリューエン大火山に向かうメンバーは、拓也、輝二、輝一、優花、ハジメ、ユエ、シア、ティオ、幸利に決まった。

 

 

 

 

 

 

「……まるでラピュ○だね」

 

ハジメがポツリと零す。

 

「……ラ○ュタ?」

 

その言葉にユエが首を傾げる。

 

「何となく言いたい事は分かるな」

 

拓也が同意しつつそう呟く。

一行は魔力駆動四輪で、某有名なアニメ映画、ラピ◯タに出てくる龍の巣を沸騰とさせる渦巻く巨大な砂嵐に突っ込む。

グリューエン大火山は、常に周りを巨大な砂嵐で囲まれており、並の冒険者では辿り着く事さえ不可能な場所なのだ。

 

「つくづく、徒歩でなくて良かったですぅ」

 

「流石の妾も、生身でここは入りたくないのぉ」

 

車内から外を眺めるシアとティオもそんな感想を口にした。

しかし、魔力駆動四輪は砂嵐の中に突っ込んだはずだが、その周囲には砂どころか風すら届いていない。

ある一定の範囲内を、砂嵐が避けるように風が吹いているのだ。

 

「だけど、フェアリモンにこんな力があったなんて………」

 

輝一がそう言いながら魔力駆動四輪の上空を飛ぶフェアリモンを眺めた。

『風』のスピリットを持つ優花が、フェアリモンに進化し、風を操って一定範囲内を無風状態にしているのだ。

 

「前の冒険じゃ、こんな力の使い処は無かったからな」

 

輝二がそう呟く。

尚、途中サンドワームに襲われるというアクシデントがあったが、フェアリモンに加えてユエとティオの風魔法、更には魔力駆動四輪に搭載されていた手榴弾をばら撒き、即行で片付けて先へと進んだ。

 

 

 

 

 

迷宮の入り口は頂上にあるという事なので、魔力駆動四輪で登れるところまで登った一行は、後は徒歩で向かうという事で車を降りた。

その瞬間襲い掛かってくる熱気。

 

「こりゃ熱ぃな………」

 

拓也が思わずボヤく。

まるで火の傍に居る時のような熱さが体中に感じられる。

 

「うわぅ……あ、あついですぅ」

 

「ん~……」

 

「確かにね……砂漠の日照りによる暑さとはまた違う暑さだ……これはタイムリミットに関係なく、早く攻略しちまうに限るね」

 

「ふむ、妾にとってはむしろ適温なのじゃ」

 

「何気に凄いな竜人族」

 

ティオの言葉に拓也がそう零した。

 

 

 

 

拓也、輝二、輝一、優花、幸利はデジモンに進化し、一行は山の頂上にあった迷宮の入り口から迷宮内部へ入った。

迷宮内部は別の意味でトンデモなかった。

マグマが空中を流れているのだ。

水路も何もないのに、マグマが空中にうねりを作って流れている。

重力魔法か何かを使っているのだろうか。

更に、

 

「うきゃぁっ!?」

 

「危ないっ!」

 

突然壁からマグマが噴き出してきて、熱源感知を使ったハジメがシアを引っ張ってそのマグマを躱す。

このように至る所からマグマが噴き出すことがあり、人間にとって非常に危ない所なわけだ。

ただ、

 

「よっと………」

 

アグニモンが噴き出したマグマを手で振り払った。

 

「アグニモン………熱くないの?」

 

ハジメはそんなアグニモンに訊ねた。

 

「ああ、特に問題無いな。むしろ『火』のフィールドだから逆に力が溢れて来る位だ」

 

アグニモンは不敵な笑みを浮かべながらそう言う。

そのまま迷宮を進むと、時折マグマを纏っている牛やマグマを翼から撒き散らすコウモリ型の魔物、壁を溶かして飛び出てくる赤熱化したウツボモドキ、炎の針を無数に飛ばしてくるハリネズミ型の魔物、マグマの中から顔だけ出し、マグマを纏った舌をムチのように振るうカメレオン型の魔物、頭上の重力を無視したマグマの川を泳ぐ赤熱化した蛇など……

明らかに炎に耐性がありそうな多種多様な魔物が多く襲い掛かってきた。

それなのに、

 

「バーニングサラマンダー!!」

 

アグニモンの放った炎が、何故か炎に耐性がある筈の魔物を焼き尽くしていく。

 

「…………どうしてアグニモンの炎は炎属性の魔物に通用する?」

 

ユエが納得いかないと言わんばかりの表情でそう言う。

ユエが放つ魔法は、炎属性は吸収、もしくは無効化されている。

見た目からして炎が効かないのは納得できるのだが、何故かアグニモンの炎はそんな相手も焼き尽くしているのだ。

ユエが納得できないのも当然だ。

しかし、アグニモンの炎は地獄の炎に耐えきるケルベロモンを焼き尽くす聖なる炎。

普通の火耐性しか持たない魔物など焼き尽くされるのは道理だった。

 

 

 

 

そしてしばらくした後、一行は岩石で出来た小舟に乗り、マグマの川に沿って迷宮内を下っていた。

こうなった原因はハジメだ。

ハジメは宙を流れるマグマの川と静因石の在処が密接に関係していると見抜き、次々と大量の静因石を掘り出していったわけだが、必要な量は確保できたものの、調子に乗って無作為に掘り続けた結果、マグマの流れが急変。

危うくマグマに呑まれそうになったところをハジメが錬成で岩石の小舟を作り出し、事無きを得たという事だ。

小舟には『金剛』が付与されており、マグマの熱で溶ける事は無かった。

とりあえず、もうこの際なので小舟に乗っていける所までは行ってしまおうという事になり、こうして卑怯ともいえるショートカットを実行しているのだ。

それでも時々マグマコウモリが襲い掛かってくるわけだが、アグニモン、ヴォルフモン、レーベモン、フェアリモン、グロットモンに、ハジメ、ユエ、ティオの殲滅力が加われば、まったく脅威とは言えなかった。

 

「楽でいいねコレ」

 

ハジメがついつい呟く。

 

「でも、これってちゃんと攻略したって認められるのかしら?」

 

フェアリモンが気になった事を口にすると、

 

「完全におんぶに抱っこなら認められないかもしれないけど、僕の考えでは最終試練が大きなファクターを占めていると思ってる。それでも、認められなかったらアンカジに静因石を届けた後でもう一度攻略するだけだよ。面倒だけどね」

 

ハジメがやれやれと肩を竦め、小舟がマグマの流れに沿ってトンネルとなっている空間を抜けると、一気に視界が開けた。

それは、直径が3kmほどもありそうな広大な空間だった。

底一面は僅かに点在する足場以外殆どマグマに覆われており、中央に島が見える。

しかし、その島はマグマのドームで覆われていた。

 

「……あそこが住処?」

 

 ユエがマグマドームのある中央の島に視線をやりながら呟く。

 

「階層の深さ的にも、そう考えるのが妥当だろうな……だが、そうなると……」

 

「最後のガーディアンがいるはず……じゃな? ハジメよ」

 

「ショートカットして来たっぽいですし、とっくに通り過ぎたと考えてはダメですか?」

 

「大迷宮がそんな甘いわけないだろ」

 

シアの期待するような言葉をアグニモンがバッサリと叩き切った。

そして、その言葉を肯定するかのように宙を流れるマグマの川やマグマの海から、マグマの弾丸が飛び出してきた。

 

「散開!」

 

このままでは小舟に釘付けにされると判断したハジメが叫んだ。

まばらに点在する足場にそれぞれが飛び乗り、フェアリモンは空中に滞空する。

次の瞬間には、マグマの弾丸により小舟は粉砕された。

更にマグマの弾丸は散開した全員に降り注ごうとしたが、

 

「ブレッザ・ペタロ!!」

 

フェアリモンが放った竜巻により、全てが吹き飛ばされたり軌道を変えられ、当たることは無かった。

その隙に、

 

「中央の島を調べたい! 援護をお願い!」

 

ハジメがそう言いながら中央の島へ向かう。

 

「「「「了解!」」」」

 

アグニモン達が返事をすると、ハジメに降り注ごうとするマグマ弾を迎撃していく。

 

「今の内に………!」

 

ハジメが中央の島に向かって近付いて行く。

すると、マグマの海からマグマの蛇が飛び出してきた。

 

「ッ!?」

 

ハジメは咄嗟に回避すると、近くの足場に降り立つ。

すると、その周りに同じものが20匹現れ、ハジメ達を取り囲んだ。

 

「本命が現れたようだね」

 

ハジメがそう言うと、ハジメの周りに仲間達が集う。

 

「やはり、中央の島が終着点のようじゃの。通りたければ我らを倒していけと言わんばかりじゃ」

 

「なら、お望み通りに!」

 

ハジメの言葉にティオが応え、フェアリモンが先手必勝とばかりに竜巻を放った。

それはマグマ蛇に直撃し、頭が弾けるように四散するが、次の瞬間には逆再生の様に元通りになってしまった。

 

「さ、再生しましたよ!? 倒せるんですか!?」

 

シアが敵が再生したことに驚いていたが、

 

「多分バチェラムみたいな魔物何だと思う。何処かに核となる魔石がある筈だ!」

 

ハジメの言葉に全員が頷くと、待っていたかのようにマグマ蛇が一斉に襲い掛かった。

その瞬間、ティオが両手を前に突き出し、

 

「竜の息吹! 存分に味わうがよい!!」

 

その両手に黒色の魔力を集中、圧縮し、一気に解放した。

それはまさしく竜のブレス。

そのブレスはマグマ蛇を8匹ほど吹き飛ばし、完全に倒す。

すると、12体に減った蛇たちは一度マグマの中に潜ると、再び20体となってハジメ達の周りに現れた。

 

「何で………魔石は吹き飛んだはずなのに………? 倒すことがクリア条件じゃないの?」

 

ハジメが当てが外れたのかと訝しんでいると、

 

「ハジメさん! 見て下さい! 岩壁が光ってますぅ!」

 

「えっ?」

 

シアの言葉で中央の島に視線をやると、確かに、岩壁の一部が拳大の光を放っていた。

ハジメが〝遠視〟で確認すると、光っている鉱石の他に、光っていないが同じような鉱石がズラリと並んでおり、それは大よそ100程であった。

そして、光っている鉱石は8個。

先程ティオが倒した数と同じだ。

 

「そうか……! このマグマ蛇を100体倒すのがクリア条件なんだ!」

 

ハジメがクリア条件を予想する。

 

「そうと分かれば!」

 

アグニモンがバーニングサラマンダーでマグマ蛇を焼き尽くす。

ヴォルフモンがマグマ蛇の攻撃を避けながらその身体を注視し、

 

「そこだ!」

 

リヒト・クーゲルで狙い撃った。

放たれたレーザーは魔石を的確に撃ち抜く。

 

「エントリヒ・メテオール!!」

 

レーベモンが闇の砲撃で数匹を纏めて吹き飛ばす。

 

「これなら………! どうかしら!」

 

フェアリモンが風を巻き起こしてマグマ蛇を構成するマグマを吹き飛ばすと、隠れていた魔石が露になる。

 

「今よ!」

 

露になった魔石をハジメが撃ち抜き、

 

「ほいさっ!」

 

グロットモンが拳大の岩を軽く放ると、ハンマーで打ち出した。

打ち出された岩が魔石に直撃して粉々にする。

グロットモンは遠距離攻撃を持たないため、このように工夫していた。

更にはユエが複数の雷龍でマグマ蛇を飲み込み、シアも戦槌を振るってマグマ蛇を撃破する。

そんな余裕を持ちつつ、残り10匹。

フェアリモンが竜巻でマグマ蛇の身体を吹き飛ばし、ハジメとグロットモンが魔石を砕いて倒す。

 

「あと8匹!」

 

ティオが再びブレスで更に2匹を消し飛ばす。

 

「残り7匹じゃ!」

 

シアがハンマーを振り下ろし、マグマ蛇を頭から尾まで一気に叩き潰す。

 

「これで6匹ですぅ!」

 

ユエが氷魔法でマグマ蛇3匹を丸ごと凍らせる。

 

「あと3匹………!」

 

ヴォルフモンがレーザーで的確にマグマ蛇の魔石を撃ち抜く。

 

「あと2匹」

 

レーベモンが槍を振るってマグマ蛇を魔石ごと縦に真っ二つにする。

 

「あと1匹……!」

 

そしてアグニモンが最後の1匹に向かって跳躍し、

 

「こいつで…………ラスト!」

 

止めの一撃を見舞おうとした。

その瞬間、

 

―――ズドォオオオオオオオオ!!!!

 

アグニモンの頭上から極光が降り注いだ。

 

「ッ!?」

 

アグニモンは直前に気付いたが、空中では身動きが取れず、マグマ蛇諸共その光に飲み込まれた。

 

「「「「「アグニモンッ!?」」」」

 

その光景を目にした全員が叫ぶ。

 

「なっ!? これはオルクス大迷宮にいたヒュドラのッ!?」

 

ハジメは見覚えがあったのかそう叫んだ。

 

「ハジメッ! 上じゃっ!!」

 

ティオが叫んだ瞬間、上から無数の極光が降り注いでくる。

 

「ッ……! 〝聖絶〟!」

 

ユエが咄嗟に結界を張る。

次々に降り注ぐ極光。

降り注いでいた極光の嵐は最後に一際激しくなった後、ようやく終わりを見せた。

周囲は、見るも無残な状態になっており、あちこちから白煙が上がっている。

 

「ッ! アグニモン……! 拓也ッ!」

 

フェアリモンが心配そうな声で叫ぶ。

そこにアグニモンの姿は無い。

マグマの中に叩き落されたのだろう。

その時、

 

「……看過できない実力だ。やはり、ここで待ち伏せていて正解だった。お前達は危険過ぎる」

 

上空から声が響いた。

ハジメ達は、声の聞こえた頭上に目を向ける。

そこにはいつの間にか、そこにはおびただしい数の竜とそれらの竜とは比べ物にならないくらいの巨体を誇る純白の竜が飛んでおり、その白竜の背に赤髪で浅黒い肌、僅かに尖った耳を持つ魔人族の男がいた。

 

「まさか、あれだけの攻撃して仕留められたのが最初に不意打ちした、たった1人とは……おまけに報告にあった強力にして未知の武器……他の者達もだ。まさか総数五十体の灰竜の掃射を耐えきるなど有り得んことだ。貴様等、一体何者だ? いくつの神代魔法を修得している?」

 

その男はそう質問を投げかける。

 

「質問する前に、まず名乗ったらどう? 魔人族は礼儀を知らないの?」

 

ハジメがあえて余裕を見せた態度で質問を返した。

 

「……これから死にゆく者に名乗りが必要とは思えんな」

 

「それは確かに。これから死ぬ人の名前なんて覚えても仕方ないからね。ところで、お友達の腕の調子はどうでした?」

 

ハジメは自分達の情報が伝わっているのは、以前ウルの町で逃がした魔人族からの応報だと推測し、その時にハジメの射撃で腕を失った魔人族を思い出してそう言った。

魔人族の男は、それに眉を一瞬ピクリと動かし、先程より幾分低くなった声音で答えた。

 

「気が変わった。貴様は、私の名を骨身に刻め。私の名はフリード・バグアー。異教徒共に神罰を下す忠実なる神の使徒である」

 

「神の使徒……ね。大仰だね。神代魔法を手に入れて、そう名乗ることが許されたってところかな? 魔物を使役する魔法じゃない……極光を放てるような魔物が、うじゃうじゃいる筈が無いからね。おそらく、魔物を作る類の魔法かな? 強力無比な軍隊を作れるなら、それは神の使徒くらい名乗れるだろうね」

 

「その通りだ。神代の力を手に入れた私に、〝アルヴ様〟は直接語りかけて下さった。〝我が使徒〟と。故に、私は、己の全てを賭けて主の望みを叶える。その障碍と成りうる貴様等の存在を、私は全力で否定する」

 

イシュタルを彷彿とさせる狂信とも言える信仰心。

 

「こちらは降りかかる火の粉を払っているだけなんだけど…………そこまで敵対心を持たれても困るね!」

 

ハジメはそう言い放つとと共にドンナーを発砲する。

それと同時に、ユエが雷龍を、ティオがブレスを、シアが炸裂スラッグ弾を放つ。

しかし、その前に灰竜と呼ばれた体長三、四メートル程の竜数頭が射線上に入ると、正三角形が無数に組み合わさった赤黒い障壁が出現し、ハジメ達の攻撃を全て受け止めてしまった。

その竜の背中には、亀型の魔物が張り付いていて、その魔物が結界を構築しているようだった。

 

「私の連れている魔物が竜だけだと思ったか? この守りはそう簡単には抜けんよ」

 

フリードは自信を持ってそう言う。

だが、

 

「それは如何かな?」

 

レーベモンがそう言うと、両手をクロスさせ力を溜め、

 

「エントリヒ・メテオール!!」

 

獅子の口から闇の砲撃を放った。

その砲撃は、何重にも張られた結界をガラスの様に砕き、貫いて行く。

 

「なっ!?」

 

フリードが声を漏らした瞬間、白竜のすぐ横を闇の砲撃が通過し、その射線軸上に居た灰竜達が、身体を抉られたり翼を失ったりして墜ちていき、マグマの中に沈む。

 

「ッ…………何という力………! 我が魔物の軍勢を意に介さぬとは…………」

 

フリードは戦慄した表情を浮かべる。

 

「ここは、奴の力を借りるのが得策か………!」

 

フリードは何かを決意した表情になると詠唱を始める。

ハジメ達もそれを防ぐ為に攻撃するが、白竜達は距離を取って回避に徹する事でそれを避けていく。

やがて詠唱が完成し、

 

「〝界穿〟!」

 

最後の魔法名が唱えられた瞬間、白竜達の後方に光の膜が出現し、

 

「「グォオオオオオオオオオオオオオッ!!」」

 

そこから新たに2体の竜が現れた。

しかし、その竜は他の魔物達とは様子が違っていた。

頭部と両腕が金属に覆われて機械化されており、片方は翼まで機械化されている。

 

「こやつらは普通の魔物とは一味違うぞ」

 

フリードがそう言いながら片手を上げ、

 

「やれ!」

 

前に振り下ろすと同時に号令を掛ける。

 

「ジェノサイドアタック!」

 

「ジェノサイドギア!」

 

その2匹の竜は機械化された両腕を前に突き出すと、腕の先が開き、それぞれ10発ずつ。

合計20発ものミサイルが発射された。

 

「ッ!? フェアリモン!」

 

ヴォルフモンがフェアリモンに呼びかける。

 

「ええ!」

 

フェアリモンが風を巻き起こし、ミサイルの軌道を逸らす。

半分位は壁に当たったりマグマに落ちたりしたが、残ったミサイルは弧を描き、別方向からハジメ達に向かってくる。

 

「くっ! リヒト・クーゲル!」

 

「エントリヒ・メテオール!」

 

ヴォルフモンとレーベモンが遠距離攻撃でミサイルを撃ち落とし、ハジメもドンナーとシュラークで撃墜する。

 

「そらっ!」

 

1発が残って向かって来たが、グロットモンがハンマーで別方向に殴り飛ばし、事無きを得た。

 

「あいつら………デジモンか!」

 

ヴォルフモンがそう判断した。

 

 

 

 

 

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【Digimon Analyzer】

 

 

 

メガドラモン:完全体 サイボーグ型 ウィルス種

 

必殺技:ジェノサイドアタック

 

 

備考: 完全体の中の竜系サイボーグ型デジモンの中で最強最悪のパワーを誇るといわれているデジモン。

必殺技は両腕から有機体系ミサイルを無数に発射する『ジェノサイドアタック』とあらゆる物質を切り裂く事ができるビームソード『アルティメットスライサー』。

 

 

 

ギガドラモン:完全体 サイボーグ型 ウィルス種

 

必殺技:ジェノサイドギア

 

 

備考:メガドラモンと同時期に開発され、暗黒竜型デジモンを素体に誕生したサイボーグ型デジモン。

メガドラモン以上の攻撃力・防御力を誇る。

ただし機動力は劣るという弱点があり、メガドラモンとタッグを組むことでお互いの短所を補い、長所を高める事ができる。

必殺技は両腕から有機体系ミサイルを無数に発射するジェノサイドアタックの強化版『ジェノサイドギア』。

 

 

 

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「くそ! 空中から攻撃されたらフェアリモンだけでは分が悪いぞ!」

 

レーベモンがそう言うと再び両腕を眼下に向けるメガドラモンとギガドラモン。

 

「フッ…………消え去れ!」

 

フリードが見下す様に笑みを浮かべ、再び号令を掛けようとした。

その瞬間、アグニモンが撃ち落とされた辺りのマグマの水面が盛り上がり、

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

雄叫びと共に炎を纏ったヴリトラモンが飛び出してきた。

 

「何ッ!?」

 

溶岩の中から飛び出して来るとは思っていなかったフリードが驚愕の声を上げる。

 

「よくもやってくれやがったなぁっ!!」

 

ヴリトラモンはそう叫びながらギラドラモンを下からアッパーの様に殴り上げる。

ギガドラモンはそのまま上空へ吹き飛ばされた。

更に、

 

「オラッ!」

 

ヴリトラモンは身体を捻って尾撃でメガドラモンを吹き飛ばす。

吹き飛ばされたメガドラモンは壁に激突した。

 

「ヴリトラモン! 無事だったのね!」

 

フェアリモンがホッとした様に声を上げる。

 

「ああ、大丈夫だ。むしろ力が沸き上がってくる位だ!」

 

ヴリトラモンは力強くそう言う。

その時メガドラモンが壁から離れて再び飛び立とうとした。

だが、

 

「させるか!」

 

ヴリトラモンが即座に追撃で殴りかかり、メガドラモンは轟音と共に再び壁に叩きつけられ、壁が粉砕される。

ヴリトラモンが離れると、メガドラモンはデジコードを浮かび上がらせた。

それを確認すると、

 

「フェアリモン! スキャンを頼む!」

 

ヴリトラモンはそう言うと、上空から戻って来たギガドラモンに向かって行く。

 

「ッ!」

 

フェアリモンはメガドラモンに向き直ると、

 

「爽やかな風に乗せ、このデジヴァイスが美しくピュアな心に浄化する!」

 

その手にデジヴァイスが握られ、メガドラモンのデジコードになぞる様に滑らせる。

 

「デジコード……! スキャン!!」

 

その言霊と共に、デジヴァイスにデジコードが吸い込まれていき、メガドラモンが消滅していく。

その一部のデータが集まってデジタマとなり、上昇していくとやがて消え去った。

 

「なっ!? 不死身の魔物が!?」

 

フリードはデジモンが倒された事に戸惑っている。

一方、ヴリトラモンはギガドラモンと手四つのような状態で組み合い、力比べに入っていた。

ギガドラモンはパワー重視のデジモン。

同じ完全体でもパワー負けする事はあり得ない。

しかし、

 

「ヴリトラモンにパワーで敵うと思うなよ!!」

 

ヴリトラモンが叫ぶと、メキメキとギガドラモンの機械化された両腕を握り潰していく。

ヴリトラモンは元々パワーだけなら究極体に迫る力を持ち、そして現在は『火』のフィールドで何倍にも力が高まっている。

完全体のギガドラモンに勝てる道理はない。

 

「フレイムストーム!!」

 

ヴリトラモンは身体中から炎を発してギガドラモンを炎で包む。

そしてそのまま急降下すると、足場の1つに叩きつけた。

その足場は砕け、一部の岩場が残るだけになると、その上にヴリトラモンが立ち、その前にギガドラモンがデジコードを浮かび上がらせていた。

 

「ヴリトラモン! スライドエボリューション!」

 

ヴリトラモンはデジコードに包まれ、使用スピリットをヒューマン形態に変更する。

 

「アグニモン!」

 

アグニモンとなった拓也は、ギガドラモンに近付き、

 

「汚れた悪の魂を、このデジヴァイスが浄化する!」

 

その手にデジヴァイスが握られる。

 

「デジコード……! スキャン!!」

 

そのままギガドラモンのデジコードをスキャンし、ギガドラモンはデジタマとなって消えた。

それを見たフリードは、

 

「何という事だ………貴様らは不死身の魔物を倒す術を持っていたとは………カトレアがやられたのはこのためだったのか………!」

 

フリードは明らかに動揺を隠せない表情でそう言った。

フリードは、一度目を伏せると決然とした表情で再びアグニモン達を睨みつける。

 

「この手は使いたくはなかったのだがな……貴様等ほどの強敵を殺せるなら必要な対価だったと割り切ろう」

 

「なにを言っている?」

 

フリードは、アグニモンの質問には応えず、いつの間にか肩に止まっていた小鳥の魔物に何かを伝えた。

その直後、グリューエン大火山全体に激震が走り、凄まじい轟音と共にマグマの海が荒れ狂い始めた。

 

「うわっ!?」

 

「んぁ!?」

 

「きゃあ!?」

 

「ぬおっ!?」

 

「何!?」

 

「これはっ!?」

 

突如、下から突き上げるような衝撃に見舞われ、思わず悲鳴を上げる。

マグマの海からは無数の火柱、いや、マグマ柱が噴き上がり始めている。

 

「ハジメさん! 水位が!」

 

シアの言葉に、ハジメ達が足場の淵を見るとマグマの海がせり上がってきていた。

 

「何をした!?」

 

アグニモンがフリードに問いかける。

フリードは、中央の島の直上にある天井に移動しながら、その質問に答えた。

 

「要石を破壊しただけだ」

 

「要石……だと?」

 

「そうだ。このマグマを見て、おかしいとは思わなかったのか? グリューエン大火山は明らかに活火山だ。にもかかわらず、今まで一度も噴火したという記録がない。それはつまり、地下のマグマ溜まりからの噴出をコントロールしている要因があるということ」

 

「それが〝要石〟……まさかっ!?」

 

「そうだ。マグマ溜まりを鎮めている巨大な要石を破壊させてもらった。間も無く、この大迷宮は破壊される。神代魔法を同胞にも授けられないのは痛恨だが……貴様等をここで仕留められるなら惜しくない対価だ。まあ、貴様だけは生き残るかもしれんが………他の者は如何かな?」

 

「貴様っ!」

 

「大迷宮もろとも果てるがいい」

 

アグニモンの叫びにフリードはそう返すと、ペンダントを天井に掲げた。

すると、天井に亀裂が走り、左右に開き始める。

この大迷宮のショートカットなのだろう。

フリードはその穴から竜達を伴って脱出していく。

アグニモンは、一瞬ヴリトラモンに進化して追おうとも思ったが、仲間達を置いて行くわけには行かず、すぐに振り返った。

 

「ハジメ! どうする!?」

 

アグニモンがハジメに問いかけると、

 

「………アグニモン! ヴリトラモンならマグマの中でも行動できると考えて良い!?」

 

ハジメは一瞬思案すると、アグニモンにそう問いかけた。

 

「ッ………!? ああ! マグマの中でも問題無い!」

 

アグニモンは一瞬驚くが、すぐにそう返す。

 

「よし! 皆! 一先ず神代魔法を手に入れよう! 早く解放者の隠れ家へ!」

 

ハジメの言葉で、全員は中央の島へ向かう。

島には漆黒の建造物があり、迷宮の紋様が描かれた場所に立つと扉が現れ、中に入れるようになった。

皆は急いでその中に入ると、扉が音もなく閉まり、マグマを塞き止めた。

その様子にホッとする一同。

 

「一先ず、安心だね……それにしても、この部屋は振動も遮断するのかな……」

 

「ん……ハジメ、あれ」

 

「魔法陣ですね」

 

部屋の中央には魔法陣があった。

進化していた5人は一旦進化を解く。

デジモンの状態では魔法陣の効果も打ち消してしまうだろうからだ。

拓也達は互いに頷き合い、その中へ踏み込んだ。

 

「……これは、空間操作の魔法か」

 

「……最初の不意打ちのタネ」

 

「ああ、あのいきなり上に現れたやつですね」

 

グリューエン大火山の神代魔法は空間魔法の様だ。

空間魔法を修得し、魔法陣の輝きが収まっていくと同時に、カコンと音を立てて壁の一部が開き、更に正面の壁に輝く文字が浮き出始めた。

 

〝人の未来が 自由な意思のもとにあらんことを 切に願う〟

                          〝ナイズ・グリューエン〟

 

「……シンプルだね」

 

ハジメが呟く。

そして開いた壁の一部には、攻略の証のペンダントがあった。

それを手に取るハジメ。

 

「……さてと、魔法も証も手に入れたし、次は、脱出だね」

 

「……どうするの?」

 

「何か、考えがあるんですよね? たぶん、外は完全にマグマで満たされてしまってますよ?」

 

ハジメの言葉にユエとシアが不安そうに問いかける。

 

「実は、この建物のすぐ外に潜水艇を用意してあるんだ。次のメルジーネ海底遺跡で必要になるだろうと思って作っておいたものだよ。マグマの中でも耐えられるか少々不安ではあったけど、さっきの金剛で覆った小舟が大丈夫だったから、いけると思ったんだ。さっきの魔人族が色々話している間に出しておいて様子を見てたけど、大丈夫そうだったから」

 

「抜け目ねえな………」

 

ハジメの行動力に幸利が呆れた声を漏らす。

 

「脱出ルートは、当然、天井のショートカット。だけど、マグマの粘性だとうまく舵が取れないと思う。だから拓也にヴリトラモンになって潜水艇を運んでもらいたいんだ」

 

「そういうことか。任せろ!」

 

拓也は自信を持って返事を返した。

 

「ユエ、潜水艇の搭乗口まで結界をお願い。出来る?」

 

「んっ……任せて」

 

ハジメの期待に応えるようにユエは三重の結界を展開する。

拓也はヴリトラモンに進化し、扉が開くと同時にマグマが流れ込んでくる。

ヴリトラモンは皆の入った結界をその手で押しながらマグマの中に躊躇なく飛び込む。

結界の中のハジメ達は気が気でなかったが、ヴリトラモンの助けもあり、上手く潜水艇の出入り口に辿り着く事が出来た。

全員が潜水艇の中に入り、出入り口が閉まった事を確認したヴリトラモンは、潜水艇の下に回り込んで、潜水艇を持ち上げ始めた。

 

「うぉおおおおおおおおおおっ!!」

 

ヴリトラモンのパワーは、相当な重さのある潜水艇を苦も無く持ち上げ、マグマの流れに逆らって上昇していく。

そして、大噴火と共に外に飛び出し、脱出に成功するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

無事脱出し、静因石を届ける事に成功した拓也達。

住民達の回復を見届け、次の目的地であるエリセンへと向かう。

そこでついに、ミュウは母親と再会を果たす!

 

 

次回、ありふれたフロンティアへ

 

 

第24話 母子の再会

 

 

今、ありふれた伝説が進化する。

 

 

 






第23話です。
う~ん、何か微妙。
思ったより盛り上がれなかった。
とりあえずアグニモンというかヴリトラモン無双。
デジモンも現れるけど噛ませ犬扱い………
さて、次はミュウとレミアの再会です。
お楽しみに。



PS.今日の返信はお休みします。

『鋼』のスピリットの形態はどうする?

  • メルキューレモン、セフィロトモンのまま
  • 既存の別デジモンを引っ張って来る
  • オリジナルデジモンで!
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