ありふれたフロンティアへ   作:友(ユウ)

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第31話 忍ぶウサミミ忍者軍団再び!

 

 

王都の大結界をハジメが修復した後日、一行はハルツィナ樹海に向かう序にリリアーナを帝国に送り届ける為に移動していた。

だが、その移動方法は徒歩や馬、魔力駆動四輪では無かった。

その移動方法とは…………

 

「ハジメ………いつの間にこんなものを………」

 

拓也が半ば呆れた表情で呟く。

拓也の視線の先では、白い雲が流れる様に過ぎ去っていく。

ぶっちゃけて言えば、一行は飛空艇で空を飛びながら移動していた。

しかもハジメの趣味で、航空力学完全無視のマンタのような形状をしている。

それでも飛べている理由は重力魔法の力に他ならない。

当初はハジメの重力魔法の適性が無く、上手くいかなかったが、毎日コツコツと訓練に励むことで、漸くこのレベルの重力魔法の付与が行えるようになったのだ。

 

「南雲、この世界に来てから羽目を外す事が多くなってない?」

 

隣に居た優花がそう口にする。

 

「む? 以前のハジメは今とは違っとったのかのう?」

 

ティオがそう聞くと、

 

「性格は変わって無いわ。けど、基本的に大人しくて争い事は極力避けるタイプだったわ。空気を読んで、あまり出しゃばらない感じかしら?」

 

優花がそう答えた。

 

「まあ、元々趣味がアニメとか創作小説とかだったからな。空想だった筈の世界が現実になったようなものだから、多少は羽目も外すだろ」

 

拓也はそう判断した。

 

「この飛空艇を作った理由が南雲曰く、『旅の終盤で飛行系の移動手段を手に入れるのは常識でしょ?』だしね」

 

優花も呆れる様にそう言う。

 

「あにめ……というのは分かりませんが、ハジメさんは物語がお好きだったようですね」

 

そう言ったのはノイント。

最初こそ不安そうにしていた彼女だったが、この数日で拓也を始めとしたパーティー内の人間とはある程度打ち解けている。

感情の起伏こそ少ないものの、以前のような能面ではなく、表情の変え方が分からずにぎこちなくなっている印象だ。

おそらく記憶を失う以前から表情を変えていなかったので、表情の変え方を『忘れた』のではなく、元から『知らない』ため、ノイントの体も表情の変え方が分からないのだろう。

かなりのスピードで移動している筈の飛空艇の甲板でも、結界を張っているお陰で拓也達に吹き付ける風は、髪が靡く程度の物だ。

その為、腰ほどまであるノイントのストレートの銀髪が靡き、太陽の光を反射してキラキラと輝いているように見える。

 

「………………………」

 

それを見て思わず黙り込む拓也。

 

「…………どうかしましたか?」

 

そんな拓也に気付いたノイントが、首を傾げながら問いかける。

 

「えっ!? いや……! 何でもない! 何でもないぞ!?」

 

流石に見惚れていたとは言えず、慌てて否定する拓也。

 

「…………………!」

 

そんな拓也を、不服そうな表情でじぃ~っとジト目で見つめる優花。

更に我慢できず、脇腹を抓った。

 

「いててっ!?」

 

「何見惚れてんのよ………!?」

 

「ち、違うぞ………?」

 

嫉妬を見せる優花に慌てて弁明する拓也。

するとその時、飛空艇がガクンと高度を下げ始めた。

帝国まではまだ距離がある筈と不思議に思いながら、拓也達はブリッジへ向かった。

 

 

 

 

「何かあったのか?」

 

ブリッジに入ると同時に拓也が問いかけると、

 

「どうも追われている人がいるみたいなんだ」

 

そう答えるハジメ。

メインスクリーンとなっている立方体の水晶に目を向けると、峡谷の合間を走る2人の兎人族と、その後ろから迫る帝国兵のリアル鬼ごっこが映っていた。

シアが同族という事で気にして、ハジメがその意を汲んで向かっている所だった。

 

「不味いじゃないか! 直ぐに助けに行かないと!」

 

やはりと言うべきか、光輝が騒ぎ立てる。

しかし、ハジメはその言葉には答えず、訝し気に水晶ディスプレイを見つめていた。

 

「おい、南雲! まさか、彼女達を見捨てるつもりじゃないだろうな!? お前が助けないなら俺が行く! 早く降ろしてくれ!」

 

光輝の言葉に答えず、ハジメはシアに向き直り、

 

「ねえシア、この人達って……」

 

「へ? ……あれっ? この2人って……」

 

ハジメに続いてシアも兎人族の2人を見て見覚えのある言葉を漏らす。

 

「どうしたんだ、ハジメ?」

 

「シア? 何か知っているのか?」

 

輝二と雫が2人に訊ねる。

 

「皆、何をそんなにのんびりしているんだ! シアさんは同じ種族だろ! 何とも思わないのか!」

 

「すいません、ちょっとうるさいんで黙っててもらえますか? ……ハジメさん、間違いないです。ラナさんとミナさんです」

 

光輝を黙らせてシアは確信をもって答える。

 

「やっぱり……見覚えあると思ってたんだ……彼女達のこの動き、表情はもしかして………」

 

ハジメが呟いた次の瞬間、

 

「あっ!」

 

誰かが上げた声に視線をディスプレイに移せば、兎人族を追っていた帝国兵が突如倒れた。

更に様子を見に来た斥候部隊達も次々倒れる。

その周りには複数の忍者装束の兎人族が居た。

そんな光景に天之河達は『えっ?』と驚愕の表情をする。

リリアーナ王女やメルド団長を始めとした近衛騎士達は、兎人族が帝国兵をあっという間に無力化するという有り得ない光景に、思わずシアを凝視した。

その目は、特別なのはお前だけじゃなかったのかと訴えている。

 

「いや、紛れもなく特殊なのは私だけですからね? 私みたいなのがそう何人もいるわけないじゃないですか。彼等のあれは訓練の賜物ですよ。……ハジメさんが施した訓練によって、あんな感じになったんです」

 

「「「「「……」」」」」

 

その目は、『またお前か!?』と言わんばかりだ。

そんな視線にハジメはそっと目を逸らす。

やがて、見える範囲の帝国兵が全て倒されると、

 

「こ、これが兎人族だというのか……」

 

「マジかよ……」

 

「うさぎつよい……」

 

戦慄で唇を震わせるその声が響く。

馬車から飛び出てハウリア達を狙い魔法を発動しようとした帝国兵も居たが、その帝国兵すらもあっさりと対処し、無力化した。

 

「うん。訓練はサボってなかったみたいだね。『勝って兜の緒を締めよ』。勝ったと思った時こそ油断しない。その教えもちゃんと守ってるね」

 

ハジメは満足した様に頷く。

 

「ハジメさん、ハジメさん。早く、降りましょうよ。樹海の外で、こんな事をしているなんて……もしかしたら暴走しているんじゃ……」

 

シアが急かす様にそう言った。

ハジメは飛空艇を操作し、飛空艇を谷間に着陸させる。

ハジメ達が谷間に降りると、そこにはハウリア族以外の亜人族も数多くいた。

合計で100人程いる。

先程の帝国の馬車に乗っていたのだ。

空から降りて来た巨大な飛空艇にハウリア族達は警戒の構えを見せていたが、ハジメが飛空艇から降りてくると、ババッと一瞬の内に一糸乱れぬ動きでハジメの前に片膝と右手を地面に付け、跪いた。

 

「お久しぶりです! お頭! 再びお会いできる日を心待ちにしておりました! まさか、このようなものに乗って登場するとは改めて感服致しましたっ!」

 

「あ~、うん。久しぶりだね皆。それと、さっきの戦いは見事だったよ」

 

「「「「「「勿体なきお言葉です。お頭」」」」」」

 

若干引き気味になりながらもハジメは褒めるが、一斉に言われた言葉にやはりドン引いてしまう。

 

「えっと、みんな、久しぶりです! 元気そうでなによりですぅ。ところで、父様達はどこですか? パル君達だけですか? あと、なんでこんなところで、帝国兵なんて相手に……」

 

シアが声を掛けながら疑問を投げかける。

 

「落ち着いてください、シアの姐さん。一度に聞かれても答えられませんよ? 取り敢えず、今、ここにいるのは俺達6人だけです。色々、事情があるので、詳しい話は落ち着ける場所に行ってからでお願いします」

 

パルと呼ばれた兎人族の少年がそう答えると、

 

「あの……宜しいでしょうか?」

 

亜人たちの中から細長い耳………森人族の特徴を持った金髪碧眼の少女が進み出てハジメに問いかけた。

手足には拘束具が付けられており痛々しい。

 

「あなたは、南雲ハジメ殿で間違いありませんか?」

 

「え? ええ、そうですけど……」

 

彼女の問いかけに頷くハジメ。

その返事を聞いた彼女はあからさまにホッと胸を撫でおろした。

 

「では、わたくし達を捕らえて奴隷にするということはないと思って宜しいですか? 祖父から、あなたの種族に対する価値観は良くも悪くも平等だと聞いています。亜人族を弄ぶような方ではないと……」

 

「祖父? もしかして、アルフレリックの事?」

 

「その通りです。申し遅れましたが、わたくしは、フェアベルゲン長老衆の一人アルフレリックの孫娘アルテナ・ハイピストと申します」

 

「長老の孫娘が捕まるって……どうやら本当に色々あったみたいだね」

 

ハジメはやれやれと息を吐く。

長老の孫娘と言うならお姫様の様なもの。

予め決められているだろう脱出ルートも使えなかった、もしくは見透かされていたという事ならよほど切迫した自体だろう。

ハジメは少し考えると、

 

「皆、亜人達をまとめて付いてこさせて。ついでに樹海まで送るよ」

 

「承知しました! あっ、申し訳ないんですが、お頭。帝都近郊に潜んでいる仲間に連絡がしたいんで、途中で離脱させて頂いてもよろしいですか?」

 

「うん、それならちょうどこっちも帝都に送る予定だった人がいるから帝都から少し離れた場所で一緒に降ろすよ」

 

「感謝の極み!」

 

ハウリアの1人が跪きながら答えた。

 

 

 

 

亜人達を飛空艇に乗せ、再び大空に飛び立つ飛空艇。

その道すがら、ハウリア族からあんな場所に居た理由を聞いていた。

 

「なるほど……やっぱり魔人族は帝国と樹海にも手を出していたのか………」

 

「そのとおりです。帝国の詳細は分かりませんが、樹海の方は強力な魔物の群れにやられました。あらかじめ作っておいたトラップ地帯に誘導できなければ、我々も危なかったです」

 

例のフリードも大迷宮の神代魔法を狙っているので、当然と言えば当然だ。

そして、当然ながらフェアベルゲンの戦士達も応戦したのだが、魔人族の率いる昆虫の様な魔物は樹海の霧の影響を受けず、劣勢に陥ったらしい。

その為熊人族の戦士が恥を忍んでハウリアに応援を頼んだそうだ。

ハウリア族の長であるカムはそれを承諾。

ハウリアにも多少の被害は出たそうだが、魔人族を見事撃破したそうだ。

しかし、魔人族を退けたまでは良かったものの戦いの事後処理に追われ、警備に手を回せる余裕がなかった。

そこでタイミング悪く帝国の兵士が樹海に侵入して来て、多くの亜人族が奴隷として捕らえられてしまったのだ。

ハウリアが帝国兵の1人を攫って尋問した結果、帝国にも魔人族の襲撃があったらしく、復興のための労働力確保と消費した亜人族の補充の必要性から樹海に踏み込んだのだそうだ。

カムはハウリア族の少数を率いて同族を救うために帝都へと向かったのだが、帝国へ着いた辺りでカム達からの連絡が途絶えてしまった。

何かあったのではと考えた残っていたハウリア族の中で何人かを選抜し、帝都へと向かったのがパル達だった。

そこでカム達の情報を集めていたのだが、その途中大量の亜人族を乗せた輸送馬車が他の町に向けて出発したという情報を掴み、パル達の班が情報収集も兼ねて奪還を試みたということだ。

そこで一行と合流したそうだ。

 

「しかし、お頭。〝も〟ということは、もしや魔人族は他の場所でも?」

 

「うん、あちこちで暗躍してる。 まぁ、何故か毎度毎度僕達がいたせいで尽く潰えているけど」

 

「まぁ、大体の事情はわかった。取り敢えず、君等は引き続き帝都でカム達の情報を集めるって事だね?」

 

「はい。あと、お頭には申し訳ないんですが……」

 

「わかってるよ。捕まってた人達は、序に樹海までは送り届けておくよ」

 

「有難うございます!」

 

パル達が一斉に頭を下げる。

シアは何か言いたそうにモゴモゴしていたが、結局何も言わなかった。

 

 

 

 

 

再び足を踏み入れた【ハルツィナ樹海】は、以前と変わらず10m先もハッキリとしない様な濃霧に覆われていた。

はぐれない様に周りを亜人族達に囲んでもらい、森の中を進む。

暫く歩いていると、

 

「ハジメさん、武装した集団が正面から来ますよ」

 

すると、濃霧の先からいつだったかと同じように、虎耳の集団が現れた。

そして、そのリーダーと思われる男も拓也達には見覚えがあった。

 

「あなた達は、あの時の……」

 

ハジメが反応すると、相手も覚えていたようで驚いた表情になる。

すると、

 

「一体、今度は何の……って、アルテナ様!? ご無事だったのですか!?」

 

「あ、はい。彼等とハウリア族の方々に助けて頂きました」

 

ハジメの傍らにいたアルテナに気付き、驚愕の声を上げた。

 

「それはよかったです。アルフレリック様も大変お辛そうでした。早く、元気なお姿を見せて差しあげて下さい。……少年。お前は、ここに来るときは亜人を助けてからというポリシーでもあるのか? まぁ、礼は言わせてもらう」

 

「ただの偶然ですよ」

 

言葉を交わすハジメ達にここを訪れるのが初めてのメンバーが首を傾げていると、シアが以前の出来事を掻い摘んで説明した。

 

「それより、フェアベルゲンにハウリア族はいる? あるいは、今の集落がある場所を知ってる?」

 

「む? ハウリア族の者なら数名、フェアベルゲンにいるぞ。聞いているかもしれないが、襲撃があってから、数名常駐するようになったんだ」

 

「それは好都合だね。じゃあ、早くフェアベルゲンに向かおう」

 

フェアベルゲンに辿り着いた俺達が見たのは、所々に破壊痕が残る光景だった。

 

 

 

「ひどい……」

 

香織が呟く。

多くの同胞が攫われた所為か、フェアベルゲン全体に暗い空気が漂っているように思える。

そこに一行に気付いた亜人族達が、攫われた仲間達も居ることに気付き、集まって来た。

その中にはアルフレリックの姿も見える。

 

「お祖父様!」

 

「おぉ、おお、アルテナ! よくぞ、無事で……」

 

アルテナがアルフレリックの胸に飛び込み涙を流す。

しばらく抱き合っていた二人だが、そのうちアルフレリックは、孫娘を離し優しげに頭を撫でると、ハジメに視線を向けた。

 

「……とんだ再会になったな、南雲ハジメ。まさか、孫娘を救われるとは思いもしなかった。縁というのはわからないものだ。……ありがとう、心から感謝する」

 

「僕は送り届けただけです。感謝するならハウリア族にしてください。僕は、ここにハウリア族がいると聞いて来ただけです」

 

「そのハウリア族をあそこまで変えたのもお前さんだろうに。巡り巡って、お前さんのなした事が孫娘のみならず我等をも救った。それが事実だ。この莫大な恩、どう返すべきか迷うところでな、せめて礼くらいは受け取ってくれ」

 

アルフレリックの言葉にハジメは困った様に肩を竦めた。

そんな風に感謝されているハジメを見て、光輝は面白くなさそうな表情をしていた。

人間を救うために迷宮に潜って訓練を積んできた自分よりも、世界を巡り意図せず人々を救ってきたハジメや拓也達が称賛されている事に納得がいかないのだろう。

その後、アルフレリックの家で一息ついていると、

 

「お頭! お久しぶりですっ!!」

 

音もなくハウリア族の集団が現れ、ハジメの下に跪いていた。

突然の事に、光輝達はお茶を噴き出す。

 

「あ~、うん、久し振りだね。でも、皆が驚くから、気配消したままいきなり声を掛けるのは止めようか」

 

まあ、ここまで気配を消す事を覚えさせたのはハジメなのだが。

 

「ここに来るまでにパル達と会って大体の事情は聞いてる。中々、活躍したそうだね? 連中を退けるなんて大したものだよ」

 

「「「「「「勿体なきお言葉!!」」」」」」」

 

「ハウリア族以外の奴等も訓練させていたみたいだけど、今、どれくらいいる?」

 

「……確か……ハウリア族と懇意にしていた一族と、バントン族を倒した噂が広まったことで訓練志願しに来た奇特な若者達が加わりましたので……実戦可能なのは総勢百二十二名になります」

 

随分と増加したものだとハジメのみならずシアやユエ、拓也も驚きをあらわにする。

ハジメは、質問の意図がわからず疑問顔を浮かべるハウリア族に向かって口を開いた。

 

「それくらいなら全員一度に運べるね。帝都に行くメンバーを集めて。全員まとめて送り届けてあげるから」

 

「は? はっ! 御意!」

 

一瞬、何を言われているのか分からなかったようで間抜け顔で聞き返すハウリア族だったが、直ぐにハジメが帝都に同行してくれるという意味だと察し、跪いたまま頭を下げると、仲間を引き連れて他のハウリア族を呼びに急いで出て行った。

そして、その言葉に一番驚いていたのは外ならぬシアだった。

ウサ耳をピンと立てて、目を丸くしている。

 

「ハ、ハジメさん……大迷宮に行くんじゃ……」

 

「カム達のこと気になってるんでしょ?」

 

「っ……それは……その……でも……」

 

シアは言い淀んでいたが、

 

「シア、君に暗い顔は似合わない。カム達が心配なら心配だって言えばいいよ」

 

「で、でも……」

 

「でもじゃない。何を今更、遠慮なんてしてるの? いつもみたいに、思ったことを思った通りに言えばいいんだよ。シア、君を受け入れたのはその時の済し崩しかもしれないけど、受け入れようと思えるぐらい君の事を大切に思ってるのは確かなんだ」

 

「ハジメさん、私……」

 

「ほら、言ってみて。ちゃんと聞いてあげるから」

 

「……私、父様達が心配ですぅ。……一目でいいから、無事な姿を見たいですぅ……」

 

「全く、最初からそう言えばいいんだ。今更、遠慮なんてするからどうしたのかと思ったよ?」

 

「わ、私、そこまで無遠慮じゃないですよぉ! もうっ、ハジメさんったら、ほんとにもうっですよぉ!」

 

シアは嬉しそうに笑う。

 

「……ん。シア、可愛い」

 

「ホント、可愛いよね、シア」

 

ユエと香織もほっこりと笑う。

 

「まぁ、惚れた男にあんな風に言われれば嬉しいでしょうね……」

 

雫がそう呟く。

その視線は輝二の事をジーッと見つめていたりする。

 

「…………」

 

輝二はその視線に気付かない振りをしていた。

 

「ご主人様も、妾達にあのようなセリフを言ってくれはしないかのう?」

 

ティオも便乗して拓也に視線を向けた。

 

「いや、俺にあんな歯の浮く様なセリフは似合わないだろ?」

 

「そうよね。拓也って恋愛に関しては割と奥手だし」

 

拓也の言葉に優花が同意した。

実際拓也と優花の関係も、優花がアタックし続けた末だ。

拓也から誘う事は滅多に無かった。

まあ完全なゼロではないが。

ティオとの関係もティオから迫ってきていたので、こちらも拓也が奥手だったと言って良い。

夜に関しては立場が逆転している様だが。

 

「…………………………」

 

そんな拓也達を、無表情で見つめるノイント。

しかし、その瞳には何処か寂しさを伺わせるように思えた。

 

「…………………?」

 

そして、ノイント自身もそんな自分の気持ちが分からないのか、自分の胸に手を当てて首を傾げている。

 

「『大切』という………気持ち…………」

 

そしてまた1つ、ノイントの心に一つの感情が芽生えるのだった。

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

 

カム達の行方を知るために帝都を訪れた拓也達。

ギルドで情報を得てカム達の救出作戦が決行される。

そこで聞いたカム達の決意とは?

 

 

 

次回、ありふれたフロンティアへ

 

 

 

第32話 ハウリアの決意

 

 

 

今、ありふれた伝説が進化する。

 

 

 

 




はい、第31話です。
ウサミミ忍者軍団と言ったがあまり忍者してなかった。
まあ過去作のコピペが多いです。
次回は帝都編となります。
お楽しみに。


P.S 今週の返信もお休みします。
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