ウルベルトの贈り物   作:読み物好き

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オバロ好きのにわかです。宜しくお願い致します。
妄想とオリジナル要素増し増しとなります。
少しでも楽しんで頂ければ感謝の至り。



第一幕
500年後の世界へ


「あれ、モモンガさん居ないのか。驚かせようと思ったのにな」

 

 シルクハットを被ったバフォメット──ウルベルトが誰に告げるわけもなく口にした、その声は天井へと消えていく。

始まりは一通のメール。少し忙しかったので普段は開封すらしなかったであろう。

それを開いたのは正に偶然ともいえる。

 

『最後に一度だけでもまた皆で集まりませんか』

 

そう締めくくられていた友人からの一通のメール。

俺にはする事がある。この狂った世界を…この不公平な世界を変えてやる。

そんな大事な時にゲームなんかする暇はない。

一度はそう考えた彼を今一度ログインさせたそれは、間違いなく友の存在だった。

 

「まぁ…朝早くじゃ当然か。あれ?俺ワールドアイテムなんか持ってたっけ?モモンガさんに全部渡したと思ってたけど…。あー…どうしても気に入ってた奴か」

 

 ユグドラシル──DMMO-RPGの中でも燦然と輝いていた最高のゲーム。そんな12年続いたユグドラシルも幕を下ろす事となり、サービス終了までのカウントダウンが行われている。

 

「うわ、誰も居ないじゃん。俺も人の事言えないけどさ。モモンガさん明け方まで居たのか。よく体持つな」

 

 フレンドリストやギルドメンバーリストを表示させログイン状況を確認していく。最終ログイン日時が数年前の者から今朝の者まで様々だ。フレンド達やギルドメンバーの名に目を細め、懐かしい記憶に落ちていく。

 

「って俺の最終ログインも数年前か。そりゃ懐かしくもなる」

 

 折角だからびっくりさせてやろうと思ったウルベルトはオフライン表記でログインしていた。その為ログイン状況に最終更新がかかっていない。

 しかし誰も居ないんじゃ…する事もないしなぁ。そう思いながら昔の癖でログボやイベントで配布されたアイテム等の回収を行っていく。

 

「ん?何だ?このアイテム…」

 

プレゼントに届いていた見た事のないアイテムの一つに目が留まる。

 

「…従者生成の秘宝?…全国デザインコンセプト運営賞当選…?ああ?」

 

 古い記憶を辿っていく。ああ、あったなそんなイベント。引退前に俺の思う真の悪って奴をしこたま詰め込んで出した奴か。懐かしい。俺当選してたんだな。

 ちょっとした優越感と懐かしき記憶を思い出しながらも同封されたアイテムの効果を読んでいく。

 

「…流石狂った糞運営だ。こんなのバランス崩壊待ったなしだろ」

 

 要約するとそのアイテムは個人が最大200のポイントを得る。それを割り振って好きなようにNPCを最大5体までキャラメイクできるという物である。使用後の効果期限は一週間。AIをしっかり組み込めばPC1、NPC5で疑似的なPT狩りができるって事か。ただ一週間で消えるのか…ヒーラーでも作って狩り場に置いたら便利そうだ。

 

「当時の俺だったら喜んだろうがなぁ。それにこれはガチャチケか…サ終に合わせてばら撒きか?」

 

 折角だから。とガチャを回していく。ゴミ、ゴミ、ゴミ、ゴ…。NPC作成用のレアクラスにレア種族…ふーん。

 懐かしさに浸り第七階層を徘徊しているとNPCが目に入る。デミウルゴス…ああ、懐かしい。俺の最高傑作。俺の情熱と全てをつぎ込んだNPC。…今思えばもう少しガチビルドにしてやってもよかったかもな。ペロロンチーノさんとこの…何だっけな。吸血鬼(ヴァンパイア)は結構ガチビルドだったしな。

 

「…お前も暇だっただろう。こんな所で一人で」

 

 返る返事があるはずもない事は当然分かっていたが、そう告げる。懐かしさと昔の自分のロールプレイを思い出しながらデミウルゴスを見つめる。ほんと設定色々詰め込んだなぁ、指揮官設定とか。ゲームで使えない設定も全てはロールプレイの為。

 

「えーと、何だっけか。確か…『付き従え』」

 

そう告げ第七階層を歩んでいく。

後ろに己の情熱の塊を連れながら。

 

「ロールプレイか…モモンガさんともよくやったな…」

 

 第七階層の燃え上がる炎を前に、そう一つ呟いてそのマントを翻し告げる。十数時間後には消えていくであろう自身の情熱の塊へ。

 

「デミウルゴス。この世界はまだ我らの手中に収まっていない。何故だ?手数が足りなかったか?よろしい。最後にお前に新たな同僚を用意してやる。俺達が居なくなっても世界の一つくらい征服してみせろ!過激に!苛烈に!!不公平な世界の一つくらい打ち砕いてみせろ!!」

 

 そう告げ手に持った従者生成の秘宝を使用する。十数時間後に消えるNPCへの無自覚にリアルへの不満が混ざったロールプレイ。昔を思い返し、懐かしさに浸りながら自分の部屋へ転移する。

 

 先ほどから考えていた事。新NPCの作成。使えそうな装備やアイテムを漁りながらインベントリに放り込み考える。デミウルゴスには俺の最高のロールプレイを詰め込んでやった。なら終わった世界でもその剣となれるような。盾となれるような。今の俺が作れる最高のNPC。後でモモンガさんにも見せてやろう。きっと驚く事だろう。そう考えながらログアウトしていく。

 

 主が去った場に、指示が切れ一人残り佇むNPCの姿があった。無論、命令に従う事しかないNPCに感情や思考など存在しない。

──だが。もし、もし彼にそれがあったならば。彼の心を映す鏡のように、その眼鏡には第七階層の燃え上がるような炎が映りこんでいた。

 

 

 

 

「…こんなとこか?」

 

 火力。全てをねじ伏せる魔法の力。遠距離中距離戦における広域殲滅力、対単体に対する超火力。接近できるものならしてみろ。される前に倒せばよかろうなのだ。もしされたら…いや、されたなら大人しく倒されてやる。できるものならやってみろ。

 そして火力だけではダメだ。嫌というほど経験してきた。様々な状況に備えての準備を。そして忘れてはならないのがロールプレイ用の特殊能力(スキル)や魔法。過去の対人や様々な記憶を呼び起こし、全てを屠る剣となるコンセプトでlv100NPCを一体。

 

 耐える。純粋な防御力や魔法防御ではダメだ。柔軟な粘りの力。馬鹿正直に相手の土俵に決して付き合わず、常に虚を突く柔軟性。例えlv100クラスが複数相手だろうが耐え続ける。

 火力は一切必要ない、全てのリソースを状況対応力へ。全ては守りと柔軟性の為に。必要なのは耐えうる力とジリ貧に陥らせる力。魔法だろうが物理だろうが泥沼に引き込む。昔相手にして頭を抱えた記憶を呼び起こし、盾となるコンセプトのlv100NPCを一体。

 

 後は見た目と設定と名前だが…見た目。悪魔…うーん…男…デミウルゴスと被る。獣系の外見…俺と被る。ブツブツ呟きながら考えていく。首を捻りながらサービス終了に伴い配布されていた様々なアバターを弄り試していく。

 

 …最終的に両方とも完全に趣味を詰め込んだ女性アバターになってしまった…。ま、いいか。さて設定だが──悪魔なんだしカルマは極悪。とりあえずは姉妹にしておこう。デミウルゴスの部下…没、面白くない。うーん。俺自身を魔王と仮定して…残された娘達。魔王の娘って事は頭はいいだろ?それから──と、久しく消えていた己の情熱を様々な設定でギリギリまで書き込んでいく。

 最後に姉妹なんだから仲はよく。姉か…そういえば茶釜さんとペロロンチーノさんは良くも悪くもよく喧嘩してたな。もう少し仲良くしろよ。こいつはせめて何よりも妹を優先し大切にしてくれ。そんな思いで一文を書き足す。

 

 二人目のNPCに移る。一体目は結局完全魔王のロールになってしまったな…。思い浮かぶ設定と妄想を書き込んでいく。しっかり者の姉、抜けた妹…あの二人みたいだな。懐かしい記憶が少し浮かび手を止める。

 そうだ…楽しかったんだ…。そんな気持ちが指から出て行く。友を大切にしろ。そして…。

──こんな不公平な世界じゃ絶対にできない生き方。自分に嘘をつかず、自由奔放に生きてくれ。そんな思いを書き込んでいく。

 さて…カルマは悪魔なんだし当然極悪。…いや…皆一緒じゃ芸がないか?

 そういえばペロロンチーノさんが昔ギャップ萌えとか言ってたか?じゃ、極善。…悪魔ロールでこれはないな。…と極善にカンストしたゲージをカチカチ下げ始めふと時計に気づく。

 

「ああ!?もうログインしないと肝心のユグドラシルが終わる!」

 

久々のキャラ作成に没頭し過ぎていた。時計が示す時間は23:40分。まだ間に合う。

 折角作ったNPCデータをユグドラシルに流し込む。急がねば。名前…名前…ああ、時間がない。名前重複!?ふざけろ!…ああもうこれつけとけ!

『オートス・アレイン・オードル』『ベロス・アレイン・オードル』よし、通った!NPC作ってて間に合わないとか笑い話にもならないぞ。急ぎログインしなくては。

 

「ログイン障害!?最終日の最後に糞か!!」

 

 ウルベルトの目には真っ黒な画面とローディング中、接続試行中の文字が長々と表示されている。今何時だ!?もう5分くらい経ってないか!?と焦りに耳が熱くなる。早くしろ!その気持ちだけが大きくなっていく。

 

23:58

23:59

 

00:00

 

「入れたか!!」

 

──…?

 

そこはログアウトし見慣れたナザリック大墳墓の一室ではなく──鬱蒼とした森の中にある湖の畔だった。

 

 

 

 

「あ…ああ?あ?」

 

間抜けな声が響く。

 あれ、ここ…何処だよ。間に合わなかったのか?ナザリックは?と言うか何か泥臭いぞ?待て、臭いだと?まさかリアルで何か起こったのか!?ログアウト…え?ちょっと待て。コマンドが…ない。

 

「ウルベルト様、如何なされました?」

「父上?」

 

 振り返ると後ろに見覚えのある姿が見える。二人の女性。どこかで見た。いや、数十分前に見た。モニターで。それが…喋って…?

 

 ウルベルト様と呼んだ一人は、女性にしては少し長身で線が細く、整ったやや中性的な顔立に真紅の瞳。瞳に映る黒目は山羊の様に横に伸びている。

 黒い長髪で肌の露出は最低限。額に模様が描かれており、モノクルを着け、右胸に赤い薔薇の飾りを付けた女性。

 

 父上と呼んだ一人は、幼さが残る愛嬌がある顔立ちの小柄な少女。ゆるくパーマのかかったもこもこしたボブカットの黒い髪にオレンジ色の瞳。黒目はこちらも人間のそれではない。

 耳や目尻等に何か所かピアスが通り、首元に薔薇の飾り。二人に共通しているのは黒いスーツに手袋。二人共闇妖精(ダークエルフ)に見えなくもないが、それを否定するように大きさや形状は違えど角がある。

 

 しかしどういう状況だ。頭を抱え込み倒れるように座り込む。意味が…意味がわからない。どうなってる。座った時に…何だこれ…土煙エフェクト?土の香り…。ど、どうなって…。

そんなウルベルトを覗き込むようにこちらを見る二人の影。

 

「ご気分が優れないのですか?…お召し物に汚れが…」

「姉上…父上は疲れてるのでは?」

「そうですねベロス。それにこのような所、ウルベルト様には相応しくないですね」

 

ウルベルトはそんな事を話している二人に混乱したまま疑問を飛ばす。

 

「お、お前ら…誰…だ?」

 

その言葉に衝撃…相当なショックを受けたのか固まる二人。

片方は顔色を青く染め、片方は涙ぐんでいる。

 

「オ…オートスでございます…。わ、私は…ふ、不要という事でしょうか…」

「ち、父上…?…ベロスです!な、何故そんな…酷い事を言われるんでしょうか…」

 

 オートス?ベロス?聞き覚え…というか数十分前に。いやちょっと待て!どうなって…あのNPCの名だろ?しゃ、喋って…。え?なん…何で…。こ、ここは何処で何が起こってるんだ…。

 ウルベルトの顔が大きく歪み、頭に大量のクエスチョンマークを付けている。何が?どうなって?俺は?

 余りに続く衝撃にウルベルトは何も言えずにふらふらと湖へ近寄っていく。そして泉に映る者を見て固まる。シルクハットを被ったバフォメット。ユグドラシルのその姿。湖に手を近寄せ触れる。

 

「冷たい…何だよこれ…現実…なのか?」

 

 

 

 

 

 

 二人と色々試して分かった事がある。これは現実だ。痛みもある、指輪を外せば腹も減る。恐らく違う世界だと無理やり納得した。

 魔法が使えないあたりに現実味を感じたが…不思議な事に、ある日突然使えるようになった。それから急激に便利になった。理由はわからないが助かった。

 

 魔法を使い森を抜け、とりあえず手頃な草原の丘の脇に洞窟──穴を作った。簡単な認識阻害を掛け、その奥に小部屋を作り出しそこを住処とした。二人は反対していたが、まずは情報を集める事。そして目立たぬ事。

 

 何故かは分からないが、時たま無性に破壊衝動が起こる。そんな状況で俺が自我を保っていられるのは、恐らく二人が居て会話があるからだろう。本当に感謝している。が、父上呼びと様付けは正直勘弁してほしい。

 理由を聞いたら聞いたら父上だからと。暫く考えた結果、俺が書いた設定のせいかもしれないと結論付けた。何書いたかなんて覚えてないが…。

 

 一つだけ恐ろしかった事がある。それは従者生成の秘宝の効果期限。一週間したら俺一人になるのでは…と正直気が気じゃなかった。

 幸いな事に二人が消えるような事はなかった。ただ──気のせいかもしれないが、ベロスはより奔放に、オートスはより生真面目になった気がする。何と言うか…人間臭くなったというか。

 妙に強い忠誠心には変化を感じない。強いて言うなら以前と違い、渡したアイテム等は遠慮なく自己判断で使うようになった。以前はウルベルト様から頂いた物を使用するなど…!とか言って頑なに使わなかったんだが。何か…変わったのか?よくわからんが二人が消えなくてよかった。

 

 何度か必要に応じて幻術を使い、情報を得る為に人や亜人の住む所へ訪れた。最初は二人を連れていったが…オートスは基本的に留守番だ。

 本人には微塵も悪気がないようだが、何故か酷い行いや殺しに話が流れがちな所がある。何度か注意してマシにはなったが、正直怖い。

 

 ベロスは特に好んで傷つける事はないようだ。…一度だけ俺が醜悪だと言われた時に…酷い事になったが…幻術で作った顔だし、俺としてはどうでもいいんだが…。実際何も無ければ特に面倒事は起こさない。この違いは何だ?俺は何か書いたのか?

 

 得た情報を元に色々考えた。ここで俺が何をすべきか。色々考えた結論は「何もしない」だ。恐らく俺はこの世界の異物だろう。なら手を出すべきじゃない。そう結論付け洞窟に二人と籠った。

 

 二人と話をして暮らすのは悪くなかった。他愛無い事から、PKの戦術や戦いにおける考え方まで。オートスは戦術に興味があるのかメモを取っていた。ベロスは何を話しても笑顔で聞いている。

 

 ある程度幸せな生活──それはある日を境に変化が訪れた。友となった亜人の住む集落が全滅させられていた。調べた所、八欲王と呼ばれる者達が国を興し、人間を優遇し亜人狩りをしている事がわかった。

 定期的に亜人や異形であるだけで襲われる。生まれる事を選べるわけでもないのに、亜人や異形。それだけで殺される。亜人の奴らだって家庭がある。友が居る。子も居れば親もいる。

 八欲王とかいう奴は人間を贔屓し、亜人や異形種を狩り、力で全てを押さえつけ、都合のいい様に操っていやがる。違う世界ですらこれか?本当に…世界は…不公平だ。

 

 

 

「姉上、父上戻ってこないね」

「きっともうすぐお帰りになられますよ」

 

──何も話せないが、俺の我儘に付き合わせたくない。ここで俺を待っていてくれ。色々と置いていく。気に入ってるんだ、必ず取りに戻る。

 そう言い残してウルベルト様は出かけられた。供は許されなかった。何も話してくださらなかった。

 

 

「姉上!見てー、この狐!いい頭の形してなーい?」

「また勝手に外に出たのですか?骨集めも程々に。広くないのですから」

 

 待つ事は苦ではなかった。必ずお帰りになられると信じていたから。いつ戻られてもいいように掃除は毎日欠かさない。何より私には最愛の妹が居る。戻って来てくださったら、また色々な素晴らしいお話をお聞かせください。

 

 

「…」

「──大丈夫ですか…?」

 

 ──最近妹の元気がない。…無理もないかもしれない。お気に入りだと言っていた骨も、土産だと持って来て下さった本も、遥か昔に朽ちていった。待つ事。それは寿命がない我々には苦ではないはずなのに。

 私達はお邪魔だったのでしょうか。何かご無礼を働いてしまいましたか。ご希望に添えない事がございましたか。妹だけでも連れていって頂く事は難しかったのでしょうか。もう一度そのお顔を、お声をお聞かせください。

 

 

 ウルベルト様は戻られない。一度だけ伝言(メッセージ)をウルベルト様へ飛ばした事がある。繋がる先が無いかのようにお返事が帰ってくることがなかった。

 不敬だとは思ったが色々な可能性が頭を過った。悪い予感が浮かぶたびに首を振る日々にも疲れた。あり得ない、ウルベルト様が…そんな事あり得てなるものか。

 きっと何時か戻って来てくださり、またお声をかけて頂ける。そう自分を誤魔化してきた。

 しかし長い時の流れは私達の気力を奪っていく。以前は部屋の外も掃除していたが最後に部屋を出たのは何時だったか。

 

 

 ──を共に──る事が出来る、剣であり、知者であれ。ウルベルト様にそう在れと…。私は──誰を…何を…するの…だったろう。長い年月が経ったせいかよく思い出せない。時間が少しずつ、少しずつ私の記憶を奪っていく。

 我々に与えられた最後のご命令。ここで俺を待っていてくれ。そのお言葉だけを心の支えに待っております。妹の元にだけでも構いません。どうか…どうか…お戻りください。

 

ある日、妹が口を開いた。

 

「姉上、私限界だよ」

「ベロス、待ちなさい」

「もう待つのは嫌!私は父上を探しにいく!」

 

 探しに行く。ずっとずっと昔からしたかった事。怖かった。ご命令に背いてしまう事が。昔から浮かぶ悪い予感が現実だった時、それを受け入れられるのかが。

 だが──最近はそれ以上に怖い事がある。それはウルベルト様を忘れてしまう事。記憶の中で少しずつ、ほんの少しずつ、煙の様に揺らいでしまう。それが──最も怖かった。

 

「姉上が行かないなら私だけで行く!」

「──私も行きます。妹を一人で行かせる等…叱られてしまいますから」

 

そう告げ長く、長く開いた事のない扉を開き二人は部屋を出て歩き出す。

外では日の光が旅路を祝福するように降り注いでいる。

目を細め光を受けて思いをはせる。輝かしい己の主人であり父の姿に。

彼女達はウルベルトが残した、遥か昔に止まった懐中時計を片手に己の意思で今一歩踏み出す。

 

──時は八欲王の出現から約500年。とある平原に巨大な墳墓が人知れず現れる。




うるべると:500年も待ってたとかマジ?(罪悪感)
デミえもん:その行動↑↑正に↑悪魔↑↑↑↑
ももんが :どうもナザリックです。オッスお願いしまーす!

本作の主人公の方々。
【挿絵表示】

八欲王君、ウルベルト兄貴が揺さぶったから不仲が爆発して仲間割れで滅んだんですね?
流石兄貴だぜ。
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