―――1年前
拓也が『彼女』と関わる事になった切っ掛けは、休日のサッカー部の練習の帰り道の事だった。
拓也がサッカーボールをリフティングしながら帰路についていると、
「いやっ! 誰かっ……もごっ!?」
微かな悲鳴が聞こえ、拓也がそちらを見た時、3人の男によって1人の少女が路地裏に連れ込まれる所を目撃した。
「ッ! ほっとく訳にはいかないな!」
熱血で正義感が強い拓也はそれを見て見ぬ振りは出来なかった。
拓也が路地裏に駆け込むと、そこには少女が男2人に両腕を掴まれ、正面に居た男に今にも強姦されそうな瞬間だった。
「おらっ!」
拓也は反射的に持っていたサッカーボールを蹴り飛ばし、正面の男の顔面に直撃させた。
「ぶべっ!?」
男は派手に倒れ、頭を打ったのか気絶している。
すると、残りの2人が逆上して襲い掛かって来た。
とは言え、かつてデジモンに進化してケルビモンやロイヤルナイツ、ルーチェモンらと戦って来た拓也にとって、その辺のチンピラなど怖くは無い。
相手のパンチを見切って避けると、1人は塀を殴りつけて自爆し、もう1人も襲い掛かってくるが、拳を寸止めして脅したら、すぐに戦意を喪失した。
拓也は少女に歩み寄ると手を差し出し、
「大丈夫だったか?」
そう声を掛けた。
「あ……………」
少女は呆然として拓也を見上げると、
「う、うん…………」
頬を赤らめ、やや遠慮がちに拓也の手を取って立ち上がった。
拓也が改めてその少女を見ると、見覚えがある事に気付いた。
「あれ? 確かお前は同じクラスの…………園部………だったか?」
拓也はあまり交流が無い相手に、やや自信無さげに訊ねる。
「う、うん………そう言うあなたは、神原………君………よね?」
その少女、園部 優花は頷き、同じように拓也の名を確認する。
「ああ。神原 拓也だ」
「あ、その………園部 優花……よ」
拓也が改めて名乗った事で、優花もフルネームで自己紹介する。
「そうか、危ない所だったな。助けられてよかったよ」
そう言った拓也に優花はハッとして、
「あ、その……助けてくれて、ありがとう……お陰で助かったわ………」
優花は少ししどろもどろになりながらそうお礼を言った。
「どういたしまして。ところでさっきから顔が赤いけど風邪か?」
拓也は不思議そうに優花の顔を覗き込んだ。
「ッ……!? だ、大丈夫! そういうのじゃないから………!」
顔を覗き込んだことで拓也の顔が近付き、ますます真っ赤になる優花。
「そうか? 大丈夫ならいいんだが………」
そう言って顔を離す拓也。
2人は路地裏から出ると、
「優花っち!」
優花の友達である奈々と妙子が駆け寄って来た。
「奈々、妙子」
「優花っち!」
奈々がそのまま優花に抱き着く。
「優花、大丈夫だった!? 酷い事されてない!?」
妙子も心配そうに尋ねる。
「だ、大丈夫よ……神原君に助けてもらったから………」
優花がそう言いながら拓也を見る。
「神原………?」
奈々がその名を呟きながら振り返ると、
「あ~~~~~~!」
驚いた様に叫びながら拓也を指差した。
「神原君って、神原 拓也君!? サッカー部で噂の!?」
奈々がそう言うと、
「いや、噂かどうかは知らないけど、サッカー部に所属してる神原 拓也だが………」
拓也は奈々の勢いに押され気味になりながらそう答える。
「サッカー部の神原君って言えば、入部早々に先輩達を差し置いてエースの座を勝ち取りレギュラー入り! この前の練習試合じゃいきなり3得点の大活躍だったって話じゃん!」
妙子が拓也の活躍話を口にする。
「いや、まあ、そうだけど………」
拓也は少々困惑しながらその話を肯定する。
「ふ、2人とも………神原君ってそんなに有名なの?」
優花が尋ねると、2人は揃って頷いた。
「うん。女の子のファンも多いらしいよ」
奈々がそう言うと、
「そ、そうなんだ…………」
優花は少し残念そうな表情をした。
微妙な空気になり、居辛くなった拓也は、
「あ~、どうやら友達とも合流できたみたいだし、俺はもう行くから。それじゃ!」
拓也はそう言ってさっさと退散しようとした。
その時、
「あっ…………ま、待って!」
優花の強い口調と共に、拓也の手が優花に取られ、引き留められる。
「ど、どうした……?」
引き留められるとは思ってなかった拓也が振り返りながら訪ねると、
「………お、お礼……!」
「えっ?」
「お礼させて………! 私の家………洋食店だから、ご飯を奢る事ぐらいは出来るから……!」
優花は拓也の手を取ったままそう言う。
「い、いや、お礼なんかいいって」
拓也はそう言って断ろうとしたが、
「そ、それじゃあ私の気が済まないの!」
優花は尚も食い下がる。
すると、そんな優花を見た奈々と妙子が、ピキーンと何かを察した表情をして、
「まあまあ、優花っちもこう言ってくれてる事だし、奢られてあげてよ神原君」
「そうそう。それに優花の家の洋食店は美味しいから!」
優花を援護する様に拓也を説得し始めた。
結局3人の攻めに断り切る事ができず、優花の両親が経営している洋食店、『ウィステリア』に行く事となった。
そう言う訳でウィステリアに招待された拓也。
店の中に入ると、
「いらっしゃ……あら優花?」
「ただいま。お母さん」
優花は母親らしき女性店員に声を掛ける。
「奈々ちゃんに妙子ちゃんもいらっしゃい」
「「こんにちは~!」」
奈々と妙子は顔見知りなようで気軽に声を掛ける。
それから拓也に視線が向いた。
「あら? 男の子?」
意外そうに声を漏らした。
「ど、どうも………」
拓也は緊張気味に頭を下げる。
「珍しいわね。優花が男の子を連れて来るなんて」
女性店員がそう言うと、
「その………同じクラスの神原 拓也君なんだけど、ナンパ男に絡まれたところを助けてもらって、お礼をしたくて連れてきたの」
流石に心配を掛けたくなくて、強姦しかけられたとは言わなかったが、嘘ではない。
「あらあら、そうなの?」
すると、彼女は拓也に向き直り、
「初めまして。私は優花の母の園部 優理といいます。この度は娘がお世話になったようで………」
その女性、優理が拓也に頭を下げる。
「あ、いや……偶々通りかかっただけですから気にしないでください」
拓也は遠慮がちにそう言う。
「だから、お礼として食事を奢ろうと思って………」
優花はそう言ったが、優理はそんな娘の姿を見て、何かを察した様に微笑んだ。
「ああ、そういう事…………分かったわ。準備するからそこの席で待ってて。優花、手伝いなさい」
優理は優花を伴って厨房の方へ引っ込む。
「………………」
拓也はここまでされて遠慮するのは逆に失礼だと思ったので、お言葉に甘える事にした。
暫く待っていると、
「お、お待たせ………」
優花が1つの皿を持って現れた。
その姿は、何処か緊張しているように見える。
その後ろでは、優理がニコニコと笑っていた。
優花が拓也の前に皿を置く。
それは、綺麗な形をしたオムライスだった。
美味しそうな香りが拓也の鼻を擽る。
「おお……! 美味そうだ………!」
一目見ただけで美味そうだと分かる見た目と香り。
拓也は備えられていたスプーンを手に取ると、
「いただきます!」
そう言ってひとさじ掬って口へ運んだ。
「………………!」
その様子を優花は緊張気味に見ている。
拓也が一口食べると、
「ッ!?」
拓也は驚いた様に目を見開いた。
「ど、如何………?」
その様子に優花はやや不安気味に問いかけた。
すると、
「………めっちゃ美味ぇ……!」
拓也は驚いた様にそう呟いた。
拓也は次々とオムライスを口に運ぶ。
そして気がつけば、それなりの量があったオムライスが空になっていた。
「ごちそうさま!」
拓也は満足そうに手を合わせてそう言った。
すると、
「如何だったかしら?」
優理がそう訊ねた。
「はい! 滅茶苦茶美味しかったです! 今まで食べたオムライスの中じゃ、一番って言う位の!」
拓也は大絶賛だ。
「これはおすすめされたのがよくわかるな。優理さんが作ったんですか?」
拓也がそう聞くと、優理はクスクスと笑って、
「……だそうよ優花。よかったわね、気に入ってくれて」
隣の優花にそう言った。
その優花は顔を真っ赤にして俯いている。
その言葉に拓也が「えっ?」っと優花に視線を向けた。
「今のオムライスは、全部優花が作ったものよ」
「園部が!?」
拓也は驚いた様に声を上げた。
「な、何よ………! 私はこれでもこの店を継ぐつもりなのよ。料理位出来るわよ……!」
意外そうに思われたのか、優花の表情はやや不満げだ。
「あ、いや、悪い。そう言う意味じゃ無いんだ。俺と同年代で、ここまで料理を上手く作れる奴がいたって事に驚いてな…………俺って料理の腕は壊滅的だし………」
拓也はかつて、デジタルワールドのバーガモンの村で、その村で好き勝手していたペタルドラモンそっちのけで、輝二と共にクソ不味いハンバーガーを作って、最下位争いをしていた記憶が蘇る。
あの時の自分の作ったハンバーガーは気分が悪くなるほどクソ不味かったと。
輝二のハンバーガーも同レベルだったが。
「そ、そうなの………」
優花はホッとした様にそう言う。
すると、
「そうだわ拓也君。これからも優花の料理の練習に付き合ってくれないかしら?」
「はい!? 練習に付き合うとは?」
優理の言葉に拓也は驚いた声で返す。
「ああ、そんなに難しく考えなくてもいいわ。ただ、優花の作った料理を食べて感想を言ってくれればいいだけよ。優花にとって、私達だけじゃなく第三者の意見も聞いた方が勉強になるし」
「お、お母さん!?」
優理の言葉に優花が驚いた声を上げる。
「ね? どうかしら? 優花の料理は美味しかったでしょ?」
優理は優花の声をスルーして拓也に問いかける。
「え……? あ………まあ、園部の料理は美味しかったし、吝かでは無いですけど………」
「決まりね!」
拓也は言葉を濁す様に言ったが、それを聞いて優理が即決してしまった。
すると、
「お膳立てはしておいたわ。後は自分で頑張りなさい」
優理は優花の耳元で何かを囁き、そのまま店の仕事へ戻っていった。
「え~っと………ああ言われたけどどうするんだ?」
拓也が優花本人に確認すると、
「……………お、お願いするわ」
優花もそう言い、2人の関係は始まった。
優花は拓也に昼の弁当を作ってくる事があり、その頻度は徐々に増えていった。
拓也が出るサッカーの試合にも優花は毎回応援に行き、練習の無い休日は遊びに誘われる事も多くなった。
最初は奈々や妙子も一緒だったが、やがて2人きりで遊ぶことも多くなり、もはやデートと言っていいぐらいになる。
夏休みには海へ行って、年齢の割にはスタイルの良い優花の水着姿にドギマギし、学校の文化祭などのイベントでも優花と行動を共にする事が増えた。
冬にはスキー、スノボーやスケートによく行き、クリスマスには2人きりのデートもした。
正月の初詣には、着物姿の優花に見惚れる一幕もあった。
そして、高校1年生の終わりが近付く2月のバレンタインの日。
拓也は放課後、屋上に呼び出された。
そして、夕陽に照らされる屋上で、優花がおずおずと綺麗にラッピングされたチョコレートを差し出し、
「拓也……………あなたが好きです。私と、付き合ってください」
顔を真っ赤にしながらそう告白した。
拓也はそれを聞いて一度困った顔をした。
優花はその顔を見て、フラれたと一瞬思ったのだが、
「あ~…………先に言われちまったか………」
その言葉にハッとなった。
拓也は身形を整えて優花に真っ直ぐ向き直ると、
「俺も………優花が好きだ。俺の恋人になって欲しい!」
拓也からもそう告白した。
「ッ……………はい!」
優花は花が咲く様な笑みでそれに応えた。
拓也は優花のチョコレートを受け取り、2人の距離が自然と近付いていく。
2人の影が重なろうとした時、
「わわっ、押さないで!」
微かにそんな声が聞こえたかと思うと屋上の扉が勢いよく開き、そこから数人が倒れ込んだ。
それは、
「「あはは…………」」
苦笑いで誤魔化そうとする、奈々と妙子。
更には拓也の仲間であり同じ高校に入学していた輝二と輝一。
更に輝一の義理の妹であり恋人でもある恵理。
それを見て拓也は呆れ、優花は怒りと羞恥心で顔を真っ赤にする。
「お前らなぁ~!」
拓也は呆れ半分で起こるが、一度溜息を吐き、
「まあ、そんな訳で、優花と正式に恋人になった」
改めて報告する様にそう言った。
その言葉に輝二、輝一は笑みを浮かべ、
「フッ……おめでとう」
「おめでとう拓也!」
純粋に2人を祝福する。
「ああ、ありがとう」
拓也も礼を言い。
「よかったね優花っち!」
「おめでとう!」
「あ、ありがとう………」
優花も友人2人から祝福を受けていた。
それからも2人の関係は良好だった。
登下校でも気兼ねなく腕を組み、サッカー部の練習が無い日の休日は必ずと言っていい程デートをしていた。
告白の時にし損ねたキスも、後日改めて済ませた。
2年になってハジメらと友達になり、ハジメが漫画やアニメが好きだと知った時、デジタルワールドの冒険を聞かせ始めた。
その関係で幸利もハジメと仲良くなり、更には輝二の幼馴染の雫、香織も話に入ってくる事があり、香織はハジメに好意を持っていたようで、無自覚の突撃の末に漸く自分がハジメに好意を持っている事を悟り、告白して恋人になるに至った。
優花も、香織に対して大分お節介を焼いたようだ。
順風満帆と言っていい高校生活。
そんな中での突然の異世界召喚。
大迷宮での実戦訓練。
そんな中、裏切りの魔法によって拓也達は橋から落とされる。
そして……………
―――優花
拓也が最後に見た優花の表情は………………
―――優花
絶望に染まった表情だった…………
―――優花
「………優花っ!」
拓也が次に気が付いた時、拓也は天井に向かって手を伸ばしていた。
「…………………え?」
拓也は一瞬訳が分からなかった。
だが、徐々に記憶がよみがえり、奈落の底に激突して、何とか即死は免れたが、致命傷を負って意識を失った事を思い出した。
「…………生き………てる………?」
拓也は自分の身体を見る。
傷は無く、身体も問題無く動く。
拓也は改めて周囲を窺った。
「…………ここは…………?」
そこは見覚えのない部屋の中。
日本の部屋とも、ホルアドの宿の部屋とも違う質素な作り。
その時、ガチャッと音を立てて部屋の扉が開いた。
その扉の向こうから現れたのは、白いオウムのような顔にピンクの腹巻をした二足歩行の生物と、黄色い狐のような顔をして赤いモモヒキ穿いた二足歩行の生物。
「ッ…………!?」
明らかに人間ではないそれらに、拓也は言葉を失った。
しかし、それは見た事のない生物に驚いたからではない。
むしろ逆だ。
「ボコモン………ネーモン………?」
それはかつて、共にデジタルワールドを旅した『仲間』。
物知りで旅の最中もその知識に助けられたボコモンと、その相棒のネーモン。
その2人は、ベッドの上で身を起こしていた拓也を見て破顔した。
「拓也は~ん!!」
「目が覚めたんだね拓也~!」
2人が拓也に飛びついてくる。
「うおっと……!」
拓也は2人を受け止めた。
「ボコモン………ネーモン………!」
うれし涙を流す2人に思わず笑みを零す拓也。
「久し振りだな、2人とも。また会えるとは思わなかった」
拓也も純粋に再会できたことを喜ぶ。
「拓也はんこそ心配したんじゃハラ! もう一ヶ月も眠りっぱなしやったんじゃマキ!」
ボコモンが変わらぬ口調で拓也の無事を喜ぶ。
しかし、
「一ヶ月!? そんなに眠っていたのか!?」
「うん。ず~っと眠りっぱなしだったよ」
ネーモンが間延びした声で頷く。
「ここに運ばれてきた時は酷い怪我じゃったんじゃハラ。怪我はセラフィモンのお陰で治ったんじゃが、精神的な疲労が溜まっておったようじゃマキ」
「そうだったのか………」
確かに死ぬ寸前の大怪我を負っていたのだ。
生きていただけでも儲けものだろう。
「…………ところで、ボコモン達が居るって事は、ここはデジタルワールドなのか?」
拓也は肝心な事を訊ねた。
「そうじゃハラ。突然オファニモンが傷だらけの拓也はんを抱えてきた時には驚いたんじゃマキ!」
肯定するボコモン。
「ああ。そう言えば拓也が起きたら連れて来てってオファニモン達が言ってたね~」
ネーモンが思い出したようにそう言う。
「そうじゃった! 拓也はん。身体には問題無いマキか?」
拓也はそう言われ、立ち上がって軽く体を動かしてみる。
「ああ。問題無いみたいだ」
拓也はそう言うと、2人と一緒に部屋を出た。
そこは、森に囲まれたエリア。
そして見覚えもあった。
「もしかしてここって……『森の国』か?」
長い階段を上りながら、拓也は尋ねる。
「そうじゃハラ! セラフィモンの城がある国じゃマキ!」
拓也は過去に2度ここを訪れた事があった。
1度目はオファニモンの導きでセラフィモンを蘇らす為に。
2度目はロイヤルナイツからこのエリアのデジコードを護る為に。
しかし、そのどちらも敗北し、逃走したりデジコードを奪われたりで苦い思い出のある場所だ。
長い階段を上っていくと、水晶の様に輝く城が見える。
3人はそのまま白の中に入っていくと、奥にある扉が開き、そこを潜る。
そこには、金の10枚の翼と透き通った翠の鎧を纏った女性の座天使型デジモン。
「オファニモン!!」
オファニモンと同じく金の10枚の翼を持ち、白銀に輝く聖なる鎧を纏った熾天使型デジモン。
「セラフィモン!!」
かつて闇に堕ち、拓也達と戦ったが、その醜悪さの面影はなく、美しい白と桃色の体表に何処かウサギを思わせる長い耳と手足を持った智天使型デジモン。
「ケルビモン!!」
デジタルワールドを守護する三大天使の姿がそこにあった。
その三大天使が拓也を見下ろす。
そして、
「神原 拓也君………」
オファニモンが口を開いた。
「お久しぶりです。お目覚めになられたようですね。ご無事で何よりです」
「ああ。久しぶりだなオファニモン。オファニモン達が俺を助けてくれたんだな? ありがとう!」
拓也は確認しながらお礼を言った。
「いいえ。あなた方はこのデジタルワールドを救ってくださいました。その時の恩に比べれば、この程度些細な事です」
オファニモンは気にしない様に言う。
「ところで、何で俺はデジタルワールドに?」
拓也はずっと気になっていた事を訊ねた。
「…………このデジタルワールドは、あなた方の世界と密接に関係しています。その為、あなた方の世界への影響は、このデジタルワールドにも大きく影響します。今から一月半ほど前、次元の境界に穴が開きました」
「一ヶ月半前………? まさか、俺達がトータスに召喚された時か!?」
「はい。それは次元の乱れとしてデジタルワールドにも少なからず影響を与えました。現在は私達がデジタルワールドの乱れを支える事で影響は最小限に留まっています」
「そうか……よかった」
デジタルワールドの事をまるで自分の故郷の様に心配する拓也。
「しかし、そのお陰で、私達はあなた方が別世界へ召喚された事に気付いたのです。そうしてあらゆる手であなた方とコンタクトを取ろうと試みました。そうしてようやく貴方の持つ携帯電話に繋がった時、あなたは瀕死の状態でした」
拓也は意識を失う寸前に携帯の画面が光ったような気がした事を思い出した。
あの時に丁度オファニモンがコンタクトを取ったのだろう。
「一刻を争う状態でした。私達の力を使い、あなたをこの世界に呼び込んだのです」
「そうだったのか…………」
その後、セラフィモンのファイナルヒールで一命を取り留めたが、肉体と精神的な疲労から1カ月以上眠り続けていた事を聞いた。
すると、オファニモン達は拓也について来るように言って城を出た。
オファニモン達について行くと、その先にあったのは『森のターミナル』。
そして、ホームの両側に1体ずつトレイルモンが待機していた。
「これは………?」
オファニモン達が振り返ると、
「神原 拓也君」
真剣な表情で話し出した。
「あなたには、2つの道があります」
「2つの道?」
拓也が聞き返すと、オファニモンが左手側のトレイルモンを示す。
そこには、拓也が初めてデジタルワールドに来るきっかけとなり、後のトレイルモンレースでも相棒を務めた丸みを帯びた茶色のトレイルモン、ワーム。
「1つは、あなたが召喚された世界へ戻る、戦いの道…………」
「ッ!」
続けてオファニモンは右手側のトレイルモン、バッファローを示す。
「もう1つは、元の世界へ帰り、家族達と暮らす平和な日常へと戻る道…………」
「ッ!? 帰れる………のか………?」
「はい」
呆然と聞いた拓也の言葉に、ハッキリと頷く。
「あ………ああ………………」
拓也はバッファローの方に手を伸ばし、フラフラと2、3歩歩み寄る。
拓也の眼には、両親や弟の信也の姿が映っていた。
しかし、
「……………………ッ!」
伸ばした手が止まり、フルフルと震えた後、力強く握りしめられた。
そして勢いよく振り返る。
「俺は…………トータスへ戻る!」
そう言い放った。
「………よろしいのですか? あなたが行くのは辛く悲しい戦いの道。ここで平和な世界に帰ったとしても、誰もあなたを責める資格はありません」
「分かってる! 確かに帰りたい……! 父さんや母さん、信也に会いたい………! だけど、あの世界には、まだ輝二や輝一、ハジメ達『仲間』が居る………! それに…………俺が一番護ってやりたい優花が居る! あいつらを置いて、自分だけのこのこ帰る訳にはいかない!!」
拓也はそう言い切る。
「よろしいのですか? 次元の壁を突破する事は、世界に大きな影響を与えます。既に一度あなたをこの世界に呼び出した以上、もう一度向こうの世界に渡れば、次元が安定するまで1年近くは帰って来れませんよ?」
「構わない!」
そう言われても拓也は迷わなかった。
それを聞くと、オファニモンは一度フッと微笑み、もう一度表情を引き締めた。
「神原 拓也君。最後の選択です。『戦いますか? しませんか?』」
「戦う!!」
最後の選択も拓也は迷わなかった。
拓也はトレイルモンワームの方へ迷わずに踏み出す。
そのまま客車の扉の前まで歩いて行き、
『待て、拓也』
「ッ!?」
その声に拓也はハッとなって立ち止まった。
それは拓也によく似た声をしている。
拓也が振り向くと、
「………アグニモン!」
そこにはかつてスピリットとして拓也達が纏い、デジモンに進化して戦ったアグニモン達十闘士の姿があった。
『拓也………君は……君達はデジタルワールドを救ってくれた………今度は俺達が君達を助ける番だ』
「アグニモン………それって、まさか!」
アグニモンの言わんとしたことを察した拓也。
「だけどいいのか? 君達には、デジタルワールドを護るという使命が………」
『デジタルワールドを護っているのは俺達だけじゃない』
ヴォルフモンが、
『このデジタルワールドに住む全てのデジモン達が………』
チャックモンが、
『この世界に住む全ての『命』が…………』
フェアリモンが、
『この世界を護っている』
ブリッツモンが、
『だから拓也。俺達を連れて行ってくれ』
そしてレーベモンが。
拓也と同じく迷いは無かった。
「オファニモン……!」
拓也は確認する様にオファニモンに視線を向ける。
オファニモンは微笑んだまま頷き、
「彼らの望む様に」
そう言った。
拓也は笑みを浮かべ、
「またよろしくな! アグニモン!」
そう言いながら拓也は手を差し出し、
『ああ!』
アグニモンもその手を握り返した。
すると、アグニモン達が光を放ち、スピリットの形を取る。
「ふっ!」
拓也はかつてデジヴァイスとなっていた携帯電話を取り出し、スピリットに向けた。
携帯電話が輝き、デジヴァイスへと形を変える。
デジヴァイスの画面が輝くと、十闘士のスピリットが拓也のデジヴァイスへ吸い込まれた。
デジヴァイスの画面に『火』の紋章が浮かび上がる。
拓也はそれを見て微笑んだ。
拓也は再びトレイルモンに乗り込もうとした時、
「オファニモン!」
ボコモンがオファニモンに呼びかけた。
「ボコモン?」
拓也が振り返る。
「ワシも………拓也はんについて行くことはできんじゃろうか!?」
ボコモンが一途の望みを託すようにオファニモンに呼びかけた。
「ボコモン………」
「拓也はんに会って………拓也はんがもう一度戦いに赴くと聞いて………ワシは思ったのじゃハラ…………ワシは、もう一度拓也はん達と旅がしたいと!!」
「だけどデジモンは人間界に行っちゃダメだったよね? 世界のバランスが崩れるから」
ボコモンの願いにネーモンが意外と冷静にツッコミを入れる。
「うるさい! そんな事百も承知じゃい!」
ボコモンがいつものゴムパッチンをネーモンにお見舞いする。
「あいたっ!?」
「オファニモン! 如何にかならんじゃマキか!?」
ボコモンは再び問いかける。
「ぼ、ぼくも~!」
何気にネーモンも主張する。
その言葉にオファニモンは、
「構いませんよ」
「ああ………やっぱり……………って、ええっ!?」
断られる事を想定していたのか、出てきた言葉に落ち込むボコモンだったが、言われた言葉を思い直して驚愕と共に顔を上げた。
「ホントに!? ホントに良いんじゃハラ!?」
「はい」
再度問いかけるボコモンに頷くオファニモン。
「でもでも、デジモンは人間界に行ったら世界のバランスが……!?」
ネーモンもデジモンが人間界へ行けない理由を口にする。
すると、
「正確には、『人間界』というのは正しくは神原 拓也君達が元居た世界の事です。このデジタルワールドと彼らの世界は、隣り合って密接にかかわっており、その為にデジモンがその世界へ行くと世界のバランスが大きく崩れます。しかし、これから行く世界はその世界とは全く別の世界………デジタルワールドからも離れています。デジモンがその世界に行っても、世界への影響はほぼ無いに等しいでしょう」
「そ、それなら! 本当にもう一度拓也はん達と旅ができるんじゃマキ!?」
その言葉に、オファニモンは頷いた。
「拓也は~ん!」
「拓也~!」
ボコモンとネーモンが拓也に駆け寄っていく。
「ボコモン! ネーモン!」
拓也も嬉しそうな顔をする。
再び『仲間』と一緒に旅ができるのは嬉しいのだろう。
「拓也はん! またよろしく頼むじゃハラ!」
「またよろしくね~。拓也~」
「ああ。こっちこそ!」
拓也達はトレイルモンに乗り込む。
すると、
「そうだ! オファニモン!」
拓也は窓から顔を出した。
「俺が居た場所に近くに、ハジメ達……仲間が居た筈なんだ! そいつらと合流できないか!?」
拓也はそう問いかけてみる。
すると、オファニモンは精神を集中し、
「……………あなたが居た場所よりさらに地下深くに3人の生命反応があります」
そう答えた。
「3人? ハジメと香織と………後誰だ?」
「どうやらその3人は強大な相手と戦っているようです」
「ッ! そこへ送ってくれ! 頼む!」
オファニモンの言葉を聞き、拓也はそう叫んだ。
「分かりました」
すると三大天使が集まり力を集中させると、トレイルモンの前に白い光のゲートが現れた。
「ありがとう! オファニモン、セラフィモン、ケルビモン!」
拓也は三大天使にお礼を言うと、
「それじゃあトレイルモン! 頼む!」
「まかせるんだぞ~!」
トレイルモンワームが勇ましく応え、
「出発進行だぞ~!」
プシューっと空気圧が抜ける音と共に、車輪が回転し、トレイルモンが動き出す。
「待っていろ、ハジメ、香織! 今行くぞ!」
トレイルモンはスピードを上げ、ゲートに飛び込んだ。
トレイルモンの客車から降りた拓也が最初に見たのは、白い髪の男女と金髪の少女。
金髪の少女には見覚えは無かったが、白い髪の男女には、見覚えのある面影があった。
「…………もしかして、ハジメと香織か?」
拓也は白い髪の男女に問いかける。
「…………拓也?」
「………拓也君?」
白い髪の男女、ハジメと香織が呆然と答えた。
「やっぱりハジメと香織なんだな。随分と雰囲気変わってるけど」
髪が白くなり、眼も赤くなっている上、身長や体付きも変わっている。
しかし、それよりもハジメは全身傷だらけの上に左腕を失っている事に気付く。
「無事……とは言えないな…………けど、生きててよかった」
拓也はホッとした表情になる。
「それはこっちのセリフだよ。生きてて嬉しいよ。拓也」
ハジメもボロボロながら笑みを浮かべた。
すると、
「おわっ!? わたたたっ!?」
「わあ~っ!?」
ボコモンとネーモンが出口と地面の段差で転げ落ちた。
「大丈夫か? ボコモン、ネーモン」
着地に失敗した2人に声を掛ける。
その2人にハジメ達は目を丸くした。
その事に問いかけようとした時、
「もういいんだな~?」
トレイルモンワームが口を開きながら喋る。
「で、電車が喋った………?」
香織が呆気にとられる。
「ああ、サンキューなトレイルモン!」
拓也はトレイルモンに礼を言うと、客車の扉が閉まる。
そして、
「頑張るんだぞ~!」
その言葉と共にバックで現れたゲートに戻っていき、ゲートが閉じた。
「た、拓也………」
ハジメが呆然としながら呼びかける。
「ん?」
拓也がハジメに向き直る。
「色々聞きたいことが山ほどあるんだけど、まずは一言」
「何だ?」
「おかえり」
ハジメの言葉に拓也は笑みを浮かべ、
「ああ。ただいま!」
拓也はそう答えた。
その時、
「グォオオオオオオオッ!!」
トレイルモンに轢かれて横倒しとなっていた銀の頭のヒュドラが起き上がって咆哮を上げた。
「おおっ!? 何だコイツは!?」
今まで気づいて無かった拓也が驚く。
「このダンジョンのボスだよ!」
ハジメは答える。
「そうか! じゃあ敵って事だな!」
拓也はそう言うと、ヒュドラに向き直る。
「待って拓也! そいつはベヒモスなんかとはケタが違うんだ! いくら拓也でも……!」
ハジメは拓也がこの一ヶ月で強くなっていたとしても、自分程のパワーアップは無いと判断してそう叫ぶ。
「心配いらんじゃマキ!」
ボコモンがそう言う。
「うん。拓也なら大丈夫だよ~」
間延びした声で危機感の欠片も無いネーモン。
「…………君達は?」
ハジメはそう問いかける。
「ワシはボコモンじゃマキ」
「ぼくネーモン」
2人はそう名乗る。
「ボコモンにネーモン? その名前って確か………?」
2人の名に聞き覚えのあった香織は怪訝な声を漏らす。
すると、
「グォオオオオオオオッ!!」
ヒュドラが再び咆哮を上げ、拓也に襲い掛かろうとしていた。
「拓也っ!」
ハジメが叫ぶ。
その時、拓也はデジヴァイスを取り出した。
拓也のデジヴァイスの画面に光が走り、スピリットの形を描く。
前に突き出した拓也の左手に、光の帯――デジコード――の輪が発生する。
そのデジコードの輪に、右手に持ったデジヴァイスの先をなぞる様に滑らせる。
「スピリット……! エボリューション!!」
拓也がデジコードに包まれる。
デジコードの中では、拓也がスピリットを纏っていく。
顔に。
腕に。
体に。
足に。
拓也の身体にスピリットが合わさる。
そして、そのデジコードが消えたとき、このトータスの地に伝説の十闘士の1人が降臨した。
「アグニモン!!」
デジコードの中から現れたのは、拓也とは全く違った姿をしていた。
2mを超える身長に長い金髪。
黒のインナーに炎をイメージさせる赤い鎧。
顔の上半分に仮面を被った豪勇なるその姿。
「た、拓也が変身した………?」
「し・ん・か! したんじゃ!」
ハジメの呟きを訂正する様にボコモンが言った。
そして、
「あれこそ、かつてデジタルワールドを救った十闘士の1人! 伝説の炎のアグニモンじゃ!!」
アグニモンを指しながら誇る様にそう言い放つボコモン。
「いっけ~! アグニモン!」
ネーモンが気の抜けた応援をする。
「はっ!」
アグニモンは跳躍し、左手の甲から炎を発生させると、
「ファイアダーツ!!」
その炎を右手で手裏剣の様に飛ばした。
「……ダメ、その程度の炎じゃ………」
ユエが自分の放つ炎の魔法と比べて明らかに小さいアグニモンの炎に駄目出しをする。
そのまま無数のファイアダーツがヒュドラの各部に当たり、
「グォオオオオオオオッ!?!?」
ヒュドラが驚愕の声を上げる様に叫び声を上げながら仰け反り、後に倒れる。
「嘘………何で………?」
明らかにダメージを受けたと思われるヒュドラに、ユエは信じられない表情をする。
更にアグニモンは両拳を胸の前で合わせると、その手の甲から炎が渦巻くように両手に巻き付き、
「バーニングサラマンダー!!」
その炎を2発の火炎弾として放った。
それも先程よりは大きいが、ヒュドラに比べれば微々たるように思える。
しかし、
「ギャォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?!?」
その炎がヒュドラに当たると瞬く間に燃え広がり、ヒュドラを炎で包み込んだ。
「くっ……! これは炎の密度自体が桁違いに高いって事なの!?」
ハジメはその威力にそう予想する。
アグニモンは、地獄の炎すら耐えると豪語するケルベロモンを焼くほどの炎を発する事ができる。
その炎は並の魔法の炎とは比べ物にならない。
「止めだ!」
アグニモンはそのまま空中からヒュドラに飛び込んでいく。
しかし、
「グォオオオオオオオッ!!」
ヒュドラが渾身の力で炎を振り払い、アグニモンに向かって極光を放とうと口を開ける。
「ッ!?」
空中ではアグニモンは躱す事は出来ない。
「拓也!」
「拓也君!?」
ハジメと香織が叫ぶ。
ヒュドラは嘲笑うように目を細めた。
しかしその時、
「アグニモン!」
アグニモンがデジコードに包まれた。
「スライドエボリューション!」
アグニモンは使用スピリットをヒューマンスピリットからビーストスピリットへ変更する。
「ヴリトラモン!!」
再びデジコードが消えた時、その姿はまた変わっていた。
大きく炎のようなオレンジ色をした翼を持った、赤き竜。
腕にはルードリー・タルパナを装備し、その身体全体から溢れ出る力強き闘志。
「また変身した!?」
「ドラゴン!?」
香織とハジメが再び驚愕の声を上げる。
「あれこそ炎のビーストスピリットで進化した伝説の闘士! 炎のヴリトラモンじゃ~!」
再び叫ぶボコモン。
「ヴリトラモン………って、その名前ってやっぱり!」
ハジメが記憶にあるその名前に驚く。
すると、ヴリトラモンは力強く羽搏いて、放たれた極光を躱す。
そのままヒュドラの背後に降り立つと、その尻尾を掴んだ。
そして、
「おらぁああああああああああああああああああああっ!!!」
その尻尾を振り上げると、ヒュドラの巨体が宙に浮いた。
「…………………マジ?」
そのパワーに呆然とするハジメ。
ヴリトラモンは持ち上げたヒュドラをそのまま背後に向かって振り下ろす。
「ギャォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!?!?」
床が砕けるほどに叩きつけられたヒュドラは悲鳴を上げる。
「はぁああああああああああああああああっ!!」
更に振り上げ、もう一度叩きつけた。
「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!?!?」
更なるヒュドラの悲鳴が響く。
「だりゃぁああああああああああああああああああああああああああっ!!」
オマケとばかりにもう一度振り上げると、今度はジャイアントスイングの様にグルグルと回転させ、投げ飛ばした。
一直線に壁に激突し、その壁が大きく崩れる。
ヴリトラモンは腕のルードリー・タルパナを反転させ、銃口を前に向けると、
「コロナブラスター!!」
そこから高熱の熱線がマシンガンの如く連続で放たれた。
それは、ハジメのドンナーですらほぼ無傷で耐えたその鱗を、焼き、剥がし、貫いて行く。
そして、ある程度までダメージを与えた所で攻撃を中断し、ヴリトラモンは全身から炎を噴き出した。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおっ!! フレイムッ……!」
ヴリトラモンは身体を回転させ、尾を振ると同時にその炎を放った。
「………ストームッ!!!」
竜巻の如き炎がヒュドラを包み込む。
「ギャオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォ………………!」
その炎の中でヒュドラは断末魔の叫びを上げ、炎の中で灰になっていった。
ヴリトラモンはそれを確認すると、ハジメ達の方へ飛んできた。
目の前に着地する。ヴリトラモン。
5m近い大きさのヴリトラモンを見上げるハジメ達。
すると、ヴリトラモンはデジコードに包まれると拓也の姿に戻った。
「………くっ!」
拓也はその場で膝を着いた。
「拓也!?」
ハジメが駆け寄る。
「大丈夫だ………久しぶりの進化で少し疲れただけだ……」
拓也はそう言うと息を整えて立ち上がる。
すると、
「ね、ねえ拓也………さっきの姿って………」
「ん? ああ。アグニモンとヴリトラモンさ」
拓也はそう答える。
「その名前って………さっきも思ったけど、拓也達がいつも話してくれた………」
「ああ。そうだぞ」
「あれって作り話じゃ………」
「俺達の実体験だぞ」
「ええっ!?」
ハジメが盛大に驚く。
「あ、あの話が本当にあった事なの!?」
「おう。その証拠に俺がアグニモンやヴリトラモンに進化したし、ここにボコモンやネーモンも居るだろ?」
「う……うん………」
ハジメにとって正直信じられない話ではあるが、実際に拓也が進化した上にボコモンとネーモンという存在まで居る。
ハジメは、暫く呆然としているのだった。
次回予告
オスカー・オルクスの隠れ家でこの世界の真実を知る拓也達。
ハジメの提案で、暫く準備に時間を費やす事に決める。
そして地上では、輝一達が再びベヒモスに戦いを挑もうとしていた!
次回、ありふれたフロンティアへ
第9話 世界の真実! 希望を求めて………!
今、ありふれた伝説が進化する。
はい、第8話の完成です。
スタートダッシュ5です。
そろそろ力尽きるかも?
という訳で拓也の帰還までの道則とヒュドラ殲滅。
序に優花と拓也の馴れ初めをお送りいたしました。
こんな感じで如何でしょう?
かなり頑張って書きました。
次回は隠れ家と輝一達のベヒモス戦の予定です。
では、次も頑張ります。
ボコモンとネーモンが仲間になりたそうにこちらを見ています。同行しますか? しませんか?
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Yes
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No