アベリオン住民:身の危険を感じる
デミえもん :素材の宝庫↑↑↑
深夜深く、とある草原の一角で焚火の光が二人の影を明るく照らす。
王国へ向かう途中、意見の食い違いが起こった為だ。
一つの影が深い溜息を吐き出す。
「──わかりました…。そうしましょう」
わーいと喜んでいる妹を目に、深く疲労感を覚える。
情報収集を行うにあたり最も効率的な方法を取る。そう告げたのが事の発端だった。情報も力も上位者に集約する。つまり権力者に接触しそこから情報を抜き取る。敵対行動がダメでも自ら全て言いたくなるようにする方法はいくらでもある。
そういうのはダメだって。ウルベルト様はそれは喜ばれないよ。それが妹の意見。変な所だけ非常に勘が鋭い。これを常に他の所でも発揮してほしい。本当に。ベロスは人に溶け込み、こつこつ情報を集めるべきだと言い張った。
長い平行線の話し合いで結局折れたのは私だ。どうにも私は妹に甘い。喜ぶ妹を横目にパチパチと火花を散らす焚火を目を細め眺め考える。きっとウルベルト様も無事だ、何か戻れない理由がきっとあるのだろう。きっとまたあの素晴らしい日々が戻ってくる。少しずつ、朧げな記憶が形を戻していく。
そんな思考から現実に戻すように、遠くから複数の気配を感じる。ベロスも気づいたようで暗闇に視線をやっている。
「姉上、何かいるよ」
「そうですね。何かはわかりませんが、生き物くらい居るでしょう」
そっかー。と興味を失ったのか、妹は話をし始める。ウルベルト様や先に会った
妹の感性や考え方はやはり少し…そんな考えをかき消すように背後から声がかかる。
「──こんな深夜に焚火か?」
少し離れた所に多くの人の集団が居る。
集団を率いる頬に傷のある男性がそう口にした。
「私達に何か御用ですか?」
興味なく振り返りそう告げる。
「…女?その角、亜人か」
男がそう告げると一瞬ざわめきが起こるが、男が片手を上げると即座に静まる。その統率の取れた動きは訓練された者達。彼等こそ、とある任務を遂行中のスレイン法国の陽光聖典。先に行動中の別動隊に続きとある村へと向かう最中である。
オートスはその瞳に敵意の色を感じ取り、目を細め観察していく。
「ガゼフの前に人類の敵をまた一つ減らすとしよう。無駄な足掻きはするな。そうすれば苦痛なく殺してやる」
そう告げている男達を観察し終え結論を出す。
「おじさんその傷かぁっこいいねぇ!」
「寄るな。汚らわしい亜人風情が」
──ぞわり。そう告げた直後に男達は一つの感情を懐く。恐怖。
この二人は危険だ。それはその場の全員が感じ取る。極寒の地に居るような、身を突き抜ける氷のような一つの感情。殺気に彼等は凍り付く。
──今、この男は妹に何と言った?
──汚らわしい…?父上から授かったこの身が…汚らわしい…?
彼女達から発された氷の様な殺気。
刃物を喉に突き付けられたようなそれは、数々の亜人を屠ってきた歴戦の精鋭に過去最大の脅威だと知らせるに十分だった。
「こいつらは人類の脅威となる!確実にここで殺す!天使達を召喚せよ!」
そう叫ぶように告げると即座に数多の天使が召喚されていく。
天使達を前にオートスは頭の中の知識のページを捲っていく。
あれは…脅威足りえない。
「天使達を突撃させよ!」
その号令と共に悪を滅すかのように天使達が一斉に斬りかかる。
「──馬鹿な!?」
悲鳴のような声が上がる。その剣は彼女達に届く事は決してなく、目に見えぬ壁に弾かれるように傷一つ付ける事が出来ずにいる。こんな事があり得るか?あり得てたまるか!と天使の後ろから悲鳴のように追加で立て続けに魔法が詠唱されていく。
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多種多様な魔法が雨のように降り注いでいく。本来であれば亜人を滅し人類へ貢献するべき力。それは届く事はなく、傘に弾かれる雨粒の様に一つとして効果を発揮する事はなかった。
そんな様子を見ていた姉妹がポツリと口を開く。
「ベロス、これでも攻撃するな…とは言わないですね?」
「…私あいつ等嫌いだよ」
「そうですね…<
──ポツ
そう呟く様に詠唱すると、一滴の雫が空から落ちる。徐々に増えていくそれは二人を避けるように雨粒となり地上へと降り注ぐ。
「──雨!?何だこのぁぇ…」
声を上げた一人の額を雨の一粒が貫き糸が切れたように倒れていく。天使達に無数の穴が開き光の粒となり消えていく。天使を盾にと下に走りこんだ者は天使と共に穴だらけになり崩れ落ちていく。
「プ、
「最高位天使よ!我らを守り悪を!悪魔を滅せよ!
彼にはその光景が最早悪魔の所業にしか見えなかった。人間が雨に打たれ溶けていく。そんな地獄のような光景を作り出し、その悲鳴を音楽でも聴くように目を細めている者を悪魔と呼ばず何と呼ぶのか。
その思いに神が応えるように。闇夜を終わらせる朝日の様に。光り輝く翼が降臨する。
「姉上、あれ父上の?」
「魔封じの水晶…私も幾つか下賜されていますが…。あれは…主天使?」
「ふ、ふ、ふざけるな!!」
興味なさそうにそう告げるその光景に叫び声が口を出る。最高位天使を前に何だその余裕は。決して到達できぬ領域である第七位階を操るこの最高位天使を前にして。
まさか…それ以上の存在…?あの見た事もない悪魔の所業のような魔法はまさか…。いや、あり得んと首を振り
「なに!?あ、ありえん!!」
その思いが叫び声のように口を出る。貫通こそしないものの、その神々しい姿が徐々に雨に打たれ続けた鉄のように輝きを失い、少しずつ溶けている。
「ホ、
そう告げた主人に答えるように、手にした笏が砕けその身の周りをゆっくりと旋回し始める。徐々に輝きを増していき、神の怒りのように空に光が集約していく。
──<
神の怒りの一撃のように、闇を切り裂く光のように。この地獄のような雨を打ち払う様に。神聖な光が二人の頭上から降り注ぐ。小さい方の口が動いているが命乞いか?愚かな。悪を滅するその光こそが我らが神のご意思なのだ。光に包まれていくその姿に生き残った部下たちの歓喜の声が響き渡る。
「ありがとうベロス」
「姉上が傷つくのはいやー」
光と共に歓喜の声は消えていく。そこには先の二人の姿が健在している。傷一つ付かなかっただと?ありえん。どんなトリックを?小賢しいトリックでこの神の一撃を防ぐ等…不可能だ。魔人をも屠るこの一撃を…防ぐなど不可能な…はずなんだ。
「天使──神への信仰という奴ですか?」
呟くようにそう告げ、口角を釣り上げた長身の女が何か小さい方に囁いている。小さい方が首を縦に振っている。気づけば雨が止んでいる。
──予感。今すぐ逃げなければ。そして報告しなくてはならない。こんな化け物が存在していいはずがない。その気持ちに気づいたかのように小さい方が前へと歩き出す。
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抱擁するように両手を掲げそう告げると
山羊のような頭、筋肉質で腕は4本。禍々しい錫杖を持ち、月の光を反射する巨大な翼。それは正に悪魔と呼べる者。それが天使という卵から生まれるように顕現した。
「て、天使…天使は…」
「神…神よ…」
その邪悪なる光景に、皆最早逃げるという事すら忘れ立ち尽くす。そんな者達に一人、一人と錫杖が振り下ろされる。誰も逃げる事はなかった。信じていた神から生まれた悪魔への恐怖と絶望。それは彼等の思考を停止させ、自らの元に振り下ろされるそれを眺める事しか許さなかった。
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「問います。帽子を被った悪魔に心当たりは?貴方方が信仰する神とは?目的は?」
それに答えた生き残った部下が息絶えた。これで4人目だ。小さい方が不思議そうに見ている。長身が顎に手を当て何か思考している。皆足が砕かれている。俺の番が近い。何とか逃げなければ。この情報を伝えなければ。
「特定条件下で3回質問されると死亡する…魔法?…呪いでしょうか」
「姉上わかるの?」
「恐らく精神支配系統がかかった状態での情報流出を避ける為でしょう。興味が尽きませんね」
そう告げ質問された部下達が次々と死んでいく。
「間違いないようですね」
「傷のおじさんの番だねー」
そう告げる妹を前に、オートスに疑問と知的好奇心が湧く。この人間は妹を侮辱した。死に値する。そう思うが…死で良いのか?しかも質問に答える。そんな簡単な死に方で?
その優秀な頭脳が一つの可能性とアイディアを生み出した。もしかしたら…面白いかもしれない。情報収集と実験もしてみたい。
「ベロス、少し試したい事ができたのですが──」
その表情を見て男──ニグンは絶望の表情を浮かべる。あの顔は知っている。雨に打たれた部下達を見た時に、我らの天使を悪魔に変えた時に見せた表情だ。一体何をする気だ。不安と絶望が心を支配していく。
「やめろ!!!近寄るな!!」
「安心してください。少し試してみるだけです」
そう告げ彼女は何もない空間から一冊の本と羽ペンを取り出す。それはウルベルトから与えられたマジックアイテム。名を
込められた魔法は
しかしゲームが現実となった今では存在してはならない狂気の本と化していた。
ニグンの頭に本をかざすと彼は意識を失い、挿絵と共に白紙だったページに彼の記憶そのものが大量の文字となり書き込まれていく。それをパラパラと捲り聡明な脳に記録していく。暫く捲ると所々に羽ペンで二重線を書いていく。書かれた部分の文字が宙へと浮かび消えていく。
必要に応じ本に記載をしていく。ページその物を剥ぎ取るとそこに記載された文字が宙に消え、白紙のページが現れる。暫くの後、本を閉じた彼女が口を開く。
「こんなものでしょうか。ベロス、この人間に治癒をお願いします」
「え”!?姉上が優しい!?…じゃなくて何で!?」
目を白黒させながらそう告げる。
私は何時も優しいですよ。お願いします。と言われ渋々治癒魔法をかけていく。
何で私が…侮辱してきた相手に…と。
「さて、起きなさい」
そう告げニグンの肩を持ち大きく揺らす。
「ここは…俺は…俺は…?」
状況が把握できずにニグンは周りを見回している。
「問います。貴方の名と所属と目的は何ですか?」
「貴女は…誰だ…?俺は…ニグン…?…所属…わからない…目的…俺は…何を…思い出せない」
「死にませんね。やはり支配下での3回の回答がトリガーなのですね」
ふむふむと納得し、告げる。
「もう貴方には用がありません。行きましょうベロス。それと──これ等は貰っていきます」
「え?え?あいつは?」
「縁があればまた会えるでしょう」
砕けた魔封じの水晶を拾い上げ、転がる遺体から幾つか袋を回収する。
さ、行きましょうと笑顔で告げる姉。ベロスは己を侮辱した者が生き残る事に少しの不満が残るが、よく分からないけど姉が笑ってるし、まぁいいかと納得しておく。
行きますよと告げる姉の後ろについて行く。呆然とする男に興味を失い、この人間は嫌な奴らだったが街とはどんなところだろうかと思いを馳せる。
「俺は…俺は?」
一人残された男は少しの間、夢でも見る様に呆然とし、少しずつ頭の霧が晴れていく。ああ、そうだ。俺は──の為に──を殲滅しなくては。その為に俺は…。
立ち上がり、己の信仰と心情を胸に一歩踏み出し、足が何かに当たる。
「…?」
無数に転がった人間──部下達の遺体。少し離れた焼け爛れたような大地には、見るも無残な遺体が大量に転がっている。足元のそれを蹴り飛ばし告げる。
「薄汚い人間が!…──薄汚い?…何故だ?…俺には役目が…そうだ。始末しなくては。…?…誰を?何をだ…?俺は…そうだ。神。神を探さなければ──」
そう呟きながらふらふらと歩いていく。俺は──何だ?何を…。
そんなニグンを遥か遠くから見る者が、顔を青褪めか細く告げた。
「…至急…大至急神官長へ報告を!陽光聖典が…壊滅…隊長のニグンは様子が…。あれは…あれは…我々の──人類の敵です」
にぐん:酷過ぎる…悪魔かよぉ!?
二人 :はい。
ぜるん:てかてかは美しい↑
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汚染された強酸が降り注ぐ。装備品は腐敗し、HPや装備に継続的にダメージを与える。
装備品に耐久力が設定されているゲームでは禿げるタイプの魔法。というかダクソで禿げた。そんなオリジナル魔法
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一部を除く呼び出された召喚モンスターを強制的に排除しランダムで+-10レベル帯の悪魔種族を召喚する。
戦闘時に何か召喚するスタイルにとっての禿げるタイプの魔法。というか禿げた。そんな(ry
こんなの設定するウルベルトさん性格悪いんだ。(棒読み)