デミえもん:高ぶる↑↑↑↑ウルベルト様…↑↑↑
うるべると:いやちょっと
なざりっく:のりこめー!
隠れ家を出て草地を長く歩く二人の姿がある。長い年月の命を破り踏み出した。父上を探すために。しかし二人には大きな問題があった。
「姉上…どう探せばいいと思う?」
「それは──まずは…情報を集めないといけません」
二人は生み出された直ぐ後に、とても長い間世間との交流が断たれていた。そして何をするでもなく、ただひたすら待っていた。故に何も知らず、何をすれば良いかの判断に迷っている。
ウルベルトも出掛ける理由の多くを語る事はなかった。古い記憶。二人共当時大切だと認識した物以外は霧が掛るように明確に思い出す事が難しかった。進むべき方向、行うべき事、全てが二人にはわからない。
「昔父上と来た時には一杯亜人が居たんだけどね」
遠くを見つめるようにそう告げる。肌に触れる風と、体に触れる太陽をとても新鮮に感じながら。
「亜人ですか。では探しましょう」
そんな話をしながら草地を歩む。気づくと幾つかの視線を感じる。陥没した無数の穴に何か蠢く者が居る。あれは?と二人で眺めていると、てらてらとした外皮を持つ異形達が穴から這い出てくる。一歩前に出た異形から女性の様な声が響く。
「それ以上こちらに近寄られないよう。
ここは我らが土地。近寄らば争いとなります」
どこからその声が。という気持ちが一瞬湧いたオートスだが即座に脳が切り替わる。情報源。
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「姉上?」
魔法の詠唱と共にピタリと動きが止まった異形達にツカツカと近寄っていく。
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「姉上!!」
後ろから上がる声に振り返る。
「何ですか。少し静かにしていてください。すぐ終わります」
「何する気さー!」
「勿論、情報収集です。終わり次第殺します。余計な情報が洩れるのはウルベルト様にご迷惑がかかる可能性があります」
そう告げる姉に少しぽかーんとしていたベロスが告げる。
「ダメだって!昔ウルベルト様が余計な殺しは絶対ダメって言ってたってー!」
「そうなのですか?では記憶を消します」
そういう話じゃないと。大昔、共にウルベルトと色々な者が住む所を回った話をする。決してこちらから仕掛けたり傷つける事、敵対行動はするなと毎度厳命されていた。それはハッキリ覚えてる。だから今の姉上は間違ってる。そう伝える。
「…そう、そうですか…。が、状況が違います。今は確実な情報が必要です。我々の事を知られる事で問題が起こる可能性もあります」
「──でも…わかったよー…」
ごめんなさいウルベルト様、私頭良くないからわかんないや。でも姉上が言うならきっとそれが正解なんですよね。と、少し気落ちしそう呟いている妹を暫く見つめて少し考える。
「──わかりました」
「姉上?」
「…ウルベルト様が願ったのならばそれを無下にはできません。それで…ああ、もう解除します。貴方、会話はできるのですね?」
すきー!と姉に抱き着いている姉妹を前に、自由を得てその場に座り込んだ異形が声を上げる。
「…貴女達は何者だ?…私はベーベーベという。
「ベーベーベ?変な名前ー。この辺でさ、父上…すっごいかっこいい悪魔見なかった?」
顔…顔らしい物を歪ませ悪魔?と呟いている。そして変な名前と言われほんの少し怒っているようにも見える。ベロスに向こうに行ってなさいと告げオートスが口を開く。
「私が変わります。非礼は詫びます。我々の事は告げられません。
少しの沈黙の後にベーベーベは首を縦に振る。先ほど何の抵抗もできずに動きを止められた事と、このような所に住んでおり戦いが日常に近い事からも感じる物がある。目の前に居るのは強者。会話が通じるなら逆らわない方がよい。万が一にも王子に危害が及ぶ事は避けなければ。その考えが従う事を選択させた。
「では、質問を。そうですね…この辺の地形と名前、近くにある街や情勢、そしてシルクハット…わかりますか?──帽子を被った…バフォメット…山羊の頭を持つ御方を知りませんか?」
ベーベーベは少し考え時間が欲しいと告げる。承諾すると穴に戻り暫くして戻ってくる。我らの知る情報はこの程度。後は存じません。どうか去って頂きたい。そう告げ知っている事を話していく。
「アベリオン丘陵…なるほど…多種族が…人間の国…わかりました。ありがとうございます。行きますよ」
「はーい。じゃねー」
離れた所で別の
「姉上、何かわかったー?」
「少し離れた所に山羊の頭を持つ王が居るそうです」
・
「──あいつら…何あの高評価…
巨大な墳墓──ナザリック大墳墓、第六階層に集った守護者からの評価を聞き、その場を後にしたアインズは壁に手を当てる。
「どうしよう…」
主がそんな悩みを抱えている等露知らず、主が去った場で皆が主を褒め称えながら様々な事を話している中、一人頭に指を当てている男──デミウルゴス。
セバスが主人を追いその場を後にし、正妻争いを起こしている二人を守護者達が呆れながら眺めている中、デミウルゴスが口を開く。
「大事な話し合いをしている所に申し訳ないねアルベド。少しいいかい?」
正妻争いに水をかけられ少し不機嫌そうにアルベドは、何かしら?と振り向く。勝ち誇った顔をしているシャルティアにアウラが呆れている。
「君達にも聞きたい事があるんだ。妙な質問なのだがね」
守護者達が頭にクエスチョンマークを浮かべ、デミウルゴスに視線を向ける。
「…モモンガ様の他に至高の御方を見た者はいないかね?」
至高の御方を?と皆が顔を見合わせ話し合っている。一体何が聞きたいのかと。
「自分の想像主にお会いしたいのは痛い程理解できるでありんすが…見てないでありんすえ?」
皆がシャルティアの話に頷いている。
それを受けるもデミウルゴスの頭にうっすらとした何かが残っている。私は……。ウルベルト様にお会いした。そんな…そんな気がする。そしてあの御方は私に何か…お伝えくださったような。何か…大切なお話をしてくださったような。
「デミウルゴス?何かあったのかしら?」
沈黙しているデミウルゴスにアルベドが声をかける。
「すまないね。少し考え事をしていたんだ。ところでアルベド、別件で聞きたい事があるのだがいいかね?」
「何かしら?」
「──君はこのナザリック大墳墓の全ての者を把握しているね?」
「えぇ…そうね。守護者統括として…ほぼ把握はしているわ。尤も、姿を見た事がない者もいるのだけれど」
デミウルゴスは少し思考し口を開く。
「では──ここ最近…のはずだがね。新たに加わった者…は…いるかね?恐らく私に関係あると思うのだが」
アルベドは少し不思議そうに顔を傾げて告げる。
「私の把握している範囲ではそんな者は居ないわ」
「そう…そうかね。ありがとうアルベド」
デミウルゴスは第六階層の夜空を見上げ考える。
何か、何か忘れている気がする。
私は何かを…誰か…私の…同僚の様な…共に何かをするべき者が…ウルベルト様が…そこに居た気がするのですが。何か私に…お伝えくださった。そんな気がするのですが…。
・
「確かに山羊だけどさぁ…」
「山羊の頭を持つ王が統べる…嘘は言っていなかったようですが…」
「あ、姉上!あれじゃない?王様」
そう指指す先に体毛は銀色。通常の山羊人より一回り大きい立派な体躯をしている者が居る。
「…そのようですね」
「姉上?どうするー?」
「…期待は薄いですが…情報収集へ行きましょう」
「姉上?」
「わかっていますよ。こちらから手を出すような事はしません。が、手を出されれば別です。そしてこの姿で行く事もしません」
そう告げベロスを見るが、不思議そうな顔をしたベロスは意図に気付いていない。妹は頭が悪いわけではないはずなのですが…。一つ息を吐き出す。これくらいは気づいてくれ。そんな気持ちを込めて。
…が、ダメだったので何か適当な外見にしてくださいと告げると理解の色を示す。
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「…いや…ちょっと…ベロス?今から
てらてらとした異形の姿が2つ宙に浮いている。何故
「<
「…いや、そうではなくてですね…」
深くため息を吐き、説明を諦め告げる。
「やはりいいです。解除してください。
そう告げ元の姿に戻り地上へと降りていく。
「おい!?何だあいつらは!?」
そう一つの声が上がるとざわめきが起こる。敵意を持つ者も居るが襲っては来ない。こちらが敵意を出していないというのもあるが、突如空から?誰だ?…角に翼…亜人なのか?という疑問が戦闘意識に勝っている。
「何だ貴様らは?我が部族の中心までどうやって…何の用だ?見た事がないぞ?人間ではないな、何者だ?」
立派な体躯の推定王が現れそう告げる。
「あ、それ!!すっごい良いね!」
質問に答えるでもなく王の腰に下がる頭蓋骨を指さしベロスがそう告げる。
「…これか?フハハ。貴様も中々センスがあるようだな?」
「うん!特にそれ!その中央の奴すっっごい良い形してるね!いいなぁ」
何処で拾ってきたの?これは討ち取った戦利品だ。と盛り上がっている。心なしか王とやらはご機嫌か。…ああ…成程。こうやって情報収集をしていたのですか。と心の日記にメモしておく。
「──それで?何の用だ?そしてお前達は何者だ?何をしに来た」
「私はベロス、こっちは姉上だよ。父上を探してるんだー」
情報をペラペラと…と少し頬が引き攣りながらも話に割り込む。
「とある御方を探しています。帽子を被った山羊の頭を持つ御方を知りませんか」
山羊頭…ならそこら中に居るが?探せば何か被る奴も居るだろうが…。と周りを見ている。それはそうか。これに関しては聞き方が悪かった。
「我らと同種には見えんが?何だ?他種との混血種か?」
「ちょっと違うかなー。でも父上は山羊の頭だよ。かっこよくて正に至高のお姿だよねぇ」
「フハハハハ。そうか。やはり貴様はセンスがいいようだな。気に入ったぞ」
微妙に成り立たっていない会話のやり取りを横目に、下等種と同一視された事に少しの怒りの火種が生まれるが消していく。ここで争っても何も利益はないだろう。寧ろ勝手な勘違いで気に入られるなら御の字だ。
「…何か?」
何かに気が付き、王がジロジロとオートスを見ている。
「どうやらこの娘が言うのは事実のようだな?何とも美しく強きその瞳。父も強き者に間違いあるまい。気に入った。
「ほんとにー?バザーっていい奴じゃーん!」
バザー様と呼べ。それより他にコレクションないの?と歩いていく二人に少し疲労を感じ、毒気を抜かれながらついていく。ウルベルト様から授かった瞳を褒められるのは悪い気はしない。そしてウルベルト様を褒められる事は悪くない。
彼等に歓迎を受け色々な情報を得ていく。王を名乗るだけあり、そこそこの周辺情報等を持っていた。山羊頭の膝に乗るベロスを眺め、遥か遠い記憶を思い返しながら話を聞く。
まず第一に周囲の情報。多種多様な種族が暮らしている。そして幸運だったのは地図の情報。冒険者とかいう人間を捕らえた際に持っていたらしい。様々な手段で聞き出したと腰の髑髏を触りながら言っていた。どうやらこの付近には人間の国家が3つある。
一つはローブル聖王国。何とも悍ましい名前だ。巨大な壁を作りその中で人間が生息しているらしい。壁を打ち砕かれたらどんな顔をするのかと考えが浮かぶが…頭を振り追い出す。今はそういう時ではない。
一つはスレイン法国。人間至上主義の国だそうだ。人間種以外を敵対視しており定期的に排除しているらしい。それを聞くと妙にイラつきが生まれた。眉間に皺を寄せているベロスも同様か?この気持ちはなんだ?
一つはリ・エスティーゼ王国。アベリオン丘陵の北にそびえる山脈を超えた先にあるらしい。特にエ・ランテルと呼ばれる地は三国の交通要所として多くの人が集まるという。だがバザー自身は地図を手に入れるまで聞いた事がなかったらしい。
他にも遠くに幾つかあるらしいが。
そして──予想通りウルベルト様の情報は何も持っていなかった。
情報を整理して次の目的地を考えていく。この付近にはウルベルト様は恐らくいない。となれば今度は人間種に接触を図るのがいいだろう。亜人や異形種とは別の情報を持つだろう。
バザーはベロスを相当気に入ったのか、歓迎は数日続いた。しかし此処に長く居る必要もないであろう。
「長期の歓迎に感謝致します。我等は発ちます」
「またねー」
「近くに来たらまた寄るが良い。次会う時にはより良いコレクションを見せてやろう」
挨拶を交わし二人は空へと駆けていく。
「姉上、次は何処に行くの?」
「リ・エスティーゼ王国です。数は力と言います。何か情報を得られるかもしれません」
二人は山脈の上空を駆けていく。ウルベルトに繋がる情報を探して。
──二人と入れ違うように数日前、一人のスーツを着た悪魔の影がアベリオン丘陵へ足を踏み入れていた。
ばざー :あいついいセンス。しゅき。
ぜるん :この地域こわい。引っ越さなきゃ(使命感)
デミえもん :素材↑探し↑↑開始です↑↑↑
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触ると感触も見た目通り感じる上位の幻術。全体ver
オリジナル魔法。今後もオリジナル要素は増えていきんすよ。