ありふれたフロンティアへ   作:友(ユウ)

7 / 51
第6話 金色の吸血姫

 

 

 

 

爪熊を倒したハジメ達は、この階層を隈なく探索したが、下に降りる階段はあっても、上へあがる階段を見つける事は出来なかった。

ハジメはこの階層を、後戻り不可の隠しダンジョンのようなものではないかと予想し、仕方なく下へ降りることにした。

もしかしたら、迷宮をクリアする事で地上に戻れる仕掛けがあるかもしれないという可能性を信じて。

ハジメと香織は下へ下へと向かっていく。

その道中に出て来る魔物はどれも凶悪と言っていいものばかりだった。

石化能力を持つ魔物や、猛毒を持つ巨大なカエル、巨大ムカデに襲われた時もあった。

それらをハジメは香織と共に協力して打倒していった。

 

 

 

 

 

しかし、階層を進むにつれて、香織の表情は曇っていく。

何故なら、

 

(どうしよう…………このままじゃ、ハジメ君が居なくなっちゃう…………)

 

香織は無事地上に戻れたら、ハジメは自分の前から姿を消すと何となく察していた。

それは、最近のハジメは香織と触れ合う事を避けるようになったし、寝る時も必ず2人別々の空間を作り、狭い空間内に2人だけでいる事が無い様にしていた事からも明らかだ。

 

(……………どうしたら………ハジメ君を引き留められるの…………?)

 

香織は考えを巡らせるが、答えは出ない。

答えが出ないまま2人は流れ着いた階層から数えて地下50階層に辿り着いた。

その時の2人のステータスはこうなっている。

 

 

 

 

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:49

 

天職:錬成師

 

筋力:680

 

体力:800

 

耐性:680

 

敏捷:900

 

魔力:1050

 

魔耐:1050

 

 

 

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解

 

 

 

 

白崎香織 17歳 女 レベル:49

 

天職:治癒師

 

筋力:500

 

体力:600

 

耐性:650

 

敏捷:500

 

魔力:1200

 

魔耐:1200

 

技能:回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇] [+複数同時発動] [+イメージ補強力上昇][+浸透看破][+範囲回復効果上昇][+遠隔回復効果上昇][+状態異常回復効果上昇][+消費魔力減少]・光属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇] [+持続時間上昇][+連続発動]・高速魔力回復[+瞑想] ・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地] [+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解

 

 

 

 

 

そして、この50階層には、少し他の階層とは違うものがあった。

それは 脇道の突き当りにある空けた場所に高さ3メートルの装飾された荘厳な両開きの扉が有り、その扉の脇にはそれぞれの一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれるように鎮座していたのだ。

 

「この扉…………迷宮の物とは何か違うよね………」

 

香織が何となくそう言った。

 

「うん………もしかしたら、これは製作者が違うのかもしれない」

 

ハジメはそう推測する。

この迷宮に後付けで作ったもの。

ハジメは何となくそう思った。

ハジメが扉に触れるがまだ何も起こらない。

しかし、ハジメが押しても引いても扉はビクともせず、仕方なく錬成を行使しようとした瞬間、バチバチッという音と共にハジメが弾かれた。

 

「うわっ!?」

 

「ハジメ君!?」

 

吹き飛ばされたハジメが後ろに倒れ、香織が駆け寄る。

扉に触れていたハジメの手が煙を上げている。

香織は慌てて回復魔法を行使した。

すると、

 

「「オォオオオオオオオオオオオオオオッ!!」」

 

野太い雄叫びが部屋中に響き渡った。

ハジメと香織は咄嗟に飛び退き、警戒する。

 

「何となくそんな気もしてたけど、やっぱり!」

 

そう言うハジメの視線の先で、扉の両隣りに掘られていた2体の一つ目巨人が表面の鉱石辺を撒き散らしながら動き出そうとしていた。

その姿は所謂サイクロプスと呼ぶべき風貌だ。

埋まっている下半身を抜き出し、侵入者を排除しようと動き出す。

その瞬間、

 

――ドパンッ!

 

発砲音が響き渡った。

 

「悪いけど、ゲームみたいに悠長に待ってるほど余裕がある訳じゃないんだ」

 

先手必勝とばかりにハジメがドンナーで右のサイクロプスの一つ目を撃ち抜いたのだ。

更に、

 

「〝縛光鎖〟!!」

 

迷宮攻略で既に十八番となりつつある拘束魔法を発動させる香織。

左のサイクロプスが光の鎖で雁字搦めになった。

 

「グ、グォッ!?」

 

焦ったような声を漏らすサイクロプス。

 

「ごめんね」

 

気軽な声で謝ると、ハジメは引き金を引いた。

右と同じように左のサイクロプスも一つ目を撃ち抜かれて絶命した。

すると、ハジメは扉にある二つの窪みを見て、もう一度サイクロプスに目をやる。

 

「もしかして…………」

 

ハジメは思い立ったように『風爪』でサイクロプスの体内から魔石を取り出す。

それを扉の窪みにはめ込むとピッタリとはまり込んだ。

直後、魔石から赤黒い魔力光が迸ほとばしり魔法陣に魔力が注ぎ込まれていく。

そして、パキャンという何かが割れるような音が響き、光が収まった。

 

「思った通り………!」

 

ハジメはそう言うと扉に手を掛ける。

すると、ゆっくりと扉が開いた。

扉の中は真っ暗だったが、ハジメと香織は〝夜目〟の技能を持つため問題は無い。

ハジメは、罠でいきなり閉じ込められることを想定して、扉を大きく開けて固定しようとした。

その時、

 

「………だれ?」

 

女の子の声が聞こえた。

すると、ハジメが目を見開き、

 

「人………なのか?」

 

部屋の奥を見て呆然と呟いた。

 

「うん………女の子………だよね?」

 

香織も目を見開く。

そこには、立方体に埋め込まれるように上半身だけを出した、金髪の少女が居た。

すると、

 

「……お願い! ……助けて……」

 

かすれた声で少女が叫ぶ。

助けを求める声。

 

「……なんでもする……だから……」

 

その声からは必死さが伝わってくる。

ハジメは香織と顔を見合わせる。

香織はコクンと頷いた。

 

「………わかった。だけど、罠の可能性もあるから慎重にね」

 

その言葉に再び頷く香織。

2人は辺りを警戒しながら少女に近付く。

そして、少女の前に辿り着くと、

 

「別に君を助けるのは吝かじゃない。だけど、罠の可能性も拭えない。こんな所に封印されてるなら尚更ね」

 

ハジメはそう言った。

 

「ちがう! ケホッ……私、悪くない! ……待って! 私……」

 

少女は咳き込みながら必死に何かを伝えようとし、

 

「裏切られただけ!」

 

「ッ…………」

 

裏切り。

それはハジメや香織が橋から落ちたのもクラスメイトの裏切りが原因だ。

その言葉にハジメの心が揺れ動く。

 

「裏切られたって言ってたけど、それはここに封印された理由にはなって無いよ。その話が本当だとして、裏切った奴は何でここに君を封印したの?」

 

ハジメが更に問いかけた。

 

「私、先祖返りの吸血鬼……すごい力持ってる……だから国の皆のために頑張った。でも……ある日……家臣の皆……お前はもう必要ないって……おじ様……これからは自分が王だって……私……それでもよかった……でも、私、すごい力あるから危険だって……殺せないから……封印するって……それで、ここに……」

 

「君、何処かの国の王族だったの?」

 

その言葉に何度も頷く少女。

 

「殺せないってどういう事?」

 

「……勝手に治る。怪我しても直ぐ治る。首落とされてもその内に治る」

 

「……そ、それは凄いね……すごい力ってそれの事?」

 

「これもだけど……魔力、直接操れる……陣もいらない」

 

「なるほどね…………」

 

ハジメが納得した様に頷く。

今聞いた話が本当なら、勇者である光輝すら凌ぐチートである。

すると、

 

「……たすけて……」

 

嘘偽りのない、純粋に助けを求める声。

それを無視する事は、ハジメには出来なかった。

 

「わかった………助けるよ」

 

ハジメの判断に、香織が笑みを浮かべる。

そのままハジメは立方体に手を付けると、錬成を発動させた。

 

「ぐっ、抵抗が強い………! でも、今の僕なら!」

 

ハジメは更に魔力をつぎ込む。

そこまでやってようやく魔力が立方体に浸透し始める。

ハジメは更に魔力を上乗せすると女の子を封じる周りの石が徐々に震え出す。

 

「まだだっ!」

 

少女はハジメの迸る紅い魔力を目を見開きながら見ている。

直後、少女の周りの立方体がドロッと融解したように流れ落ちていき、やがて体の全てが解き放たれ、少女は地面にペタリと女の子座りで座り込んだ。

どうやら立ち上がる力が無い様だ。

ハジメも座り込み息を荒くしている。

どうやら全魔力を使い切ったらしい。

ハジメが神水の入った容器を取り出し、口に含もうとした所で、その手が金髪の少女に掴まれた。

その少女は真っ直ぐにハジメを見つめ、

 

「………ありがとう」

 

そうお礼を言った。

ハジメは微笑むと、

 

「どういたしまして」

 

そう返した。

 

「……名前、なに?」

 

少女がそう問いかける。

 

「ハジメだよ。南雲 ハジメ。君は?」

 

ハジメがそう言うと、少女は何度も「ハジメ、ハジメ」とその名を心に刻みつけるように何度も繰り返した後名前を答えようとして、少し押し黙った後に口を開いた。

 

「……名前、付けて」

 

「えっ? 付けるってどういうこと? まさか忘れたとか?」

 

その問いかけに少女はふるふると首を振ると、

 

「もう、前の名前はいらない。……ハジメの付けた名前がいい」

 

過去との決別を意味する様にそう言った。

 

「……えぇ、そうは言っても………」

 

ハジメはそう言いながら意見を求めようと香織に視線を向けようとして、

 

「全部ハジメが決めて………ハジメだけの名前が良い………」

 

その意見を却下された。

ハジメは少し悩むように頭を掻き、そして口を開いた。

 

「『ユエ』なんてどうかな? 気に入らなかったら別のを考えるけど……」

 

「ユエ? ……ユエ……ユエ……」

 

「うん、ユエって言うのは、僕達の故郷で〝月〟を表すんだ。最初、この部屋に入ったとき、君のその金色の髪とか紅い眼が夜に浮かぶ月みたいに見えたから……どうかな?」

 

ハジメが確認する様に問いかけると、

 

「……んっ。今日からユエ。ありがとう」

 

少女改めユエは、その名を気に入ったようだ。

 

「まあ、取り敢えず……」

 

「?」

 

礼を言うユエの握っていた手を解き、着ていた外套を脱ぎ出すハジメ。

そしてそれをユエに差し出す。

 

「これ着といて。目のやり場に困るから………」

 

「……」

 

ユエは思い出したように何も着ていない自分の身体を見下ろす。

元々裸で封印されたのか、それとも服が風化してしまったのか。

 

「ハジメのエッチ」

 

「……」

 

何を言っても墓穴を掘りそうだったので、ハジメは無言を通した。

すると、ユエはふと香織に視線を移した。

 

「あなたは…………?」

 

問いかけられた香織が答える為に、口を開こうとした時だった。

 

「「ッ!?」」

 

ハジメと香織の気配感知に突如反応が現れた。

ハジメはユエを抱え、香織と共に飛び退く。

その直後、天井から巨大なものが落下してきて目の前に着地する。

砂煙を巻き上げて現れたそれは、一言で言うなら巨大な蠍。

ただし尾が2本あり、鋏も4本だ。

硬そうな甲殻に覆われた巨大な蠍の魔物だった。

 

「ユエを助けた直後に現れたって事は、ユエを逃がさないための仕掛けかな!?」

 

ハジメはそう推測する。

ハジメはユエを降ろすと、ポーチから神水を取り出すとユエの口に突っ込んだ。

 

「うむっ!?」

 

神水の効果で衰弱していたユエの体力を回復させる。

ハジメはそのままユエを背中に背負うと、

 

「しっかり掴まってて! ユエ! ここまで来て見捨てるのはカッコ悪いからね!」

 

そう叫びながらサソリの魔物に立ち向かう。

ハジメがそう叫んだ瞬間、巨大蠍が2本の尾内の1本の先から紫色の液体を噴出させた。

飛び退いたハジメが居た場所にその液体が当たると、ジュワーっという音と共に地面が溶けてしまう。

溶解液だ。

ハジメは溶解液を躱すと巨大蠍に発砲する。

だが、巨大蠍の甲殻に当たった瞬間、それが弾かれた。

今までほとんどの魔物を一撃で屠ってきたその弾丸。

その弾丸が通用しなかった事に、ハジメは軽く目を見開いた。

 

「〝縛光鎖〟!」

 

続けて香織が光の鎖で拘束しようとする。

4本の鋏と2本の尻尾に光の鎖が絡みつく。

しかし、

 

「ギィィィィィィッ!」

 

巨大蠍が泣き声を上げると、強引に光の鎖が引き千切られた。

 

「何て力………私じゃ数秒が限界だよ………」

 

巨大蠍の力に戦慄を感じる香織。

すると、巨大蠍はもう1本の尾をハジメに向けると、凄まじい速度で無数の針を撃ち出した。

 

「ッ!?」

 

突然の攻撃にハジメの反応が遅れてしまう。

だが、

 

「〝聖絶〟!」

 

香織が展開した結界がその針の全てを防いだ。

 

「あ、ありがとう香織」

 

ハジメはお礼を言った時、巨大蠍の足元に円柱状の金属の塊が転がってきて次の瞬間、それは爆発して巨大蠍を炎で包んだ。

ハジメお手製の焼夷手榴弾だ。

「ギィィィィィィッ!」と苦しむ声を上げる巨大蠍。

そこに、

すると、

 

「ギギィィィィィィィィィィィッ!!」

 

と巨大蠍は怒りの咆哮の様な叫び声を上げると2つの尾から針を乱射してきたのだ。

逃げる隙間もない程の針の嵐。

しかし、その全ては香織の〝聖絶〟によって防がれていた。

 

「それにしても………どうしようか………?」

 

ハジメはそう零す。

飛び道具は香織の聖絶で防げるが、多分鋏で直接殴られれば砕けるだろうと予想する。

更にはこちらからの攻撃も通じない。

正直手詰まりだ。

 

「……どうして?」

 

「え?」

 

「どうして逃げないの?」

 

ユエは自分を置いて逃げれば助かるかもしれない、とでも考えているのだろう。

それに対して、ハジメは呆れたような視線を向ける。

 

「何を今更。ちょっと強い敵が現れたぐらいで見放すほど落ちちゃいないよ」

 

自分の言葉には責任を持つ。

それがハジメだ。

ハジメはユエを助けると言った。

だからこの程度で見捨てる選択肢などあり得ない。

ユエは何か納得したように頷き、いきなりハジメに抱きついた。

 

「ッ………!?」

 

香織が一瞬目を見開く。

 

「え、え? どうかした?」

 

状況が状況だけに若干動揺するハジメ。

だが、ユエはハジメの首に手を回し、

 

「ハジメ……信じて」

 

「ッ!?」

 

そう言ってユエは、ハジメの首筋にキスをした。

いや、血を吸っていたのだ。

ユエは吸血鬼。

ならば血を吸っている事にもきっと意味がある筈。

そう直感したハジメは、されるがままに血を吸われる。

やがて業を煮やした巨大蠍が直接結界を砕こうと近付くために動き出した。

その時、ユエが口を放し、

 

「………ごちそうさま」

 

そう言うとユエは立ち上がり、巨大蠍に向けて片手を掲げる。

そして、

 

「〝蒼天〟」

 

その一言を呟いた。

その瞬間、巨大蠍の頭上に直径六、七メートルはありそうな青白い炎の球体が出現する。

ユエがそのまま掲げた手を振り下ろすとその炎の球体が落下、巨大蠍に直撃する。

 

「グゥギィヤァァァアアア!?」

 

絶叫を上げる巨大蠍。

やがて、魔法の効果時間が終わったのか青白い炎が消滅する。

そこには、背中の外殻を赤熱化させ、表面をドロリと融解させて悶え苦しむ巨大蠍の姿があった。

 

「ユエ、無事?」

 

「ん……最上級……疲れる」

 

「はは、凄かった。助かったよ。後は僕達がやるから休んでて」

 

「ん、頑張って……」

 

ハジメはそう言って巨大蠍を見据える。

 

「香織、一瞬でいい! 合図をしたらあいつの動きを止めて!」

 

「分かったよ! ハジメ君!」

 

ハジメは駆け出すと、巨大蠍はハジメに向かって無数の針を飛ばす。

ハジメは縮地を駆使してその弾幕を掻い潜ると、

 

「香織!!」

 

「〝縛光鎖〟!!」

 

ハジメの合図で香織が再び光の鎖で巨大蠍を拘束しようとする。

しかし、巨大蠍は強引に動き出し、その鎖を引き千切ろうとした。

 

「まだだよ!」

 

香織は叫ぶと、光の鎖を2重3重と連続してかけていく。

1本の鎖で引き千切られてしまうなら、数を増やせばいいという理屈だ。

流石の巨大蠍もこうなればそう簡単に動くことは出来ない。

その隙にハジメがユエの魔法で熔けた頭の甲殻の上に降り立った。

 

「これで終わりだよ!」

 

至近距離からドンナーを連射する。

熔けて薄くなっていた甲殻では、その攻撃に耐えることはできなかった。

遂に砕け、弾丸がその内部を蹂躙する。

やがて、巨大蠍がゆっくりと傾き、そのままズズンッと地響きを立てながら倒れ込んだ。

倒れる前に退避したハジメは、地面に着地する。

完全に死んだことを確認すると、ホッと息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

戦いが終わった後、ハジメ達はユエから話を聞いていた。

 

「そうすると、ユエって少なくとも三百さ…………何でもありません」

 

ハジメは口から出ようとした言葉を飲み込む。

ユエや香織がジトッと睨まれたからだ。

ハジメは苦笑いしながら巨大蠍の一部から肉をはぎ取っている。

 

「吸血鬼って、皆そんなに長生きするの?」

 

「……私が特別。〝再生〟で歳もとらない……」

 

「不死身の固有魔法ってことか………」

 

「……うん」

 

「ところで、ユエはここがどの辺りか分る? 地上への脱出の道とか……」

 

「……分からない。でも、この迷宮は【反逆者】の1人が作ったと言われている」

 

「反逆者?」

 

「神が治めていた時代に、神に挑んだ、神の眷属の事………」

 

「神に逆らった人がいたの?」

 

「世界を滅ぼそうとしたと伝わってる………目論見外れて反逆者達が逃走した場所が【大迷宮】………」

 

「じゃあここ、【オルクス大迷宮】も………」

 

「うん………大迷宮の一番深い所に、反逆者の住処があるみたい………」

 

「奈落の底の最深部………か………」

 

「そこなら、地上への道があるかも…………」

 

「なるほど、神代の魔法使いなら転移系の魔法で地上とのルートを作っていても不思議じゃない」

 

ハジメは先程から何か錬成でカチャカチャとやっているが、明らかに今までとは大きさの違うそれは、対物ライフルだ。

どうやら巨大蠍との戦いで攻撃力不足を実感したらしい。

すると、ユエが口を開いた。

 

「…………ハジメ達は、どうしてここにいる?」

 

「………そうだね、あまり面白い話じゃ無いけど………聞く?」

 

「………んっ!」

 

ハジメの言葉にユエは頷く。

ハジメは今までの事を掻い摘んで話した。

大体話し終わった時、ユエはグスッと泣いていた。

 

「いきなりどうしたの?」

 

「……ぐす……ハジメ……香織………つらい……私もつらい……」

 

「気にしないで」

 

そう言って微笑むハジメに、ユエも微笑み返した。

それを見ていた香織は、ズキッと胸に痛みが走るのを感じた。

胸を掻きむしる様に服を握りしめる。

だが、それと同時に、

 

(…………見つけたかもしれない…………ハジメ君を………引き留める方法を………)

 

一筋の………捨て身とも言える光明を……………

 

 

 

 

 

 

 

 

次回予告

 

 

ユエを仲間に加え、迷宮を攻略していくハジメ達。

幾多の戦いを乗り越え、ハジメ達は遂に第100階層へと辿り着く。

そこに現れる最後のガーディアン。

強大な力を持つ相手に、ハジメ達に勝ち目はあるのか!?

 

 

 

次回、ありふれたフロンティアへ

 

 

第7話 最後の試練

 

 

今、ありふれた伝説が進化する。

 

 

 

 

 






はい、第6話です。
スタートダッシュ3です。
所々に前作のコピペがあるけど気にしない様に。
ここの所デジモン関係が全く出てないけどもうちょっと待ってください。
今回はユエとの出会いでした。
さて、香織の見つけ出した光明とは?
次もお楽しみに。

ボコモンとネーモンが仲間になりたそうにこちらを見ています。同行しますか? しませんか?

  • Yes
  • No
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。